上 下
12 / 12
冒険者 Gクラス

閑話 グレンたち

しおりを挟む
 リィスを一人、ゴブリンキングがいる部屋に閉じ込めて前の小部屋に戻ることにしたグレンたちはまだ作戦中であるのに荒れていた。
グレンは悔しさのあまり壁をたたき、クリスはただ下をずっと見続けて、キルティは泣き出してしまう。
3人ともとても悔しかった。何もできず、リィスを一人おいていくことしかできなかったことに。
戦力差は歴然で勝ち目などない。それでも勝てるとしたらおとぎ話に出てくる勇者たちぐらい。
ここにいるのは最低ランクの冒険者だけ、勇者ではない。
ただリィスの無事を祈ることばかりだった。

3人は知らなかった。が超高温のへやに留まり続けて生きていることは不可能であるということを。

3人が今できることは部屋で待機してゴブリンが壁を破って出てきたところを待ち構えることだけ。
ただ何もせず待ち続けることは不安にさせる。すぐに破られることがないといえ、ずっと待ち構えて待ち続けることは、グレンとキルティには初めてだ。
待ち続けて神経をすり減らして待ち続けて3人は奥の部屋からゴブリンが出てこないことを願い、出てくるのはリィスただ一人であることを祈る。

 3人はさらに待ち続けて神経をとがらせてすり減らした。
奥の部屋を封じてどれくらい時間がたったのか、1時間かそれともそれ以上時間がたったのかわからない。
いくら待っても奥の部屋の入り口に変化はない。
三人は変化を見逃さないように集中する。
ベテランの冒険者なら、交代で奥の部屋の入り口を監視しているだろう。
しかし、三人はまだ初心者冒険者、そんなことは頭になかった。
そのせいで疲れをためていった。いつの間にか神経をすり減らして過ぎて倒れてしまった。

 三人が倒れて少しして、部屋に音が鳴り響く。
その音で三人は意識を取り戻した。

「なんだこの音!」
「まさか、奥の部屋から」

三人は奥の部屋を見て警戒するが、奥の部屋の入り口に変化はない。
それに音がするのは奥の部屋からではなかった。
背後から音は鳴り響いて入りる。つまり音は自分たちが入ってきた入り口のほうからしているということになる。

「まさか、巣の入り口のゴブリンたちが戻ってきて壁を破壊しようとしているのか」

この時のグレンは冷静だった。
すぐに二人に指示を出して迎え撃つ体制を整える。

三人が迎撃準備を完了した時には、壁がいつ崩壊してもおかしくないほどにひびが入っていた。
息をのみ、壁が崩壊するのを待った。そして、壁は崩壊して壁の先から何かが部屋の中へと入ってきた。
入ってきた何かにクリスは弓を射る。
何はクリスの攻撃に反応して避けた。

「うぉっ!あぶねぇ!」

この時、部屋に入ってきてた何かは言葉を発した。
それを聞いて攻撃しようとしていたグレンは手を止めた。
部屋に入ってきた何かは人間だった。
グレンはすぐに二人に攻撃しないように指示を出した。

「待て!入ってきたのは人間だ!」

クリスは第二射をやめて、キルティは詠唱を止めた。

「あぶねえな、この野郎!」

入ってきた人は近くにいたグレンに攻撃しようと武器を振りかぶった。
だが、そこに武器を振りかぶった人を止める声がかかる。

「やめろ!そこにいるのは人間だ!ゴブリンじゃない!」

声を聞いて入ってきた人は動きを止めた。
振りかぶったまま前にいるグレンに気づいた。
武器をおろして、周りを確認し始めた。
グレンたちはほっと息をついた。ゴブリンが入ってくるかと思っていたら人間が入ってきたので驚きもして少し安心したのだった。
入り口から人が入ってきた。
リーダーと思わしき人から状況説明するように言われ、グレンたちは素直に従った。

