Bグループの少年

櫻井春輝

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第四章 Bグループの少年と夏休み

第七話 二日目の始まりは……

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 これは亮が恵梨花に呼ばれるほんの少し前のこと――
「今日ほど……今日ほど、あの中を見たいと思ったことは無い」
「ああ……」
「そうっすね……」
 そこの前では学年問わず男子部員が集まって、深刻な顔で囁き合っていた。
「くそっ……どうして俺には、あの中へ入る権利がないのか」
「その権利を手に入れるためなら何だってしてやるというのに……!」
「ああ、くそっ、見たい……!!」
「本当にな、気が狂いそうだ……」
「あの、あの向こうには間違いなく桃源郷があるというのに……!」
「……本当に今日ほど、あの中を覗きたいと思ったことは無いな……」
 合宿中の彼らを、思春期真っ只中の彼らを苦悩させている要因はたった一つである――
「なんだって、俺達は女風呂へ入れないんだ――!」
 耐え兼ねたように男子達は吠えた。
 彼らは今、浴場入り口脇にある自販機のコーナーで揃いも揃って屯っている。
 風呂に入る前の者もいれば、入り終えた者とバラバラであるが、男子部員達が狭いコーナーに集まっている訳であるから、その場は非常に暑苦しく汗臭い一角となっている。
 そんな彼らの狙いは一つ、風呂上りの藤本姉妹を目にすることである。
 入浴の時間になり、恵梨花と雪奈の姉妹が女子部員達と一緒に浴場に向かうのを見た男子部員達は、否が応でも想像力を掻き立てられた。何に対してというのは言うまでも無い。類稀なほど美しい姉妹の入浴姿である。
 もう中を覗きたくて仕方のない男子達である。思春期真っ只中の高校生なら仕方のないことだろう。
「藤本さんがいるだけで、あそこの価値は測り知れんというのに……!」
「……今はお姉さんまでいるからな……」
「あのお姉さん、ちょっと可愛すぎるんだけど……」
「藤本さんにも言えることだけどな……」
「なんだよ、あの二人。あんなに可愛い姉妹とか初めて見たわ」
「揃って性格良いし、スタイルも良しとか」
「断言出来る、俺のこの先の人生であの二人以上に美人な姉妹には絶対にお目にかかることなんてない」
「み、見てえ……!!」
 血の涙を流さんばかりな男子部員達である。
 そしてこういう状況、漫画やアニメなら覗きイベントは必至であるが、彼らはその凶行には走っていない。
 それは普通に犯罪だからしてはいけないという常識的な道徳心と、後もう一つが彼らを押し留めていた。
「……覗ける場所が奇跡的に見つかったとしても……」
「……バレたら確実に殺されるな――桜木に」
「ああ。何せ俺達が全員、得意としてる竹刀を持って襲いかかっても確実に返り討ちになるのわかってるからな……」
 それが誇張表現でも何でもなく、事実為されてしまうことは今日嫌というほど己の体で知った彼らである。
 そういう訳で彼らは覗きなんて普通に犯罪的なことをせず、せめて風呂上りの姿を見させてもらおうとこんな狭苦しいところで待機しているのである。
「あいつ、何なんだ? 何で目隠しして俺達全員相手して無傷なんだ?」
「ほんとそれ。あれ、心眼ってやつだろ? サラッとこなすなよな……」
「なんか、生き物としての格が違う感じだよな……」
「猪狩ってくるしな……」
「それな。いや、ビビるわ。いきなりあんなでかい猪獲ってくるとか」
「本人は木にぶつかって死んだのを拾ってきたとか述べてるけどな」
「……あいつ、言い訳っていうか、その辺すげえ適当だよな」
「ああ、朝とかもひどかったしな」
「あれな、『夏休みデビュー』はひどいよな」
「使い方間違ってますし。夏休み始まったばかりだから、ある意味合ってますけど」
「……とりあえず、とんでもなく強いってのはよくわかったな」
「その表現が控え目に感じるのがまたすごいっすね」
「……本当だな」
「それよか、明日どうするよ? 明日もまた全員で桜木に襲いかかって……あいつが満足するような連携とれなかったらどうなるんだ?」
「……怒るとか……?」
「あり得るな……動いてないやついたら怒鳴ってたぐらいだしな」
「機嫌悪くなったら、練習きつくなりそうだな……」
「……それヤバくね?」
「ヤバイな」
「うっす……」
「……ちょ、ちょっと真面目に連携について話し合いした方がよさそうだな」
「そ、そうだな」
「ですね」
「連携についてってか……それもそうだけどお前、足音もうちょっとどうにかしろよ」
「……え、ひどかったか?」
「……ちょっと目だってましたね。多分、僕もでしたけど」
「マジか……でも、そう言うお前は大振りが過ぎてなかったか?」
「え、そうか?」
「ああ。その時のブンって音とかけっこう目立ってた」
「……そうか。気つける」
「そもそも、あいつ音とか薄ら布ごしに当たる光とか見て動いてる訳だろ? 全員、動きもうちょっとコンパクトにした方がいいんじゃねえか?」
「あー……確かに……」
「なるほど……」
 
 期せずして、各々が真面目に今日思ったことなどを話し始め、反省会が始まる。
 亮に怒られたくないというのもあるが、やはり男として一矢報いたい気持ちもあり、互いに気づいた点などを話し合うその姿は真剣で中々に凛々しかった――場所にさえ目を瞑れば、であるが。
 そうこうしている内に、女風呂の扉が開かれ、女の子同士の華やいだ声が耳に届き、男子部員達の注意が一斉にそちらへと向かう。その一糸乱れぬ動きは、見事の一言に尽きた。
 亮がいれば、その団結ぶりを連携で発揮しろと言っていたに違いない。

「うー、暑いね」
「ええ。でもスッキリしたわね」
「うん。汗いっぱいかいたもんね」
「はあ、でもやっぱり運動不足ね。体のあちこち痛くなってきたわ」
「あ、部屋に戻ったら、柔軟しよっか。亮くんにも言われてたし」
「そうね。そうしましょ」
 出てきた一団には、藤本姉妹以外の女子部員達もいるが、男子部員達の目には恵梨花と雪奈の二人しか映っていなかった。
 それは女子部員達が魅力的でないという訳ではない。
 単に、姉妹二人の魅力が眩し過ぎる故、どうしてもそっちに目が奪われてしまうためだ。

「お、おお……」
「髪が少し濡れてる……!」
「あれは普段なら家の中でしか見れん姿……!」
「神々しい……!」
 男子部員達がコソコソと囁き合う。
 そんな彼らに気づいた女子部員達が、こんなところでこんな大人数が何をしてるのかと訝しむ。が、すぐに傍にいる美し過ぎる姉妹を横目に察した顔になり、呆れた表情になり、そしてゴミでも見るかのような目になる。
「あんた達ね、そんな狭いところで集まり過ぎ。そんでわかりやす過ぎ」
 女子部員の一人が見下げ果てたように口にするも、男子部員達の耳には禄に届いた様子は無い。
 女子部員が呆れたと首を振る。そして男子がこんなとこでこんなに集まって何をしてるのかと不思議がってる雪奈へと、緊張を顔に貼り付けた三年の男子部員が果敢に一歩踏み出した。
「あ、あの、お姉さん、もし良ければ、これから親睦を兼ねてトランプなんて一緒にどうでしょうか……?」
 他の三年男子がよく言ったという顔をする前で、雪奈は困ったように微笑んだ。
「誘ってくれてありがとう。でも、一日運動なんて慣れないことして疲れたから、もう部屋でゆっくり休むつもりなの。ごめんなさい」
 髪をかき上げ、そこからフワッと良い匂いを漂わせながらのお断りに、三年男子は顔を紅潮させ、ブンブンと首を振る。
「いえ、そんなとんでもないです! こちらこそ、気を遣わせて申し訳ありません!!」
 どこか舞い上がってるかのような男子に、雪奈は眉を寄せて微笑んだ。
「いいえ。こちらこそせっかく誘ってくれたのにね、ありがとう。それじゃ――おやすみなさい」
「は、はい――! おやすみなさいませ!!」
 三年男子は断られたにも関わらず、どこか嬉しそうにしながら直角に腰を折った。
 それに対し苦笑気味に微笑んだ雪奈は、次いで後ろにいる男子部員達にニコリとしながら会釈すると、部屋に戻って行った。
 恵梨花と雪奈達が去ってから暫しして、男子部員達は呆然と声を出し始める。
「あかん……あんないい匂いさせながら至近距離で微笑まれたらもうあかん……」
「俺、マジで心臓が撃たれたような衝撃が来たんだけど」
「俺は背中に雷が落ちたかと思ったんだけど」
「……あれは直撃したらあかんやつや……」
 口々に苦悩を吐き出すかのような男子部員達。
 その場にいた男子を一人残らず虜にしてしまった雪奈であった。



◇◆◇◆◇◆◇



「いらっしゃーい、亮くん」
 恵梨花に迎え入れられて亮が部屋に入ると、途端に同じ民宿の部屋とは思えないほどの良い匂いが鼻に入ってきて、ドギマギしてしまう。
「ワザワザすみません、亮さん」
「いらっしゃい、桜木くん。どうぞ、そこ座ってくれる?」
 雪奈、古橋が恵梨花と同じく寛いだ格好で歓迎の言葉を返す。
 三人とも、風呂上りなのだろう。ドライヤーを当てた後なのだろうが、薄らと髪が湿っているのがわかる。
 格好は揃って、体操服の短パンにTシャツである。出身校の違う雪奈だけ色が違う短パンを着用している。
 色気のある格好とは言えないが、腕も足も半分は露出しており、白のTシャツは色々と透けている。
 更には雪奈はもちろん、恵梨花の風呂上り姿を見るのが初めてな亮は心臓の鼓動が早まるのを感じながら、目を泳がせた。
 だけでなく、今日は何かと雪奈のことを言われてどうにも意識してしまいそうになって、努めて亮は考えないようにした。
「お茶飲む? はい、これ。じゃあ、早速だけど柔軟するから見ててもらっていい?」
「あ、ああ、いいぞ」
 そう返して亮は座布団の敷かれた場所に腰を落とし、いれてもらったお茶を片手に持つ。
 亮が部屋に呼ばれた理由として、恵梨花が言った通り、二人が柔軟するのを見守るためである。
 一応、今日に亮から習ったとは言え、忘れてる部分もあるかもしれないし、間違いが無いようにとのためだ。
「では、お願いします――ハナ、そっちの方広げてくれる?」
「うん」
 そうしてスペースを作って二人が柔軟を始めるのを亮は見守り始める。
「一、二、三、四……」
 二人揃って秒数を数え、時に互いに補助も交えて、柔軟を進めていく。
 見た目麗しすぎる姉妹がそうやっている姿は非常に目の保養になり、知らずの内に亮の頬が緩んでいく。それは古橋もだったようで、感心したようでありながら、微笑ましそうに二人を見ている。
 だが、男の亮にはそれだけですまないことがチラチラ見え始めたりする。
 第一に、二人とも抜群のスタイルをもっていることから、体を伸ばしたりした時にそのスタイルのラインが強調されたりするのである。道着の時ではそう目立っていなかったところが薄着になったことで、主張を始めるのである。
(……やっぱり二人ともでかいな……)
 亮は目がそこにばかりいかないようするのに非常に苦労した。
 第二に、二人ともTシャツを着ているため、体を伸ばした時にTシャツの下にある綺麗な素肌が見え隠れするのである。
 だけでなく、体を伸ばした際に短パンが少しずれて下着が見えたりして、亮はギョッとしつつ目を逸らした。
 そうして顔を赤くして少し挙動不審になった亮に、古橋が気付いて首を傾げていたがすぐに察したようで、どうしたものかと両者を見比べた末に、姉妹に対して何も言わず、亮に生暖かい視線を送っていた。
 ちなみにの話で、何をとは言わないが、恵梨花は薄いピンクで、雪奈は水色だった。
 極力見ないようにしていた亮だったが、見えてしまったものに対しては仕方ないと脳内フォルダにしっかりと保存していたりする。
 こうして述べると亮に対してただラッキーが降りかかったようにも思えるが、そうとも言い切れないところがある。
 色々と耐え難き自制と忍耐を強いられた時間でもあったというのも間違いないのだ。
 そんな、亮に対して思わぬ試練と極楽を伴った柔軟の時間は程なくして終わりを迎える。
「――これで良かったかな? 何かまだやってないことあるかな?」
「そうね……全部やったと思うけど……どうでしたか、亮さん?」
 柔軟の間に少し汗ばみ、肌に髪が貼り付かせてどこか色っぽくなった二人に顔を向けられて、亮は目を泳がしながら頷いた。
「お、おう……も、問題ねえと思うぞ……」
 そんな亮の態度に姉妹の二人が小首を傾げる。
「そっか……? 亮くん、どうかした?」
「? 何か変なところがあったのなら遠慮なく言ってくださいね、亮さん」
「い、いや……ゴホンッ、何でもねえから。二人ともちゃんとやれてたから」
「そう……?」
「そうですか……?」
 尚も首を傾げる二人をなんとなく直視出来なくなった亮は目を逸らすと、横で古橋が口に手を当ててクスクスと漏らしていた。
