14 / 14
タキシードで花束を
しおりを挟む
忍の肌がいつもより熱くて、何度も俺に口付けては『愛してる』と囁く。
だから俺も、その度に『俺も愛してるよ』そう返した。
多分……本当にスゴくヤキモチを妬いていて……
不安だったんだと、切なくなるくらい……伝わってきた…………。
「……忍…………もぅ……無理…………」
それにつけてもだッ!!
人には限界ってもんがあって、もう何時間も忍を受け入れている俺は……
「────ヤッ…………ダ…メッ……てぇ……」
何度もイカされ…………
身体中……忍の付けたキスマークだらけだった…………
「…光流………」
それでも耳元で名前を呼ばれ口を塞がれる。
「……ん…………ッ……」
忍は時々タガが外れると言うか……
おかしくなる…………。
「──おまっ……いい加減にしろ……って……」
「……だって…………さっき光流…いいって言ったんじゃん……」
「───それはっ……あッ…………ャ…………」
俺の抗議も虚しく……
また1番感じるところを容赦なく攻められ、声をあげてしまう俺を忍が嬉しそうに見つめている。
「……光流………イッていいよ……?」
「───バッッ……もぅ出ねぇっつうの!……あ゛ッンん!…………ヤ…………ッ…………」
「…………おれは……イキそぅ…………」
「──おまぇ……どんだけ溜め込んでんだよッ!」
───こんだけ……しょっちゅうやってんのに……
「──生成しすぎだろッッ!」
「───光流…………」
抱きしめる力が強くなって……
俺の中で忍がピクピクと波打つのが分かる……
けど……それが治まると……痛いくらい抱きしめる力がまた強くなる……
「……大好き……」
耳元で少し切なそうに囁く忍が愛しくて……
すげぇ可愛くて…………
「俺も…………大好きだよ……」
抱きしめて……そう返す。
「……愛してる…………」
「ん……俺も愛してる」
まぁ……これはこれで……やっぱり…………すげぇ幸せだ……
「……光流…………?」
「…ん?」
「……おれ…………まだしたい……」
「────はぁ!?……ふざけッ…………ンーッ!……」
と…………思う…………。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
不意にブーケを持つ俺の腕にさっきまで感じられていなかった熱が伝わった。
少し身体をずらし、忍がわざわざ俺に触れたのだ。
多分……俺の身体が僅かに震えているのに気付き、安心させてくれようとしていると解った……。
讃美歌を歌ってくれたロイの、身体の奥を揺らす様な美しい声も……
リハーサルではあんなに俺を落ち着かせてくれた、聖書を読むバートの穏やかな声も……
耳にすら入ってこない…………。
──緊張するなッ………だ…大丈夫だ……──落ち着け俺──!!!……
しかしそう思えば思うほど……手が震え、それが分かってまた震える…………。
きっと…………それが分かって……
バートに視線を向けたまま、忍は俺に触れてくれたんだ。
「シノブ、あなたはミツルと結婚し、パートナーとしようとしています。あなたは、この結婚を神の導きによるものだとし、常にミツルを愛し、敬い、慰め、助け、慈しみ、変わることなくその健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつまで命の灯の続く限り、ミツルを守ることを約束しますか?」
バートが忍を見つめ、今までと少し違うその声がやっとハッキリと俺の耳にも届いた。
「──はい。誓います」
──────あ……………………
心臓が……別の生き物みたいに俺の意思に反して、嘘みたいに激しくなって──
胸が苦しくて……喉の奥が痛いほど熱い……。
そして───バートの瞳が俺を見つめた。
「ミツル、あなたはシノブと結婚し、パートナーとしようとしています。あなたは、この結婚を神の導きによるものだとし、常にシノブを愛し、敬い、慰め、助け、慈しみ、変わることなくその健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつまで命の灯の続く限り、シノブを守ることを約束しますか?」
手がバカみたいに震えて……
喉の奥に全てが詰まっているように苦しくなった。
すると俺の背中を暖かい腕が優しく支えた。
思わず忍を見つめる。
温かい……大好きな笑顔が俺に向けられていて……
「─────はい。──誓います」
忍を見つめたまま、俺は誓い……それに忍は嬉しそうに笑った。
バートが差し出してくれた、2人で買った安物の指輪をお互いの薬指に通し、もちろん……その時も俺の手は可笑しくなるくらい震えてて
「では──誓のキスを……」
俺の肩に置かれた忍の手が温かくて……
スゴく安心出来て…………
「……先輩……?」
忍の小さな声が耳に届いた。
「……一緒に幸せになりましょうね……」
きっと……バートの耳にも届いていて……
優しく笑っている。
そして、小さく頷いた俺に温かい唇が触れた。
「ここに、2人の結婚が成立したことを宣言致します」
バートの清々しいほど、ハッキリした声が小さな教会に響いた。
「2人ともスゴくカッコよかったわぁ……!もう……感動しちゃった……」
たったひとりの参列者である、忍のばぁちゃんが赤く潤んでいる目頭をまだハンカチで押さえている。
「……ありがとう」
忍が照れたように笑い、そして俺を見つめる……。
「……今までたくさんの結婚式に行かせてもらったけど…………こんなに感動的な結婚式は初めてよ……?」
そう言ってまたポロっと涙を流した。
「光流さん……お疲れ様……本当にありがとう」
「───そんなッ…………」
返事をしようとして俺は、言葉を詰まらせ……ズズっと鼻をすすった……。
忍のばぁちゃんより遥かに赤く腫れた……泣き腫らした目で…………
誓いの言葉から、ずっと涙が止まらなくなった俺は…………
バートが宣言を述べて、本来なら2人で退場するはずのところを、ずっと忍に抱きしめられて泣いていた……。
鼻水は垂れるは……
ロイはクスクス笑ってるわ…………
なかなか……みんなの中で……思い出深い結婚式になったのではないだろうか…………
そう俺は自分を慰めることにした。
そして……式から半年ほど経った朝
忍のばぁちゃんは天国へ旅立った。
とても穏やかな……笑顔にもみえる最期だったと忍から聞かされた。
結婚式を挙げたところで、お互い苗字が変わる訳でも、何か変わった訳でもない。
相変わらず大学へ行き、時々2人で出掛ける……。
冗談を言い合い、これも相変わらず……忍のタガが時々外れ…………
ただ……小さなテレビの横に、忍と2人で撮ったタキシード姿の写真と、ばぁちゃんも加え3人で撮った写真が飾られている。
それと結婚式の後、バートとロイとは友人として時々食事をしたりするようになった。
そして俺は就職活動で、そこそこ忙しい毎日を送り、外食があまり好きじゃない忍は料理の腕をメキメキ上げている。
幸せなんて、目に見える訳でも、形がある訳でもない。
だから不確かで……
でもだからこそ、誰がなんと言っても
自分たちが“幸せ”だと思えば幸せなんだ。
そして俺は───間違いなく…………
───世界一幸せだ───。
end
だから俺も、その度に『俺も愛してるよ』そう返した。
多分……本当にスゴくヤキモチを妬いていて……
不安だったんだと、切なくなるくらい……伝わってきた…………。
「……忍…………もぅ……無理…………」
それにつけてもだッ!!
人には限界ってもんがあって、もう何時間も忍を受け入れている俺は……
「────ヤッ…………ダ…メッ……てぇ……」
何度もイカされ…………
身体中……忍の付けたキスマークだらけだった…………
「…光流………」
それでも耳元で名前を呼ばれ口を塞がれる。
「……ん…………ッ……」
忍は時々タガが外れると言うか……
おかしくなる…………。
「──おまっ……いい加減にしろ……って……」
「……だって…………さっき光流…いいって言ったんじゃん……」
「───それはっ……あッ…………ャ…………」
俺の抗議も虚しく……
また1番感じるところを容赦なく攻められ、声をあげてしまう俺を忍が嬉しそうに見つめている。
「……光流………イッていいよ……?」
「───バッッ……もぅ出ねぇっつうの!……あ゛ッンん!…………ヤ…………ッ…………」
「…………おれは……イキそぅ…………」
「──おまぇ……どんだけ溜め込んでんだよッ!」
───こんだけ……しょっちゅうやってんのに……
「──生成しすぎだろッッ!」
「───光流…………」
抱きしめる力が強くなって……
俺の中で忍がピクピクと波打つのが分かる……
けど……それが治まると……痛いくらい抱きしめる力がまた強くなる……
「……大好き……」
耳元で少し切なそうに囁く忍が愛しくて……
すげぇ可愛くて…………
「俺も…………大好きだよ……」
抱きしめて……そう返す。
「……愛してる…………」
「ん……俺も愛してる」
まぁ……これはこれで……やっぱり…………すげぇ幸せだ……
「……光流…………?」
「…ん?」
「……おれ…………まだしたい……」
「────はぁ!?……ふざけッ…………ンーッ!……」
と…………思う…………。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
不意にブーケを持つ俺の腕にさっきまで感じられていなかった熱が伝わった。
少し身体をずらし、忍がわざわざ俺に触れたのだ。
多分……俺の身体が僅かに震えているのに気付き、安心させてくれようとしていると解った……。
讃美歌を歌ってくれたロイの、身体の奥を揺らす様な美しい声も……
リハーサルではあんなに俺を落ち着かせてくれた、聖書を読むバートの穏やかな声も……
耳にすら入ってこない…………。
──緊張するなッ………だ…大丈夫だ……──落ち着け俺──!!!……
しかしそう思えば思うほど……手が震え、それが分かってまた震える…………。
きっと…………それが分かって……
バートに視線を向けたまま、忍は俺に触れてくれたんだ。
「シノブ、あなたはミツルと結婚し、パートナーとしようとしています。あなたは、この結婚を神の導きによるものだとし、常にミツルを愛し、敬い、慰め、助け、慈しみ、変わることなくその健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつまで命の灯の続く限り、ミツルを守ることを約束しますか?」
バートが忍を見つめ、今までと少し違うその声がやっとハッキリと俺の耳にも届いた。
「──はい。誓います」
──────あ……………………
心臓が……別の生き物みたいに俺の意思に反して、嘘みたいに激しくなって──
胸が苦しくて……喉の奥が痛いほど熱い……。
そして───バートの瞳が俺を見つめた。
「ミツル、あなたはシノブと結婚し、パートナーとしようとしています。あなたは、この結婚を神の導きによるものだとし、常にシノブを愛し、敬い、慰め、助け、慈しみ、変わることなくその健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつまで命の灯の続く限り、シノブを守ることを約束しますか?」
手がバカみたいに震えて……
喉の奥に全てが詰まっているように苦しくなった。
すると俺の背中を暖かい腕が優しく支えた。
思わず忍を見つめる。
温かい……大好きな笑顔が俺に向けられていて……
「─────はい。──誓います」
忍を見つめたまま、俺は誓い……それに忍は嬉しそうに笑った。
バートが差し出してくれた、2人で買った安物の指輪をお互いの薬指に通し、もちろん……その時も俺の手は可笑しくなるくらい震えてて
「では──誓のキスを……」
俺の肩に置かれた忍の手が温かくて……
スゴく安心出来て…………
「……先輩……?」
忍の小さな声が耳に届いた。
「……一緒に幸せになりましょうね……」
きっと……バートの耳にも届いていて……
優しく笑っている。
そして、小さく頷いた俺に温かい唇が触れた。
「ここに、2人の結婚が成立したことを宣言致します」
バートの清々しいほど、ハッキリした声が小さな教会に響いた。
「2人ともスゴくカッコよかったわぁ……!もう……感動しちゃった……」
たったひとりの参列者である、忍のばぁちゃんが赤く潤んでいる目頭をまだハンカチで押さえている。
「……ありがとう」
忍が照れたように笑い、そして俺を見つめる……。
「……今までたくさんの結婚式に行かせてもらったけど…………こんなに感動的な結婚式は初めてよ……?」
