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過去と向き合え です。
イチナの過去 です。
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ヤマタノオロチについて得た情報を、サワとユウに伝えると、イチナは部屋に戻って、団らんへと入ろうとはしなかった。
ユウとサワはこのクニの子供たちに勉強を教えてあげることで、広い人脈を築こうとしているようだが、なかなかイトスギや草薙剣に関わる情報を掴めずにいた。ただ、朗報と言うべきか、ユウとサワへ(邪馬台国)の株は上がっている。
「こんなにすごい進んだ学習をしているのか!」
と大人でさえも驚く。それはそうだろう、クニを代表する英才二人だ。
イチナは横になって天井を見上げる。昼間だというのに、暗くてすきま風が足を撫でて鳥肌がたった。
一人きりで、上下する胸に手を組んで置いた。
「イリナ…」
そう呼び掛ければ振り向く。懐かしい。懐かしい で終わらせる気はまったく無い。でも、今となってはあの時の、あの一瞬の瞬きが惜しい。
私には、兄が居たけど、父との方向性の違いで兄は荒れて集落から追い出されてしまった。
兄は、私の脚を刀で切りつけた。止めて! と必死に抵抗する私を兄は血走った目で睨み付けてから、恐怖と抱えた妹を守ること以外に何もなかった私に、刀を振り上げて力一杯に振り上げてから、あとは振り下ろす勢いと重力に寄せられる勢いのままに私の脚を切り裂いた。足首から膝裏まで続く傷。皮膚を破り、血管を破り、筋肉を割いた刀傷。痛い?そんな言葉で片付けられるかわいいものではない。切られて、数十秒後に、傷口の激痛が神経から腸を伝わって、吐いてそのまま失神して倒れた。サワには「妹を守った名誉の傷」とか言ってたけど、実の兄から受ける名誉の傷ほど不名誉で残酷な傷はない。そんな、歪んだ世界の中で、私の心が壊れなかったのは、名を呼べば、振り向くような、眩しい笑顔がいつも側にあったからだ。兄に襲われたときに、命がけで守って正解だった、妹の命。きっと、彼女は理不尽に潰される私を救いだそうとした一筋の光だった。父も母クニが管理する大農園で働いていて、私たちに愛情を注いでくれていたけど、家にいない時間も長くて、ずっと本音では寂しかった。家は貧しくて、誰かが稼がないといけなかった。そうじゃないと、明日、食べるものすらもなかった。まして、犯罪者がいた家なんて世間の目は厳しい。
そこで、「途中上がり」 という女官への道を知った。官吏の推薦があれば、ほぼなんの試験も受けることなく王宮で働くことができる。王宮では、毎日、きちんとしたご飯も出るし、二日に一度の湯浴みもある。最底辺の暮らしをする者からすれば喉から手が出るほどに魅力的な仕事。だから、地方官吏が近くに来る度に、一生懸命、腕によりをかけた料理を提供していた。この数回、私が食事を我慢すれば、もっといい生活が手に入る。下唇を噛んで、痩せた頬に化粧をして、精一杯の愛想を振り撒いて、官吏の推薦を求めた。
若い下級官吏が私を気に入ってくれた。歳は、17の本当に駆け出しの下っ端と自称していたけど、彼は本気だった。ちょっと、犬っぽくて、真面目で素直そうな青年。唐突に感じるかもだけど、15歳になったばかりの私は、彼と祝言まで進んだ。官吏が、「結婚しよう」と言えば、有無を言わさず頷くしかないのが実情だった。でも、私は当たりだと思っていた。
お互いに想い合っていたし、別に周りでもこの年齢で結婚するのは普通のことだった。彼は、本当にいい人で「途中上がり」を目指さなくても良いような生活をしよう。と、言って、私の手を握った。ちょっと、遠巻きだけど、用は、私との生活のために仕事を頑張って出世するということなのである。私も、彼を支えていきたかった。
ずっと一緒に居た妹と離れて、その官吏と私の実家の近くに移り住んだ。徒歩数分の距離だったけど、特別な空間だった。二人きりに慣れず緊張する。
「ほら、笑って」
そう言って、痩せた私の頬に手を添えてニッと笑った彼。
「うん…」
イチナは少し恥ずかしがりながらも微笑んだ。
それから、官吏は、イチナの見せてくれない脚のゲートルをほどくように手を伸ばした。イチナは、官吏の手を拒まなかった。今まで、兄に傷つけられてからずっと、隠してきたこの傷も彼になら受け入れられてもらえると、「名誉の傷」と私の全てのうちの一つとして認めてくれると思ったからだ。彼は、露になった傷を見て、
「痛い?」
と優しく尋ねた。私は頭を横に振った。
「イチナ、触れてもいい?」
「うん」
自分以外に触れられるのは、はじめてだった。厚みのある手が、傷口をそっとなぞる。
私は思わず彼の前で涙を流してしまった。彼は慌てて謝った。
「ごめん、痛かった?」
「ううん」
どんな言葉で言い表せるか分からないけど、この傷が憎かった。官吏は泣き出した私の肩をそっと抱いて、背中をさする。
それから、官吏の母にどこからか傷のことがばれたらしく、「キズモノに子は産めぬ」と母にしつこく詰められていた官吏は、私に別れよう と申し出た。結婚が決まった当初から、姑は結婚に反対で、息子である私の夫に「イチナさんはろくでもない」「いかれてる」「あんな下品な女」と言っていた。多分、必死に官吏と私が別れる理由を探していたのだろう。それで、傷の話が出た。官吏は一緒に逃げようとも言ってくれた。本心では、彼を愛していたし彼に本気で向き合った自分がいたけど、目の不自由な妹を置いていくことは出来なかった。それを夫に伝えると、夫は少し無理をしながら笑った。
「まだ、イチナにはやり直せる機会があってほしい。きっと、イチナには、私よりも、イチナを笑顔にできる素敵な人がいるはずだから」と言った。それと、必死に上層部と掛け合って手に入れた「途中上がり推薦状」をグッと手に握らせた。
一度、想った人から別れを告げられる気持ちは痛いほど分かる。だから、私は、芳がどれほど辛かったか、分かる気がした。
「お姉ちゃん、本当に良かったの?私のことは心配しないで」
弱い声でそう聞いてきたイリナ。
「私は、それで良かった」
こんな、家族に罪人がいて、傷もある貧乏人が官吏に見初められるなんて、それだけで奇跡に近かったんだ。良かった なんて嘘だけど、元の生活に戻っただけなんだ。私は一時の夢をみていただけ。そう思い込んだ方が楽だ。
再び始まった、イリナとの二人での生活。イリナは、歌が上手く、よく洗濯物を干すときに歌いながらやっていた。それも、一度耳にした音は忘れない天才ぶりだった。イリナの歌は、私の縛られた心をほどいていった。
途中上がり それをすれば、イリナとは一緒に住めなくなる。だから、イリナが学校か職かを手に入れるまで少し保留にしていた。でも、イリナが寮つきの一般学校へ入学出来ることが決まった。
「イリナ、」
「何?」
「私、王宮に勤めようと思う。できる限りは帰ってくるけど、今みたいにはいかないかも」
「良いじゃん!王宮ってここよりも随分綺麗なところなんでしょ」
官吏があれからどうなったかは、分からないが、実は官吏の母は、私の住んでいるクニの南方を治める首長の補佐官で、かなりの権力者だったらしい。となれば、官吏は遠くに飛ばされているのだろう。親子に加え上司と部下の主従関係もあったのだ。
私が王宮に立つ前日、滅多に戻ってこない両親が、家に帰ってきた。一人の巫女も連れて。
「我が家に矢が立った」
「ヤマタノオロチを鎮める為にこの家から一人娘を出してほしい」
生け贄 ということだった。くじで一人を選ぶ。私が初めに引いて、残った方をイリナが引く。私とイリナと神に選ばれたのは、イリナだった。
「イリナ…」
