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幕間 遭遇
二羽の黄金鳥
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「やぁ! キャプテン! どうやら全部、上手く行ったみたいだな!」
「お姉ちゃん、言葉遣いには気をつけてよね。私達のスポンサーなんだから」
現れたのはフィナとティナ、トゥインクルシスターズと名乗る、双子姉妹のレーサーであった。
宇宙海賊であり、宇宙レーサーのファンでもあるサイクロプスは、一年前ある惑星でまだアマチュアのレーサだった二人を見込み、スポンサーとなっていた。
自分でもレーサーをプロデュースする程に、彼女のレースへの熱意は強かった。
サイクロプスは、フィナ達に笑みを見せる。
「ああ、何とか終わったさ。無粋な真似で、レースを台無しにはしたくないからな」
「感謝するぜ! ライバルは多い方がいいからな! つまらない事で台無しにされたんじゃ、たまらないさ!」
ティナは愉快そうに笑う。
「それは何よりだ。二人の機体の方も、整備は終わっている。ふっ、今回は大きい大会だからな、整備班もはりきっていたぞ」
フィナとティナ、そしてサイクロプスは、宇宙船の格納区画へと向かった。
他区画の人工重力機構と区別され、唯一無重力となっている格納区画。
宇宙海賊が所有する、複数の艦載機が区画内に伸びる足場に連結されて並ぶ。
どれも同じような形状と色彩の艦載機の中、異彩を放つ二機の小型機体が、足場を挟み左右に並んでいた。
二機ともまるで星の輝きを思わせるくらいに金色に輝き、底が平らなカプセル型の本体に、細く尖った翼状のブースターが繋がっている。全体的な形状はホワイトムーンよりも小型かつ鋭角的で、アルファベットの「Ⅴ」に近い感じだ。
機体は二機とも機体上部を足場に向け、ハッチは開いた状態にある。
そこには丁度、整備班の男性がいた。
「おっと、これはキャプテン! アトリ、ヒバリともに絶好調ですぜ。お嬢ちゃん達も、レース頑張ってくれよ、整備班一同も、応援しているからな!」
「……いつも、ありがとう。私たちも、それに応えてみせますから」
ティナは彼に、礼を伝えた。
「まぁ、私たちも後で小型艇に乗り換えて、会場へと向かうさ。流石に海賊団の全員分は無理だったが、チケットは何十人分くらいは確保出来た。それに、例の『サプライズ』の用意だってあるからな、人数も多くない方がいい。まぁ同じ仲間の好、出来る限り『彼ら』と協力するさ」
「残念だが、俺は行けないぜ、運悪く抽選に外れちまったしな」
人数分のチケットは、身内内で抽選会を行い、だれが観戦に行くかを決めていた。
「にしても、キャプテンは抽選無しで参加なんて……少しうらやましい気がしますがね」
「そう言うな。何しろ私はキャプテンだからな、それくらいの権限は当然だ」
整備師の不満に、サイクロプスはさも当然のように言った。
そしてサイクロプスは二人に伝える。
「と、言うわけだ。我々も応援に行くから、どうかフィナも、ティナも、しっかり励んでくれたまえ。
では……幸運を祈るぞ」
フィナ、そしてティナは頷き、フィナは左のアトリ、ティナは右のヒバリへと乗り込む。
サイクロプスは格納区画から離れ、ハッチが開く。
「準備はいいか? フィナ?」
「うん。行こう、ティナ」
二機の連結は解かれ、開いたハッチの先に続く、宇宙空間へと飛び立つ。
その姿はさながら、宙(そら)を飛ぶ、金色の二羽の鳥だ
「お姉ちゃん、言葉遣いには気をつけてよね。私達のスポンサーなんだから」
現れたのはフィナとティナ、トゥインクルシスターズと名乗る、双子姉妹のレーサーであった。
宇宙海賊であり、宇宙レーサーのファンでもあるサイクロプスは、一年前ある惑星でまだアマチュアのレーサだった二人を見込み、スポンサーとなっていた。
自分でもレーサーをプロデュースする程に、彼女のレースへの熱意は強かった。
サイクロプスは、フィナ達に笑みを見せる。
「ああ、何とか終わったさ。無粋な真似で、レースを台無しにはしたくないからな」
「感謝するぜ! ライバルは多い方がいいからな! つまらない事で台無しにされたんじゃ、たまらないさ!」
ティナは愉快そうに笑う。
「それは何よりだ。二人の機体の方も、整備は終わっている。ふっ、今回は大きい大会だからな、整備班もはりきっていたぞ」
フィナとティナ、そしてサイクロプスは、宇宙船の格納区画へと向かった。
他区画の人工重力機構と区別され、唯一無重力となっている格納区画。
宇宙海賊が所有する、複数の艦載機が区画内に伸びる足場に連結されて並ぶ。
どれも同じような形状と色彩の艦載機の中、異彩を放つ二機の小型機体が、足場を挟み左右に並んでいた。
二機ともまるで星の輝きを思わせるくらいに金色に輝き、底が平らなカプセル型の本体に、細く尖った翼状のブースターが繋がっている。全体的な形状はホワイトムーンよりも小型かつ鋭角的で、アルファベットの「Ⅴ」に近い感じだ。
機体は二機とも機体上部を足場に向け、ハッチは開いた状態にある。
そこには丁度、整備班の男性がいた。
「おっと、これはキャプテン! アトリ、ヒバリともに絶好調ですぜ。お嬢ちゃん達も、レース頑張ってくれよ、整備班一同も、応援しているからな!」
「……いつも、ありがとう。私たちも、それに応えてみせますから」
ティナは彼に、礼を伝えた。
「まぁ、私たちも後で小型艇に乗り換えて、会場へと向かうさ。流石に海賊団の全員分は無理だったが、チケットは何十人分くらいは確保出来た。それに、例の『サプライズ』の用意だってあるからな、人数も多くない方がいい。まぁ同じ仲間の好、出来る限り『彼ら』と協力するさ」
「残念だが、俺は行けないぜ、運悪く抽選に外れちまったしな」
人数分のチケットは、身内内で抽選会を行い、だれが観戦に行くかを決めていた。
「にしても、キャプテンは抽選無しで参加なんて……少しうらやましい気がしますがね」
「そう言うな。何しろ私はキャプテンだからな、それくらいの権限は当然だ」
整備師の不満に、サイクロプスはさも当然のように言った。
そしてサイクロプスは二人に伝える。
「と、言うわけだ。我々も応援に行くから、どうかフィナも、ティナも、しっかり励んでくれたまえ。
では……幸運を祈るぞ」
フィナ、そしてティナは頷き、フィナは左のアトリ、ティナは右のヒバリへと乗り込む。
サイクロプスは格納区画から離れ、ハッチが開く。
「準備はいいか? フィナ?」
「うん。行こう、ティナ」
二機の連結は解かれ、開いたハッチの先に続く、宇宙空間へと飛び立つ。
その姿はさながら、宙(そら)を飛ぶ、金色の二羽の鳥だ
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