86 / 130
第四章
特別な任務を負った妖精
しおりを挟む
「アーベルさん、この缶詰という食べ物は存在界で普通に購入できるものなのでしょうか?」
「缶詰ですか? スーパーとかコンビニでいつでも買えますけど……」
副所長のハーウェックが着任してから二週間が経った。
さすがに紫のスーツと金銀の鎖のアクセサリはマズい、ということでベージュのタートルネックのシャツにネイビーのジャケット、下はグレーのパンツという服に着替えさせられている。
五厘刈りにサングラスはそのままだし、ガタイも良いからそれでも十分に威圧感があるのだけど……
何度かハーウェックが対応した相談に同席したけど、話し方が丁寧なので相談客からは好意的な評価をいただいているようだ。
上司に向かってこの言い方は我ながら傲慢だなぁ、と思うけど。
今日はハーウェックが着任して初めてアイリスが休暇を取っている。
そのため、相談客が来たらアイリス抜きで対応しなければならない。
先ほど一人相談客があったが、特に問題になるようなことはなかった。
相談客が五度目か六度目の相談、ということでかなり慣れていたのが大きいようには思う。
それ以外の相談客はないので、今はこうして「ケルークス」の店内でお茶を引いているという訳だ。
「いや、食べ物を金属の容器で保存するのは実によろしいです。そしてこのデザインが秀逸です! 是非コレクションしたいものです」
ハーウェックは金属を司るためか、存在界の金属製品に興味を持っている。まさか缶詰に食いついてくるとは思わなかったけど。
「ハーウェック、缶詰は『ケルークス』の人気商品なのだからね! ちゃんとルールを守って注文してよね」
「はい。それは勿論!」
ユーリにたしなめられてハーウェックが頭を掻いた。というのも缶詰を初めてハーウェックが見たとき、店にある在庫をすべて買い占めようとしたからだ。
ユーリの言う通り、缶詰は「ケルークス」の人気商品の一つである。注文は一人三缶までというルールを設けなければならないくらいの状態だ。
「そういえば、そろそろテーラが戻ってくるわ。缶詰も運んでくるはず」
ユーリがハーウェックにそう伝えると、ハーウェックの目が輝いた。
それだけではなく、店内の別のテーブルからもおおっと歓声があがった。
今日の「ケルークス」は客が多いので、ユーリの言葉を聞き逃さなかった者が少なくなかったのだ。
「テーラ、ですか。報告を聞いて次の指示を出す、でしたか……念のためアーベルさんも同席していただけますか? 所長からの指示書に『魂霊の相談員がいたら同席を求めること』とありますので……」
ハーウェックが申し訳なさそうに頼んできた。
「……わかりました」
存在界に出張しているメンバーからの報告を受ける際、魂霊の相談員が同席するというケースは今までになかった。
だが、アイリスの指示だというのなら無下に断るわけにはいかない。
「ただいま戻りました。ユーリさん、荷物はこちらです」
身体に似合わないくらいの大きなキャリーバッグを引きずってきた女性が「ケルークス」の店内に入ってきた。
背はカーリンと同じくらい。
ブラウンの瞳に、肩より少し下までの長さの黒髪は先っぽの方だけウェーブがかかっている。
年齢は人間の二十代後半くらいだろうか? 最近の人間、特に女性は若く見えるので三十代でもこのような人がいるかもしれない。
彼女が存在界に出張しているメンバーの一体、テーラだ。
テーラは他のメンバーとは異なる特別な任務を負っている。
「テーラさん、荷物の受け渡しが終わったらこちらで話を聞かせてもらえないでしょうか?」
「……アイリスへの報告が終わってからなら構いません。彼女はどちらへ?」
「本日は不在です。アイリスの指示で私、ハーウェックがお話を聞くことになりまして」
「副所長さんでしたか。アイリスから聞いています」
存在界に出張しているメンバーからの報告は「ケルークス」の店内で受けることが多い。私もアイリスがそうしているのを何度も見ている。
私もハーウェックのテーブルまで移動して話を聞くことになった。
