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第四章 Bグループの少年と夏休み
第五話 亮が求めるのは
しおりを挟む恵梨花と雪奈は自分達の練習に戻ろうか悩んだが、少しだけ様子を見てからでもいいだろうと判断して、これから始まる――亮対部員全員の稽古へと体を向けたままにした。
男子部員達は未だ戸惑いを顔に張り付けたままに、恐る恐るといったように竹刀を構え始める。
そして、どうしたものかと様子見するように亮へと目を向け、無理もない話であるが、なかなか動こうとしない。
そんな中で最初に動いたのは、やはりというか――
「キエエエエエエエ――!」
部の主将たる郷田である。
亮へと果敢に竹刀を振るい、亮がそれをよく見ながらひょいひょいと続けざまに避けている。
まるで先ほど、亮が郷田に稽古をつけている時の焼き増しのような光景である。いや、実際、郷田はそのつもりなのかもしれない。
周りを気にした様子もなく大胆に立ち回り、休むことなく竹刀を振るって亮を追い続けている様からは、部員と一緒に、という考えなどまるでないように見えるからだ。
同じことを考えているのだろう、亮の口端に苦笑が浮かんでいる。
そうしている内に、郷田の豪胆な振りを亮が大きく一歩退いて躱した時だ。亮の立ち位置がとある部員――田中の真ん前になった。それも亮が背中を向けて、だ。
この絶好の機会に田中はあからさまな躊躇いを顔に浮かべながら、竹刀を振りかぶって亮へと振った。
それを見ていた者が揃って息を呑む中、亮は郷田を無視するようにその場でまるで、あらかじめ考えられた振りつけをこなすようにくるりと反転して、迫る竹刀を避けつつ田中の脇を抜き去った。
そうして、ぎょっと目を見開く田中の背後へと回った亮は、そのまま田中のすぐ後ろにいた一年の男子部員の正面に立った。
そして後ろを気にする様子もなく、呆気に取られている一年男子部員の前で「来ないのか?」と言わんばかりに首を傾げた。
そこで一年の男子部員はハッとして竹刀を亮へ向けるも、亮は僅かに体を逸らして避ける。
するとその後ろから郷田が迫ってきて、田中と同じく躊躇いを浮かべながらも確認するように思いっきり竹刀を振りかぶった。
それを見ていた者達が先ほど以上に息を呑んで顔を強張らせる。
そんな一瞬で張り詰められていく緊張の中で、亮の声がため息混じりに響いた。
「――だから、どっちが舐めてんだって」
亮は後ろを振り向くことなく体ごと反転して、先ほど田中へとしたように迫る竹刀を避けながら郷田の脇を抜き去った。
その一連の様を見て目玉が飛びだしかねないほどに驚き立ち尽くす部員達の中で、亮が如何にもな不機嫌顔で振り返り、周囲の男子部員達を見回した。
「おい、全員で襲い掛かって来いって言っただろ」
そう言って、億劫そうに右手に持つ竹刀を肩に担いだ。
「――なのに一歩も動いてないやつがいるのはどういうことだ」
眉をひそめて苛立ちを露わにする亮。
今日一度も怒った様子を見せなかった亮の――鬼の怒りを受けて、男子部員達の顔に揃って焦りの色が浮かぶ。
「い、いや、待ってくれ、桜木。本当に全員で襲い掛かってもだいじょ――……? なあ、桜木? どうしてお前が竹刀を持って……?」
副将の柳生が亮へ言い訳をしている途中で、彼はそこに気づいた。
そう、亮は竹刀を持たず素手で部員全員を相手にしようとしていたはずだったのだ。
なのに、今、亮の手には竹刀がある。
「ん? あれ、なんで桜木のやつ竹刀持ってんだ……?」
「本当だ、いつの間に……?」
「背中にでも隠してたのか……?」
「……いや、何で……?」
ざわめき不思議がる男子部員達の中で、それを指摘された亮は思い出したように自分の手にある竹刀に目をやった。
「ん? ああ、忘れてた。返すわ、おっさん――」
そう言って、亮が竹刀を郷田へ向けるも、未だ郷田は亮に背を向けたままだ。
だけでなく、ワナワナと震える自分の両手を愕然としながら見下ろしていた。
「え、ええ……まさか無刀取り? それも郷田主将相手に……?」
頬を引き攣らせながら発された千秋の言葉を耳にして、何を言ってるのかと部員全員がポカンとしてすぐ、ババッと郷田と亮へ視線を往復させて揃って信じられないように目を剥く。
「はあっ――!?」
「嘘だろっ!?」
「主将の竹刀か、あれ!?」
「さっきすれ違った時!?」
「いや、無刀取りって、おま――……」
「あれだよな、剣聖、上泉信綱の……」
「は、初めて実践した人見た……」
「いや、ちょ、え、はあっ――!?」
「あ、ありえねえだろ……」
「いや、実際やったみたいだぞ……」
「それがありえねえんだろ……」
「……だよな……」
「……もう何でもありだな、あいつ……」
恐れ慄いたような目を向けてくる部員達に肩を竦めて、亮は再度、郷田へ竹刀を向ける。
「ほら、おっさん」
「あ、ああ……」
ゆっくり振り返って信じられないと瞳を震わせながら郷田が竹刀を受け取ると、亮は片眉を吊り上げた。
「おっさん、さっき後ろからかかってきた時――」
「あ、ああ、なんだ……?」
「躊躇しながら振っただろ」
「っ――!」
「だからアッサリ竹刀とられんだ。やるなら思いっきりこい」
未だ不機嫌な色をありありと浮かべる亮の言葉に、郷田はゴクリと喉を鳴らした。
「……それを見透かしたからこその――無刀取り、か……?」
「ああ。まさか、アマチュアの学生が俺相手に怪我をさせてしまうかもと攻撃を躊躇するなんてな――」
そこで言葉を区切った亮は苛立たし気に息を吐いた。
「――舐められたもんだぜ」
その一瞬、道場内の空間がピシッと、切り裂かれたような、引き裂かされたような音が走ったように恵梨花は感じた。
それは亮の周囲にいた部員達の口を一人残らず強制的に閉ざさせ、息を呑ませるという結果をもたらす。
迂闊に動くことは出来ないと言わんばかりに固まり静まり返る部員達。
そんな彼らを見て亮は眉をひそめると、仕方なさそうに息を吐いた。
「……ともかくもう躊躇なんかすんじゃねえぞ、おっさん」
呼びかけられて郷田は息を吹き返したように口を開けると、コクコクと首を縦に振る。
「あ、ああ……その必要が無いことは身をもってわかったしな」
亮は頷き返すと、男子部員達を見回して言った。
「後な、さっき一歩も動いてねえやついたな!? 全員で襲い掛かって来いって言ってんのに、ずっと突っ立ってるなんて、一体どういう了見だ! 言ってみろ!?」
その瞬間に示し合わせたように目を逸らしていく部員達の中で、将志が苦笑を浮かべて亮へ足を進めた。
「いや、さっきのは様子見してたんだって。本当に後ろから襲い掛かったりしても大丈夫なのかって」
「……? 俺がやれって言ったにもか?」
「いや、だから普通はそう言われても、本当に大丈夫か? って思ってしまうもんだって」
そう言って肩を竦める将志に、亮は眉を寄せる。
「ふうん……? んで? その様子見はどうなったんだ? 次からはちゃんとやってくれんだろうな?」
亮が周囲を見回しながら言うと、一斉にコクコクと首を振り返していく男子部員達。
「――だってさ」
「ならいいが……あ、そうだ」
亮が思いついたような顔になったかと思えばニヤっと笑って言ったのである。
「次から碌に動かず襲い掛かってこないやつ見たら、次の稽古の時に厳しめにやることにするか」
その瞬間、あちこちから声なき悲鳴が上がったのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
「う、うーん……一時はどうなることかと思ったけど……」
「そう、ね……」
「……どうして、後ろからの攻撃とか見もせずに避けれるんだろ……?」
「本当に不思議ね……」
恵梨花と雪奈は目の前で繰り広げられる光景を、半分はやっぱり、という思いと、もう半分で、でもやっぱり信じられないという相反した心持で呆然と眺めていた。
「おい、密集せずに散らばれって言ったろ!」
「わかってる――!」
「くそっ、ちょこまかと……!」
「おい、そっちスペース空いてんぞ!!」
再開してからは亮が脅した故か、男子部員達は次々と四方八方から亮に襲い掛かった。が――
「何で当たらねえんだ……!?」
「何で今のが避けられるんだよ――!?」
「この狭い中でどうして、全部避けられるんだ!?」
男子部員達が悔しげに口にした通り、亮にはまるで竹刀が当たらないのだ。
最初にしていた通り郷田が亮を追いかけるように追い立てた先で誰かが後ろから攻撃しようとも、亮は振り返りもせずに、体を逸らしたり、素早く足を動かして避けたりとして、とにかく躱されてしまうのだ。
それが何度も繰り返されると、男子部員達もムキになって亮を追い、竹刀を振っていく。
アイコンタクトをして、亮を囲み、背後から、横からと同時に襲い掛かっても、亮はそれらの全てをまるで上空から見ているかのように悉く躱してしまうのだ。
そして宣言していた通り、亮は一切部員に攻撃をしていない。どころか受けることすらせず、全てを避けている。
それも無理をしている様子もなく涼しげな顔を維持したままだ。
いや、最初は部員達が張り切って亮を囲んだ時には、亮は楽しそうに口端を吊り上げていたが、それも次第になくなり、今ではどこかつまらなさそうな、物足りなさそうな顔をしている。
そして遂には亮を囲んでいる部員達の息が荒くなってきたのが目立ち始めた頃、亮は眼前に迫る攻撃を掻い潜るように抜き去ってそのまま端の方まで、トントンッと足を進め、男子部員全員を背にした位置まで来ると足を止めて振り返った。
「あー、一旦ストップ」
手を突き出し、亮は男子部員達を止める。
「はあっ……どうした、桜木?」
若干、肩で息をしている郷田が訝しげに問うと、亮は気難しげに眉を寄せる。
「いや、実はな……」
どこか言い難そうな亮に、部員達は顔を見合わせる。
「どうした……?」
郷田の再びの問いかけに対し、亮は意を決したように頷くと真面目な顔で言ったのである。
「なんか思ってたよりもつまらねえ」
その言葉の意味を十全に理解出来た者はおらず、首を傾げるのが殆どだった。
「……この稽古がか……? そうは言ってもお前が望んだこと――」
「ああ、そうなんだけどな。もうちょっと、こう――楽しめると思ってたんだよな。なんか、途中から作業するみたいな気分になっちまってな……」
そう、つまらなさそうに言いながらガシガシと頭を掻く亮に、段々と察する者が出てきて、あんぐりとし始める。
「……もしかして、お前――」
郷田もその内の一人だったようで、躊躇いがちに言及しようとしたところで、亮が遮った。
「そこで、いいことを思いついてな――ちょっと待っててくれ」
そう言うや否や恵梨花と雪奈のいるところへ駆け足でやってきて、二人が何の用かと小首を傾げる前で、亮は自分の荷物を漁り始めた。
「――よし、あったあった」
呟きながら亮が取り出したのは、白い手ぬぐいのようなもので、それを持って元の位置へと素早く戻る。
一体何なのかと訝しむ部員達の前で、亮はその白い布を帯の太さぐらいにすると、顔の前に持っていき、目に当てると後頭部まで回して縛ってしまった。
そうやって己の目を布で隠し――つまりは目隠しをした亮は、キョロキョロと見えないはずの目で周りを見渡すように首を動かし、楽し気にニヤリと片頬を吊り上げたのである。
「よし、バッチリだ――再開してくれ」
郷田含む男子部員達へ向けてサムズアップまでしてみせる亮は本当に楽しそうに見えた。
そんなワクワクしてるような亮とは対照的に、部員達は呆気にとられたように口をあんぐりと開いている。
「……もしかして、その状態で俺達に襲い掛かれと言っているのか……?」
「? ああ、決まってるだろ?」
「……っ……そ、それはお前、流石に……」
何か堪えるように言葉を募る郷田に、亮は首を傾げる。
「いや、だって、こうでもしねえと俺の稽古にならねえだろ。さっきの調子のままだと、また作業のように避けるだけになっちまうし、つまらねえし――けど、こうすればさっきよりは楽しめるだろ」
そんなさも名案のように言う亮に、郷田は頭痛がするかのように額に手を当てた。
「……やっぱりか。さっきの『つまらない』というのは、俺達全員での攻撃はお前にはまったく生温いと――そういう意味なのだな?」
「うん? まあ……想定してたよりはそうだな、確かに」
未だ目隠しをしたままの亮は、見えてるかのように郷田へ向けて答えた。
「……っ、そ、それで目隠しをすれば――いや、目隠しでもしないと、お前の身になる稽古にはならないと、そういうことなのだな?」
何かに耐えるように告げられた郷田の言葉に、亮はあっけらかんと頷いた。
「そうなるな」
アッサリとそう答えられた郷田、いや、男子部員達は全員揃って亮を見据えるように目を細めた。
「……ああ、ちょっと俺の想定が甘かっただけだから、別におっさん達が気にする必要はねえぞ? それにこれ目、隠してるけど、薄っすらと光は見えてるしな。近くなら人型の形ぐらいは見えるぞ」
更には気遣うような声をかけられて、郷田は静かに部員達へ振り返った。
「……お前達、ここまで言われていいのか……?」
その問いかけに、男子部員達は静かに首を横に振る。
「確かに桜木は俺達が思っていた以上に――いや、それよりもずっと強いのだろう。だからと言ってここまで言われて、そのままにしておけるやつは……いないな――!?」
「おうっ――!!」
男子部員は揃って吠えて応えた。
「はっは……い感じに気合入れてくれたみてえだな」
亮がますます楽しそうに頬を吊り上げる。と、そこで亮は隠れている目を女子部員達のいるところへと向けた。
「千秋、お前も入れよ。今なら好きなだけサンドバッグになってやるぜ?」
そんな誘いに、千秋はニヤリと笑った。
「ふーん……いいの――? あたしまで入っちゃって?」
「ああ。お前が入ることで……多分、ちょうどいいはずだ」
「ふーん……そう言うんなら、混ぜてもらおっかな」
千秋は竹刀を持って亮達のいる一角へと足を進めながら、男子部員達へと声をかける。
「郷田主将さ、他の男子達も。亮が目を隠した上で襲い掛かってこいって言って、それを舐めてるって受け取るのはいいけど……そもそも亮って、背後からの攻撃も碌に見ずに避けてたの忘れてない?」
淡々と告げられたその指摘に、ハッとする男子部員達。
「そ、そういや……」
「そうだ、確かにこっちを見もせずに避けてたよな……」
「……つまり、元々から前方以外には目を使ってないってことか……?」
「……そう考えると、目を隠しても……」
「……大して変わらない……?」
男子部員達の辿り着いた答えに、千秋は頷いた。
「うん。でも、まったくそうとも言い切れないのはわかるでしょ?」
「……そりゃ、そうだよな」
「なあ、目隠ししてるし……」
「そう。弱体化してるのは確実。でも、だからといって――また舐めてかかっちゃ、やっぱり意味ないよ? 目隠ししてる亮にすら永遠に届かない」
「……」
段々と千秋の纏う気配が、目が鋭くなっていくように恵梨花は見えた。
その千秋が向かう先にいる亮は、先ほどより一層楽しげな笑みを浮かべている。
「こいつは――ますます楽しめそうだな」
亮がそう言うと、千秋は薄っすらと微笑んだ。
「ふっふ……目隠しまでしてるんだから、せめて手は使わせてみせるからね」
千秋は静かに竹刀を下段で構えると、サッと将志へと目をやり、郷田へも一瞬だけ視線を送った。
そして――音を立てず、声も出さず、予備動作も少なく、静かに、しかし風を斬らんとばかりに鋭い一撃が瞬く間に間合いを詰めた千秋から亮へと放たれる。
「――っ!?」
合図も声がけも無しにいきなり亮へ攻め始めた千秋に、部員達はぎょっと驚く。もちろん、恵梨花と雪奈もだ。
だが、直後にそれを避けた亮に更に一同は驚く。
わずかに上体を逸らして千秋の一撃を避けた亮は、すぐに態勢を戻すと、立て続けに迫る千秋からの怒涛の如き攻めを、主に足運びで躱している。
横に、後ろに、斜めに動いてそれらを避けていく。
「な、なんで、あんな避けれるんだ……」
「しかも成瀬の……」
「普通、さっきの当たるだろ……」
「……こっちが思ってるよりも、見えてるのか……?」
驚愕そのものを張り付けたような顔になる部員達。
尚も千秋の攻撃は止まらず、亮が躱し続ける中、千秋は反撃の心配は無いのだからと言わんばかりに大きく一歩踏んで亮に迫り、大振りの横なぎの一撃を放った。
その範囲の広さ故に亮が一歩下がる、と同時にハッとしたように亮は素早く左側へ一歩動くと、その瞬間、先ほどまで亮がいた位置を将志の竹刀が空振った。
亮を中心として、千秋と正反対の位置まで静かに移動していた将志の、背後からの渾身の抜き胴はそうして避けられたのだ。
「今の、避けれるのか……」
愕然と誰かが呟くのも束の間、亮はまだ止まらない。
将志の抜き胴を避けた先で、亮の片足がまだ宙にある中で、再び亮の背後から迫るのは郷田――の、山おろしであった。
「――っと」
それを亮は前方へ飛ぶようにくるんと一回転――前回り受け身で移動してやり過ごす――が、その先には千秋が待ち受けて既に竹刀を振りかぶっていた。
「おかえり――」
「――ははっ」
亮の堪えきれないような笑い声が一瞬、道場内に響いた。
亮のその受け身は構えながら立つ、までの一連だったが、その最中で迫る千秋からの一撃を亮は無理矢理、側転をして避け、その後バク宙までして三人から距離をとった。
「……」
その三人の一連の攻撃の流れ――中でも千秋の容赦の無さと、そしてそれを避け続けた亮に、部員達は目玉が飛び出そうなほどに驚き、今日何度目かわからないが信じられないと愕然としている。
千秋、将志、郷田の三人と距離が開いたことで一息吐いた亮は、耐えきれないように声を漏らした。
「――はっ、はは……いいぞ、面白くなってきたじゃねえか……!」
言うと同時、亮の口端が獰猛に、狂暴に吊り上がっていく。
それを見て足を引かせてしまった者は少なくない。
「あー、亮、テンション上がって反撃しちゃったとかマジでやめてよ。あたしが亮の拳や蹴りなんか受けたら、暫く起き上がれない自信あるし」
「おう、心配すんな。攻撃したら終わっちまうだろ、そんなもったいないこと出来るかよ」
「だったら、いいんだけどねー。しっかし予想してたけど、さっきの全部避けちゃうかー……」
そこで千秋は後ろを振り返って突っ立っている男子部員達を胡乱に眺めた。
「それで? いつまであたしだけを働かせる気……?」
「……そういや、またお前達碌に動いてなかったな……」
気づいたように亮が言うと、男子部員達は冤罪をかけられたかのような顔で一斉に首を横に振った。
「いやいや、待ってくれ!?」
「そ、そうだって、さっきはいきなり始まったし!」
「そうそう、成瀬が何も言わずにいきなり始めたし!」
「それに驚いて思わずって感じだし……」
「え、なに、あたしが悪いの?」
「いや、そうは言わねえけど……」
弱々しく反論する男子に千秋は見せつけるようにため息を吐いた。
「あのね、亮が襲い掛かって来いって言ってる時点で、もう始まってんの! そんで折角目隠ししてるんだよ? 『行くよー』って声かけたら台無しじゃん。だから気合の声も出さずに向かったの、あたしは」
呆れたように千秋が言うと、男子達部員は目から鱗が出たようにハッとなった。
「まったく、千秋の言う通りだな。あらゆる手段を使って襲い掛かってきてくれねえと」
亮一人がうんうんと頷いている。
そんな亮に向かって、お前には言われたくないと納得いかない目を向けてしまう男子部員達。
「言いたいことはわかるけどさ、この人数の上に目隠しまでしてるんだからさ、一度ぐらいは当てないと剣士の名折れと思わない?」
千秋のその言葉には深く共感を覚えたようで、男子部員達は揃って気合を入れたような顔になった。
「よ、よーし、やってやろうじゃねえか!」
「さっきの三人みたいに連携しねえと話にならなさそうだな」
「今度はアイコンタクトしても桜木には見えねえしな」
「そうだよな、一発ぐらい当てねえとな……」
「……でも、当たるのか……?」
「……当てるんだよ!」
そうして、今度こそ遠慮はいらないとばかりに男子部員達は亮を囲んで次々と襲い掛かるのであった。
「なんか、すごい光景……」
「ねえ。あんなに皆が亮さんに集まって、攻めてるのにまったく当たらないなんて……」
「見てなかったはずのことにいきなり反応したのは何度か見たことあるんだけど、連続して見てるとなんか……」
「当たり前のように背後の人の攻撃避けてるわね」
「てか、目隠ししてること忘れそう……」
「あ、そういえばそうだったわね」
そこで恵梨花と雪奈は顔を見合わせて苦笑を浮かべ合った。
亮が目隠しをして掛かって来いと言った時には流石にそれは危ないだろうと、顔を蒼褪めさせた二人であるが、すぐに杞憂だとわかってホッとした。
そして同時に瞬からの言葉を恵梨花は思い出した。
『この手のことに関して亮の心配なんかするだけ馬鹿を見るぞ、恵梨花』
案外、名言かもしれないと恵梨花は思い始めた。
「……それにしても本当に当たらないのね……」
「ねえ。それより、さっき亮くん、私達に教えてくれた受け身してたね」
「あ、そうだったわね。ああいう使い方が出来るものなのね」
「うん。避けるのにも使えるなら……本当に受け身って役に立つんだね」
「そうね。実際に見たら練習のし甲斐があるわね」
「うん……もう一回おさらいしとこっか?」
「そうね、やっておきましょう」
二人は突き、蹴りの練習から受け身の復習を始めることにしたのだった。
「くそ、何で今の避けられるんだよ!?」
「背中にも目があるならそっちにも目隠ししろよ!!」
「動けよー、明日の稽古厳しくなるぞー」
「はあっ、ちょ、ちょっと休憩してるんだよ!!」
「ああ、田中と野村がぶつかったぞ――!?」
「大丈夫か――!?」
――騒がしい男子部員達の声をBGMに。
◇◆◇◆◇◆◇
「まあまあ、楽しめたな」
亮が清々しい顔で言うのを、将志はぐったりしながら耳にした。
「……本当に最後まで避け切ったな……」
疲労を強く感じながら将志は億劫に返した。
「はあ、結局、手を使わせることも出来なかったな……」
将志ほど疲弊した様子もない千秋が残念そうにボヤいた。
千秋が口にした通り、亮は結局手で受けたり捌いたりすることなく、男子部員達の攻撃を避け切ってしまったのだ。
その内容としては、当然と言えるが目隠しをする前よりは危なさを感じるものだった。
咄嗟な動きもあったためか、そこでようやくのように亮は肩で息をし始めたぐらいだ。だが、それだけだったのだ。
明日の稽古を厳しくされたくないがためとはいえ、男子部員達は頑張ったと言えるだろう。
だが、それでも亮の体に彼らの竹刀は、彼らの体力が尽きるまでに届くことはなかった。
全員が動けなくなったと見るや、亮はここまでにするかと目隠しを外して終了を宣言した。
そして、終わったかとホッとしたのも束の間、亮の「じゃあ、明日も頼むな。あと、もうちょっと連携を工夫するように話し合いしとけよ」の言葉に「明日も……」と絶望を露わにした。
何せ、意味もなくジッとしていたりすると、すぐに亮から怒鳴られるために、彼らはそれはもう動き続けたのだ。
それが亮との乱取りほどの限界の動きを求められてないにしても、亮の体力が底なしであるために、乱取りと比べてずっと時間は長い。
どちらの方がしんどいかと聞かれたら甲乙つけがたいだろう。
それがまた明日も待っていることを、終わったと思ったばかりの彼らに告げられたのだ。
彼らの抱いた絶望は計り知れない。
そうこうあって、本日の練習は終了ということになって、今はまた民宿へと移動中である。
「腹減ったな……今日の夕飯、何か知ってるか、恵梨花?」
「多分だけど、焼き肉かな。そんな感じの準備に見えたよ。厨房寄った時」
「ほうほう、焼き肉か……」
「……安い民宿だしな、期待するなよ、亮。味も量も」
家が焼き肉屋を経営している将志は焼き肉には一家言あるが、それが出るような場面でもない。
「あー……まあ、そりゃそうか……」
亮が切実そうに困った顔をする。
(まあ、亮の食べる量を考えたら無理もないか……)
亮の場合、ただ大食いという訳じゃない。体の筋肉やエネルギーを維持するために必要なのだということを将志は理解している。
「うーん、ちょっと困ったよね、それは」
「そうね。亮さんに普通の運動部の子の量じゃ足りないのは目に見えてるものね……」
恵梨花と雪奈が当然のように亮の食事の心配をしている。
(……藤本さんはわかるんだけど、お姉さんも当然のように亮の食べる量把握してるってのは、どういう……?)
聞き耳を立てている周囲の男子部員と同じく将志は悩んだ。
「まあ、最悪、米で腹膨らますしかねえか」
亮がそう言えば、恵梨花が渋面を作る。
「駄目だよ、ちゃんとバランスよく食べないと……せめてお肉の量が多ければいいんだけど」
「そうね。お野菜も欲しいとこだけど、無理も言えないものね」
「あ、私とユキ姉の分、ちょっと亮くんに分けたら――」
「――それでも足りないわね」
そんな相談を始めた二人であるが、亮が首を横に振った。
「駄目だ。二人とも、今日日頃以上に運動したんだから、しっかり食べないと力つかねえぞ……てか、二人が思ってる以上に腹減るんじゃねえか?」
そのもっともな言い分に、恵梨花と雪奈は唸った。
「……確かにそうかもだけど……」
「……亮さんに食べ物分けようとして断られるなんて……」
「うん、それ」
「おい、聞こえてんだぞ、二人とも」
亮が二人にジト目を向けると、恵梨花と雪奈の二人は揃って目を逸らした。
(……やっぱりお姉さんとも仲良いな……)
そう思ったのは将志だけでなく、嫉妬と怨嗟の目を向けている周囲の男子部員達も同様だろう。
「……まあ、民宿の中にカップ麺とか置いてねえもんかな? あれば助かるんだがな」
仕方なさそうに亮がそう言うと、恵梨花が先ほど以上に渋い顔となる。
「カップ麺……私がいるのに、亮くんにカップ麺……お母さんが聞いたら何て言うか……」
ブツブツと呟いて、一人悩んでいる。
「そうだ、亮さん。駅からここに来るまでにコンビニありましたよね? 夕飯が足りなかったらそっちへ行ってみますか?」
「ああ、それもありだな」
「うーん、それしかないか……」
「じゃあ、一緒に行きましょうね。亮さん一人で選ぶと栄養偏りそうですし」
雪奈がそう言うのを聞いた男子部員が背負う怨嗟のオーラが激しく燃え上がる。
「わ、私も当然行くからね!」
恵梨花が焦ったように言うと、亮は片眉を上げて二人を見た。
「……二人とも、飯食ってからそんなに歩けるか……?」
普段運動してない二人が今日はたっぷり運動したのだ。食後になった時に少し離れたコンビニへ行く元気があるのかと亮は言いたいのだろう。
「う……」
「……確かに一気に眠くなりそうね……」
難しい顔をする二人に、亮は苦笑する。
「まあ、無理するこたねえよ。俺の腹事情なんだから俺がどうにでもするさ」
そう嘯くと、藤本姉妹が不満そうに眉をひそめる。
そうしている内に、民宿に到着する。
郷田が皆の前に立ち、部屋に荷物を置いたら夕飯まで休んでいろと、話している。
後の予定としては食事の後は就寝時間まで自由時間でその間に風呂を済ませるように、とのことだ。
話が終わり解散、となったところで亮が将志に荷物を渡してきた。
「マサ、これ部屋に置いといてくれるか?」
「いいけど……戻らないのか?」
受け取って聞き返すと、亮は駅とは反対の、この山の山頂のある方向を見上げた。
「ここから山頂までって、ちょうど五百メートルぐらいらしくてな」
「? へえ? 何で知ってんの?」
「民宿のおっちゃんに聞いた」
「ああ……」
そういえば、練習に向かう前に亮が何か話していたのを見た記憶がある。
「で、それがどうしたんだ?」
「ああ、片道五百メートル。往復で一キロ――わかりやすくていいじゃねえか。その上、登りも下りもあるときた」
その言葉に将志はピンと来た。来てしまった。
「……え、マジで?」
頬が引き攣るのを自覚しながら問うと亮は冗談のかけらもない顔で頷いた。
「夕飯まで一時間以上あるんだろ? ちょっと十往復ほどしてくるわ」
言いながら亮は黒帯を外し、道着の上体部分も脱ぎ、下履きとTシャツの姿になった。
「これも頼む」
そう言って渡されたのは少し汗で湿った上半身部分の道着と黒帯である。
「あ、ああ……」
「え、亮くん今から走るの!?」
「じゅ、十キロ……? こ、これからですか……?」
愕然とする恵梨花と雪奈に、亮はなんでもないように頷いた。
「ああ。俺、今日は最後以外、大して動いてねえしな」
その言葉を耳にした者は一様に手を振った。
(いやいや、誰よりも一番動いてたのがお前だろ……)
そう、将志とまったく同じことを考えたことは想像に難くない。
「だから、ちょっと走ってくるわ――恵梨花とユキはしっかり休んどけよ」
言うや否や、亮は山頂に向かって駆け出したのである。
「嘘だろ……」
「まだ走れる体力あんのかよ……」
「え、十往復って十キロ……だよな? え?」
「え、ちょっとめっちゃ速くない?」
「は、速……え、あのペースで走るのか!?」
「あいつが一番動いてたよな……?」
「誰がどう見ても、な……」
「あっはは、桜木くんって本当に信じられない……」
「お、俺なんて、まだ膝震えてんだぞ……」
「俺もだって……」
「……あいつ、本当に俺達と同じ人間なのか……?」
一緒に運動していた分、それだけ驚きも一層で呆然とする部員達。
「はあ……そういえば、亮くん、基本は毎日走るようにしてるって言ってたっけ……」
もう驚いても仕方ないと言わんばかりに、恵梨花がそう言うと、雪奈は頷いた。
「そう言えば言ってたわね」
そして二人は自然と民宿の中へと足を向けて進んでいく。
美しすぎるこの姉妹が動くことで、愕然としてた部員達も徐々に再起動を始めて同じく民宿の中へと足を進めていく。
「うん。あー、亮くんのご飯どうしよっかな。私が準備するとかだったらよかったのに」
「ちゃんと満足する形で食べれなかったってお母さんが聞いたら怒りそうね」
「ねえ。お母さん、なんか亮くんのことやたらと面倒見ようとするよね」
「ふふ、確かにね。それこそ私達やお兄ちゃん以上に」
「あっはは、そうかも」
「ね。でも、どうしたものかしらね」
「やっぱりコンビニかな……けど、民宿に着いたせいか途端に体が重くっていうか、亮くんが言った通りに疲れ感じ始めてきたよ……」
「私も、かな。ここに売店みたいなものって無いかしらね?」
「流石に無いんじゃないかな……」
疲れを感じても尚、亮の食事について二人は頭を悩ませる。
最終的にはやはりコンビニへ向かうという結論が出そうになりそうであるが、それならそれで一緒に向かいたい。お風呂で疲れを取った後ならもしかしたら大丈夫かもと淡い期待を抱く。
そんな風に思い悩む二人は想像もしていなかった――亮がランニング中に、まるっと悩みの種を解決してしまうなどと。
***********************************************
励みになるので、感想いただけると嬉しいです!
男子部員A「や、やっと一日終わった……」
男子部員B「まだ初日なんだよな……」
前回の感想の返信遅れてますが、順次返させていただきますので!
もう眠いので寝ます!
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