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第一部

5.魔女、王子さまに恋々とする②※

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「いや、どうなってるかって思って。……さっきはよく見えなかったから」

 ウルリッヒの正直で場にそぐわない言葉に、思わず吹き出してしまう。先ほど筆おろしを済ませばかりの彼には女性の身体は未知のもの、その好奇心も当然かもしれない。予定外のなごみをもたらされて、相手の勢いに押されつつあったイルヴァのこころにも余裕が生まれた。

「魔女のは無毛だから、よく見えるわよ。奥ものぞいてみる?」

 彼女は少年にむけ、大胆にも左の人差し指と中指で膣口を開いてみせる。そして、右腕を頭の後ろにまわし、たわわな胸を強調するように反り返らせた。経験の浅い少年には、刺激的すぎる光景だろう。

「う……っ」

 予想通り、ウルリッヒが股間を押さえて前のめりになる。悪乗りした彼女は、面白がって解説を続けた。

「ほら。この、零れてくる白い液。ウルリッヒくんがさっき……」
「ご、ごめんっ、ストップ! すぐに挿れるから。……僕に恥をかかせないで」

 慌てて昇天しかけた雄茎を掴む姿も、真っ赤になる天使のような顔も可愛い。彼女はひとしきり笑うと、弟子の修業に付き合う師匠の気持ちになって、迎え入れた。

「んん……っ」

 男根は知った道とばかりにずく、ずくと突き進んでくる。金色の下生えと無毛のクリトリスがこすれ合った。硬い亀頭が女の柔らかい肉をこすってくる。一度目の性交でまかれた白濁液がじゅく、じゅくと押し込められた。その淫猥な音が、彼女により強い快感をもたらせる。

「はぁ……っ」

 耳の中に少年の熱い息がぶわっと入ってきて、くすぐったかった。魔女が身をすくめると、ウルリッヒは満たされたように感嘆する。

「すごい。イルヴァのなか、ぎゅうぎゅう僕を締めつけてくる……っ」
「ん……っ、それは、よかったわ。――動けそう?」
「うん」

 少年の意識は熱に浮かされ、欲情はピークに達していた。彼はイルヴァの膝を握りこむと、膣から雄茎を抜く。カリ首が表に出ないうちに再び押し込んできた。

「あ、く……っ!」
「んんっ」

 ウルリッヒの動きは最初こそぎこちなかったものの、何度か出し入れを繰り返すうちにコツをつかんだようだ。じゅぶ、じゅぶっと濡れた音が規則的に寝台に響く。少年は正真正銘大人の男となった。自信を無くさせることなく責任を全うした彼女は、心のなかで安堵のため息を漏らす。

「イルヴァ……っ」
「きもち、いい? ウルリッヒくん」
「はぁ、……うん」

 二人向き合って視線を交わし合う。どちらからともなく唇が触れあった。身体を繋げていると互いが求めているものを分かり合えるのか、抽挿に忙しい少年の舌を絡めとると、ねっとりと吸い込んでやった。息苦しいほど濃密なキスはそう長くないものの、イルヴァはこのときほど無我夢中になったことはなかった。

「ウルリッヒくん……っ、わたしも、きもち、いい、わ」

 彼の腰がイルヴァの尻にたたきつけられる。その激しい打擲の音に若さを感じた。上も下も濃密につながっていると、次第にウルリッヒの突きあげが激しくなってきた。彼女は自分の体内でどくん、どくんと脈打つウルリッヒを感じる。

「もう、ぼく、いき……そうっ」
「いいわ……っ、……あああっ」

 膣奥に温かいしぶきを感じる。アッと思う間もなく、彼女も法悦の極みに達した。同時に果てた二人は折り重なり、熱い息を吐きだす。
 全身への重みを受けるとともに、知らない匂いがイルヴァの鼻孔をかすめた。

――ウルリッヒくんの汗。

 まだ線の細いむきだしの肩に鼻をあて、息を吸い込む。その途端、身も心も満たされた喜びがイルヴァを包んだ。ようやく息を整え終わったウルリッヒが、彼女を強く抱きしめてくる。
 
「イルヴァ、好きだ」

 彼女はそれになんと返事をしたらよいかわからなかった。抱きしめられて、髪に唇を寄せられて、触れるだけのキスをされて。ただ、ずっとこのままでいたいと思っていた。
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