430 / 436
第九章
420:引き継がれた意志と遺志
しおりを挟む
レイカの言葉を信じてロビーとセスがグラスの中の液体を少し、口に含んだ。
口の中で甘酸っぱい香りが霧のように広がって、鼻を刺激する。
広がった香りは、まるで天を埋め尽くす星々が瞬くように穏やかに舌を刺激する。
次第に目の前が白くなってきた。
周りの音は聞こえない。
口の中に広がった心地よい霧は、まるで彼等の五感を支配するかのようであった。
すでに時の感覚はない。
(これは一体……?)
セスにはこれが生まれてこの方感じたことのない感覚であるかのように思えてきた。
ロビーについても同じである。
舌を刺激する心地よい甘酸っぱさは、未だ衰えようとはしない。
いや、徐々に弱まっているのだが、ワインが圧倒的な支配力を持っているのか、ワインの感覚がなくなるまでは、相当な時間を要するように思われた。
既に目の前は真っ白で、周囲の様子はわからなくなっている。
不意に肩が揺さぶられる。
「おい! どうしたっていうんだ?」
その声の直後、口の中の心地よい霧は広がって消えていった。最後に喉への心地よい刺激を残して。
慌ててセスが目を開いて振り向く。どうやら目を閉じてしまっていたらしい。
「おい、何やっているんだ?!」
声の主はサクライだった。
セスは飲んでみればわかる、とばかりにサクライに向かってうなずいてみせる。
「すげえなぁ……一歩間違えれば、こりゃ麻薬だぜ……」
ロビーは感心した様子だ。
すると、レイカが瓶をグラスに持ち替えて中の液体を示してみせた。
「私もこのワインは一度試飲しただけなのですが、今のタカミ君やクルス君みたいに、しばらくこのワインの世界に閉じ込められてしまいました。それほどのものなのです。
これほどの甘味と酸味があればフルーツタルトにも味で負けませんから、安心してデザートと一緒に楽しんでください。
このワインですけど、健康な葡萄が熟した直後に冬の寒さが訪れないと、ここまで綺麗に仕上がりません。不健康な葡萄ですと、どうしても余計な味がついてしまいますし、葡萄が熟さなければ、酸っぱいだけのワインになってしまいます」
レイカがグラスの中の液体を口に含んだのを見て、他の者もそれに続く。
その直後、テーブルから言葉が消えた。
ワインの持つ圧倒的な支配力に、皆が屈した瞬間であったかもしれない。
メイの目の前も白くなる。
彼女が感じている感覚はセスが感じたものに似ていたが、セスとは異なり、彼女にはこの感覚に覚えがある。
それは彼女が母親のもとで暮らしていた幼少の頃、自由に空想を張り巡らせていたときに感じたものと酷似していた。
(社長……)
不意に彼女の口から言葉が漏れた。
それはかなり小さいもので、他の誰にも聞き取れなかったに違いない。
彼女が成長するに連れて、母は徐々に厳しさを増していった。
教師であった彼女の母は団体行動が取れない娘に対し厳しく当たったのだ。
それが徐々に彼女を追い詰めていった。
それでも母親のもとを離れられない、彼女はそういう少女であった。
そして八年前、彼女は母親の自殺という形で母親のもとを離れることになる。
先ほど口に出たのは、あるときから彼女が常に心の支えとしていた人物の名だった。
(社長……私……見てきますね、東に何があるかを……)
「……すごいな、おい」
ミヤハラが他に言い表しようがない、という様子でワインを評価した。
「そうですね、ケーキと一緒に飲んでも全然負けませんね」
サクライも感心していた。
「それにしてもイナの奴……どこでこんなものを知ったんだ? あの野郎」
ミヤハラは未だ帰らぬ親友に向かってそう文句を言ってみせた。
セスはグラスの中の液体をほんの少し、持っていた封筒に垂らした。
中には荼毘に付されたウォーリーの遺骨の欠片が入れられていた。
※※
宴から三日後のLH五一年八月一日、この日は「東部探索隊」がECN社本社のあるハモネスを出発する日でもあった。
チームマネージャー以上の社員と隊のメンバーが本社大会議室に集められ、出発式が行われた。
式は極めて形式的に行われた。
これは形だけ整っていれば十分とミヤハラが判断した結果だった。
その後、メンバーは社長室に集められ、ミヤハラから激励の言葉をかけられた。
社長室には他にサクライとレイカとモリタの姿もあった。
「僕は行くことができないけど、気をつけて」
モリタがセスとロビーに声をかけた。
これがセスとの今生の別れになるであろうことを、モリタはいまだ知らない。
知っていたところで、彼の反応が変わったとは思えなかったが、あえて知らせる者もなかった。
「まあ、頑張ってくれ」
サクライは、そう声をかけたのち、一人一人の肩を軽く叩いた。
「私は社に残って頑張るから、皆も気をつけてね」
今度はレイカだ。
カネサキとオオイダが、まかせておけと言わんばかりにうなずいてみせた。
「先生に危ないことはさせられないからね」
カネサキはそう言ってレイカの前で親指を立ててみせる。
「あんまりしんみりさせないでくれ。たかが半年かそこらだろうが、縁起でもない、行くぞ!」
ロビーの言葉に他の隊員が続く。
隊に参加しない者にとっては、これがセスとの今生の別れになるであろう。
しかし、今は、少しでも早く前に進むしかなかった。
可能であれば、東部の探索を終えて、生きているセスにその結果を伝えたい。
その気持ちがロビーを急がせる。
ミヤハラ、サクライ、モリタは本社に残った。
一方、レイカとエリックが「はじまりの丘」に向かう街道まで隊と一緒に歩いた。
街道に入ったところで、レイカとエリックが隊から離れた。
ロビーとセスが二人に手を振った。
そして、隊のメンバーがあらかじめ決められた位置へ℃移動する。
隊の先頭はロビーとアイネスである。
セスと物資を運ぶためのソリを二人で引いている。
ソリの後ろにカネサキとオオイダが付いてセスを気遣っている。
その後ろにコナカ、コナカの後ろにメイ、そして最後尾はホンゴウである。
ここから「はじまりの丘」まで、八人での短い旅が始まる……
口の中で甘酸っぱい香りが霧のように広がって、鼻を刺激する。
広がった香りは、まるで天を埋め尽くす星々が瞬くように穏やかに舌を刺激する。
次第に目の前が白くなってきた。
周りの音は聞こえない。
口の中に広がった心地よい霧は、まるで彼等の五感を支配するかのようであった。
すでに時の感覚はない。
(これは一体……?)
セスにはこれが生まれてこの方感じたことのない感覚であるかのように思えてきた。
ロビーについても同じである。
舌を刺激する心地よい甘酸っぱさは、未だ衰えようとはしない。
いや、徐々に弱まっているのだが、ワインが圧倒的な支配力を持っているのか、ワインの感覚がなくなるまでは、相当な時間を要するように思われた。
既に目の前は真っ白で、周囲の様子はわからなくなっている。
不意に肩が揺さぶられる。
「おい! どうしたっていうんだ?」
その声の直後、口の中の心地よい霧は広がって消えていった。最後に喉への心地よい刺激を残して。
慌ててセスが目を開いて振り向く。どうやら目を閉じてしまっていたらしい。
「おい、何やっているんだ?!」
声の主はサクライだった。
セスは飲んでみればわかる、とばかりにサクライに向かってうなずいてみせる。
「すげえなぁ……一歩間違えれば、こりゃ麻薬だぜ……」
ロビーは感心した様子だ。
すると、レイカが瓶をグラスに持ち替えて中の液体を示してみせた。
「私もこのワインは一度試飲しただけなのですが、今のタカミ君やクルス君みたいに、しばらくこのワインの世界に閉じ込められてしまいました。それほどのものなのです。
これほどの甘味と酸味があればフルーツタルトにも味で負けませんから、安心してデザートと一緒に楽しんでください。
このワインですけど、健康な葡萄が熟した直後に冬の寒さが訪れないと、ここまで綺麗に仕上がりません。不健康な葡萄ですと、どうしても余計な味がついてしまいますし、葡萄が熟さなければ、酸っぱいだけのワインになってしまいます」
レイカがグラスの中の液体を口に含んだのを見て、他の者もそれに続く。
その直後、テーブルから言葉が消えた。
ワインの持つ圧倒的な支配力に、皆が屈した瞬間であったかもしれない。
メイの目の前も白くなる。
彼女が感じている感覚はセスが感じたものに似ていたが、セスとは異なり、彼女にはこの感覚に覚えがある。
それは彼女が母親のもとで暮らしていた幼少の頃、自由に空想を張り巡らせていたときに感じたものと酷似していた。
(社長……)
不意に彼女の口から言葉が漏れた。
それはかなり小さいもので、他の誰にも聞き取れなかったに違いない。
彼女が成長するに連れて、母は徐々に厳しさを増していった。
教師であった彼女の母は団体行動が取れない娘に対し厳しく当たったのだ。
それが徐々に彼女を追い詰めていった。
それでも母親のもとを離れられない、彼女はそういう少女であった。
そして八年前、彼女は母親の自殺という形で母親のもとを離れることになる。
先ほど口に出たのは、あるときから彼女が常に心の支えとしていた人物の名だった。
(社長……私……見てきますね、東に何があるかを……)
「……すごいな、おい」
ミヤハラが他に言い表しようがない、という様子でワインを評価した。
「そうですね、ケーキと一緒に飲んでも全然負けませんね」
サクライも感心していた。
「それにしてもイナの奴……どこでこんなものを知ったんだ? あの野郎」
ミヤハラは未だ帰らぬ親友に向かってそう文句を言ってみせた。
セスはグラスの中の液体をほんの少し、持っていた封筒に垂らした。
中には荼毘に付されたウォーリーの遺骨の欠片が入れられていた。
※※
宴から三日後のLH五一年八月一日、この日は「東部探索隊」がECN社本社のあるハモネスを出発する日でもあった。
チームマネージャー以上の社員と隊のメンバーが本社大会議室に集められ、出発式が行われた。
式は極めて形式的に行われた。
これは形だけ整っていれば十分とミヤハラが判断した結果だった。
その後、メンバーは社長室に集められ、ミヤハラから激励の言葉をかけられた。
社長室には他にサクライとレイカとモリタの姿もあった。
「僕は行くことができないけど、気をつけて」
モリタがセスとロビーに声をかけた。
これがセスとの今生の別れになるであろうことを、モリタはいまだ知らない。
知っていたところで、彼の反応が変わったとは思えなかったが、あえて知らせる者もなかった。
「まあ、頑張ってくれ」
サクライは、そう声をかけたのち、一人一人の肩を軽く叩いた。
「私は社に残って頑張るから、皆も気をつけてね」
今度はレイカだ。
カネサキとオオイダが、まかせておけと言わんばかりにうなずいてみせた。
「先生に危ないことはさせられないからね」
カネサキはそう言ってレイカの前で親指を立ててみせる。
「あんまりしんみりさせないでくれ。たかが半年かそこらだろうが、縁起でもない、行くぞ!」
