最後の君へ

海花

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過去

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授業が全て終わりお世話になった先生方に挨拶を済ませ、自分の荷物を全て片付ける。

「お疲れ様」

水野が優しい笑顔でコーヒーを渡してくれた。

「試験頑張りなさい。またここで会えるのを楽しみにしているよ」

水野の言葉が心の底から嬉しく思え、零は深々と頭を下げた。
実習に来る前は不安で仕方なかったが、水野に助けてもらいながら何とか三週間終える事が出来た。
そしてこの実習のお陰で直斗と出会うことも出来た……。

───俺も男なんだから……いい加減腹くくんなきゃ…………。

零は決意を固め自宅へと車を走らせた。



もし……直斗が犬だったら……耳をピンと立てて、これ以上ない位……尻尾を振っていたに違いない……。

「零、一緒に風呂入ろ」

いつもの様に食事を終えると直斗が待ちきれない!……と言わんばかりに笑顔を向けた……。

───いくらなんでもそれは無理!……いきなり裸とか…………

「……お風呂は……別々で……お願いします…………」

零が直斗から視線を外して小声で言った。

「……何で!?いいじゃん!風呂くらい!どうせその後裸になるんだからさぁ」

直斗がまた不貞腐れる。

「…………心の……準備が…………」

零の緊張した顔に直斗はため息をつき

「分かったよ……」

そう言って一人浴室へ向かった。

───ダメだ…………心臓がもたない……。

零は着替えを用意して冷蔵庫へ向かいペットボトルのお茶を取りだし一口飲むとソファーへ戻り、少しするとまた冷蔵庫へ行ってお茶飲みソファーに座る……。

───ダメだ……。悪い未来しか想像出来ない…………。



「あんなに……緊張しなくても良くないか……」

シャワーを浴びながら直斗はため息をついた…。

──実際…前は『誰か』と付き合って…やってた訳だし…………。

以前、前に付き合ってた人物について探りを入れたことがあった。零が話したがらなくてほとんど聞き出せなかったが…その時ハッキリ分かったのは……『零は直斗が初めてでは無い』事……。それももちろんハッキリは言わなかったが、『それなりの』付き合いをしていた…と苦笑いしていた。

───俺が……男とすんの…初めてだからかな…………。

今日の為に直斗も色々下調べしていた。まさか……何の知識も無しにやれるとも思っていない。
一度など、男同士の動画を見て心が折れそうになって途中で止めた……。
ここ数日、直斗がキスをする度に零の身体がちゃんと反応するのを確認していた。そういう事にまるで関心が無いとも思えない。

───俺が……頼りないから嫌なのかな……。

直斗がため息をつく。今まで女性とのセックスですらこんなに調べた事も気にしたことも無かった。
直斗は再び大きなため息をついた……。



直斗がベッドに横になり、いつも零が眠る右側を空け左手でベッドをトントンっと軽く叩いた。
直斗が上半身裸で部屋着の短パンだけ身につけているのに比べて、ベッドの脇で立っている零は首までボタンを閉めガッツリとパジャマを着込んでいた。

───こいつ……いつもはこんなパジャマ着ないくせに…………。

「早く……来いよ」

直斗が不機嫌そうに口にすると、零はやっと……おずおずとベッドに入って来た。
その『格好』について突っ込みたかったが、直斗はとりあえずそれを止め零を抱きしめるとキスをした。

もし……零が本気で嫌がる様なら止めようと決めていた。

しかし、直斗が零の舌を見つけ出し熱く絡めると、零も応えるように激しく舌を絡める……。
薄暗い部屋でキスをしながら零のパジャマのボタンをひとつづつ外す……。
直斗はキスをやめ少しづつ現れる零の白く綺麗な肌を見つめた。
ボタンが全て外され直斗が首から胸に舌を這わせると零が無言で身体を仰け反らせた。

──すげー……キレイだ…………。

零の肌が少しづつピンク色に染まる。
直斗は恥ずかしそうに目を伏せる零にまたキスをしながら、膨らみのない胸の先端を指で弄る。

「───ンん…………」

再び零が軽く身体を反らせ喉の奥から声を漏らした……。
直斗はその反応に嬉しそうに笑うとそれを舌で弄び、上目遣いで零の反応を見る。
零の顔が赤く染まり感じるのを我慢しているのが手に取るように分かり軽く歯を立てた。

「─────あっ………んっ………」

零の口から艶っぽい声が漏れたのを合図に直斗の手が零のパジャマのズボンの中へ滑り込んだ……。

「ちょっと……待って……!」

零が熱くなっている身体を起こし直斗を見つめ自分の高揚したそれに直斗の手が辿り着く前に止めた。

「…………今度はなに…………?」

直斗が眉をしかめ零を見つめる。

「……俺が……してあげる…………」

そう言うと直斗をベッドに寝かせ、零が覆いかぶさった。

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