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顔合わせ
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ムシムシとして気分は良くない。だが、ついに運命のペア決めが始まった。
田舎に住んでいるからか、東京に行くと決まった日にはドキドキと胸が高鳴り寝付くのに苦労した。
東京の武道館に集められた6人ほどの先生と、4人の生徒。
「蒼士と一緒で良かった」
「俺も、紅葉が行くって言ったから、行く気になれた。俺、結構、こういうの好きじゃん。でも、さすがに、一人は心細いなって」
子供みたいな一面だ。蒼士は、好青年と評価されることも少なくないが、実は臆病で子供っぽい。よく、喧嘩もするが、ビジネスパートナー的な感じでつるむにはいい男だ。お互い、家が隣で、ずっと同じ学校。気心知れた仲だ。
観客席には、多くのギャラリー。高校生更生プロジェクトは当初、反対意見が多く、デモまで起きた。それだけに、国民の関心は高い。高校生更生プロジェクトは「自立した思考力を養い、社会に活かす」という目的があり、第一回目の今回は、実験的でもある。反対の意見としては、「勉強が大切な時期だ」「大学で学生を釣るのは良くない」「今の子に合ってない」「参加できない人を忘れてる」「カメラを配布は人権を脅かす」等。だが、この場にたってしまえば、楽しみで仕方がない。若いときにしかできないことだし、せっかくじゃん。と、言いたくなる。
「ただいまより、ペアを決定致します。」
一気に緊張感が高まる。AIが人を点数・グラフ化。そして、相性の良い組み合わせを作る。
バッと出てきた組み合わせは、
「市立広丘高等学校 2年 加賀 翠《カガ ミドリ》 ・ 私立風林高等学校 2年 大堂 琥珀《ダイドウ コハク》」
「県立北ノ宮高等学校 2年 一ノ瀬 蒼士《イチノセ アオト》・ 県立北ノ宮高等学校 2年 藤原 紅葉《フジワラ クレハ》」
フラッシュと共にシャッター音が聞こえる。
「やった、一緒だ!」
「あと、二人は、加賀 翠くんと、大堂 琥珀くんか」
翠と琥珀は、向かい合ってお辞儀をして、握手をする。
「訂正がございます。三つのスタートつまり、別々の無人島より、太平洋の中心を目指していただく予定でしたが、代表参加人数が想定を下回ったため、共通のひとつの無人島より出発していただくことになりました。」
「だろーな」
6人は大学だけを取ったし、カメラも相当数の人が、途中でつけるのをやめただろう。蒼士と同じ予想をしていた。というか、選ばれた人数が少なすぎて、10人でも、せいぜい二つの島からになっていたように思う。
だが、何はともあれペアが決まったわけだ。先生がポンと二人の肩に手をのせる。
「良かったね、頑張って」
「あと二週間しかないけど、できる限りの事はします」
「頼もしい、一ノ瀬さん!」
先生とか大人の前ではいい顔ばかり。たまに、絶対に見せない表情とか、言葉を暴露してやろうかと思うが、一度もそれに至ったことはない。
「向こうの、二人にも挨拶をしに行きましょ」
先生に促されるまま、翠と琥珀のもとへ行く。
「はじめまして、北ノ宮高校の、藤原 紅葉と、一ノ瀬 蒼士です。よろしくお願いします。」
相手の顔は、翠の方は童顔、痩せ型、サラサラヘアーで本当に航海に耐えられるのかわからないが、なんとも、頭の良さそうな顔をしている。
琥珀は、運動部に所属しているのか、ほどよく筋肉のついた体型に、顔立ちはホリが深く、小麦色の肌。モテるだろーな。琥珀はスポーツの名門私立高校。翠は、ごく一般的な高校だ。
二人とは、はじめて顔を会わせたが、なんか、上手く行く気がする。
その後に、インタビューにペアごとに答えてホテルに戻った。
「何か共通でできることが出来たらアピールになると思うのですが、」
「俺、手話できますよ」