震えたイリナの手。確率は一緒だったけど、私が二番目に引けば良かったのではないか。そんなことが頭を巡った。
「お国の為に頑張ってくる」
イリナは明るい声でそう言った。
「では、イリナ、私の手を」
巫女はイリナの手を引いて、イリナを籠に乗せると、私たちに別れの言葉もないままに去ってしまった。あまりの突然さに涙も出なかった。
私の途中上がりも予定通りに進んだ。
結局、何もなかったかのように。
王宮にあがると、王族の世話をする係りになる。途中上がりでは高給取りな方で、あの官吏がどれほど頑張ってる手に入れた推薦状かその時に知った。途中上がりにもその中でランクがあり、推薦状を出した人が高貴であればあるほど良いランクにいける。下級官吏であれば、通常、王宮の回りの草むしりが妥当な線だという。王宮にすら入れない。
「じゃあ、貴女はユリ王女に付きなさい」
「はい」
どんな人なのだろう。噂では、用心深く、控えめな性格と聞いていた。
「ユリ王女、新入りの侍女でございます」
深く頭を下げたままで王女の顔など見れない。
「どれ、顔をあげてちょうだい」
「はい」
顔をあげると、ユリ王女はニコッと笑った。
「私は、ユリ。よろしくお願いします」
「イチナと申します、よろしくお願いします」
ユリ王女とはすぐに意気投合して仲良くなった。ユリ王女は侍女の数は少なくとも、優秀な人で固めているようで、侍女はみなユリ王女とは年が離れているベテランばかり。そんな中で、歳の近い私を気に入ってくださった。
私が、人事異動で帰国したユウ王子付きになる時も、すごく惜しそうな目で見つめられた。
「イチナ、兄上のもとが嫌になればすぐにこちらへいらっしゃい。いつでも、貴女の席は空けているわ」
そして、今へ続くわけである。
イリナは寒くないかな、なんで、イトスギと一緒にいるの?
聞きたいことはいっぱいだ。風がうるさくて、耳をふさいでいたって、私の声は届いてほしい。そして、もう一度、一緒に暮らしたい。大切に想う人ほど、この手からすり抜けて離れてしまう。でも、すり抜けたままで良い筈がない。優しく笑って、振り向いてほしい。こんな、わがままを許して…
ユウとサワはこのクニの子供たちに勉強を教えてあげることで、広い人脈を築こうとしているようだが、なかなかイトスギや草薙剣に関わる情報を掴めずにいた。ただ、朗報と言うべきか、ユウとサワへ(邪馬台国)の株は上がっている。
「こんなにすごい進んだ学習をしているのか!」
と大人でさえも驚く。それはそうだろう、クニを代表する英才二人だ。
イチナは横になって天井を見上げる。昼間だというのに、暗くてすきま風が足を撫でて鳥肌がたった。
一人きりで、上下する胸に手を組んで置いた。
「イリナ…」
そう呼び掛ければ振り向く。懐かしい。懐かしい で終わらせる気はまったく無い。でも、今となってはあの時の、あの一瞬の瞬きが惜しい。
私には、兄が居たけど、父との方向性の違いで兄は荒れて集落から追い出されてしまった。
兄は、私の脚を刀で切りつけた。止めて! と必死に抵抗する私を兄は血走った目で睨み付けてから、恐怖と抱えた妹を守ること以外に何もなかった私に、刀を振り上げて力一杯に振り上げてから、あとは振り下ろす勢いと重力に寄せられる勢いのままに私の脚を切り裂いた。足首から膝裏まで続く傷。皮膚を破り、血管を破り、筋肉を割いた刀傷。痛い?そんな言葉で片付けられるかわいいものではない。切られて、数十秒後に、傷口の激痛が神経から腸を伝わって、吐いてそのまま失神して倒れた。サワには「妹を守った名誉の傷」とか言ってたけど、実の兄から受ける名誉の傷ほど不名誉で残酷な傷はない。そんな、歪んだ世界の中で、私の心が壊れなかったのは、名を呼べば、振り向くような、眩しい笑顔がいつも側にあったからだ。兄に襲われたときに、命がけで守って正解だった、妹の命。きっと、彼女は理不尽に潰される私を救いだそうとした一筋の光だった。父も母クニが管理する大農園で働いていて、私たちに愛情を注いでくれていたけど、家にいない時間も長くて、ずっと本音では寂しかった。家は貧しくて、誰かが稼がないといけなかった。そうじゃないと、明日、食べるものすらもなかった。まして、犯罪者がいた家なんて世間の目は厳しい。
