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主観客観

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加藤が幼かった頃は、人の悪口なんて
言う人は、特別に心が貧しい人達で
そういう人達は仲間外れにされていたものだったが。と
加藤は思う。


いや、今でもそうなのだろうけど

人間の数が増えたので、目立つように
なったのだろう。


年若い人達で、悪口ばかり言っている人は
そんなにいない。

加藤の知り合いには全くいない、と
ゆりや、ゆかの事を連想して
加藤は微笑む。


見た目、だらしない女の子のようだけれども

人を傷つけるような事はしないし
悪口よりも、楽しい事の話が一杯で



聞いているだけで楽しかった。


遊園地へ言って、新しいジェットコースターに
乗った事。


180きろ出るんだよー、とか。


猫派なんだよねー、とか。

猫飼いたいんだけど、おにーちゃんが
犬派だから、喧嘩したらかわいそうだもん、とか。


そんな話を、ずっと年上の加藤に
友達に話すようににこにこと話したり。



店で余ったパンでサンドイッチ作って

食べて食べてー、料理得意だもん。とか。



加藤のそばに居る女の子って、みんな
そんな感じで



普通の女の子は、ああなんだろうな、と
にこにこと回想していると


三浦みたいなのはどうでもいい(笑)

関わるだけ時間の無駄だ、と
思ってしまう。





人生は短いんだから、下らない事を
して争ってる暇に



可愛い子の事でも考えよう(笑)と





たぶん、そういう事がないから
争うんだろうな、と

三浦たちを哀れんで、加藤は


会議場に向かう。











ななは、電車の駅で
ジョナサンと別れる。



「これから、どうするの?」




ジョナサンは笑顔で「さあ、気の向くままに
旅するさ」




働かなくてもいい世の中なので、贅沢を
しなければ
旅をして生きて行ける。
それなので、ジョナサンはあちこちを旅して
いるのだった。




さすがに飛行機代を払うと、あとしばらくは
貧乏暮らしになってしまうので


しばらくは本国には戻れないらしい。



借款にして、働いて返す、なんて事もできるし
基準が物理量だから、たとえばビットコインみたいな
不正は起こりようもない。


そういう点は、科学者の考えた制度である。





「じゃ、また。メールでも頂戴」と、ななは笑顔で
手を振って


駅から、電車に乗って

とりあえず、両親の引っ込んだ
山小屋に向かった。




都会でも青葉台みたいな
住宅地は、働く人が少なくなったので
緑地が増えていた。


山小屋のあるようなところへ、皆が
引っ越したから


勢い、争いなど起こりようもなかった。


人に会わないでいいのであるから争いも
起きない。



隣同士で自治会、なんて
戦前の遺物もなくなる。


元々、戦争の時の
物資配給や、訓練の為に出来た組織で
平和になってからは、近所の親睦組織だったけれど


昭和が終わる頃からだろうか、軍隊のように
命令するような人が出てきて

つまらない組織になる。




元々任意団体で加盟が自由なのに

嫌がる人に仕事を強要する変なものになって行って



存在価値が無くなって行った。


行政とて、そんな犯罪組織になっているとは
よもや知るまい(笑)。



人に強要したら強要罪だから、嫌なら
そんなものに入らなければいいのだが。
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