テイルウィンド

双子烏丸

文字の大きさ
上 下
43 / 204
第四章 前哨戦

選手紹介(2)

しおりを挟む


〈さて、続いての選手はこの娘……! マリン・フローライト!〉
 続いて映像で写し出されたのは、名前とは正反対に深紅に輝く赤毛が特徴的な、二十代前半の天真爛漫な女性だ。
 すらりと整った肢体に赤いスペースジャケットを身にまとい、同じく赤いマフラーを首に巻いている。
 そして彼女とともに映る機体は槍のような形状で、細い流線型の船体はやはり深紅に染められ、さながらスポーツカーのようだ。
〈えっと、じゃあ早速紹介に入るけど、…………今度は何と!〉
 レイは少し溜めると、こう続けた。
〈特別に、マリンさんから自分で自己紹介がしたいって、お願いされているの! きっとこの娘も、私と同じ目立ちたがり屋なのね。
 うん、気に入ったわ! 今回はサプライズで、本人に自己紹介してもらいましょう! ではマリン・フローライトさん、どうぞっ!〉



 彼女の掛け声とともに、映像がまた切り替わる。
 切り替わった映像は、機体のコックピットのものだった。
 設備は最新式とは言えないが結構良いものが用意され、座席の前には、女の子らしい趣味と言うべきか、可愛いらしいウサギの縫いぐるみがぶら下がっていた。
 そして画面中央、コックピットの座席には、この機体のパイロット、マリン・フローライトの姿があった。
 彼女は今映像を見ている会場の観客に、笑顔で手を振る。
〈こんにちはっ! 会場のみんな! そしてレイさんも、私の我儘を叶えてくれてありがとう! 私はマリン・フローライト、この宇宙一のレース大会、G3レースの未来の優勝者よ! みんな覚えておいてね!〉
 ピッと指をさし、マリンはウィンクしてみせた。
〈未来の優勝者とは、大きく出たわね。なら、その自信について、教えてくれないかしら? きっとみんなも、気になっているはずよ〉
 音声のみで、レイはマリンへと質問した。
 すると彼女は、待っていましたとばかりに、得意げに含み笑いをした。
〈ふっふっふっ、もちろん! なぜなら私と『クリムゾンフレイム』は……このレースで全然、負ける気がしないからよ!〉
 自信満々にそう答えるマリン。
〈えっと……それって、根拠になるのかしら?〉
〈当然よ! 誰だって自分が負けると思って、競争事なんてする訳ないでしょ? やるからには優勝! それに、パイロットの技能や機体性能云々言うより、こう言った方が簡単でしょ? まずは気持ちからってね!〉
 彼女は続ける。
〈でも当然、パイロットの私も、クリムゾンフレイムも、自信に見合うだけの実力と性能は、もちろんあるわ。例えどんな相手でも、私たちの敵じゃないわ!〉
 そう自信たっぷりに、マリンは宣言した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転校生

奈落
SF
TSFの短い話です

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

政略結婚で結ばれた夫がメイドばかり優先するので、全部捨てさせてもらいます。

hana
恋愛
政略結婚で結ばれた夫は、いつも私ではなくメイドの彼女を優先する。 明らかに関係を持っているのに「彼女とは何もない」と言い張る夫。 メイドの方は私に「彼と別れて」と言いにくる始末。 もうこんな日々にはうんざりです、全部捨てさせてもらいます。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

処理中です...