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環境への順応

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その会議場で、いろいろ話す事もある加藤だが
年々、人間として低俗になっていく研究者たちに

うんざりしている加藤でもあった。


科学の為でなく、自己主張の為に
理論的におかしな持論を振りかざす博士。

「ま、環境のせいだな」加藤は分かっている。


何か基準がないと、自分の振る舞いが
正しいか、人からどう見えるか、なんて
わからなくなってしまう事も多い。





加藤は、ミュージシャンとしての
活動も少し、していたから

女の子で、少し曲が作れたりすると
アイドルっぽく売り出されて人気が出たりする
そんな子を、何人か
スタジオとかで知り合ったりしていたけれど


最初、控えめで愛らしい子が

売れて、やがて落ち目になって


結婚したりすると
普通のおばさんになってしまって

話す事も、亭主と子供の事しかしなくなって

たまにテレビに出ても、そんな調子で


テレビにも呼ばれなくなったり(笑)。




普段の生活や環境が、その人に
影響する事を感じたりしていた。



それなので、女が子供を産むと
母親、として
子供を支配的に扱うのは、子供が幼いうちは
やむを得ないと、そんな風に
思ったりもする。


ずっと、そのまま
母親としては子供を支配しようとするので(笑)


それで、子供としては自立を志す、のだけど。




それなので、ジョナサンたちのように
親よりもコンピュータが育てた方が良い、などと

思ったりもするので


加藤自身もコンピュータに育てられたかった、などと

思ったりもする。



それで、プログラムに自らを託し

スーパーコンピュータの中に埋没する事を
選んだりもする。






「会議もうんざりさ」加藤は心でつぶやきながら
エレベーターで7階の会議場へ上る。



どの道、金に目がくらんで
会社の金と自分の金の区別が出来なくなった
ような連中に

科学など、わかりはしないのだから
説明は無駄なのだ。



適当に切り上げて、前の研究室に
戻ろう、そんな風にも思う。




そういう加藤、自分自身を
少し、普通の人と違うとは感じていた。




幼い頃からこの方、人に恋した記憶が
そんなにはないのだった。


たいてい、誰か女の子は側に居たし

特定の人を恋しくてため息、なんて記憶は
全然なかった。



その代わり、音楽の中の恋のイメージは
好んだ。



高尚なクラシック音楽でなくても、
アイドル歌手の歌でも良かったし



例えばperfumeの[baby clusing love]とか
そういうものでも良い、と思った。



そして、大抵の女の子よりは
音楽の方が楽しいと思うのだった。


それも環境順応である。



音楽、と言う人工環境に慣れてしまって
心の中がそれで作られてしまっている。



それが、普通の人と違う理由でもあった。



アニメでも良かったし、映画でも良かったのだけど

音楽って意味がないし、直接音が耳から入ってきて

思考を奪ってしまうから


それがいいのだろう。

例えば、perfumeが[恋]と歌うときのメロディーに恋、と言う意味が別になくてもいい。


どちらかと言うと、サウンドは関係ない感じで

そこがいいのである。



映画もアニメも、もう少し現実よりなので
普段の生活を連想してしまって嫌な事もあるけれど
音楽にはそれがないので
そこが、うれしいところでもある。
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