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第四章 前哨戦
選手紹介(2)
しおりを挟む〈さて、続いての選手はこの娘……! マリン・フローライト!〉
続いて映像で写し出されたのは、名前とは正反対に深紅に輝く赤毛が特徴的な、二十代前半の天真爛漫な女性だ。
すらりと整った肢体に赤いスペースジャケットを身にまとい、同じく赤いマフラーを首に巻いている。
そして彼女とともに映る機体は槍のような形状で、細い流線型の船体はやはり深紅に染められ、さながらスポーツカーのようだ。
〈えっと、じゃあ早速紹介に入るけど、…………今度は何と!〉
レイは少し溜めると、こう続けた。
〈特別に、マリンさんから自分で自己紹介がしたいって、お願いされているの! きっとこの娘も、私と同じ目立ちたがり屋なのね。
うん、気に入ったわ! 今回はサプライズで、本人に自己紹介してもらいましょう! ではマリン・フローライトさん、どうぞっ!〉
彼女の掛け声とともに、映像がまた切り替わる。
切り替わった映像は、機体のコックピットのものだった。
設備は最新式とは言えないが結構良いものが用意され、座席の前には、女の子らしい趣味と言うべきか、可愛いらしいウサギの縫いぐるみがぶら下がっていた。
そして画面中央、コックピットの座席には、この機体のパイロット、マリン・フローライトの姿があった。
彼女は今映像を見ている会場の観客に、笑顔で手を振る。
〈こんにちはっ! 会場のみんな! そしてレイさんも、私の我儘を叶えてくれてありがとう! 私はマリン・フローライト、この宇宙一のレース大会、G3レースの未来の優勝者よ! みんな覚えておいてね!〉
ピッと指をさし、マリンはウィンクしてみせた。
〈未来の優勝者とは、大きく出たわね。なら、その自信について、教えてくれないかしら? きっとみんなも、気になっているはずよ〉
音声のみで、レイはマリンへと質問した。
すると彼女は、待っていましたとばかりに、得意げに含み笑いをした。
〈ふっふっふっ、もちろん! なぜなら私と『クリムゾンフレイム』は……このレースで全然、負ける気がしないからよ!〉
自信満々にそう答えるマリン。
〈えっと……それって、根拠になるのかしら?〉
〈当然よ! 誰だって自分が負けると思って、競争事なんてする訳ないでしょ? やるからには優勝! それに、パイロットの技能や機体性能云々言うより、こう言った方が簡単でしょ? まずは気持ちからってね!〉
彼女は続ける。
〈でも当然、パイロットの私も、クリムゾンフレイムも、自信に見合うだけの実力と性能は、もちろんあるわ。例えどんな相手でも、私たちの敵じゃないわ!〉
そう自信たっぷりに、マリンは宣言した。
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