2 / 50
……
しおりを挟む
「紡木」と紹介されたその教育実習生は、海外留学の経験があるとかで流暢な英語を披露してみせ、本場の英語だからと水野が早々と授業をさせた。
直斗が頬杖をつきながら、何気なく紡木を見つめる…。
──キレイな顔してんな……。
真っ白い肌に大きな印象的な瞳。
真っ直ぐ通った鼻筋と赤い唇……。
───女みてぇ…………。
何処か遠くの血が混ざっている様にも見える。
直斗がぼんやり考えていると、紡木がこちらを見て目が合った。
─────「クスっ」─────
また笑った……。
カッと頭に血が上る…。
──さっきから人のことバカにしやがって……
直斗が立ち上がり教室を出ようとすると
『なにかありましたか?』
紡木が英語で質問する。
教室がザワつく……。
「藤井!席につけ!」
後ろで見ていた水野が怒鳴った。
全て無視して入口に向かう直斗に
『私の授業が気に入りませんか?』
再び紡木が英語で問いかける。
出る直前直斗は立ち止まり
『俺が気に入らないのはあんただよ』
流暢な英語で答えると水野の制止も聞かず教室を出ていった。
昼休みになると裏庭で昼寝をしていた直斗の顔に影か掛かり、目を開けようとした途端額に強い衝撃が走った。
「痛ったっっ!!」
直斗が起き上がり振り返ると、彼女の莉央が立っている。
莉央の後には呆れ顔の康平もいる。
「またやったって!?」
莉央が直斗を睨みつけると、直斗は康平を睨みつけ
「…言いつけたな……」
と、言った途端…また額を叩かれた。
しかもさっきの衝撃よりまだ強い……。
「───!……」
直斗は額を無言で押さえた。
「……莉央ちゃん……マジで痛いから…」
手を離すと額が痛々しい程真っ赤になっている。
「本気でぶってるんだから痛くなきゃ困るでしょ!」
怒りながら莉央が直斗の後ろに座り込んだ。
「一緒に卒業しようって約束したよね!?」
「莉央、大袈裟」
笑いながら莉央の膝に寝転がる。
「大袈裟じゃないよ!もう!」
口では怒っているが、自分の膝の上で目を瞑る直斗の髪を莉央が優しく撫でる……。
「直斗は気が短か過ぎなんだよ」
そう言いながら康平も芝生に座り込んだ。
──そんなこと言われなくても解ってる…
………バスケを辞めてから何をしていても
─────イライラする……。
「直斗……一緒に卒業しようね……」
莉央が寂しげに呟いた。
直斗は目を開けしばらく莉央を見つめると、フッと笑い
「じゃあ……キスしてよ……」
起き上がり莉央の頬に手を当てそっとキスをした。
「…………お前ら…そういうのは俺がいないトコでやってくんねぇ?」
康平が呆れながら「やってらんねぇわ」と寝転がった。
☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩
読んで下さりありがとうございます。
土日のみの更新になります。
宜しければまた遊びに来てくださいね。
直斗が頬杖をつきながら、何気なく紡木を見つめる…。
──キレイな顔してんな……。
真っ白い肌に大きな印象的な瞳。
真っ直ぐ通った鼻筋と赤い唇……。
───女みてぇ…………。
何処か遠くの血が混ざっている様にも見える。
直斗がぼんやり考えていると、紡木がこちらを見て目が合った。
─────「クスっ」─────
また笑った……。
カッと頭に血が上る…。
──さっきから人のことバカにしやがって……
直斗が立ち上がり教室を出ようとすると
『なにかありましたか?』
紡木が英語で質問する。
教室がザワつく……。
「藤井!席につけ!」
後ろで見ていた水野が怒鳴った。
全て無視して入口に向かう直斗に
『私の授業が気に入りませんか?』
再び紡木が英語で問いかける。
出る直前直斗は立ち止まり
『俺が気に入らないのはあんただよ』
流暢な英語で答えると水野の制止も聞かず教室を出ていった。
昼休みになると裏庭で昼寝をしていた直斗の顔に影か掛かり、目を開けようとした途端額に強い衝撃が走った。
「痛ったっっ!!」
直斗が起き上がり振り返ると、彼女の莉央が立っている。
莉央の後には呆れ顔の康平もいる。
「またやったって!?」
莉央が直斗を睨みつけると、直斗は康平を睨みつけ
「…言いつけたな……」
と、言った途端…また額を叩かれた。
しかもさっきの衝撃よりまだ強い……。
「───!……」
直斗は額を無言で押さえた。
「……莉央ちゃん……マジで痛いから…」
手を離すと額が痛々しい程真っ赤になっている。
「本気でぶってるんだから痛くなきゃ困るでしょ!」
怒りながら莉央が直斗の後ろに座り込んだ。
「一緒に卒業しようって約束したよね!?」
「莉央、大袈裟」
笑いながら莉央の膝に寝転がる。
「大袈裟じゃないよ!もう!」
口では怒っているが、自分の膝の上で目を瞑る直斗の髪を莉央が優しく撫でる……。
「直斗は気が短か過ぎなんだよ」
そう言いながら康平も芝生に座り込んだ。
──そんなこと言われなくても解ってる…
………バスケを辞めてから何をしていても
─────イライラする……。
「直斗……一緒に卒業しようね……」
莉央が寂しげに呟いた。
直斗は目を開けしばらく莉央を見つめると、フッと笑い
「じゃあ……キスしてよ……」
起き上がり莉央の頬に手を当てそっとキスをした。
「…………お前ら…そういうのは俺がいないトコでやってくんねぇ?」
康平が呆れながら「やってらんねぇわ」と寝転がった。
☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩☩
読んで下さりありがとうございます。
土日のみの更新になります。
宜しければまた遊びに来てくださいね。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
あの日の記憶の隅で、君は笑う。
15
BL
アキラは恋人である公彦の部屋でとある写真を見つけた。
その写真に写っていたのはーーー……俺とそっくりな人。
唐突に始まります。
身代わりの恋大好きか〜と思われるかもしれませんが、大好物です!すみません!
幸せになってくれな!
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる