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めぐは、ピアノを習ってたので
オルガンを弾くのは、そんなに辛くなかった。
パイプオルガンだったら、ロックは
難しかっただろうけど(笑)。
だから、プロコルハルムあたりに
なっちゃったかもしれない。
と、思い返すと
リチャード・ティーも、そういえば
バッハみたいにオルガンを弾いていたんだった。
「どっかで、つながってる」音楽って、そう。
日本から来たななは、音楽が鎖国(笑)で
日本の音楽ばっかり聞いてるらしいけど。
それはそれでいいのかな、なんて
めぐは思う。
「めぐ、上手だったよー」と、れーみぃは
楽しそう。
フードかぶってると、なんか
ペンギンちゃんみたい(笑)。
めぐは、魔法でオルガン弾いちゃおうかと思ったけど(笑)
やっぱり、自分で弾くから楽しいんだし、と
思い返した。
楽器を弾くひとならわかる。
自分の指先が、メロディーにつながっていく
あの感じ。
心と音楽がひとつになるような。
でも、めぐはなんとなく
鍵盤に物足りなさを感じて。
「管楽器してみたいなぁ」なんて、漠然と
思った。
叫ぶように、テナーサックスを吹いてみたい、
なんて。
吹けないんだけど(笑)。
「素敵な音楽ですね」誰もいないと
思っていた礼拝堂に、院長の声。
「シスター・めぐですね、今のオルガンは」
めぐは、どぎまぎしながら「はい」嘘は嫌いだ。
「自由で、いいメロディーでした。教会の
響きに似ていました」
院長は、音楽を聞く耳がしっかりとしている。
めぐが弾いた、ブリティッシュハードロック
のような音楽は、バロック音楽を基礎にしている。
教会音楽の旋法を元にして
「サック、まいでぃっく」れーみぃは、まだふざけている(笑)
「なにいってんの(笑)」と、めぐは
恥ずかしい。
本当にお嬢様なんだからなぁ、と
リサも笑った。
「吹きたいんなら、あるわよ」と、クラーレ
は、古びてあちこちへこんでる、テナーを
どこかから見つけてきた。
「ブルールーが練習に使ってたんだけど」と
バンドの仲間がいた事を
なんとなく思い出して、楽器を出してきた。
めぐが手に持つと、でも
ずっしり重い。
「女の子だったらアルトの方がいいけどね、テナーはいいわよ、音が深くて」と、クラーレ。
早速、めぐはマウスピースを当てて
吹いて見るけど、音にならない。
風が吹き抜けるだけ(笑)
リードに触れると、なにか震えるようだけど。
魔法で吹いてしまおうかと思ったけど
それじゃ、面白くないし
ルーフィーさんみたいに
魔法が消えてしまったら
もう、会いにいけない。
そんな事を、ふと思うめぐだった。
「では、みなさんごくろうさま」院長は
柔和に微笑み、そして
日曜学校も、めぐたちの一日入院も終わる。
「あーあ、終わっちゃうとなんか寂しい」と、めぐが言う。
「お祭りだったよね。あ!Naomi、オートバイ運転したーい、ね、ね?」 と、れーみぃ。
いきなりは1000ccは無理よ、と、Naomiは微笑み
「250なら貸してあげる」と、にこにこ。
ありがと、とれーみぃはにこにこ。
「日本にはいつ帰るの?」と、リサは
「わかんない。お金もないし」と、ななは
ひとりだけなんとなく現実。
まあ、歳を取るってそういう事かもしれない(笑)。
「空飛んでいけば?」と、めぐは楽しそう。
ほんとはめぐも飛べるので、連想する(笑)
修道院の廊下から、裏庭に出て
そこにある銀色のオートバイ、YAMAHA TR1の
黒いシートを、Naomiは撫でる。
「じゃあね」と、長い脚でひらりとシートを跨ぎ
キーを挿し、緑のランプを見て
右手でセルフスタータを起動した。
緑のランプが瞬いて、セルフスタータのギアが
自動車のように噛み込む音がした。
1000ccの2シリンダエンジンが、重そうに回り
低い排気音を奏でる。
ひゅるひゅる、と
面白いエンジンの音がして、空冷のエンジンは
動きはじめた。
センタースタンドを外すと、ふんわりと
空気バネのサスペンションが沈み
いかにも乗り心地がよさそうだ。
スロットルを、ひょいと捻ると
2本のシリンダは、72度ずれているので
360度と、72度違った間隔で
エンジンは、生き物のように揺れる。
大きな動物が身をよじるようで、有機的な
感じが
オートバイ乗りの心を誘う。
乗って楽しいエンジン。
オートバイは、エンジンを楽しむ乗り物でもある。
断続的な排気音は、機械として見ると
トルク変動が72度に発生するので
本当なら、4ストロークエンジンは
720度、つまり2回転で
ひとつのサイクルが成立するから
2シリンダなら、360度間隔で
爆発させるのがスムーズである。
しかし、ゴムのタイヤで舗装道路を走る時
ゴムには、ヒステリシス特性があり
捩れて戻る瞬間が最も、路面を捉える力を発揮する。
当然だ、消しゴムを机に押し付けて引いて見るといい。
弾力のあるものは、皆そういう物である。
そういうタイヤの特性を発揮させるには、
トルク変動があった方がいいのだし
変動がないと、惰性で
余計にエンジンが回ってしまう。
回転する物に慣性があるからである。
トルク変動は、適当にそれを打ち消してくれるので
乗っていて楽しいエンジンになるのだ。
オルガンを弾くのは、そんなに辛くなかった。
パイプオルガンだったら、ロックは
難しかっただろうけど(笑)。
だから、プロコルハルムあたりに
なっちゃったかもしれない。
と、思い返すと
リチャード・ティーも、そういえば
バッハみたいにオルガンを弾いていたんだった。
「どっかで、つながってる」音楽って、そう。
日本から来たななは、音楽が鎖国(笑)で
日本の音楽ばっかり聞いてるらしいけど。
それはそれでいいのかな、なんて
めぐは思う。
「めぐ、上手だったよー」と、れーみぃは
楽しそう。
フードかぶってると、なんか
ペンギンちゃんみたい(笑)。
めぐは、魔法でオルガン弾いちゃおうかと思ったけど(笑)
やっぱり、自分で弾くから楽しいんだし、と
思い返した。
楽器を弾くひとならわかる。
自分の指先が、メロディーにつながっていく
あの感じ。
心と音楽がひとつになるような。
でも、めぐはなんとなく
鍵盤に物足りなさを感じて。
「管楽器してみたいなぁ」なんて、漠然と
思った。
叫ぶように、テナーサックスを吹いてみたい、
なんて。
吹けないんだけど(笑)。
「素敵な音楽ですね」誰もいないと
思っていた礼拝堂に、院長の声。
「シスター・めぐですね、今のオルガンは」
めぐは、どぎまぎしながら「はい」嘘は嫌いだ。
「自由で、いいメロディーでした。教会の
響きに似ていました」
院長は、音楽を聞く耳がしっかりとしている。
めぐが弾いた、ブリティッシュハードロック
のような音楽は、バロック音楽を基礎にしている。
教会音楽の旋法を元にして
「サック、まいでぃっく」れーみぃは、まだふざけている(笑)
「なにいってんの(笑)」と、めぐは
恥ずかしい。
本当にお嬢様なんだからなぁ、と
リサも笑った。
「吹きたいんなら、あるわよ」と、クラーレ
は、古びてあちこちへこんでる、テナーを
どこかから見つけてきた。
「ブルールーが練習に使ってたんだけど」と
バンドの仲間がいた事を
なんとなく思い出して、楽器を出してきた。
めぐが手に持つと、でも
ずっしり重い。
「女の子だったらアルトの方がいいけどね、テナーはいいわよ、音が深くて」と、クラーレ。
早速、めぐはマウスピースを当てて
吹いて見るけど、音にならない。
風が吹き抜けるだけ(笑)
リードに触れると、なにか震えるようだけど。
魔法で吹いてしまおうかと思ったけど
それじゃ、面白くないし
ルーフィーさんみたいに
魔法が消えてしまったら
もう、会いにいけない。
そんな事を、ふと思うめぐだった。
「では、みなさんごくろうさま」院長は
柔和に微笑み、そして
日曜学校も、めぐたちの一日入院も終わる。
「あーあ、終わっちゃうとなんか寂しい」と、めぐが言う。
「お祭りだったよね。あ!Naomi、オートバイ運転したーい、ね、ね?」 と、れーみぃ。
いきなりは1000ccは無理よ、と、Naomiは微笑み
「250なら貸してあげる」と、にこにこ。
ありがと、とれーみぃはにこにこ。
「日本にはいつ帰るの?」と、リサは
「わかんない。お金もないし」と、ななは
ひとりだけなんとなく現実。
まあ、歳を取るってそういう事かもしれない(笑)。
「空飛んでいけば?」と、めぐは楽しそう。
ほんとはめぐも飛べるので、連想する(笑)
修道院の廊下から、裏庭に出て
そこにある銀色のオートバイ、YAMAHA TR1の
黒いシートを、Naomiは撫でる。
「じゃあね」と、長い脚でひらりとシートを跨ぎ
キーを挿し、緑のランプを見て
右手でセルフスタータを起動した。
緑のランプが瞬いて、セルフスタータのギアが
自動車のように噛み込む音がした。
1000ccの2シリンダエンジンが、重そうに回り
低い排気音を奏でる。
ひゅるひゅる、と
面白いエンジンの音がして、空冷のエンジンは
動きはじめた。
センタースタンドを外すと、ふんわりと
空気バネのサスペンションが沈み
いかにも乗り心地がよさそうだ。
スロットルを、ひょいと捻ると
2本のシリンダは、72度ずれているので
360度と、72度違った間隔で
エンジンは、生き物のように揺れる。
大きな動物が身をよじるようで、有機的な
感じが
オートバイ乗りの心を誘う。
乗って楽しいエンジン。
オートバイは、エンジンを楽しむ乗り物でもある。
断続的な排気音は、機械として見ると
トルク変動が72度に発生するので
本当なら、4ストロークエンジンは
720度、つまり2回転で
ひとつのサイクルが成立するから
2シリンダなら、360度間隔で
爆発させるのがスムーズである。
しかし、ゴムのタイヤで舗装道路を走る時
ゴムには、ヒステリシス特性があり
捩れて戻る瞬間が最も、路面を捉える力を発揮する。
当然だ、消しゴムを机に押し付けて引いて見るといい。
弾力のあるものは、皆そういう物である。
そういうタイヤの特性を発揮させるには、
トルク変動があった方がいいのだし
変動がないと、惰性で
余計にエンジンが回ってしまう。
回転する物に慣性があるからである。
トルク変動は、適当にそれを打ち消してくれるので
乗っていて楽しいエンジンになるのだ。
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