君の手の温もりが…

俊輔と結衣

すごい久しぶりに俊輔の部屋で過ごしている気がする……。
真面目に問題集に取り組む俊輔をチラッと盗み見る…。

───やっぱり……好きだな……。

プールで俊輔の発作を目の当たりにした時、正直……怖かった……。
話には聞いていたけど、そんなに酷いと思ってなかった……。
軽く考えていた……。
家に帰ってから俊輔に無理をさせてた事が本当に申し訳なくて、何も出来なかった自分がすごく情けなかった……。
葵の気持ちを聞いてからも……。
自分にそれを打ち明けた葵の覚悟に怯んだ……。
自分にどれだけの覚悟があるのか……。
俊輔の為に何が出来るか……。
それでも……好きな気持ちは変わらない……。
葵と同じ事が出来るとは思わない。
それでも自分に出来ることをしようと決めた。
自分ができる限り俊輔を守ろう……と。
俊輔を見つめる結衣の頭に、問題集に目を向けたままの俊輔が、片手で軽くチョップした。
｢──!!いたっ！｣
結衣が情けない顔で頭を押える。
俊輔が笑って
｢課題やりに来たんだろ？｣
そう言いながら結衣の頭を撫でる。
｢ちょっと見てただけなのにぃー……｣
｢少し休もうか…｣
時計に目をやる。
｢ちゃんと……話もしたいし……｣
結衣は黙って俊輔を見つめた。