ロビーの言葉に他の隊員が続く。
隊に参加しない者にとっては、これがセスとの今生の別れになるであろう。
しかし、今は、少しでも早く前に進むしかなかった。
可能であれば、東部の探索を終えて、生きているセスにその結果を伝えたい。
その気持ちがロビーを急がせる。
ミヤハラ、サクライ、モリタは本社に残った。
一方、レイカとエリックが「はじまりの丘」に向かう街道まで隊と一緒に歩いた。
街道に入ったところで、レイカとエリックが隊から離れた。
ロビーとセスが二人に手を振った。
そして、隊のメンバーがあらかじめ決められた位置へ℃移動する。
隊の先頭はロビーとアイネスである。
セスと物資を運ぶためのソリを二人で引いている。
ソリの後ろにカネサキとオオイダが付いてセスを気遣っている。
その後ろにコナカ、コナカの後ろにメイ、そして最後尾はホンゴウである。
ここから「はじまりの丘」まで、八人での短い旅が始まる……
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
NPCが俺の嫁~リアルに連れ帰る為に攻略す~
ゆる弥
SF
親友に誘われたVRMMOゲーム現天獄《げんてんごく》というゲームの中で俺は運命の人を見つける。
それは現地人(NPC)だった。
その子にいい所を見せるべく活躍し、そして最終目標はゲームクリアの報酬による願い事をなんでも一つ叶えてくれるというもの。
「人が作ったVR空間のNPCと結婚なんて出来るわけねーだろ!?」
「誰が不可能だと決めたんだ!? 俺はネムさんと結婚すると決めた!」
こんなヤバいやつの話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――
EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。
そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。
そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。
そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。
そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。
果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。
未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する――
注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。
注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。
注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。
注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
ヒトの世界にて
ぽぽたむ
SF
「Astronaut Peace Hope Seek……それが貴方(お主)の名前なのよ?(なんじゃろ?)」
西暦2132年、人々は道徳のタガが外れた戦争をしていた。
その時代の技術を全て集めたロボットが作られたがそのロボットは戦争に出ること無く封印された。
そのロボットが目覚めると世界は中世時代の様なファンタジーの世界になっており……
SFとファンタジー、その他諸々をごった煮にした冒険物語になります。
ありきたりだけどあまりに混ぜすぎた世界観でのお話です。
どうぞお楽しみ下さい。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~
独立国家の作り方
SF
ドグミス国連軍陣地に立て籠もり、全滅の危機にある島民と共に戦おうと、再上陸を果たした陸上自衛隊警備中隊は、条約軍との激戦を戦い抜き、遂には玉砕してしまいます。
今より少し先の未来、第3次世界大戦が終戦しても、世界は統一政府を樹立出来ていません。
南太平洋の小国をめぐり、新世界秩序は、新国連軍とS条約同盟軍との拮抗状態により、4度目の世界大戦を待逃れています。
そんな最中、ドグミス島で警備中隊を率いて戦った、旧陸上自衛隊1等陸尉 三枝啓一の弟、三枝龍二は、兄の志を継ぐべく「国防大学校」と名称が変更されたばかりの旧防衛大学校へと進みます。
しかし、その弟で三枝家三男、陸軍工科学校1学年の三枝昭三は、駆け落ち騒動の中で、共に協力してくれた同期生たちと、駐屯地の一部を占拠し、反乱を起こして徹底抗戦を宣言してしまいます。
龍二達防大学生たちは、そんな状況を打破すべく、駆け落ちの相手の父親、東京第1師団長 上条中将との交渉に挑みますが、関係者全員の軍籍剥奪を賭けた、訓練による決戦を申し出られるのです。
力を持たない学生や生徒達が、大人に対し、一歩に引くことなく戦いを挑んで行きますが、彼らの選択は、正しかったと世論が認めるでしょうか?
是非、ご一読ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる