29 / 53
ドランクール遺跡
呪いの証
しおりを挟む
「…………」
シャワーを浴びながらシーナはぼーっとしていた。
シャワーは火のマナを貯められた魔石で水を温めて暖かいお湯が出るようになっている。
「……シャワーなんていつぶりだろ」
今までは水浴びで済ませてきた。シャワーを最後に浴びたのは6年ほど前だろうか。
温かいお湯に身を委ねながらぼんやりと思考を巡らせる。
あの男はどうして私に構うのだろうか。私の力が目的ではなかったのか。
「……ダメだ」
頬をパンと叩いて意識を切り替える。いつどこでどのようにして自分の身が狙われるか分からない。油断は禁物だ。
警戒を怠らないことを誓いながらシャワー室を出ると、鏡に映る自身を見つめる。
呪われた銀の髪と、紅い瞳。
ずっとこの私を苦しめる呪いの証がそこにはあった。
「……どうして……どうして私は」
その時、浴室の扉がガラァッと勢いよく開いた。
ーーーーーーー
ソウルはマルコの家を歩いていた。
「意外と部屋数が多いのな」
廊下の壁には5、6個の扉がついている。
もともと宿屋だったそうなので、その名残だろう。ソウルの部屋として案内されたのは1番手前の部屋だった。
「あんたもシャワーを浴びておきなさいよ」とマルコに言われたのでシャワーを浴びることにしたのだが、どこがシャワー室か分からない。
「ここか?」
扉を開ける。そこにはマルコの書斎があった。
「ここは?」
扉を開ける。マルコのクローゼットだ。
「ここはどうだ?」
マルコの(女としての)趣味が全開のピンクなお部屋だ。.......記憶から削除しておこう。
「これかな?」
少し楽しくなってきたソウルは次の扉を開ける。
するとそこは古ぼけたホコリっぽい部屋だった。
暗くてよく見えないが、多くの魔道具や武器の類が所狭しと並べられていた。
「.......なんの部屋なんだろう?」
マルコの過去に関わるものだろうか?深く詮索することはやめておいた方がいいだろうと思い、そっと扉を閉める。
「じゃあ、ここだ!」
そしてソウルは勢いよく次の扉を開けた。
そこには銀色の長髪にクールな深紅の瞳。
白い肌が魔石の光に反射し輝いている。その肢体は細くシュッとしながらも程よい大きさの胸と可愛らしい尻が女性らしさを主張している。
一糸纏わぬシーナが立っていた。
「.......っ」
あまりの綺麗さにソウルは言葉を失った。女神のようだと思った。
……が、それも一瞬。どんどん顔から血の気が失せていく。やってしまった、と全神経が緊急事態を知らせている。
「.......っ!!??」
シーナは顔を茹でダコのように真っ赤にするとタオルでその身を隠す。
「すすすすまん!わざとじゃないんだ!?」
ソウルは慌てて弁明し、退散しようと後ずさる。
「.......っ、死ねえぇぇえええええ!!!!!」
だが抵抗虚しく、シーナの強烈な回し蹴りがソウルの左頬に突き刺さった。
「ぷぎゃああああああああ!?!?」
豚のような悲鳴を上げながら壁に叩きつけられたソウルの意識は闇の中へと墜ちていった。
シャワーを浴びながらシーナはぼーっとしていた。
シャワーは火のマナを貯められた魔石で水を温めて暖かいお湯が出るようになっている。
「……シャワーなんていつぶりだろ」
今までは水浴びで済ませてきた。シャワーを最後に浴びたのは6年ほど前だろうか。
温かいお湯に身を委ねながらぼんやりと思考を巡らせる。
あの男はどうして私に構うのだろうか。私の力が目的ではなかったのか。
「……ダメだ」
頬をパンと叩いて意識を切り替える。いつどこでどのようにして自分の身が狙われるか分からない。油断は禁物だ。
警戒を怠らないことを誓いながらシャワー室を出ると、鏡に映る自身を見つめる。
呪われた銀の髪と、紅い瞳。
ずっとこの私を苦しめる呪いの証がそこにはあった。
「……どうして……どうして私は」
その時、浴室の扉がガラァッと勢いよく開いた。
ーーーーーーー
ソウルはマルコの家を歩いていた。
「意外と部屋数が多いのな」
廊下の壁には5、6個の扉がついている。
もともと宿屋だったそうなので、その名残だろう。ソウルの部屋として案内されたのは1番手前の部屋だった。
「あんたもシャワーを浴びておきなさいよ」とマルコに言われたのでシャワーを浴びることにしたのだが、どこがシャワー室か分からない。
「ここか?」
扉を開ける。そこにはマルコの書斎があった。
「ここは?」
扉を開ける。マルコのクローゼットだ。
「ここはどうだ?」
マルコの(女としての)趣味が全開のピンクなお部屋だ。.......記憶から削除しておこう。
「これかな?」
少し楽しくなってきたソウルは次の扉を開ける。
するとそこは古ぼけたホコリっぽい部屋だった。
暗くてよく見えないが、多くの魔道具や武器の類が所狭しと並べられていた。
「.......なんの部屋なんだろう?」
マルコの過去に関わるものだろうか?深く詮索することはやめておいた方がいいだろうと思い、そっと扉を閉める。
「じゃあ、ここだ!」
そしてソウルは勢いよく次の扉を開けた。
そこには銀色の長髪にクールな深紅の瞳。
白い肌が魔石の光に反射し輝いている。その肢体は細くシュッとしながらも程よい大きさの胸と可愛らしい尻が女性らしさを主張している。
一糸纏わぬシーナが立っていた。
「.......っ」
あまりの綺麗さにソウルは言葉を失った。女神のようだと思った。
……が、それも一瞬。どんどん顔から血の気が失せていく。やってしまった、と全神経が緊急事態を知らせている。
「.......っ!!??」
シーナは顔を茹でダコのように真っ赤にするとタオルでその身を隠す。
「すすすすまん!わざとじゃないんだ!?」
ソウルは慌てて弁明し、退散しようと後ずさる。
「.......っ、死ねえぇぇえええええ!!!!!」
だが抵抗虚しく、シーナの強烈な回し蹴りがソウルの左頬に突き刺さった。
「ぷぎゃああああああああ!?!?」
豚のような悲鳴を上げながら壁に叩きつけられたソウルの意識は闇の中へと墜ちていった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。
Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。
そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。
二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。
自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる