上 下
67 / 418

時間旅行

しおりを挟む
高く飛び上がり過ぎたのか、ななは
気が遠くなって


気づいたら、どこかの家のソファーに
横になっていた。


家、と言っても豪華なものでもなく

昭和の日本家屋のようだった。




懐かしい声がして、ななは気づく。


「気づいたか」その声は

加藤。



ななは、解らない。


そこが、加藤の家なのか?



それだとしても、10年前の加藤なのか(笑)


元々童顔で、若々しい加藤なので
顔からは伺えない。



「あの?あたし?」ななは、ソファーから
起き上がる。



「あ、休んでて?」女の子の声にどっきりして
ななはその声の主を見る。


まだ、稚けな少女を思わせる声の主は


「ゆりです」と、その声でななは
なんとなく気づく。


尖ったところのない、若い娘にしては
不思議に穏やかな。


加藤を見る視線も優しい。



加藤は「驚いたな、家の屋根に墜ちてきたんだから」と。



口調は、若々しい。
ななの知っている加藤は、もう少し
お年寄りっぽい(笑)



「やっぱり、10年前なのかしら」と、ななはひとりごと。




「?」加藤は、ななの事を覚えているのだろうか?



もし、覚えているなら
それは、ななの知っている人。



「ななの事、覚えてる?」 と
聞く前に、加藤は

「この人ね、10年後に出逢う事になる、と言っても向こうの世界での話だけど。
斎藤奈々さん。今は、シスターなな、かな?」と、そのまんま言うと、ゆりは



「はじめまして。あたしは友梨、いつも加藤から聞いてます。かわいい人だって」と、
言われて、ななは
不思議な気持ちになった。



10年後から時間旅行してきて、出逢うはずのない人々に、なな自身は逢っている。



その加藤は、平然と10年前に暮らしている。




それが魔法なんだろか?。




でも、ななは感じ取る。



慎ましい生活になじんでいる少女ゆりと
加藤の間の、好ましい雰囲気は


穏やかなものがある。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アマノジャクに突っ走れ!!!

ゆっこ!
経済・企業
 時は2039年。所は以前、大陸国家があった場所。人類に反旗を翻した量子コンピューターの集合体…通称、人造神。ヤツの操る異形獣共と戦うため、俺は百数十億の借金を背負って、かつて中国と呼ばれた場所へと戦いに赴いた。  いわゆるローン持ちのグランドスプリンター(強化歩兵)ってぇヤツだ。  それで今現在、俺は片足になったストームシューター(飛行猟兵)のお嬢ちゃんを背負って、異形獣と追い駆けっこと洒落込んでいる訳だ。

ビジネス書にありがちな21+8つの事

あがつま ゆい
経済・企業
これを出すにあたり、私を公私ともに支えてくれた最愛の妻に、 父親と遊びたいのに我慢してくれた私の息子と娘に、 この本を書くきっかけを下さった編集者に、 この本を捧げよう。 ……と言いたいところだがキモくてカネの無いオッサンには妻とか子供とかそんな御大層な者はいないし、きっかけを下さった編集者も居ません。  この小説(というかエッセイ?)はビジネス書を模倣したビジネス書ではない別の何かであり、ビジネス書にお決まりのように書かれていることを挙げ足とって茶化すだけと言う、人生において本当に何の役にも立たない事ばかり書いてあります。  他にもビジネス書がビジネス書という形態をとっている以上必ず持つ弱点とか、エセビジネス本の餌食にならないための予防接種的なコーナーも設けてあります。 毎週水曜日と土曜日の17:00更新予定

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

オトナのラノベの作り方

ぼを
経済・企業
ラノベ好きの人は読まないで下さい。ラノベの事が嫌いになります。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜

白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます! ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

処理中です...