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第七章 反省会
分からない秘密
しおりを挟むレースは終わった。
今回は親善試合と言う事で授賞式はなく、簡単な祝いの言葉と閉会式を行った後に、会場の方も解散した。
「今日はとても楽しかったさ。じゃあな、今度会う時は、G3レース本番だな」
ティナはフウマ達に、にかっと笑ってみせる。
フウマもそれに返事を返す。
「ああ! けど勝つのは、もちろん僕だけどね」
「せいぜい言っているといいさ、私とティナのコンビネーションに敵うかな? まぁ、フウマだったっけ、名前くらいは憶えてやるさ」
「……むっ、フウマってば、会ったばかりなのに随分と気が合うじゃない」
心なしか、ミオはそんな様子を、少し不機嫌な様子で見ている。
「姉さんは私と違って、人懐っこい人ですからね。ふふっ、もしかして……妬いています?」
フィナの問いに、彼女は軽く苦笑いした。
「まぁ――そうかもしれないかな?」
「やっぱり、それくらい仲が良いのね。私もいつか、そんな人が出来たらいいな」
羨ましそうにフィナは呟く。
けど……、そう言葉を続けた彼女の瞳は、きらりと輝いた。
「悪いけど勝つのは、私たち『トゥインクルスター・シスターズ』。それはティナと同じ考え…………、これだけは、私も譲らないわ」
「ははっ! 言うじゃないかフィナ! さすが俺の妹だぜ!」
これを聞いたティナは、嬉しそうに笑う。
「んじゃ、俺たちはここでお別れだ。リッキー、ジョン、そしてフウマ! 本番ではいい勝負をしようじゃないか!」
ティナとフィナ、二人の双子姉妹はフウマ達に手を振り、解散して行く会場の人混みに消えた。
そして今度は、ジョンの番らしかった。
「それじゃあ、僕もここで失礼しよう。こう見えても、予定はたっぷり詰まっているからね」
「あっ、ジョンさんとも、ここでお別れですか」
「ええ、僕も今回は楽しめました。本当に、色々と……知ることが出来たから」
何やら、思わせぶりな言葉。
それじゃあね、ジョンは別れの言葉を残し、去って行った。
「……結局、何なんだろうな、アイツ……」
謎が多そうなこの少年、それは何なのか、結局分からないまま。
フウマはジョンの後ろ姿を眺め、肩をすくめた。
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