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 番外編 その3  ささやかな幸せの、物語。

触れ合い

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 ――――

 ミリナはケインが持って来た果物用ナイフで、器用にリンゴの皮を剥く。

「いつもありがとう、ミリナちゃん。
 動けないことはないのですけど、ちょっと、この身体だと少しつらくて」

「私は全然暇ですから、気にしなくても大丈夫。それにルーフェやエディアさんには、色々世話にもなってるし!」

 あれからまた、エディアのお腹は大きくなっていた。
 それこそぱっと見で妊婦だと分かるくらいに、これでは、動くのも一苦労だろう。

「僕もエディアさんには、いつもお店で買い物をしてもらっているからね。
 お得意様は、大切にしないと」 
 
 一方、ケインは部屋の掃除をしていた。
 モップを両手に床掃除、彼もまた頑張っているところだった。
 エディアは彼に、やさしく微笑みかける。


「ケインくんも、ありがとうね。
 ……それにしても、だんだんとお腹も大きくなって、成長しているのを感じるの。
 ふふっ、元気に生まれてきて、ほしいわ」

 

 ちょうどリンゴの皮を剥き、そしてその身を切り分け終えたミリナは、エディアの方へと目を向けた。

「ねぇ? エディアさん」

「どうしたのかしら?」

「良かったらエディアさんのお腹、触ってみてもいいかしら? どんな風なのか、気になるの」

 お腹ににいる赤ちゃん、ミリナは興味があった。

「もちろん大丈夫よ。でも、優しく触ってね」

「うん! じゃあそっと、触れてみますね」

 エディアの許可ももらって、彼女はその傍に近づき、そしってそっと、お腹にと触れた。
 
 すると……

「暖かくて、鼓動を二つ感じるよ。それに何だか、中で動いてもいるみたいな感覚も、不思議だわ」

 ミリナはお腹に触れながら、ドキドキしていた。

「あっ! また大きく動いた! 本当にお腹に赤ちゃんがいるのね」

「もちろん。私とルーフェ、二人の赤ちゃん……ふふふ」

 とても微笑ましい感じの、エディア。
 するとそこに……。



「ただいま、エディア! 夕食の材料だとか、色々買って来たよ」

 ここでようやく、ルーフェが家へと戻って来た。
 エディアはすぐそれに気づくと、彼を迎える。

「おかえりなさい! 実は今、ミリナとケインが遊びに来ているの。
 二人とも色々、手助けをしてくれているのよ?」

 ルーフェは家に来ていた、ミリナとケインに目を向ける。

「そうか。二人とも、ありがとう。僕の代わりにエディアのことを、気にかけてくれて」

「へへ! 困ったときはお互い様よ!」

 ミリナは得意げに、胸を張った。

「せっかく家の手伝いをしてくれたんだ、何かお礼をしないといけないな。
 良かったら二人も、ゆっくりしていって欲しい、今から紅茶でも入れて来よう。それに……ケーキも買って来たんだ、良かったら食べるかい?
 本当は、君のために買ったんだけど、良いかなエディア?」

 そう尋ねるルーフェに、エディアは微笑みかける。

「もちろん構いませんよ。
 四人でお茶にしましょう。良かったら、色々お話しながらね」

 
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