秀才くんの憂鬱

N

文字の大きさ
上 下
34 / 70
Break Time 3

賛(現代社会人)の日常

しおりを挟む
※本編とはまったく関係のない話です。とばしていただいて構いません。


エイプリルフール

家に帰って、ソファに座ってテレビを見る。
「パパなんて大嫌い」
「な?!」
すずがニヤニヤとしながら、こっちにやって来たと思えば、なんだと!ここまでハッキリと大嫌いと誰かから言われるのは人生で二回目だ。
俺、何かした?いや、確かに最近新学期の準備に追われてバタバタしてたし、なかなか遊ぶ時間をとってあげられなかったが嫌われる程、ダメダメだったか俺!
視線を日美に飛ばした。すると、キッチンに立つ日美はププッと笑ってから、口パクで、「え・い・ぷ・り・る・ふ・ー・る」
とする。
「ん?」
賛には伝わらない。日美はやれやれと、一つ質問を賛に投げ掛ける。
「パパ、今日は何月何日?」
「4月1日…あ!エイプリルフール!」
賛はホッと胸を撫で下ろす。
「そうだよ、パパ、今日は、嘘をつかないといけない日なんだよ」
えっへんと胸を張る娘。
「つかないといけない日 ではないよ」
「パパ、きらーい」
キャっキャと笑う鈴。なんだ?嘘だと分かっていても落ち込む。
「賛、大好きだよ」
キッチンから飛んできた日美の言葉。
「ちょ、それ、どっち?」
今の言葉が嘘だったら相当なショックだぞ。
「賛は私たちのこと好き?」
「な?!」
「パパ、嫌いだよね!」
「賛、好きだよね」
二人から迫られる。いや、同じ内容なんだろうけど、猛烈に答えにくい!ここで、俺が「嫌い」と言えば、鈴にとっては「好き」日美はきっとそこの意図を汲むだろう。それ以前に、俺が二人に「嫌い」と言えるわけがない。だが、ここで「好き」と言えば鈴は「嫌い」として受けとるのでは?どうすれば…
う~んと唸る賛。
「好きとか嫌いとかじゃなくて、あ、愛してる」
顔が赤くなる。
「パパの顔赤いってことは、本当ってことだね、鈴」
「あー、ホントだ」
鈴は賛に顔を近づける。
「鈴、エイプリルフールでも人が傷付くことは言っちゃダメ。ね、約束」
「そうだぞ」
日美は鈴に 約束 と言って頭を撫でた。
「ママはパパに嘘つかないの?」
「うん、だって、パパ、簡単に信じちゃうんだもん。騙したら可哀想」
嘘をつかないでいてくれるのは、嬉しいんだが、ちょっとディスられてないか?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

腐れ外道の城

詠野ごりら
歴史・時代
戦国時代初期、険しい山脈に囲まれた国。樋野(ひの)でも狭い土地をめぐって争いがはじまっていた。 黒田三郎兵衛は反乱者、井藤十兵衛の鎮圧に向かっていた。

王への道は険しくて

N
恋愛
弥生時代を舞台にした長編作品 王への道~僕とヒミカの成長録~のスピンオフ! 本編の内容とはちょっと違う、ヒミカ視点で描かれる賛との日常、恋心 カイキと陽の馴れ初めもガッツリ触れます。それから、シューとカンの結婚秘話もあります!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ラスト・シャーマン

長緒 鬼無里
歴史・時代
 中国でいう三国時代、倭国(日本)は、巫女の占いによって統治されていた。  しかしそれは、巫女の自己犠牲の上に成り立つ危ういものだった。  そのことに疑問を抱いた邪馬台国の皇子月読(つくよみ)は、占いに頼らない統一国家を目指し、西へと旅立つ。  一方、彼の留守中、女大王(ひめのおおきみ)となって国を守ることを決意した姪の壹与(いよ)は、占いに不可欠な霊力を失い絶望感に伏していた。  そんな彼女の前に、一人の聡明な少年が現れた。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...