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第7章
甘粕くんの気持ち
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「戻っていいですか」
そんな私達の様子をいわゆる悪ふざけと甘粕くんは受け取ったみたいで、くるりと背を向けると体育館へ足早に向かおうとした。
「間山莉理さん」
甘粕くんの歩みがぴたりと止まる。
静先輩はわざとらしく、肩をあげてみせた。
「ん? どうしたの。戻らないの、体育館」
「今、あんた、莉理の名前……」
「ああ、間山さん? 実はね、俺、間山さんの事好きになっちゃったんだよねー」
ええ! そうなの⁉
突然の告白を聞いて思わず咳き込みそうになる私に静先輩は片目をつむって、合図した。
話を合わせて、っていうみたいに。
あ、それはもしかして静先輩の作った『設定』って事?
甘粕くんと話をするにあたって、こういうキャラでいくからねっていう意味かな。
私はとりあえず、平静を装って静先輩の話に耳を澄ます。
「で、甘粕くん、幼なじみなんだってね? 間山さんと」
「……そうですけど」
「協力してよ!」
「嫌です」
即答だった。
「なんで? 幼なじみなら間山さんの事よく知ってるでしょ。ちょっとくらい協力してくれてもいいじゃん」
「絶対嫌です」
「ふぅん。あー、分かった。そういう事か。甘粕くんも間山さんの事が好きなんだね」
挑発する様な静先輩に、甘粕くんが一瞬面食らった顔をしてー……それから呆れた風に言った。
「違います。莉理は好きだし、大事だけど、そういう意味で好きな訳じゃありません」
「だったら尚更いいじゃない。間山さんの好きなものとかタイプとか教えてよ」
「それは無理。だって、先輩なんか、怪しいし。女の子として好きとかそういう風に莉理の事思えないけど幼なじみとして、危ないヤツを近づけるわけにはいかないから」
きっぱりと断る甘粕くんは大切な幼なじみを守ると決めた男の子の目をしていた。
―中学生になってから私も陽人の事好きになっちゃって……。
そっか、間山さんは甘粕くんのこういうところに惹かれたのかもしれない。
自分の気持ちを隠す事なく、まっすぐ人に伝えられるこういう部分に。
甘粕くんに大切に思われているんだな、間山さん。
ほっとする一方、でも、と心に影が落ちる。
今の甘粕くんの言った間山さんを女の子として好きとか思えないっていう言葉が本心なら、間山さんの想いはどうなってしまうんだろう。
そう思ったのは私だけじゃなかったみたいで。
そんな私達の様子をいわゆる悪ふざけと甘粕くんは受け取ったみたいで、くるりと背を向けると体育館へ足早に向かおうとした。
「間山莉理さん」
甘粕くんの歩みがぴたりと止まる。
静先輩はわざとらしく、肩をあげてみせた。
「ん? どうしたの。戻らないの、体育館」
「今、あんた、莉理の名前……」
「ああ、間山さん? 実はね、俺、間山さんの事好きになっちゃったんだよねー」
ええ! そうなの⁉
突然の告白を聞いて思わず咳き込みそうになる私に静先輩は片目をつむって、合図した。
話を合わせて、っていうみたいに。
あ、それはもしかして静先輩の作った『設定』って事?
甘粕くんと話をするにあたって、こういうキャラでいくからねっていう意味かな。
私はとりあえず、平静を装って静先輩の話に耳を澄ます。
「で、甘粕くん、幼なじみなんだってね? 間山さんと」
「……そうですけど」
「協力してよ!」
「嫌です」
即答だった。
「なんで? 幼なじみなら間山さんの事よく知ってるでしょ。ちょっとくらい協力してくれてもいいじゃん」
「絶対嫌です」
「ふぅん。あー、分かった。そういう事か。甘粕くんも間山さんの事が好きなんだね」
挑発する様な静先輩に、甘粕くんが一瞬面食らった顔をしてー……それから呆れた風に言った。
「違います。莉理は好きだし、大事だけど、そういう意味で好きな訳じゃありません」
「だったら尚更いいじゃない。間山さんの好きなものとかタイプとか教えてよ」
「それは無理。だって、先輩なんか、怪しいし。女の子として好きとかそういう風に莉理の事思えないけど幼なじみとして、危ないヤツを近づけるわけにはいかないから」
きっぱりと断る甘粕くんは大切な幼なじみを守ると決めた男の子の目をしていた。
―中学生になってから私も陽人の事好きになっちゃって……。
そっか、間山さんは甘粕くんのこういうところに惹かれたのかもしれない。
自分の気持ちを隠す事なく、まっすぐ人に伝えられるこういう部分に。
甘粕くんに大切に思われているんだな、間山さん。
ほっとする一方、でも、と心に影が落ちる。
今の甘粕くんの言った間山さんを女の子として好きとか思えないっていう言葉が本心なら、間山さんの想いはどうなってしまうんだろう。
そう思ったのは私だけじゃなかったみたいで。
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