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第六話 童貞卒業と処女喪失②※

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「アロイス、あなたは素晴らしい人よ。……どうか、わたしを『はしたない』となじらないで」

 そう言うや、白く引き締まった尻に、ルイーザの恥骨が押し付けられる。

「ああああ……っ!」
 
 アロイスは先ほどよりなお深い快感に飲まれ、喘ぎ声を漏らした。後背位だと性道具では届かない奥の奥までペニスが届くようだ。

「ぐ……ぅ、はぁ、……んっ!」
「ああっ、この体位も、……気持ちいいわ……っ」
「俺も……っ、こんなに、ふかくまで……っ!」
「あん……ああぁっ、……だめえええぇっ!」
 
 彼女のペニスがいっそう膨れ上がり、官能の頂まで一気に昇る。強烈なエクスタシーにアロイスの視界は真っ白になり、官能の奔流に押し流された。アナニーでは、とうてい味わえない快楽だ。
 ルイーザは、アロイスの背中にうつ伏せていた。二回出してさすがに気怠い雰囲気で、また艶めかしい。
 
「……気持ち良かったですか?」
「アロイスも、……気持ち良かった?」
「もちろんです」
 
 お互い初めてとは思えない相性の良さだった。まさしく、ぴったりという言葉がふさわしい。
 アロイスは今にも眠りそうな恋人の身体を清め、抱きかかえてソファに移した。手早く寝台のシーツを替え、ルイーザをもとの位置に寝かせる。眠る彼女を確認して浴室に行き、自分のアナルに注がれた精液を掻きだした。
 全てを終えると、さすがの彼も疲れを感じる。さっぱりして、ルイーザの隣に潜り込むと、寝ているはずの彼女と目が合った。

「起きていたんですか?」
「今、目が覚めたところよ。……ねえ、アロイス」
「はい、何でしょう?」

 ルイーザにしては珍しく、茶目っ気のある笑顔を浮かべている。年相応の表情でいつもより幼く感じられた。
 
「わたくし、知っているの。入学して間もないころ、元平民のフィオナが貴族のなかで悪目立ちしないように、あなたが内緒で手を貸していたでしょう?」
「……うまく隠したつもりだったのに。いつ知ったんですか?」
「入学して半年がたったころよ。仲良くなったフィオナから無理矢理聞き出したの。誰か分からないけれど、こっそりマナーの本やパーティのときに必要な小道具を、ロッカーや机の中に忍ばせてくれた人がいたって」

 アロイスは腕枕のなかに、ぎゅっと彼女を閉じ込める。彼は自分の行動が他人に知られたことを、恥ずかしく感じていた。だが、ルイーザは話すのを辞めない。

「殿下がフィオナに恋をしているのは、入学当時からわかっていたのよ。わたくしは正式な婚約までに、フィオナを王太子妃として恥ずかしくない程度に仕上げなければならなかったわ」
「そうなんですか?」

 フィオナが学園に入学したのは、中等部からだ。ルイーザが六年も前からそんなことを考えていたなんて、アロイスは知らなかった。
 
「鬼しごきをするつもりでいたけれど、あなたのおかげでその必要がなくなったの。フィオナは、わたくしが考える王太子妃像とはかけ離れた王太子妃となって、殿下を支えていくでしょう。それに気が付いたのも、あの子と打ち解けて親友になれたのも、全てアロイスのおかげよ」

 アロイスが長い金髪を撫でると、彼女はまるで猫の子のようにされるがまま、気持ちよさそうに目を細めた。
 切なくなるほど愛おしい。彼女の支えになりたい。ルイーザの剣となり盾となり、彼女を高め、癒したい。それこそ、彼女の求める理想の婿になりたかった。

「結婚式のあと、あなたの処女を頂きます。そのときが楽しみです」

 アロイスが小さな唇に己のそれを重ね合わせると、ルイーザはうっとりとほほ笑み、そのまま夢の国へ旅立っていった。
 アロイスも心地よい疲れに、うとうとしてくる。寝入り端、いつかもこんな風に誰かを幸せにしたくて抱きしめたことを思い出す。

 ――かなり昔のような気がするけれど、誰だったかな?

 ルイーザの健やかな寝顔を見ながら、記憶を探った。

 ――ああ、そうだ。まみちゃんだ。

 玉本誠一が生前、同棲していた恋人だ。五年付き合って、結婚する間際だった。指輪を贈って式場を決めたものの、結局幸せにできなかった。自分は死んでしまったけれど、彼女は新しい人生を歩んだだろうか。自分によく似た男と結婚して、子どもを儲け、幸せな一生を送っただろうか。
 そうあってほしいと、アロイスは願った。
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