そう言ってまたポロっと涙を流した。
「光流さん……お疲れ様……本当にありがとう」
「───そんなッ…………」
返事をしようとして俺は、言葉を詰まらせ……ズズっと鼻をすすった……。
忍のばぁちゃんより遥かに赤く腫れた……泣き腫らした目で…………
誓いの言葉から、ずっと涙が止まらなくなった俺は…………
バートが宣言を述べて、本来なら2人で退場するはずのところを、ずっと忍に抱きしめられて泣いていた……。
鼻水は垂れるは……
ロイはクスクス笑ってるわ…………
なかなか……みんなの中で……思い出深い結婚式になったのではないだろうか…………
そう俺は自分を慰めることにした。
そして……式から半年ほど経った朝
忍のばぁちゃんは天国へ旅立った。
とても穏やかな……笑顔にもみえる最期だったと忍から聞かされた。
結婚式を挙げたところで、お互い苗字が変わる訳でも、何か変わった訳でもない。
相変わらず大学へ行き、時々2人で出掛ける……。
冗談を言い合い、これも相変わらず……忍のタガが時々外れ…………
ただ……小さなテレビの横に、忍と2人で撮ったタキシード姿の写真と、ばぁちゃんも加え3人で撮った写真が飾られている。
それと結婚式の後、バートとロイとは友人として時々食事をしたりするようになった。
そして俺は就職活動で、そこそこ忙しい毎日を送り、外食があまり好きじゃない忍は料理の腕をメキメキ上げている。
幸せなんて、目に見える訳でも、形がある訳でもない。
だから不確かで……
でもだからこそ、誰がなんと言っても
自分たちが“幸せ”だと思えば幸せなんだ。
そして俺は───間違いなく…………
───世界一幸せだ───。
end
0
お気に入りに追加
26
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
年上が敷かれるタイプの短編集
あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。
予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です!
全話独立したお話です!
【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】
------------------
新しい短編集を出しました。
詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
少年はメスにもなる
碧碧
BL
「少年はオスになる」の続編です。単体でも読めます。
監禁された少年が前立腺と尿道の開発をされるお話。
フラット貞操帯、媚薬、焦らし(ほんのり)、小スカ、大スカ(ほんのり)、腸内洗浄、メスイキ、エネマグラ、連続絶頂、前立腺責め、尿道責め、亀頭責め(ほんのり)、プロステートチップ、攻めに媚薬、攻めの射精我慢、攻め喘ぎ(押し殺し系)、見られながらの性行為などがあります。
挿入ありです。本編では調教師×ショタ、調教師×ショタ×モブショタの3Pもありますので閲覧ご注意ください。
番外編では全て小スカでの絶頂があり、とにかくラブラブ甘々恋人セックスしています。堅物おじさん調教師がすっかり溺愛攻めとなりました。
早熟→恋人セックス。受けに煽られる攻め。受けが飲精します。
成熟→調教プレイ。乳首責めや射精我慢、オナホ腰振り、オナホに入れながらセックスなど。攻めが受けの前で自慰、飲精、攻めフェラもあります。
完熟(前編)→3年後と10年後の話。乳首責め、甘イキ、攻めが受けの中で潮吹き、攻めに手コキ、飲精など。
完熟(後編)→ほぼエロのみ。15年後の話。調教プレイ。乳首責め、射精我慢、甘イキ、脳イキ、キスイキ、亀頭責め、ローションガーゼ、オナホ、オナホコキ、潮吹き、睡姦、連続絶頂、メスイキなど。
中年競パンヒーロー強制射精
熊次郎
BL
大隈雄也は183/97、32歳。
仕事も家庭も円満な6歳の娘と3歳の息子のパパだ。そして人知れずは龍王戦士オーシャンとして悪の組織と戦っている。
しかし敵の策略によりヒーローとしてのエネルギーの源を搾取される、、、。
本物のシンデレラは王子様に嫌われる
幸姫
BL
自分の顔と性格が嫌いな春谷一埜は車に轢かれて死んでしまう。そして一埜が姉に勧められてついハマってしまったBLゲームの悪役アレス・ディスタニアに転生してしまう。アレスは自分の太っている体にコンプレックを抱き、好きな人に告白が出来ない事を拗らせ、ヒロインを虐めていた。
「・・・なら痩せればいいんじゃね?」と春谷はアレスの人生をより楽しくさせる【幸せ生活・性格計画】をたてる。
主人公がとてもツンツンツンデレしています。
ハッピーエンドです。
第11回BL小説大賞にエントリーしています。
_______
本当に性格が悪いのはどっちなんでしょう。
_________
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる