上 下
11 / 76
時を超えて

ここは『インフィニティ・ワールド』だった

しおりを挟む
 暗い、周りが暗い。しかし、周りの物ははっきり見える。無数の線がはっきり見える。
電車と電車が連結するような、USBコードを差してつなげるような、または途切れたコードをはんだごてでつなげて修理しているようなものが無数に見える。
もう何がしたいのかわからない。転結、差す、修理、溶接、何かしら繋ぐことになることが周りで起きている。
この線は一体何とつながろうとしているのかわからない。
動いてみようとする。しかし、動けない。
全身に力が入らない。今は思うと、現在、寝ているのか立っているのかわからない。感覚がない。
わかっているのは目に入るものだけ。いったいこの身に何が起きているのか?
よく見ると線は下から上に伸びる。それだけではなく。上からも下に伸びていった。
線と線がつながろうとしている。
上下の線はいったいどこから伸びているのか?わからない。何もわからない。情報がなさすぎる。

 周りのことはわかならないなら今度は自分のことを考えよう。
なぜ自分はここにいるのか。
これもわかない。
『ナンバーズ』ってやつに撃たれて、その後、村人を取り押さえられ、地面に倒されて、銃にチャージしてできたチャージ弾が爆発。それから今まで意識がない。
ということはここは村の納屋か蔵ということだろうか。いや、こんな納屋や蔵は知らんぞ。前世でもない。ということは『ナンバーズ』が用意した牢獄か。
線と線が繫がるのは人の記憶や思考を読み取るためだろうか?
それなら、あの逃走劇が何のためにやったかわかってくれるだろうか・・・。なんだかあの男には無理な気がする。
なんか「嘘をつくな!」とか言って怒鳴っていそう。
ここから出るには自分から出るしかないか。今は動けない以上、動けるようになるまで回復するを待つしかないな。

 そういえば逃走中に鎖付きブーメランと万能地雷グレイモアがアイテムボックスに入っていたっけ。あれはなんでだ?
さらに村人たちに囲まれたときにはアイテムボックスが開けない状態になっていた。あれは一体どうことだろうか?
あの男が何かやっていた・・・。わけでもなさそうだし、いったい何が?
今はどうだ。

アイテムボックスを開けようとしたがうんともすんとも言わず、沈黙している。

というかこの状態ではアイテムボックスを開けないか。
動けるようになるまで待つしかないか。
なら寝るか。
動けるようになるまで何もできない以上は考えるだけ、体力や気力の無駄。こういう時は寝るに限る。
ということでお休み。
しかし、眠れない。
明晰夢でも見ているのだろうか。
いや、明晰夢は見ている夢を、夢と自覚しているこという。
俺自身、この状況を夢と認識していない。だから明晰夢ではない。
ならなぜ眠れないのか。わからない。
本当に今の状況に関してわからないことだらけだ。
時間が過ぎ去るのをただ待つしかないのか。もう何も考えず、ぼーっとしているか。

眠れず、何もできず、ただ時間が過ぎていった。
周囲は変わらず、糸と糸がつながったりしている。
さらに時間が過ぎてゆく。
どんどんと過ぎてゆく中、少しづつ変化がらわれた。
無数につながった糸が集まりだしてタコ糸ようになりだした。さらにそこから集まり太くなってゆく。
それらが繊維ように絡み合い始める。絡み合い始めたところで世界側変わっていく。
最終的には絡みに絡み合って、暗かった世界が一面真っ白な世界になった。
これは一体どういうことだろうか。本当にわからないことだらけだ。
影ができず、上下左右一面真っ白な世界。
いったいこれはどういうことだろうか?
そこで動こうとしたら、これまでのことが嘘のように自然と体が動けるようになった。
ただ、突然のことだったので慌てふためき、暴れまわってしまう。
訓練もなしに無重力のところに放り出された感じと言えばわかるだろうか。
少しして何として体を止めることができた。
今は無重力、上も下もない。ここは一体どこだろうか?
そう思っている中、突如人影らしきものが前に見えた。
なぜ人影が表れたか知らないが、なにもわかない以上、その人物から話を聞くしかなった。
何か知っていると思い近づく。
近づくにつれて人影の輪郭がはっきりしてきた。
すぐそこまで来ると、人影の顔を見て驚かざる得なかった。
近づいた人影の正体は、前世でプレイしいた『インフィニティ・ワールド』のアバター、凰牙だった。

「馬鹿な・・・」

思わず声が出てしまった。
本物かどうか調べるため接触できる位置まで近づこうとすると、凰牙に変化が見られた。
突然、凰牙が0と1に分解され始めたのだ。
慌てて、手を出そうとしたが、またもや体が動けなくなった。
動けなくなって凰牙の分解をただ見ているだけかと思ったらおかしなことが起き始めた。
凰牙が0と1に分解されている中、分解された0と1は俺のほうへときて中に入ってく。
凰牙がどんどんと分解され、分解されたものを俺が吸収する。
そんなことが起きていた。
凰牙が完全に分解され、オレが全部を吸収した際、世界が光だし、光が強くなっていくにつれて、目を開けていられなくなり目を閉じた。
目を閉じたとき、意識が朦朧とし始めた。
そのとき声が聞こえた。

「かつてあなたの本当の力をお返しします。あなたたちには新たな生を、デスゲームではなくなったこの世界を見てほしい」

この声は一体誰だろうか?俺が今まで生きていた世界は『インフィニティ・ワールド』だったのか?
そう思って意識を失った。



「真の英雄の帰還、凰牙、いや、テレサ、あなたはこの世界に何をもたらしますか?すべてを見届けさせていただきます。あなたのすぐ近くで・・・、異世界へと昇華した『インフィニティ・ワールド』で会いましょう」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...