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バルバトスの鎧を求めて
まずは合流して廃村へ
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タラスクとの戦いはタラスクが降参したことでオレの勝利で終わった。本日、二度目の神気合一を使ってさすがに疲れたし、後でなぜ清姫の力が使えたか調べないとでもその前に、このタラスクどうしようか。会話ができる以上こいつも連れて帰って島のために役に立ってもらうか。
「タラスク、お前の処遇が決まったぞ。これからはオレたちと共に島に行き。そこで働いてもらう!それとオレの名はフリージア・エーデルワイスと言う。覚えておけ!」
『了解ッス!新たなる‘姐さん’!』
タラスク自身もオレたちと共についてきてくるようだ。
次にやることはまずはタラスクの傷を癒して、タラスクを動けるようにしてから、この洞窟から出て、清姫と頼光に合流し、山を下りて、廃村へ行き、あそこにある神の像を使って、アネモネ島へ帰還する。この道のりでいいか。
まぁ、こういうときって必ずっていいほど問屋が卸さないようなことが起きることが多いんだよなぁ。後は何も起こらないことを祈るばかりだ。
オレは清姫の力を使い魔法でタラスクを治療する。魔法で治療とタラスク自身の治癒能力の高さも相まって思ったより早くタラスクは動けるようになった。しかし、甲羅の方はまだ修復に時間がかかる。
「さすがに甲羅の修復は時間がかかるか、タラスクが動けるようになったら、すぐにでも洞窟ここを出て清姫たちと合流したかったんだが、ことはそううまくいかないか」
『姐さん、姐さん、そんな心配しなくても大丈夫ッスよ。自分は変化ができるッス。変化を使えば人間の姿になって甲羅が傷ついていてもちゃんと動けるようになるッス』
「そうなのか、なら人間の姿になってくれ、早く仲間たちと合流したい。今思うと湖に潜ってから結構時間がたっているから仲間たちが心配しているかもしれない」
『はいよー』
タラスク全体が光り出すその巨体は徐々に変化していき、そして、タラスクは人間の姿になった。
人間の姿になったタラスクの姿は美しかった。だが、このタラスクの姿に見覚えがあった。確か教会で聖女認定されている聖女リリィ様に似ていた。
「タラスク聞いていいか。もしかしてお前が言っていた。‘姐さん’ってまさか、聖女リリィ様なのか?」
『そうッス。姐さん、今は聖女なんて呼ばれてるんスね。実際の性格を思い出すととてもじゃないけど聖女なんて呼べないッスよ。姐さんは姉御肌でいろんな人たちに慕われて、説法を説きながら拳がでる人だったっス。自分と対峙したとき拳でボコボコにされたっス。あの時の顔は思い出す・・・度に・・・・・・・、ギャァァァァァァァーーーーー!!!やめて!姐さん!』
タラスクは頭を抱えて震えだす、聖女リリィとの戦いはタラスクにとって相当トラウマになっているようだ。一体何をしたんだ?聖女リリィ様、タラスクのためにもうこの話は終わりにしよう。
オレはタラスクを立ち直らせた。立ち直ったタラスクは寝床から先端が十字の杖を持ち出した。この杖はかつて聖女リリィ様が使っていた物でタラスクを屈伏させた後、聖女リリィ様が‘ある人’からいただいた物でとても大切にしていたとタラスクは言った。
オレはその杖の名前を聞いたところ、タラスクは杖の名前を答えてくれた。
杖の名前は‘聖杖リリィ・ザ・ホーリー・ケイン’というらしい。
この杖は世界樹の木の枝を使って作られているために高性能だが、扱うためには物凄い魔力が必要とする。扱えない者が杖に触れると魔力を杖に完全に吸い取られて魔力枯渇で死んでしまう。
ということは聖女リリィ様はこれを扱えるだけの魔力を持っていたことになる。タラスクは出自から莫大な魔力を持っているため、この杖を扱うのに問題ないと言う。
オレはそれを信じることにして洞窟にあった湖につながっている穴のところに向かうのだった。
湖につながっている穴に向かっている途中、ふと思うとタラスクが聖女リリィ様の姿を取ったということはタラスクはメスなのか?
「タラスク、聖女リリィの姿を取ったということは、タラスクはメスなのか?」
『違うっス、自分はオスッス。だから姐さんの象徴とも言える。大きな胸がないっスよ』
そういえば聖女リリィ様の肖像画を思い出すと大きな胸をしていたな。まだオレがアリスと名乗っていた時、自分の胸を比較して、溜息を吐いたのを覚えてる。あの時は虚しかったな~。いまは、それなりにあるからあまり虚しく感じないけど、今は羨ましいな~。
それから目的の場所に到着して、そこから湖に入り、アングレカム湖へと泳ぐ、タラスクはこの時に変化を解いて元に戻り、オレより先に行き、アングレカム湖の表面の氷を砕き、先に地上へと上がった。ただタラスクの氷の砕き方が豪快だったためにタラスクが何者かと交戦し始めた。交戦しだしたのは清姫と頼光で間違いないだろう。
そこで一悶着が発生しているけど、まだ水中にいるためにすぐには駆け付けることができなかった。
オレは水面に頭を出して陸の様子を見る。そこで清姫と頼光とタラスクが戦っていた。
オレはこの戦いを止めるべく湖から魔法を使用して清姫と頼光とタラスクの間に風を発生させる。
「何ですの!?この風は!」
「湖の方から!まさか、竜モドキの仲間か!」
『今のは、姐さんの!』
二人と一匹がオレの方へと向ける。そして、清姫と頼光はオレの存在に気がつきホッとした様子を一瞬見せた後、タラスク対して戦闘態勢をとる。
タラスクは二人の視線がオレの方へと向いているうちに変化を行い、人間の姿になり杖を構える。
オレは清姫と頼光にタラスクのことを説明するために急いで岸に上がろうと泳ぐ。
そこで頼光が何かに気づいたのか、タラスクに声をかける。
「もしかしておぬしタラスクか?」
タラスクも頼光の顔を見て何かを思い出したように頼光に尋ねる。
『頼光さんっスか!』
どうやら頼光とタラスクは互いに面識があるようだ。つまり頼光は聖女リリィ様とも面識があるということか。
「久しぶりだな。あの時以来だなタラスク」
『あの時のことは覚えてるっス。‘姐さん’と頼光さんのトリプルクロスカウンターの後、ダブルノックアウトは今でも鮮明に思い出せるっス』
トリプルクロスカウンターしてダブルノックアウトだと!何やっているんだ!頼光とリリィ様は!
頼光とタラスクは思い出話に花を咲かせるが、ただ一人清姫だけが少し困惑していた。
「どうした清姫」
「フリージア様、私わたくしの思い違いでしょうか、私、タラスク様の言葉が分かるのですが?」
ここでオレも思い返せばタラスクと普通に会話していた。タラスクと初めて遭遇したときは鳴き声しか聞こえなかったが、今では普通に会話していた。まさか、バルバトスの鎧の力が清姫たちにも効果を発揮しているのか?
清姫の言葉を聞いて頼光とタラスクもそのことに気がついた。
「そういえば、清姫殿のいう通り、なぜ普通に会話できるんだ。変化へんげしたからか?」
『自分、変化しても声は変わらないっス』
「何が原因で言葉がわかるようになったのでしょうか?」
「もしかしたらバルバトスの鎧の力がみんな伝播しているのか?」
「私が知る限り伝承にはそのような話は聞いたことがありませんが、頼光様は何かご存知でしょうか?」
清姫は知らない
「拙者も知らぬ!」
頼光も知らない
『自分も聞いたことがないっス』
タラスクの答えをもって全員が分からないと答えた。オレも聞いたことがない。なら、これはオレの能力なのか。う~ん、今ここで実験してみよう。
「清姫」
「なんでしょうか、フリージア様?」
「やっぱり、お前を島には連れていけない」
「そうですか。ならここでお別れに「Gyaaaーーー」タラスク様うるさいです。えっ!?」
清姫がしゃべっている途中にタラスクにアイコンタクトを送り、清姫と呼ばせた。しかし、清姫はタラスクの言った言葉が分からなかった。さらにオレは清姫の力である水と木の力を発動させようにも発動させことができなかった。
オレはすぐに清姫に土下座して湖で起きたことを話しつつ実験のことを話した。
「なるほど、そういうことですか。そうなるとフリージア様の能力は能力の伝播と仲間の力の行使と言うことになるのでしょうか?」
「なるほど、そうなると拙者たちがタラスクの言葉が分かるのは、フリージア殿が手に入れたバルバトスの鎧の力が皆に伝播した結果なわけか。となると拙者の力はなんだ?」
「五行でいうと金かな」
「なるほど清姫殿は水と木だが、主に木の力を強く表れて、拙者は金で、この調子でいくとタラスクは水か」
「何で?そうなる?」
確かに頼光が言った通りタラスクだと水の力が強くなった。しかし、頼光はなぜそのことが分かる?
