科学は、如何にしてヒトを幸せにするか～ななの例～

客観くん

ジョナサンは「優しいんですね。アメリカンだったら
差別をする人達なんて袋だたきにしますよ。
加藤さんは、罪を作った原因を変えようとして
人を憎まない。すばらしい」



ななも、同じ事を感じていた。

ななは女の子だから、母親の干渉が
うっとうしく感じていて
幼い頃、父親が仕事であまり家に居ないせいで
母親の支配力にうんざりしていた記憶がある。
それなので、支配的に振る舞うような人は
反射的に嫌に
感じたし


そう、感情的に怒らない加藤は

どういう育ちかたをしたのだろうと
思ったりもした。





加藤は、ジョナサンの言葉に答える。


「優しくはないです。何を言っても
記憶は直せないから、無駄ですから
ひとそれぞれ、と
距離を置くのが一番、お互いのためなのですね。

でも、さっきの事務員みたいに、会社、みたいな
社会組織を悪用するのは良くないですね。
それは、イジメと同じでしょうし
親が子供をイジメるくらい、悪い事でしょうから
行為だけは阻止すべきだ、と考えますね。
それで僕は、あの事務員のしている事を
この研究所の上位組織の法務部に伝えました。
それで、あの女は法務部の監理下に
置かれる事になって、僕を逆恨みして
ああいう態度を取っているのです。
愚かな事ですが、反省するはずはないのです。
優位でなくてはならないと、思いこまされているのですから。強迫的に。心の病気です」と
加藤は淡々と述べた。



「それで、ここも追われるんですか？」と
ななは気にした。



加藤は笑顔で「ここには、まともな人も
多いのです。今の部署から、昔居た
研究室に戻る事になりました。
それは、僕の希望でもありましたから」