さっき、翠は個人質問の時に手話が出来ると言っていた。
「あ、僕も、手話できます。」
翠はニコッと笑顔を添える。
田舎に住んでいるからか、東京に行くと決まった日にはドキドキと胸が高鳴り寝付くのに苦労した。
東京の武道館に集められた6人ほどの先生と、4人の生徒。
「蒼士と一緒で良かった」
「俺も、紅葉が行くって言ったから、行く気になれた。俺、結構、こういうの好きじゃん。でも、さすがに、一人は心細いなって」
子供みたいな一面だ。蒼士は、好青年と評価されることも少なくないが、実は臆病で子供っぽい。よく、喧嘩もするが、ビジネスパートナー的な感じでつるむにはいい男だ。お互い、家が隣で、ずっと同じ学校。気心知れた仲だ。
観客席には、多くのギャラリー。高校生更生プロジェクトは当初、反対意見が多く、デモまで起きた。それだけに、国民の関心は高い。高校生更生プロジェクトは「自立した思考力を養い、社会に活かす」という目的があり、第一回目の今回は、実験的でもある。反対の意見としては、「勉強が大切な時期だ」「大学で学生を釣るのは良くない」「今の子に合ってない」「参加できない人を忘れてる」「カメラを配布は人権を脅かす」等。だが、この場にたってしまえば、楽しみで仕方がない。若いときにしかできないことだし、せっかくじゃん。と、言いたくなる。
「ただいまより、ペアを決定致します。」
一気に緊張感が高まる。AIが人を点数・グラフ化。そして、相性の良い組み合わせを作る。
バッと出てきた組み合わせは、
「市立広丘高等学校 2年 加賀 翠《カガ ミドリ》 ・ 私立風林高等学校 2年 大堂 琥珀《ダイドウ コハク》」
「県立北ノ宮高等学校 2年 一ノ瀬 蒼士《イチノセ アオト》・ 県立北ノ宮高等学校 2年 藤原 紅葉《フジワラ クレハ》」
フラッシュと共にシャッター音が聞こえる。
「やった、一緒だ!」
「あと、二人は、加賀 翠くんと、大堂 琥珀くんか」
翠と琥珀は、向かい合ってお辞儀をして、握手をする。
「訂正がございます。三つのスタートつまり、別々の無人島より、太平洋の中心を目指していただく予定でしたが、代表参加人数が想定を下回ったため、共通のひとつの無人島より出発していただくことになりました。」
「だろーな」
6人は大学だけを取ったし、カメラも相当数の人が、途中でつけるのをやめただろう。蒼士と同じ予想をしていた。というか、選ばれた人数が少なすぎて、10人でも、せいぜい二つの島からになっていたように思う。
だが、何はともあれペアが決まったわけだ。先生がポンと二人の肩に手をのせる。
「良かったね、頑張って」
「あと二週間しかないけど、できる限りの事はします」
「頼もしい、一ノ瀬さん!」
先生とか大人の前ではいい顔ばかり。たまに、絶対に見せない表情とか、言葉を暴露してやろうかと思うが、一度もそれに至ったことはない。
「向こうの、二人にも挨拶をしに行きましょ」
先生に促されるまま、翠と琥珀のもとへ行く。
「はじめまして、北ノ宮高校の、藤原 紅葉と、一ノ瀬 蒼士です。よろしくお願いします。」
相手の顔は、翠の方は童顔、痩せ型、サラサラヘアーで本当に航海に耐えられるのかわからないが、なんとも、頭の良さそうな顔をしている。
琥珀は、運動部に所属しているのか、ほどよく筋肉のついた体型に、顔立ちはホリが深く、小麦色の肌。モテるだろーな。琥珀はスポーツの名門私立高校。翠は、ごく一般的な高校だ。
二人とは、はじめて顔を会わせたが、なんか、上手く行く気がする。
その後に、インタビューにペアごとに答えてホテルに戻った。
「何か共通でできることが出来たらアピールになると思うのですが、」
「俺、手話できますよ」
さっき、翠は個人質問の時に手話が出来ると言っていた。
「あ、僕も、手話できます。」
翠はニコッと笑顔を添える。
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