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薫
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カーテンの僅かな隙間から細く陽の光が差し込んでいる。
ちょうどそれが葵の顔にあたり眩しくて目を覚ました。
起き上がり目を擦りながら辺りを見回してやっと藤井のベッドで寝ていたのだと解った。
———あれ………俺…昨日…泊まったんだっけ……?
隣を見るが藤井の姿は見えない。
「———あ………」
昨日俊輔に連絡しようとしてスマホが取れなっかたことを思い出した。
———スマホ………
葵はベッドから出るとリビングへ向い、昨夜落としたスマホを手に取った。
しかし俊輔からの着信もラインも来ていない……。
「———お兄さんから連絡来てた?」
急に声を掛けられて葵の肩がビクッと震えた。
「………いえ……」
答えながら振り向くとシャワーを浴びていたのか藤井が上半身裸のまま立っている。
左側の脇腹に青紫の内出血が痛々しく見える。
「大丈夫ですか?」
心配そうに葵がそれに目をやると
「見た目程痛くないから。痛み止めももらってるしね」
藤井が微笑む。
「葵もシャワー浴びておいで」
その言葉に葵が眉を顰める。
「浴びてくるけど………今日はしませんよ………?」
葵の言葉に
「……葵も…言うようになったね」
そう言って苦笑いした。
「大丈夫?」
結衣が俊輔の顔を覗き込むと
「………何が……?」
眠そうな顔で俊輔がさらに欠伸をする。
「何がって………相当眠そうですよ?」
結衣が机に肘をつきいつもの半分も開いてない俊輔の目を見つめる。
机には昨日に続き課題が広げられている。
「私……帰って家でやろうか?そしたら俊輔寝れるでしょ?」
「いいよ、そしたら結衣やらないだろ?」
そう言いながら俊輔は立ち上がりキッチンへ向かった。
「コーヒー飲むけど飲む?」
「じゃあ……貰おうかな?」
「砂糖と………ミルク入りね?」
俊輔がまた欠伸をする。
「昨日……寝てないの?」
今日も葵がいる様子が無い。俊輔の様子から帰ってこなかったことが窺える。
「………そんなことないよ。多分薬の所為……」
俊輔がカップにインスタントコーヒーとお湯を注ぎながら答えた。
昨夜本当は一睡もしていない。
「少し寝たら?私ひとりでやってるし……」
「この後薫の家に行くから……寝たら起きられないかもだしね」
俊輔が苦笑いした。
ちょうどそれが葵の顔にあたり眩しくて目を覚ました。
起き上がり目を擦りながら辺りを見回してやっと藤井のベッドで寝ていたのだと解った。
———あれ………俺…昨日…泊まったんだっけ……?
隣を見るが藤井の姿は見えない。
「———あ………」
昨日俊輔に連絡しようとしてスマホが取れなっかたことを思い出した。
———スマホ………
葵はベッドから出るとリビングへ向い、昨夜落としたスマホを手に取った。
しかし俊輔からの着信もラインも来ていない……。
「———お兄さんから連絡来てた?」
急に声を掛けられて葵の肩がビクッと震えた。
「………いえ……」
答えながら振り向くとシャワーを浴びていたのか藤井が上半身裸のまま立っている。
左側の脇腹に青紫の内出血が痛々しく見える。
「大丈夫ですか?」
心配そうに葵がそれに目をやると
「見た目程痛くないから。痛み止めももらってるしね」
藤井が微笑む。
「葵もシャワー浴びておいで」
その言葉に葵が眉を顰める。
「浴びてくるけど………今日はしませんよ………?」
葵の言葉に
「……葵も…言うようになったね」
そう言って苦笑いした。
「大丈夫?」
結衣が俊輔の顔を覗き込むと
「………何が……?」
眠そうな顔で俊輔がさらに欠伸をする。
「何がって………相当眠そうですよ?」
結衣が机に肘をつきいつもの半分も開いてない俊輔の目を見つめる。
机には昨日に続き課題が広げられている。
「私……帰って家でやろうか?そしたら俊輔寝れるでしょ?」
「いいよ、そしたら結衣やらないだろ?」
そう言いながら俊輔は立ち上がりキッチンへ向かった。
「コーヒー飲むけど飲む?」
「じゃあ……貰おうかな?」
「砂糖と………ミルク入りね?」
俊輔がまた欠伸をする。
「昨日……寝てないの?」
今日も葵がいる様子が無い。俊輔の様子から帰ってこなかったことが窺える。
「………そんなことないよ。多分薬の所為……」
俊輔がカップにインスタントコーヒーとお湯を注ぎながら答えた。
昨夜本当は一睡もしていない。
「少し寝たら?私ひとりでやってるし……」
「この後薫の家に行くから……寝たら起きられないかもだしね」
俊輔が苦笑いした。
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