「今のところ職場や周囲の人に影響は出ていないと思うわ。ご両親が健在なのと結婚しろと口うるさく言われるのには閉口しているのだけど……」
「父親が六三歳、母親が六五歳ですか。まだまだお元気でも不思議ではないですね」
「あと二〇年くらいは存在界暮らしを覚悟しているわ」
「今、困っていることや不足しているものはありますか?」
私はハーウェックの隣の席で、二人のやり取りを聞いている。
テーラは移住の広報活動を行っていない。
彼女の役割は「移住した人間と入れ替わる」ことだ。
年齢が若く健康、有名人であるなどの理由で移住後に大きな混乱が予想されるケースでは、移住者と入れ替わりで変身能力の高い精霊を派遣することがある。
派遣された精霊は移住者と入れ替わって人間として存在界で暮らすのだ。
こうした精霊は時機を見て姿を消し、精霊界へと戻ってくる。
今、存在界にはこうした精霊が十数体存在する。
「母親が家にあまり来なくなったので動きやすくなりました。帰省が厄介ですけど、それを除けば今は比較的良い状況です」
「お仕事や日々の暮らしに問題はありませんか?」
「異動になって地方のプロジェクトに配属になりましたが、テレワークできるので今のところは大丈夫です。現地で暮らすとなると車が必要そうですが、そうなると運転が不安です。運転免許はあるのですが、私が取得したものではないので……」
テーラがわずかに額に皺を寄せた。
「わかりました。車のことはワルターさんが詳しいので相談してみます」
「お願いします」
運転免許を取った本人が移住してしまったので、入れ替わった精霊が運転に困る、というのはまさに入れ替わりの弊害だ。
ワルターのように存在界で運転免許を取得したのもいるけど、ごく少数派だ。
一般的な精霊は自動車など運転したことがない。精霊界に自動車は存在しないからだ。
テーラが入れ替わった相手は二十代後半で精霊界へ移住してきた。
両親が過干渉だということで、本人の精神状態を考慮して早めの移住となったのだ。
一方でいきなり娘が行方不明となれば両親の精神状態にも悪い影響が出かねない。
そう判断したアイリスが身代わりとなる精霊を募り、テーラが志願してきたのだ。
「行き先を見失っている方を放置するのは、私の好みではありませんので」
志願した理由を問われたとき、テーラはこう答えたそうだ。
彼女は光明を司るランパスという種類の精霊だ。属性は光。
変身能力が高く、迷っている人を見過ごせない性質の者が多いらしい。
「揺らぎなどの症状は無いようです。他に気になることとかはありますか?」
「ありません、大丈夫ですと言いたいところですが、一つだけお願いしたいことがあります」
テーラが申し訳なさそうに手を挙げた。
「遠慮なくお申し付けください」
ハーウェックはにこやかに応じた。この精霊、性質はいいのだけど、笑っても見かけは怖いんだよな……
「アンブロシア酒とマナをいただきたいです。存在界の食べ物や飲み物は美味しいのですが、ときどき精霊界のものが恋しくなるので……」
「そのくらいでしたら経費でお出しいたします。アーベルさんも引き続き同席をお願いします」
ハーウェックが気前よくそう言ってくれたので、私もご相伴にあずかることにした。
相談員としてのルール上も問題ないはずだ。
「こちらのアーベルさんですが、このアンブロシア酒の造り手さんのパートナーなのです」
アンブロシア酒が運ばれてきたところでハーウェックがテーラに説明した。
私とハーウェックは一応業務中ということでアルコールではなく私が冷たい緑茶、ハーウェックはアイスコーヒーを注文している。
「そうなのですね! 滅多に『ケルークス』には来れないのですが、このアンブロシア酒は大好きです! 是非造り手さんによろしくお伝えください」
「ありがとうございます、伝えておきます」
意外なところにカーリンのアンブロシア酒ファンがいたものだ。
「私の家からだとここまで片道五時間くらいかかるので、なかなか報告にも行けないのが残念です……」
テーラは現在大都市の近郊で一人暮らしをしているらしい。
ここまで片道五時間となると気軽に訪れるのは難しいだろう。
「報告だけなら念話でも構わないのですが、揺らぎを見るためには直接会う必要がありますからね……」
「そうなのですよ! 普段は念話で報告しているのですけど、それだと精霊界のものが味わえなくて……」
聞いた感じだとテーラは相当な食いしん坊のようだ。
精霊界にいるときの姿、すなわち精霊の状態では飲み食いはほぼ無制限だが、存在界にいるときの姿、すなわち妖精の状態では飲み食いできる量に限界があるはずだ。
妖精のテーラは人間の成人女性としても小柄な部類に入るが、話を聞く限り普段の飲み食いは成人男性の二倍以上の量だ。
「一度にこれだけの品物を持ってきてくれるのは助かるけど、お財布大丈夫?」
マナの皿を持ってきたユーリが心配そうに尋ねた。
「私、食費はそれなりにかかりますけど、お家賃の安いところに住んでいるので割と平気なのですよ。それに家庭菜園でトマトとかきゅうりとか育てていますし」
「そのアパート大丈夫? 治安に思いっきり不安があるけど……」
家賃が安いと聞いて、ユーリが疑わし気な目を向けた。
「単に郊外だ、ってだけの話です。一番近い駅まで歩いたら三〇分弱かかりますけど、バスも走っていますしスーパーとかホームセンターは近いんですよ」
どうやらテーラは結構たくましく暮らしているらしい。
「さすがにこれ以上注文しては申し訳ないですね。時間も時間ですしそろそろ失礼します」
大皿のマナ四皿のほとんどを一体で片付けてテーラが「ケルークス」を後にした。
時間は一六時半過ぎ。今から自宅に向かったら到着は二一時半過ぎになる。
今からなら最終バスに何とか間に合うそうだ。
精霊界への移住をスムーズに進めるために、テーラのような役割を担っている者もいるというのは知っておいてもらいたい。
もしかすると、あなたの近くにいるあの人も入れ替わり、なのかもしれないから。
でも、入れ替わった本人は精霊界で幸せに暮らしている、と思う。
「缶詰ですか? スーパーとかコンビニでいつでも買えますけど……」
副所長のハーウェックが着任してから二週間が経った。
さすがに紫のスーツと金銀の鎖のアクセサリはマズい、ということでベージュのタートルネックのシャツにネイビーのジャケット、下はグレーのパンツという服に着替えさせられている。
五厘刈りにサングラスはそのままだし、ガタイも良いからそれでも十分に威圧感があるのだけど……
何度かハーウェックが対応した相談に同席したけど、話し方が丁寧なので相談客からは好意的な評価をいただいているようだ。
上司に向かってこの言い方は我ながら傲慢だなぁ、と思うけど。
今日はハーウェックが着任して初めてアイリスが休暇を取っている。
そのため、相談客が来たらアイリス抜きで対応しなければならない。
先ほど一人相談客があったが、特に問題になるようなことはなかった。
相談客が五度目か六度目の相談、ということでかなり慣れていたのが大きいようには思う。
それ以外の相談客はないので、今はこうして「ケルークス」の店内でお茶を引いているという訳だ。
「いや、食べ物を金属の容器で保存するのは実によろしいです。そしてこのデザインが秀逸です! 是非コレクションしたいものです」
ハーウェックは金属を司るためか、存在界の金属製品に興味を持っている。まさか缶詰に食いついてくるとは思わなかったけど。
「ハーウェック、缶詰は『ケルークス』の人気商品なのだからね! ちゃんとルールを守って注文してよね」
「はい。それは勿論!」
ユーリにたしなめられてハーウェックが頭を掻いた。というのも缶詰を初めてハーウェックが見たとき、店にある在庫をすべて買い占めようとしたからだ。
ユーリの言う通り、缶詰は「ケルークス」の人気商品の一つである。注文は一人三缶までというルールを設けなければならないくらいの状態だ。
「そういえば、そろそろテーラが戻ってくるわ。缶詰も運んでくるはず」
ユーリがハーウェックにそう伝えると、ハーウェックの目が輝いた。
それだけではなく、店内の別のテーブルからもおおっと歓声があがった。
今日の「ケルークス」は客が多いので、ユーリの言葉を聞き逃さなかった者が少なくなかったのだ。
「テーラ、ですか。報告を聞いて次の指示を出す、でしたか……念のためアーベルさんも同席していただけますか? 所長からの指示書に『魂霊の相談員がいたら同席を求めること』とありますので……」
ハーウェックが申し訳なさそうに頼んできた。
「……わかりました」
存在界に出張しているメンバーからの報告を受ける際、魂霊の相談員が同席するというケースは今までになかった。
だが、アイリスの指示だというのなら無下に断るわけにはいかない。
「ただいま戻りました。ユーリさん、荷物はこちらです」
身体に似合わないくらいの大きなキャリーバッグを引きずってきた女性が「ケルークス」の店内に入ってきた。
背はカーリンと同じくらい。
ブラウンの瞳に、肩より少し下までの長さの黒髪は先っぽの方だけウェーブがかかっている。
年齢は人間の二十代後半くらいだろうか? 最近の人間、特に女性は若く見えるので三十代でもこのような人がいるかもしれない。
彼女が存在界に出張しているメンバーの一体、テーラだ。
テーラは他のメンバーとは異なる特別な任務を負っている。
「テーラさん、荷物の受け渡しが終わったらこちらで話を聞かせてもらえないでしょうか?」
「……アイリスへの報告が終わってからなら構いません。彼女はどちらへ?」
「本日は不在です。アイリスの指示で私、ハーウェックがお話を聞くことになりまして」
「副所長さんでしたか。アイリスから聞いています」
存在界に出張しているメンバーからの報告は「ケルークス」の店内で受けることが多い。私もアイリスがそうしているのを何度も見ている。
私もハーウェックのテーブルまで移動して話を聞くことになった。
「今のところ職場や周囲の人に影響は出ていないと思うわ。ご両親が健在なのと結婚しろと口うるさく言われるのには閉口しているのだけど……」
「父親が六三歳、母親が六五歳ですか。まだまだお元気でも不思議ではないですね」
「あと二〇年くらいは存在界暮らしを覚悟しているわ」
「今、困っていることや不足しているものはありますか?」
私はハーウェックの隣の席で、二人のやり取りを聞いている。
テーラは移住の広報活動を行っていない。
彼女の役割は「移住した人間と入れ替わる」ことだ。
年齢が若く健康、有名人であるなどの理由で移住後に大きな混乱が予想されるケースでは、移住者と入れ替わりで変身能力の高い精霊を派遣することがある。
派遣された精霊は移住者と入れ替わって人間として存在界で暮らすのだ。
こうした精霊は時機を見て姿を消し、精霊界へと戻ってくる。
今、存在界にはこうした精霊が十数体存在する。
「母親が家にあまり来なくなったので動きやすくなりました。帰省が厄介ですけど、それを除けば今は比較的良い状況です」
「お仕事や日々の暮らしに問題はありませんか?」
「異動になって地方のプロジェクトに配属になりましたが、テレワークできるので今のところは大丈夫です。現地で暮らすとなると車が必要そうですが、そうなると運転が不安です。運転免許はあるのですが、私が取得したものではないので……」
テーラがわずかに額に皺を寄せた。
「わかりました。車のことはワルターさんが詳しいので相談してみます」
「お願いします」
運転免許を取った本人が移住してしまったので、入れ替わった精霊が運転に困る、というのはまさに入れ替わりの弊害だ。
ワルターのように存在界で運転免許を取得したのもいるけど、ごく少数派だ。
一般的な精霊は自動車など運転したことがない。精霊界に自動車は存在しないからだ。
テーラが入れ替わった相手は二十代後半で精霊界へ移住してきた。
両親が過干渉だということで、本人の精神状態を考慮して早めの移住となったのだ。
一方でいきなり娘が行方不明となれば両親の精神状態にも悪い影響が出かねない。
そう判断したアイリスが身代わりとなる精霊を募り、テーラが志願してきたのだ。
「行き先を見失っている方を放置するのは、私の好みではありませんので」
志願した理由を問われたとき、テーラはこう答えたそうだ。
彼女は光明を司るランパスという種類の精霊だ。属性は光。
変身能力が高く、迷っている人を見過ごせない性質の者が多いらしい。
「揺らぎなどの症状は無いようです。他に気になることとかはありますか?」
「ありません、大丈夫ですと言いたいところですが、一つだけお願いしたいことがあります」
テーラが申し訳なさそうに手を挙げた。
「遠慮なくお申し付けください」
ハーウェックはにこやかに応じた。この精霊、性質はいいのだけど、笑っても見かけは怖いんだよな……
「アンブロシア酒とマナをいただきたいです。存在界の食べ物や飲み物は美味しいのですが、ときどき精霊界のものが恋しくなるので……」
「そのくらいでしたら経費でお出しいたします。アーベルさんも引き続き同席をお願いします」
ハーウェックが気前よくそう言ってくれたので、私もご相伴にあずかることにした。
相談員としてのルール上も問題ないはずだ。
「こちらのアーベルさんですが、このアンブロシア酒の造り手さんのパートナーなのです」
アンブロシア酒が運ばれてきたところでハーウェックがテーラに説明した。
私とハーウェックは一応業務中ということでアルコールではなく私が冷たい緑茶、ハーウェックはアイスコーヒーを注文している。
「そうなのですね! 滅多に『ケルークス』には来れないのですが、このアンブロシア酒は大好きです! 是非造り手さんによろしくお伝えください」
「ありがとうございます、伝えておきます」
意外なところにカーリンのアンブロシア酒ファンがいたものだ。
「私の家からだとここまで片道五時間くらいかかるので、なかなか報告にも行けないのが残念です……」
テーラは現在大都市の近郊で一人暮らしをしているらしい。
ここまで片道五時間となると気軽に訪れるのは難しいだろう。
「報告だけなら念話でも構わないのですが、揺らぎを見るためには直接会う必要がありますからね……」
「そうなのですよ! 普段は念話で報告しているのですけど、それだと精霊界のものが味わえなくて……」
聞いた感じだとテーラは相当な食いしん坊のようだ。
精霊界にいるときの姿、すなわち精霊の状態では飲み食いはほぼ無制限だが、存在界にいるときの姿、すなわち妖精の状態では飲み食いできる量に限界があるはずだ。
妖精のテーラは人間の成人女性としても小柄な部類に入るが、話を聞く限り普段の飲み食いは成人男性の二倍以上の量だ。
「一度にこれだけの品物を持ってきてくれるのは助かるけど、お財布大丈夫?」
マナの皿を持ってきたユーリが心配そうに尋ねた。
「私、食費はそれなりにかかりますけど、お家賃の安いところに住んでいるので割と平気なのですよ。それに家庭菜園でトマトとかきゅうりとか育てていますし」
「そのアパート大丈夫? 治安に思いっきり不安があるけど……」
家賃が安いと聞いて、ユーリが疑わし気な目を向けた。
「単に郊外だ、ってだけの話です。一番近い駅まで歩いたら三〇分弱かかりますけど、バスも走っていますしスーパーとかホームセンターは近いんですよ」
どうやらテーラは結構たくましく暮らしているらしい。
「さすがにこれ以上注文しては申し訳ないですね。時間も時間ですしそろそろ失礼します」
大皿のマナ四皿のほとんどを一体で片付けてテーラが「ケルークス」を後にした。
時間は一六時半過ぎ。今から自宅に向かったら到着は二一時半過ぎになる。
今からなら最終バスに何とか間に合うそうだ。
精霊界への移住をスムーズに進めるために、テーラのような役割を担っている者もいるというのは知っておいてもらいたい。
もしかすると、あなたの近くにいるあの人も入れ替わり、なのかもしれないから。
でも、入れ替わった本人は精霊界で幸せに暮らしている、と思う。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる