上 下
17 / 418

ただいま。

しおりを挟む
めぐたちは、行き止まりのホームについた
赤い機関車に牽かれた列車、そこから
降りていく乗客たちを見送って。


一応、制服スタイルだから
乗客たちに挨拶をしながら



旅の終りをかみ締めていたり。

ちょっと淋しくて、泣きそうになってたり。



旅って、なんでこんなにステキなんだろ、と
めぐは思った。




食堂車の乗務員は、そのまま車庫に戻る
列車に乗ったまま、到着点呼を受ける。




一応、アルバイトでもそうする(笑)。



「んじゃ、わいらは車掌区へ行くはんで。」と

リサのおじさん、専務車掌である(笑)。



重そうな鞄を持って、とっとこ、とっとこ。


「乗務員もステキだよねえ」と、リサは
車掌、と言わないで乗務員と言うあたりが
なんとなく鉄道職員の身内(笑)。



「リサは機関車乗るんでしょ」と、Naomi。




「乗れるかなぁ、なんか心配になってきた」と
リサ。




「大丈夫よ。おじいちゃんの孫だもん」と、めぐは言って。


「なんであんたが言うの」と、れーみぃ(笑)。



みんな、笑顔になった。
     



「お嬢さん方、回送列車が出るよ」と
黄色いヘルメットの構内運転手が、日焼けした
顔で微笑む。


「はーい。」


めぐたちは、来た道を戻るように
14号車に戻って。


フィルムを逆回しする見たい、TailEverの
車庫に着いた。



ずーっと昔の事みたいな気がするけど
ほんの数日前の事だ。



人間の記憶って、時間がテキトーなんだな、って
めぐは思う。




失踪した友達を探して、めぐたちは
北の町まで行って。



「あたしたち、なんで慌ててたんだろ」とNaomiが言うみたいに



リサは無事見つかって。


その旅の間、めぐたちも
なにか、大切なモノを見つけたような
そんな気持ちになった。



そういうもののために、人々は
生きていくのだろう、って事を。




それがなければ、お金がいくら儲かっても
気持ちは満たされない、そんな感じだって事も
よく分かった、めぐたちだった。


後ろ向きに走っている列車、と
めぐは思ったけど

最初に出発した、下り方向が前だから

いままで、後ろ向きにUpperfiedを
目指していた、と言う事になる(笑)

慣れ、ってそんなもので


地球が丸いの、とか
太陽の周りを回っているとか


自転の速度は、とっても早いとか。


そういう事も普段は感じないのに、ちょっと似ている。



地面は動かないように感じるけれど。




列車は、ゆっくり、ゆっくりと車庫について
めぐは、来た時と同じ光景を見て。



「朝見ると、印象が随分違うね」ひとりごと。



「なんか、朝帰りの恋人みたい」とNaomi。



「そういうひと、いたの?」と、れーみぃ。



「テレビでみたの。」と、Naomi。




そんなふうに、現実とそうでないものは
記憶の中に、いろいろ混ざってる(笑)。


だからと言って、物語が不自然で良くないとも
言えない(笑)。


現実にはない、美しいものや
純粋なものを、物語に託しても別にいい。




「なおみが言うと、リアリティあるね」と、リサ(笑)。




「なおみって言うと、日本人みたい」と、れーみぃ。

アジアンな風貌のれーみぃが言うと、それも似合う。



「あ!学校どうする?」と、リサは突然。



「まあ、事情が事情だし。」と、れーみぃは
教頭先生の穏やかな声を真似たので


みんな、笑った。




そのうち、列車は車庫に着く。



夢のような旅は終わり。



旅は現実だけど、日常生活から見ると
夢みたいな、ちょっと不思議な記憶。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

買収者の策略

萬田
経済・企業
買収側と売却側の、複雑な利害が絡み合う中で、企業の未来を左右する大きな決断が迫られる

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

処理中です...