そこで、「途中上がり」 という女官への道を知った。官吏の推薦があれば、ほぼなんの試験も受けることなく王宮で働くことができる。王宮では、毎日、きちんとしたご飯も出るし、二日に一度の湯浴みもある。最底辺の暮らしをする者からすれば喉から手が出るほどに魅力的な仕事。だから、地方官吏が近くに来る度に、一生懸命、腕によりをかけた料理を提供していた。この数回、私が食事を我慢すれば、もっといい生活が手に入る。下唇を噛んで、痩せた頬に化粧をして、精一杯の愛想を振り撒いて、官吏の推薦を求めた。
若い下級官吏が私を気に入ってくれた。歳は、17の本当に駆け出しの下っ端と自称していたけど、彼は本気だった。ちょっと、犬っぽくて、真面目で素直そうな青年。唐突に感じるかもだけど、15歳になったばかりの私は、彼と祝言まで進んだ。官吏が、「結婚しよう」と言えば、有無を言わさず頷くしかないのが実情だった。でも、私は当たりだと思っていた。
お互いに想い合っていたし、別に周りでもこの年齢で結婚するのは普通のことだった。彼は、本当にいい人で「途中上がり」を目指さなくても良いような生活をしよう。と、言って、私の手を握った。ちょっと、遠巻きだけど、用は、私との生活のために仕事を頑張って出世するということなのである。私も、彼を支えていきたかった。
ずっと一緒に居た妹と離れて、その官吏と私の実家の近くに移り住んだ。徒歩数分の距離だったけど、特別な空間だった。二人きりに慣れず緊張する。
「ほら、笑って」
そう言って、痩せた私の頬に手を添えてニッと笑った彼。
「うん…」
イチナは少し恥ずかしがりながらも微笑んだ。
それから、官吏は、イチナの見せてくれない脚のゲートルをほどくように手を伸ばした。イチナは、官吏の手を拒まなかった。今まで、兄に傷つけられてからずっと、隠してきたこの傷も彼になら受け入れられてもらえると、「名誉の傷」と私の全てのうちの一つとして認めてくれると思ったからだ。彼は、露になった傷を見て、
「痛い?」
と優しく尋ねた。私は頭を横に振った。
「イチナ、触れてもいい?」
「うん」
自分以外に触れられるのは、はじめてだった。厚みのある手が、傷口をそっとなぞる。
私は思わず彼の前で涙を流してしまった。彼は慌てて謝った。
「ごめん、痛かった?」
「ううん」
どんな言葉で言い表せるか分からないけど、この傷が憎かった。官吏は泣き出した私の肩をそっと抱いて、背中をさする。
それから、官吏の母にどこからか傷のことがばれたらしく、「キズモノに子は産めぬ」と母にしつこく詰められていた官吏は、私に別れよう と申し出た。結婚が決まった当初から、姑は結婚に反対で、息子である私の夫に「イチナさんはろくでもない」「いかれてる」「あんな下品な女」と言っていた。多分、必死に官吏と私が別れる理由を探していたのだろう。それで、傷の話が出た。官吏は一緒に逃げようとも言ってくれた。本心では、彼を愛していたし彼に本気で向き合った自分がいたけど、目の不自由な妹を置いていくことは出来なかった。それを夫に伝えると、夫は少し無理をしながら笑った。
「まだ、イチナにはやり直せる機会があってほしい。きっと、イチナには、私よりも、イチナを笑顔にできる素敵な人がいるはずだから」と言った。それと、必死に上層部と掛け合って手に入れた「途中上がり推薦状」をグッと手に握らせた。
一度、想った人から別れを告げられる気持ちは痛いほど分かる。だから、私は、芳がどれほど辛かったか、分かる気がした。
「お姉ちゃん、本当に良かったの?私のことは心配しないで」
