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キス
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藤井がリビングへ行くとソファーで葵が座ったまま眠っているのが見えた。
もう少し休んでから行くと言う俊輔を部屋に残し一人で降りてきていた。
テーブルの上にはコーヒーが置かれている。ミルクもクリームも入っている様には見えないそのコーヒーを触るとまだ温かく、入れてからそう時間が経っていない事が分かる。
恐らく…眠気と戦う為に普段飲まないコーヒーを入れたのだろうと簡単に想像出来て思わず笑ってしまった。
しかし……それだけ俊輔のことが心配で仕方ないことも容易に解る。
藤井は床に膝をつき愛おしくて仕方のない葵の寝顔を見つめた。まだどこかあどけない寝顔にそっと触れる。
———このまま連れ去ってしまおうか……そうしたら……葵は俺だけを見てくれるだろうか………
「…………そんな訳ねぇか…」
一人で言って馬鹿げた考えに自嘲気味に笑った。
「……葵、………葵!」
藤井が葵の身体を揺すって起こした。
「——————⁉︎…藤井さん⁉︎」
いつもは簡単に起きない葵がすぐに飛び起き、藤井は苦笑いした。
「───俊は!?」
藤井は頭を撫でながら
「多分…もう大丈夫じゃないかな?薬は抜けてると思うよ。もう少ししたら降りてくるって……」
あまりにも必死で…見ている方が切なくなる。
「───良かった…………」
葵は安心した様にソファーの背もたれに身体を預けた。しかし直ぐにまた不安そうな顔に戻り
「藤井さんは!?」
藤井の腕を掴んだ。
「———え……?」
「怪我………」
心配そうに顔を覗き込む葵に思わず藤井の笑顔が歪んだ。葵の中にちゃんと自分がいることに胸が締め付けられそうになった。
「俺は……大丈夫だから」
無理に笑顔を作ると
「……嘘ですよね……?また無理してますよね……?ごめんなさい…俺のせいで……」
葵が藤井の肩に額をつけ怪我に障らない様にそっと抱きしめた。
「……痛くないですか?」
そう言って自分を見上げる葵が、言葉が出ない程愛おしく感じ藤井は強く抱きしめた。痛みが走るが葵が離れてしまわない様に必死で隠した。
葵は黙ったまま抱かれていた。痛みからか…そうじゃないのか…藤井が不安になっているのが解る。
———俺はこの人を不安にばかりさせてる………
葵は藤井を見つめると自分からキスをした。そうすることで藤井が少しは安心することが分かっているからだ。
———俺が今好きでいるべき人は……藤井さんだ………俊じゃない………。
葵が藤井の舌を見つけ出し絡めると、それに応えるように藤井も熱く舌を絡めた。
もう少し休んでから行くと言う俊輔を部屋に残し一人で降りてきていた。
テーブルの上にはコーヒーが置かれている。ミルクもクリームも入っている様には見えないそのコーヒーを触るとまだ温かく、入れてからそう時間が経っていない事が分かる。
恐らく…眠気と戦う為に普段飲まないコーヒーを入れたのだろうと簡単に想像出来て思わず笑ってしまった。
しかし……それだけ俊輔のことが心配で仕方ないことも容易に解る。
藤井は床に膝をつき愛おしくて仕方のない葵の寝顔を見つめた。まだどこかあどけない寝顔にそっと触れる。
———このまま連れ去ってしまおうか……そうしたら……葵は俺だけを見てくれるだろうか………
「…………そんな訳ねぇか…」
一人で言って馬鹿げた考えに自嘲気味に笑った。
「……葵、………葵!」
藤井が葵の身体を揺すって起こした。
「——————⁉︎…藤井さん⁉︎」
いつもは簡単に起きない葵がすぐに飛び起き、藤井は苦笑いした。
「───俊は!?」
藤井は頭を撫でながら
「多分…もう大丈夫じゃないかな?薬は抜けてると思うよ。もう少ししたら降りてくるって……」
あまりにも必死で…見ている方が切なくなる。
「───良かった…………」
葵は安心した様にソファーの背もたれに身体を預けた。しかし直ぐにまた不安そうな顔に戻り
「藤井さんは!?」
藤井の腕を掴んだ。
「———え……?」
「怪我………」
心配そうに顔を覗き込む葵に思わず藤井の笑顔が歪んだ。葵の中にちゃんと自分がいることに胸が締め付けられそうになった。
「俺は……大丈夫だから」
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「……嘘ですよね……?また無理してますよね……?ごめんなさい…俺のせいで……」
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「……痛くないですか?」
そう言って自分を見上げる葵が、言葉が出ない程愛おしく感じ藤井は強く抱きしめた。痛みが走るが葵が離れてしまわない様に必死で隠した。
葵は黙ったまま抱かれていた。痛みからか…そうじゃないのか…藤井が不安になっているのが解る。
———俺はこの人を不安にばかりさせてる………
葵は藤井を見つめると自分からキスをした。そうすることで藤井が少しは安心することが分かっているからだ。
———俺が今好きでいるべき人は……藤井さんだ………俊じゃない………。
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