「ああ、そうだ、桜木くん。ちょっとお願いがあるんだけど」
 どこか変な空気が漂いかけた時に、古橋が思い出したように聞いてきて、亮はホッとしつつ目を向けた。
「何ですか?」
「うん。今日ね、桜木くんが藤本さん達に受け身教えてるのを見てて、うちの子達も習いたいって言ってきたんだよね。出来たらでいいから、ちょっと見てくれないかなーって思って」
 少し申し訳なさそうなのは、女子部員達には剣道の指導もしているからだろう。
 亮は少し考えてから答えた。
「構いませんよ」
「本当!? ありがとう!」
「ええ、恵梨花とユキの復習にもなりますしね」
 そう一言添えると、恵梨花と雪奈が顔を輝かせた。
「あ、確かにいい復習になりそう」
「そうね」
 そんな二人に亮はからかいを含んだ笑みを向ける。
「何か勘違いしてねえか、二人とも?」
「え、何が?」
 顔を見合わせる姉妹に、亮はニヤッとする。
「何がって、二人が教えるんだよ。今日覚えた受け身を」
「え、ええええ!?」
 仰け反ったように驚く二人に、亮はニヤニヤとする。
「ど、どうして私達なんですか? 亮さんが指導されるんじゃないんですか?」
 雪奈が焦ったように問うと亮は肩を竦めてみせた。
「俺は二人が間違ったことを言ったり、しないかを後ろから見ることにする。まったく指導しない訳でもねえよ」
「そ、そうですか……」
 ホッとした様子の雪奈の隣で恵梨花が首を傾げる。
「でも、どうしてそんな形にするの?」
「教えることも上達への近道の一つだからな」
「ああ……」
 古橋が納得したような声を出した。
「なに、今日俺が教えたことと、自分が出来た時にわかった感覚とか、その辺教えりゃいいんだよ」
「……間違ったこと言ったら、亮くん止めてくれるの?」
「ああ」
「……わかった、やってみる」
「おう、頑張ってくれ」
 亮が軽くエールを送ると、姉妹は苦笑を浮かべて頷いた。
「……まあ、桜木くんが見ててくれるならいいか。うん、何でも全部桜木くんに見てもらうよりかは、気も楽になりそうだし……そうね、明日はよろしくお願いします」
 そう言って頭を下げる古橋に、恵梨花と雪奈は困ったような笑みを浮かべた。
「……はい、なんとかやってみます」
「ご期待に添えられるといいのだけど……」
 そんな二人に古橋は笑い飛ばすように手を振った。
「あはは。今日の二人見た後だと問題ないように思いますけどね」
 そうだろうなと、亮は内心で同意しながら頷いた。
(二人とも、思っていた以上に筋が良かったしな……)
 二人の兄と妹がそこそこの使い手なだけある。
 それから今日のことについて雑談し、笑い声を上げて過ごす。
 特に恵梨花と雪奈にはどれも初めての経験のことだったために、話題は尽きない。
 そうして一時間も過ぎた頃に、普段あまり体を動かしていない二人、恵梨花と雪奈が少し眠そうになり始めたことに気づいた亮は、その場から立ち上がった。
「もう遅いし、俺は部屋に戻るな」
「ああ、もうこんな時間でしたか」
「そうね、明日も早いしね」
 雪奈と古橋が時計を見上げながら言うと、恵梨花も立ち上がった。
「あ、なら、亮くん、ちょっと――」
 言いながら恵梨花が雪奈と古橋を見ると、二人はニマニマとしながら生暖かい視線を返す。
「ふふ、遅くならないようにね」
「こちらは気にせずどうぞ?」
 そんな風に返されて恵梨花はサッと顔を赤くする。
「う……い、行こ、亮くん」
「あ、ああ……じゃあ、おやすみ、二人とも」
「はい、おやすみなさい」
「ええ、おやすみ」
 二人の声を背に、亮と恵梨花は一緒に廊下へ出た。
「……どうかしたか?」
 亮が問うと、恵梨花は少し気恥ずかしそうに言った。
「あ、うん。折角だし、ちょっとだけ二人で話したいなーって思って……」
 ダメ? と上目遣いで問われて亮は一瞬、呆けてしまって、すぐまごつきながら返した。
「あ、そりゃいいけど……じゃ、じゃあ……ちょっと外出るか?」
 そう提案したのは、今近くを通りがかった女子部員にニヤニヤとした視線を向けられたからだ。
「そ、そうだね……ちょっとお散歩しよっか」



「あ、思ってたより涼しい……」
 外に出て風を浴びた恵梨花が心地良さそうに呟いた。
 それに自然の中で吹く風はエアコンとはまた違う心地よさを与えてくれる。
「ほとんど山の中だしな。夜は街中より断然、涼しくなるよな」
 亮は頷いて返すと、恵梨花へ手を差し伸べる。外は街灯も少なく暗いためだ。
 恵梨花は当然のように亮の手を握ると、二人は手を繋いでどこへともなくゆっくりと歩き始めた。
「疲れてねえか? 大丈夫か?」
 先ほどは少し眠そうにしていたから気遣って亮が声をかけると、恵梨花は首を横に振る。
「うん……疲れてはいるけど、大丈夫。この後、すぐに寝るし」
「ああ、そうした方がいいな」
「……亮くんは? 疲れてないの?」
「俺は別に、かな。そんな疲れるようなことした覚えねえし」
「そ、そっか……」
 どこか引きつりそうな顔をした恵梨花に、亮は聞いた。
「何か話したいことでもあんのか?」
 ただ二人っきりになりたいからこうしているというのもあるのだろうが、それだけじゃないと思っていた亮が問うと恵梨花は頷いた。
「うん、言おうかどうかちょっと迷ってたんだけど……ユキ姉のことなの」
「ユキ?」
「うん……ユキ姉ね、『あの日』から男の人、苦手になっちゃって」
 その声音の深刻さから、『あの日』がいつのことかと亮はすぐに察した。
「ああ……そりゃ、無理もねえな」
 然もありなんと亮は頷いた。が、すぐに首を傾げた。
「? それなら――」
 自分はどうなのかと続けようとしたところで、恵梨花が先回って答えた。
「亮くんは別枠に決まってるじゃない」
「そ、そうか」
「決まってるじゃない。亮くんに助けられたんだから」
「……そうか」
 恵梨花は微かに苦笑を滲ませた。
「最初はね、お父さんとお兄ちゃん以外の男の人が近くにいるのもキツかったみたいで……それも、時間が経つにつれて少しマシになっていったみたいなんだけど、でもやっぱり狭いところであまり知らない男の人が近くにいるのはキツいみたい」
「……それは無理もねえだろ」
 今日一緒にいて、そんな素振りをまったく見せなかった雪奈に亮は驚嘆していた。
「そこでちょっと相談なんだけど……」
「なんだ?」
「うん。なんて言うか、予想はしてたんだけど、男子部員の人達がね――」
 困ったような笑みを浮かべての恵梨花のその言葉に亮はすぐに察した。
「ああ。何か誘われたりしたってか?」
「うん。多分、口にした通りに交流をってことなんだろうけど、流石に男の子の部屋には……ってね」
「まあ……連中なら悪さすることもねえとは思うけど」
 今日男子部員全員と竹刀で打ち合って、彼らの性根については大凡であるが亮は理解しているつもりである。基本、全員善人と言っていい。
 雪奈が部屋に行って、そうそう不愉快な思いをして来ることもないと思える。
「私もそう思うけど、ね」
 そう言って恵梨花は、何か期待するように亮を見上げる。
「……俺から誘うなって言えばいいか?」
 そういうことだろうかと亮が問えば、恵梨花は少し考えてから口を開く。
「ううん。わかると思うけど、ユキ姉ってしょっちゅう男の人に声かけられるから、断り文句を出すの慣れてるの。だから断りたい時は自分から断れるからそこは大丈夫」
「……? じゃあ、どうしたらいい?」
 そう言われると何を求められてるのか亮にはわからなかった。
「うん。もしなんだけど、ユキ姉がまた誘われて、断らず応じたら、その時、亮くんも付いて行ってくれないかな、って……」
「そりゃ構わねえけど……応じることがあるのか?」
 しんどいのなら断ればいい話なのにと亮が聞き返すと、恵梨花は苦笑した。
「そうだけど、ユキ姉、今のままは良くないって考えてるみたいだし、それにユキ姉だけ学校が違うから、断り続けるのも難しいと思うの。親睦を兼ねて誘われてる訳だしね」
 今のままというのは男性を避け続けるということだろう。
 それを考えると、男子部員達が相手なら、そう滅多なこともおこらないだろうからリハビリにはいいかもしれない。
「……なるほどな。言われてみれば断り続けるのもしんどい、か」
「うん。それでも、ユキ姉は亮くんが一緒なら、どこでも大丈夫だと思うんだ」
「まあ……わかった。その時は一緒にいてやるから、いつでも言えってユキに伝えときな」
「ん。ありがとう、亮くん」
 繋いでいた手をギュッと強く握り、ニコッと見上げてきた恵梨花と目を合わせて亮はふっと笑う。
「しかし、モテるのも大変だな……そういや、恵梨花は誘われてないのか?」
 何気なく亮が聞くと、恵梨花はクスリと笑った。
「亮くんが近くにいて、亮くんから隠れて私が誘われると思えないんだけど」
「あー……まあ、そうなるか」
 亮との力の差をあれだけ思い知らされて、流石にもうそんな無謀なことをする男子部員はいないだろう。
「もうなんか、剣道部の人達の亮くんを見る目って、なんかスーパーマン見てるみたいだったよ」
「いや、スーパーマンって」
 亮が苦笑気味に顔をしかめると、恵梨花はコロコロと笑う。
「じゃあ、宇宙人?」
「なんか遠くなってないか。色んな意味で」
「あははっ」
 そんな風に暫くイチャイチャしながら散歩を楽しんだ二人は、明日も早いということで宿へ戻り――
「じゃあ……ここで」
 女子は三階、男子は二階のため、階段の踊り場で別れようとしたところで恵梨花はキョロキョロと周りを見渡す。
「ああ……?」
 急にどうしたのかと亮が思ったのも束の間、近くに人影がいないのを確認した恵梨花はそっと背伸びしてチュッと唇を重ねてきた。
「――じゃあ、おやすみ。また明日ね!」
 それだけ告げて、パタパタと階段を駆け上がって行った。
「……お、おやすみ……」
 虚を衝かれ、暫し呆然としていた亮は恵梨花の背中が見えなくなってから、ボソッと返したのだった。



◇◆◇◆◇◆◇



「――各自、水分補給を忘れず注意するよう。午前の今はまだ涼しいが、今日も暑くなるようだしな。熱中症になどならぬよう、決して無理はするな。それでは、体操から始める」
 合宿二日目の朝、早くに朝食を済ませて今日も郷田が前に立って練習が始まる。
(……今日は亮も体操に参加するのか……)
 将志がチラと振り返ると、部員達が整列する中の最後尾で亮が藤本姉妹に挟まれながら郷田の号令で体操をしている。
 亮は昨日あれだけ動いていたというのに、やはりというかまるで疲弊した様子が無い。
 どころか、気のせいでなければ昨日よりよほど元気に見える。 
 藤本姉妹と軽く言葉を交わしながら、上機嫌そうに笑みまで浮かべて一緒に体操をしている。
(……まあ、あれだけ可愛い二人に挟まれていれば、誰だって元気にもなるし機嫌も良くなるか……)
 だけでなく、亮が体力お化けなのは将志にとっては今更なことである。
(それに朝食も美味かったしな……)
 今日の朝食には、宿の人が用意した食事に加えて、昨日の内に恵梨花が仕込んでいた猪のチャーシューが出てきて、それがまた美味く、部員全員の頬を綻ばせた。
 部員の数が数だし、亮と恵梨花からのお裾分けみたいなものだから、物足りない量であったが、味が滲みて冷えたチャーシューは夏の朝食として、運動部員達には非常に嬉しいものだった。
 なので亮一人、大きなブロックで食べていたことに対し、羨むことあれど文句を言う者はいなかった。
「今日の昼って、女子が用意するんだっけ?」
 隣にいる野村が体を伸ばしながら、控えめな声で聞いてきたのを耳にして将志は頷いた。
「そのはずだよな」
「そうか……楽しみだな」
「だな」
 これは事前に聞いていたことである。
 更にはこの合宿に参加することになった藤本姉妹も昼食の用意を手伝うと聞いて男子部員達は狂喜した。
 あの学園のアイドルである恵梨花の手料理――全部が恵梨花が作る訳でないにしても――が食べれるからである。それだけで男子高校生にとっては感動ものであったが、今は違う。
 昨日、今日と恵梨花が用意した猪料理を食べて、全員が恵梨花の料理の腕前の一端を知り、純粋に次に出て来る料理の味を楽しみになっているのだ。
 部員全員の昼食である。全部が恵梨花の手によるものでないにしても、恐らくは腕前からして恵梨花が中心になって作られることは想像に難くない。更には姉の雪奈もいて、より期待は膨らむ。
 もう部員全員、今日の昼食が楽しみで仕方ない。
(亮が藤本さんに捕まったのって、きっと胃袋掴まれて、ってのも関係あるんだろうな。聞いたところ学校でも毎日藤本さんが用意した弁当、一緒に食べてるらしいし……)
 高校では目立たないようにするとなんとも驚くほど無謀なことを言っていた亮が、よりにもよって学校で一番目立っている女の子である恵梨花と付き合うことになったようだと聞いた時は驚きつつも、でも亮らしいと千秋と笑っていたことを思い出す。
(うん、きっと手作り弁当とかでやられたんだろう)
 亮から恵梨花の馴れ初めなど聞いてない――聞いてもきっと教えてくれまい――が、将志はそう一人確信してうんうんと頷いた。



「では、これよりランニングを――桜木、お前も走るのか?」
 体操、柔軟と終えてから郷田が口にした通りにランニングを始めようとしたところで、部員達と一緒に立っている亮を見て、郷田が不思議そうに問いかけた。
「うん? ああ、そのつもりだが……何か不味かったか?」
 亮が首を傾げると、郷田はますます不思議そうな顔になった。
「いや、不味くはないが……お前、朝食前も走っていたのではないのか? それもけっこうな時間」
 それを聞いて、部員がざわついた。
「え、マジで……?」
「もしかして、あいつが朝から風呂に入ってたのって汗流してたのか……?」
「俺はてっきり、一人優雅に朝風呂楽しんでたのかと思ってたんだが……」
「俺も……」
「やりたい放題してるなって思ってたけど、違ったのか……」
「あいつ自由だなって俺も思ってた……」
 そんな風に驚きを表す男子部員達から将志は一歩引いた。
(……やっぱり誤解されてたのか……)
 朝起きたら部屋に亮の姿が無いのを見て、将志はすぐに亮が走りに行ってるのだと察していたが、他は違っていたようだ。
 彼らの呟きは亮にも聞こえていたようで、片眉がヒクヒクとしている。
 亮はこれ見よがしなため息を吐くと、一転して笑顔になり、郷田にこう提案した。
「なあ、おっさん。これから始めるランニング、五周だっけか? それ走り終えるのに俺より遅いやつは十周追加な、ここにいる全員」
 一斉に悲鳴にも似た声が上がる。
「……いや、桜木、お前より早いやつがいるとも思えんのだが……全員? ん? それは女子もか?」
 最後は怪訝な顔で問いかけた郷田に、亮は笑顔で頷いた。
「ああ。全員だからな」
 今度は女子を中心として悲鳴が上がる。
「いやいや、無理だって!?」
「桜木くんと、スタミナ勝負とか無理に決まってるじゃない!?」
「それもう、最初から十五周走れって言ってるのと一緒……」
「え、え……全員って、亮くん、私も……?」
「私もですか……?」
 最後に戸惑ったような声を出す恵梨花と雪奈に、亮は少し考えて言った。
「恵梨花とユキは、俺より二周以上遅れたら、もう二周で」
「……じゃあ、七周走るんだね……」
「そういうことよね……」
 少し落ち込んだような声を出す二人に、亮は苦笑を浮かべる。
「あー、桜木、さっきも言ったが、お前より早いやつがいると思えん。それなら最初から十五周を走れと言うのと変わらんと思うのだが……?」
 郷田がそう言うと、全員が同意するようにコクコクとしている中で、亮は肩を竦めた。
「そうでもねえよ。寧ろ今から走る中で俺より遅いやつがいたらそっちの方が問題だ」
「……? いや、意味がわからんが……」
「とにかく、俺より遅いやつは十周追加で」
 亮がキッパリと言うと、誰かから口パクで合図を受けたのか郷田は躊躇いがちに言った。
「……それなら、少しハンデなんかは、どうだ……?」
「ハンデか……そうだな」
 その提案に亮は少し考えてから、今の立ち位置から反対の位置、つまり半周先を見据えると、道場内を横切って、そこに一人立つと言ったのである。
「じゃあ、半周のハンデをもらう(・・・)な」
 その言葉の意味を理解した者から順に抗議の声が上がる。
「ええええ!?」
「な、なんで、そっちがハンデもらってんだよ!?」
「桜木くんがハンデ受けるんじゃないの!?」
 次々と沸き上がる非難の声に亮は大仰に肩を竦めると、おもむろにその場に両手をつくと、倒立をしたのである。
「……?」
 一体、何をしてるのかと将志も含めて部員達が怪訝な表情になると、亮は倒立を維持したまま顔をこちらに向ける。
「それじゃ、お前達は五周、俺は四週半、これで俺より遅かったら本当に十週追加だからな。はい、よーいどん」
 そう言うと同時、亮は倒立の姿勢のまま、両手(・・)で走りだしたのである。
「うぇ……?」
 誰かが呆然と、そんな変な声を出して両手で走っている亮を見つめている。
 そうこうしてる内に亮が迫ってきて、部員達はようやく現実を認識した。
「お、おい、走れ、速いぞ!?」
「嘘だろ!?」
「て、手で走るって、なんだそりゃ!?」
 部員達&藤本姉妹は一斉に走りだした。
「はっはっは、これで一周の差だな!」
 すぐ後ろに迫った亮が逆立ち走りをしながら部員達に笑いかける。
「やべえ!?」
「おい、本気で走れ! マジで抜かれるぞ、あれ!?」
「小学生のダッシュぐらいは出してるぞ!?」
「うわ、てか、こうやって迫られるとホラー映画みたいな絵じゃねえか!?」
「それ言うんじゃねえ!?」
「うわ!? 早く走れ!!」
「あっはっは、亮くん、ちょっと怖いよ……?」
 部員達は焦りながら、恵梨花と雪奈は笑いながら、懸命に走り始める。
 合宿の二日目は、こうして始まったのである。
 
 
 
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長らくお待たせして申し訳ありません。

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