「頼光様、もしかして私共はヤマブキの四神様に当てはまるのですか?」
「その通りだ」
四神、確かヤマブキで東西南北を司る神々のことを指していたはず、東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武、それをまとめるのが中央の麒麟または黄龍のどちらかだったはず。
‘青龍’は‘木’に当てはまり、季節は‘春’を司り、仲間内だとここに‘清姫’に当てはまる。
‘白虎’は‘金’に当てはまり、季節は‘秋’を司り、仲間内だと‘頼光’が当てはまる。
‘朱雀’は‘火’に当てはまり、季節は‘夏’を司り、仲間内だとオレになるのか?う~ん、違うな、オレは火が使えないからここには誰も当てはまらない。
‘玄武’は‘水’に当てはまり、季節は‘冬’を司り、仲間内だと‘タラスク’がここに当てはまる。
麒麟または黄龍が‘土’に当てはまり、季節は‘土用’を司り、ここにオレが入るのかもしれないな。
もし無事にアネモネ島へ戻ることができたら東西南北に四神の祠でも建てよう。
『姐さん、考え事っスか?』
「頼光の言った通り、四神が当てはまるな思ってな。現にオレが使える力を五行に当てはめると水、木、金が使える。ただそれだけではなく、清姫の持つ水、タラスクの火が限定的につかるぐらいだと思う」
「そうなると、個人的に持つ力も使えるようになるのか。拙者はそういう力はないから何もないのか」
「そうなるな」
ここまでの情報をまとめるとオレの力は仲間を集めると仲間の力を自分の力として扱うことができる。そして、オレ個人的な力を仲間に伝播することができるということか。
「まとめるとオレって仲間がいないと効果がないけど仲間が増えれば物凄く強くなるんじゃね」
「仲間はこれから増やしていけばいい。まずはどうやって増やすかだが・・・・・・・」
「皆さま、その話は島に戻ってからした方がいいかもしれません。今更ですがここで話しているとその風邪をお引きなる可能性がありますので・・・」
清姫の言葉でここがどこなのかを思い出す、そうすると今まで寒く感じてなかったのが、寒く感じるようになった。空を見るもうそろそろ夜になりそうだった。薪になりそうな木を急遽集めてたき火を作り、テントを張って見張りは交代制にしてアングレカム湖で一夜を明かした。
一夜を明かしたさい、風邪をひかなかったのが唯一の救いだった。
それからオレは皆に廃村にある神の像を使えば、アネモネ島へ戻れるかもしれないことを話す。
「あの像にそのようなことができるのか」
「それを使えば安禅から逃れられますのね!」
「そうだ。では廃村へ行こう!」
『おおーーー』
オレたちはアングレカム湖を離れ、ツバキ雪山を下りて廃村へと向かい。そこの教会にある神の像を使いアネモネ島へと帰還しようとするのだった。
フリージアが廃村に向かってツバキ雪山を下山中、とある一行が廃村へとやってきた。
「この廃村に魔族がいるのですね。安禅さん」
「はい、その妖あやかしどもは僕の妻、清姫をさらって行ってしまったのです。勇者様どうか妻の清姫を妖の魔の手かお救い下さい。お願いします!」
安禅は勇者に対して頭を下げ、清姫を救ってくれと懇願する。
「わかりました。安禅さん、あなたの奥様は私たちが見事救い出して見せましょう」
「おお、助かります。若、勇者様たちに後は任せて我々はどこかに隠れていましょう。下手をすると足手まといになりかねません」
「わかった。じい、僕たちはあの建物中で隠れていよう」
安禅たちは廃屋に引っ込み。起きるであろうフリージアとアリスとの戦いを見届けようとする。その時の隙をついて清姫を捕まえようと考えていた。