「まさか本当にゴブリンキングがいるとは・・・」

彼らはここにゴブリンキングがいることに半信半疑で来たようだ。

「神託は本当なのです」

パーティの一人の女性が神託でここにゴブリンキングがいること知ったといった。
その人は神託といったから教会関係者と思われるが恰好からして僧侶には見えなかった。

「神託とかはどうでもいいですよ!奥の部屋に女が一人、戦っているんでしょ。早く助けに行かないと」
「待て、ワレーラ。壁を壊そうにもジャギーが壁を壊したばかりで疲れている少しは休ませないと壁を壊せない」
「だけど」
「壁を壊したらすぐに戦闘だ。万全の状態で挑まなければこちらがやられる。それに彼女が一人、奥の部屋に残ったのは覚悟の上だろう」

ワレーラと呼ばれた少年は苦虫を嚙み潰したよう潰したような顔をして一度奥の部屋をじっと見続けて最初に部屋に入ってきたジャギーの体力が回復するの待つ。
他の人たちも待機し始める。
グレンたちは入ってきたパーティの人たちとあいさつを交わす。

グレンたちはここに来たパーティの名を聞いて驚いた。
ここに来たパーティは冒険者ならだれもが聞いたことがある超有名なパーティだった。

「ま、まさか・・・、あの『エンデュミオンの鷹』だったとはさっきは失礼しました!」

そう言ってグレンは頭を下げた。
『エンデュミオンの鷹』と呼ばれた人たちはあまり気にしいなかった。

「謝らなくていいよ。あのように警戒するのは当たり前だからね。それどころかあのようにすぐに対応できたこといいことだよ」
「ありがとうございます!」
「だけど」
「だけど?」
「まずはさっきのような状態にならにように気を付けるように」
「わかりました。気をつけます!」

グレンは次は気を付けるように注意を受けた。

『エンデュミオンの鷹』それは冒険者の中で有名なパーティで、スペリオルウィーク・を中心とした若手の5人組のパーティだ。
スペリオルウィーク以外のパーティメンバーの名は壁壊しと呼ばれるジャギー、スペリオルウィークの従者ロージア、魔法使いのラベンダー、狩人のハルカサネである。
現在は、新たに表れた勇者様御一行の指南役をしている。
『エンデュミオンの鷹』がここに来たのは勇者御一行の聖女がここにゴブリンキングがいることを神託で受けてきた。

「勇者・・・」
「まさか、勇者が表れたという噂は本当だったということですか」
「ああ、あそこにいる。勇者のワレーラ、聖女のロリー、勇者の従者のコンダ、ショータ、ズーキの5人。」

そうこの5人がリィスが冒険者登録しようとして冒険者ギルドの登録装置を壊して回ってしまった人たちである。
そうやって世間話をしてジャギーの回復を待った。
ジャギーの回復を待つ前に異変が起きた。奥の部屋から壁をものすごく強くたたく音が聞こえてきたからだ。
スペリオルウィークの元新たな迎撃態勢が敷かれ合図で全員が配置につく。
音が響くにつれて奥の壁がひびが入っていき、ついには壁が崩壊して、ものすごい熱風が全員を襲った。
誰もが目を背けてしまった。
いったい奥の部屋から何が出てきただろうか・・・。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す

大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。 その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。 地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。 失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。 「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」 そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。 この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

斑目 ごたく
ファンタジー
 「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。  さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。  失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。  彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。  そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。  彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。  そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。    やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。  これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。  火・木・土曜日20:10、定期更新中。  この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?

ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。 それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。 「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」 侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。 「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」 ※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい…… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

しげき君とせじま様2

GGG_123
ファンタジー
発明好きの少年である滋樹は試作した健康サプリの副作用でとんでもない中学生活を送ったが、なんとか副作用を克服して、中学校を卒業した。しかし、運命はさらなる試練を滋樹に与えるのであった。衝撃の第2幕がここに上がる。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

処理中です...