弱い声でそう聞いてきたイリナ。
「私は、それで良かった」
こんな、家族に罪人がいて、傷もある貧乏人が官吏に見初められるなんて、それだけで奇跡に近かったんだ。良かった なんて嘘だけど、元の生活に戻っただけなんだ。私は一時の夢をみていただけ。そう思い込んだ方が楽だ。
再び始まった、イリナとの二人での生活。イリナは、歌が上手く、よく洗濯物を干すときに歌いながらやっていた。それも、一度耳にした音は忘れない天才ぶりだった。イリナの歌は、私の縛られた心をほどいていった。
途中上がり それをすれば、イリナとは一緒に住めなくなる。だから、イリナが学校か職かを手に入れるまで少し保留にしていた。でも、イリナが寮つきの一般学校へ入学出来ることが決まった。
「イリナ、」
「何?」
「私、王宮に勤めようと思う。できる限りは帰ってくるけど、今みたいにはいかないかも」
「良いじゃん!王宮ってここよりも随分綺麗なところなんでしょ」
官吏があれからどうなったかは、分からないが、実は官吏の母は、私の住んでいるクニの南方を治める首長の補佐官で、かなりの権力者だったらしい。となれば、官吏は遠くに飛ばされているのだろう。親子に加え上司と部下の主従関係もあったのだ。
私が王宮に立つ前日、滅多に戻ってこない両親が、家に帰ってきた。一人の巫女も連れて。
「我が家に矢が立った」
「ヤマタノオロチを鎮める為にこの家から一人娘を出してほしい」
生け贄 ということだった。くじで一人を選ぶ。私が初めに引いて、残った方をイリナが引く。私とイリナと神に選ばれたのは、イリナだった。
「イリナ…」
震えたイリナの手。確率は一緒だったけど、私が二番目に引けば良かったのではないか。そんなことが頭を巡った。
「お国の為に頑張ってくる」
イリナは明るい声でそう言った。
「では、イリナ、私の手を」
巫女はイリナの手を引いて、イリナを籠に乗せると、私たちに別れの言葉もないままに去ってしまった。あまりの突然さに涙も出なかった。
私の途中上がりも予定通りに進んだ。
結局、何もなかったかのように。
王宮にあがると、王族の世話をする係りになる。途中上がりでは高給取りな方で、あの官吏がどれほど頑張ってる手に入れた推薦状かその時に知った。途中上がりにもその中でランクがあり、推薦状を出した人が高貴であればあるほど良いランクにいける。下級官吏であれば、通常、王宮の回りの草むしりが妥当な線だという。王宮にすら入れない。
「じゃあ、貴女はユリ王女に付きなさい」
「はい」
どんな人なのだろう。噂では、用心深く、控えめな性格と聞いていた。
「ユリ王女、新入りの侍女でございます」
深く頭を下げたままで王女の顔など見れない。
「どれ、顔をあげてちょうだい」
「はい」
顔をあげると、ユリ王女はニコッと笑った。
「私は、ユリ。よろしくお願いします」
「イチナと申します、よろしくお願いします」
ユリ王女とはすぐに意気投合して仲良くなった。ユリ王女は侍女の数は少なくとも、優秀な人で固めているようで、侍女はみなユリ王女とは年が離れているベテランばかり。そんな中で、歳の近い私を気に入ってくださった。
私が、人事異動で帰国したユウ王子付きになる時も、すごく惜しそうな目で見つめられた。
「イチナ、兄上のもとが嫌になればすぐにこちらへいらっしゃい。いつでも、貴女の席は空けているわ」
そして、今へ続くわけである。
イリナは寒くないかな、なんで、イトスギと一緒にいるの?
聞きたいことはいっぱいだ。風がうるさくて、耳をふさいでいたって、私の声は届いてほしい。そして、もう一度、一緒に暮らしたい。大切に想う人ほど、この手からすり抜けて離れてしまう。でも、すり抜けたままで良い筈がない。優しく笑って、振り向いてほしい。こんな、わがままを許して…
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