勇者アリスは仲間である。自国の王子クロード、コロンバイン兄弟のアレンとアラン、教皇の息子のミハエル、近衛騎士団長の子のバティスタ、魔術師室長の子のジャンと共に廃村を捜索を開始した。
安禅の目的など知らずに・・・・・・・
「タラスク、お前の処遇が決まったぞ。これからはオレたちと共に島に行き。そこで働いてもらう!それとオレの名はフリージア・エーデルワイスと言う。覚えておけ!」
『了解ッス!新たなる‘姐さん’!』
タラスク自身もオレたちと共についてきてくるようだ。
次にやることはまずはタラスクの傷を癒して、タラスクを動けるようにしてから、この洞窟から出て、清姫と頼光に合流し、山を下りて、廃村へ行き、あそこにある神の像を使って、アネモネ島へ帰還する。この道のりでいいか。
まぁ、こういうときって必ずっていいほど問屋が卸さないようなことが起きることが多いんだよなぁ。後は何も起こらないことを祈るばかりだ。
オレは清姫の力を使い魔法でタラスクを治療する。魔法で治療とタラスク自身の治癒能力の高さも相まって思ったより早くタラスクは動けるようになった。しかし、甲羅の方はまだ修復に時間がかかる。
「さすがに甲羅の修復は時間がかかるか、タラスクが動けるようになったら、すぐにでも洞窟ここを出て清姫たちと合流したかったんだが、ことはそううまくいかないか」
『姐さん、姐さん、そんな心配しなくても大丈夫ッスよ。自分は変化ができるッス。変化を使えば人間の姿になって甲羅が傷ついていてもちゃんと動けるようになるッス』
「そうなのか、なら人間の姿になってくれ、早く仲間たちと合流したい。今思うと湖に潜ってから結構時間がたっているから仲間たちが心配しているかもしれない」
『はいよー』
タラスク全体が光り出すその巨体は徐々に変化していき、そして、タラスクは人間の姿になった。
人間の姿になったタラスクの姿は美しかった。だが、このタラスクの姿に見覚えがあった。確か教会で聖女認定されている聖女リリィ様に似ていた。
「タラスク聞いていいか。もしかしてお前が言っていた。‘姐さん’ってまさか、聖女リリィ様なのか?」
『そうッス。姐さん、今は聖女なんて呼ばれてるんスね。実際の性格を思い出すととてもじゃないけど聖女なんて呼べないッスよ。姐さんは姉御肌でいろんな人たちに慕われて、説法を説きながら拳がでる人だったっス。自分と対峙したとき拳でボコボコにされたっス。あの時の顔は思い出す・・・度に・・・・・・・、ギャァァァァァァァーーーーー!!!やめて!姐さん!』
タラスクは頭を抱えて震えだす、聖女リリィとの戦いはタラスクにとって相当トラウマになっているようだ。一体何をしたんだ?聖女リリィ様、タラスクのためにもうこの話は終わりにしよう。
オレはタラスクを立ち直らせた。立ち直ったタラスクは寝床から先端が十字の杖を持ち出した。この杖はかつて聖女リリィ様が使っていた物でタラスクを屈伏させた後、聖女リリィ様が‘ある人’からいただいた物でとても大切にしていたとタラスクは言った。
オレはその杖の名前を聞いたところ、タラスクは杖の名前を答えてくれた。
杖の名前は‘聖杖リリィ・ザ・ホーリー・ケイン’というらしい。
この杖は世界樹の木の枝を使って作られているために高性能だが、扱うためには物凄い魔力が必要とする。扱えない者が杖に触れると魔力を杖に完全に吸い取られて魔力枯渇で死んでしまう。
ということは聖女リリィ様はこれを扱えるだけの魔力を持っていたことになる。タラスクは出自から莫大な魔力を持っているため、この杖を扱うのに問題ないと言う。
オレはそれを信じることにして洞窟にあった湖につながっている穴のところに向かうのだった。
湖につながっている穴に向かっている途中、ふと思うとタラスクが聖女リリィ様の姿を取ったということはタラスクはメスなのか?
「タラスク、聖女リリィの姿を取ったということは、タラスクはメスなのか?」
『違うっス、自分はオスッス。だから姐さんの象徴とも言える。大きな胸がないっスよ』
そういえば聖女リリィ様の肖像画を思い出すと大きな胸をしていたな。まだオレがアリスと名乗っていた時、自分の胸を比較して、溜息を吐いたのを覚えてる。あの時は虚しかったな~。いまは、それなりにあるからあまり虚しく感じないけど、今は羨ましいな~。
それから目的の場所に到着して、そこから湖に入り、アングレカム湖へと泳ぐ、タラスクはこの時に変化を解いて元に戻り、オレより先に行き、アングレカム湖の表面の氷を砕き、先に地上へと上がった。ただタラスクの氷の砕き方が豪快だったためにタラスクが何者かと交戦し始めた。交戦しだしたのは清姫と頼光で間違いないだろう。
そこで一悶着が発生しているけど、まだ水中にいるためにすぐには駆け付けることができなかった。
オレは水面に頭を出して陸の様子を見る。そこで清姫と頼光とタラスクが戦っていた。
オレはこの戦いを止めるべく湖から魔法を使用して清姫と頼光とタラスクの間に風を発生させる。
「何ですの!?この風は!」
「湖の方から!まさか、竜モドキの仲間か!」
『今のは、姐さんの!』
二人と一匹がオレの方へと向ける。そして、清姫と頼光はオレの存在に気がつきホッとした様子を一瞬見せた後、タラスク対して戦闘態勢をとる。
タラスクは二人の視線がオレの方へと向いているうちに変化を行い、人間の姿になり杖を構える。
オレは清姫と頼光にタラスクのことを説明するために急いで岸に上がろうと泳ぐ。
そこで頼光が何かに気づいたのか、タラスクに声をかける。
「もしかしておぬしタラスクか?」
タラスクも頼光の顔を見て何かを思い出したように頼光に尋ねる。
『頼光さんっスか!』
どうやら頼光とタラスクは互いに面識があるようだ。つまり頼光は聖女リリィ様とも面識があるということか。
「久しぶりだな。あの時以来だなタラスク」
『あの時のことは覚えてるっス。‘姐さん’と頼光さんのトリプルクロスカウンターの後、ダブルノックアウトは今でも鮮明に思い出せるっス』
トリプルクロスカウンターしてダブルノックアウトだと!何やっているんだ!頼光とリリィ様は!
頼光とタラスクは思い出話に花を咲かせるが、ただ一人清姫だけが少し困惑していた。
「どうした清姫」
「フリージア様、私わたくしの思い違いでしょうか、私、タラスク様の言葉が分かるのですが?」
ここでオレも思い返せばタラスクと普通に会話していた。タラスクと初めて遭遇したときは鳴き声しか聞こえなかったが、今では普通に会話していた。まさか、バルバトスの鎧の力が清姫たちにも効果を発揮しているのか?
清姫の言葉を聞いて頼光とタラスクもそのことに気がついた。
「そういえば、清姫殿のいう通り、なぜ普通に会話できるんだ。変化へんげしたからか?」
『自分、変化しても声は変わらないっス』
「何が原因で言葉がわかるようになったのでしょうか?」
「もしかしたらバルバトスの鎧の力がみんな伝播しているのか?」
「私が知る限り伝承にはそのような話は聞いたことがありませんが、頼光様は何かご存知でしょうか?」
清姫は知らない
「拙者も知らぬ!」
頼光も知らない
『自分も聞いたことがないっス』
タラスクの答えをもって全員が分からないと答えた。オレも聞いたことがない。なら、これはオレの能力なのか。う~ん、今ここで実験してみよう。
「清姫」
「なんでしょうか、フリージア様?」
「やっぱり、お前を島には連れていけない」
「そうですか。ならここでお別れに「Gyaaaーーー」タラスク様うるさいです。えっ!?」
清姫がしゃべっている途中にタラスクにアイコンタクトを送り、清姫と呼ばせた。しかし、清姫はタラスクの言った言葉が分からなかった。さらにオレは清姫の力である水と木の力を発動させようにも発動させことができなかった。
オレはすぐに清姫に土下座して湖で起きたことを話しつつ実験のことを話した。
「なるほど、そういうことですか。そうなるとフリージア様の能力は能力の伝播と仲間の力の行使と言うことになるのでしょうか?」
「なるほど、そうなると拙者たちがタラスクの言葉が分かるのは、フリージア殿が手に入れたバルバトスの鎧の力が皆に伝播した結果なわけか。となると拙者の力はなんだ?」
「五行でいうと金かな」
「なるほど清姫殿は水と木だが、主に木の力を強く表れて、拙者は金で、この調子でいくとタラスクは水か」
「何で?そうなる?」
確かに頼光が言った通りタラスクだと水の力が強くなった。しかし、頼光はなぜそのことが分かる?
「頼光様、もしかして私共はヤマブキの四神様に当てはまるのですか?」
「その通りだ」
四神、確かヤマブキで東西南北を司る神々のことを指していたはず、東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武、それをまとめるのが中央の麒麟または黄龍のどちらかだったはず。
‘青龍’は‘木’に当てはまり、季節は‘春’を司り、仲間内だとここに‘清姫’に当てはまる。
‘白虎’は‘金’に当てはまり、季節は‘秋’を司り、仲間内だと‘頼光’が当てはまる。
‘朱雀’は‘火’に当てはまり、季節は‘夏’を司り、仲間内だとオレになるのか?う~ん、違うな、オレは火が使えないからここには誰も当てはまらない。
‘玄武’は‘水’に当てはまり、季節は‘冬’を司り、仲間内だと‘タラスク’がここに当てはまる。
麒麟または黄龍が‘土’に当てはまり、季節は‘土用’を司り、ここにオレが入るのかもしれないな。
もし無事にアネモネ島へ戻ることができたら東西南北に四神の祠でも建てよう。
『姐さん、考え事っスか?』
「頼光の言った通り、四神が当てはまるな思ってな。現にオレが使える力を五行に当てはめると水、木、金が使える。ただそれだけではなく、清姫の持つ水、タラスクの火が限定的につかるぐらいだと思う」
「そうなると、個人的に持つ力も使えるようになるのか。拙者はそういう力はないから何もないのか」
「そうなるな」
ここまでの情報をまとめるとオレの力は仲間を集めると仲間の力を自分の力として扱うことができる。そして、オレ個人的な力を仲間に伝播することができるということか。
「まとめるとオレって仲間がいないと効果がないけど仲間が増えれば物凄く強くなるんじゃね」
「仲間はこれから増やしていけばいい。まずはどうやって増やすかだが・・・・・・・」
「皆さま、その話は島に戻ってからした方がいいかもしれません。今更ですがここで話しているとその風邪をお引きなる可能性がありますので・・・」
清姫の言葉でここがどこなのかを思い出す、そうすると今まで寒く感じてなかったのが、寒く感じるようになった。空を見るもうそろそろ夜になりそうだった。薪になりそうな木を急遽集めてたき火を作り、テントを張って見張りは交代制にしてアングレカム湖で一夜を明かした。
一夜を明かしたさい、風邪をひかなかったのが唯一の救いだった。
それからオレは皆に廃村にある神の像を使えば、アネモネ島へ戻れるかもしれないことを話す。
「あの像にそのようなことができるのか」
「それを使えば安禅から逃れられますのね!」
「そうだ。では廃村へ行こう!」
『おおーーー』
オレたちはアングレカム湖を離れ、ツバキ雪山を下りて廃村へと向かい。そこの教会にある神の像を使いアネモネ島へと帰還しようとするのだった。
フリージアが廃村に向かってツバキ雪山を下山中、とある一行が廃村へとやってきた。
「この廃村に魔族がいるのですね。安禅さん」
「はい、その妖あやかしどもは僕の妻、清姫をさらって行ってしまったのです。勇者様どうか妻の清姫を妖の魔の手かお救い下さい。お願いします!」
安禅は勇者に対して頭を下げ、清姫を救ってくれと懇願する。
「わかりました。安禅さん、あなたの奥様は私たちが見事救い出して見せましょう」
「おお、助かります。若、勇者様たちに後は任せて我々はどこかに隠れていましょう。下手をすると足手まといになりかねません」
「わかった。じい、僕たちはあの建物中で隠れていよう」
安禅たちは廃屋に引っ込み。起きるであろうフリージアとアリスとの戦いを見届けようとする。その時の隙をついて清姫を捕まえようと考えていた。
勇者アリスは仲間である。自国の王子クロード、コロンバイン兄弟のアレンとアラン、教皇の息子のミハエル、近衛騎士団長の子のバティスタ、魔術師室長の子のジャンと共に廃村を捜索を開始した。
安禅の目的など知らずに・・・・・・・
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