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ドランクール遺跡

呪いの証

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「…………」

 シャワーを浴びながらシーナはぼーっとしていた。

 シャワーは火のマナを貯められた魔石で水を温めて暖かいお湯が出るようになっている。

「……シャワーなんていつぶりだろ」

 今までは水浴びで済ませてきた。シャワーを最後に浴びたのは6年ほど前だろうか。

 温かいお湯に身を委ねながらぼんやりと思考を巡らせる。

 あの男はどうして私に構うのだろうか。私の力が目的ではなかったのか。


「……ダメだ」


 頬をパンと叩いて意識を切り替える。いつどこでどのようにして自分の身が狙われるか分からない。油断は禁物だ。

 警戒を怠らないことを誓いながらシャワー室を出ると、鏡に映る自身を見つめる。

 呪われた銀の髪と、紅い瞳。

 ずっとこの私を苦しめる呪いの証がそこにはあった。

「……どうして……どうして私は」

 その時、浴室の扉がガラァッと勢いよく開いた。

ーーーーーーー

 ソウルはマルコの家を歩いていた。

「意外と部屋数が多いのな」

 廊下の壁には5、6個の扉がついている。

 もともと宿屋だったそうなので、その名残だろう。ソウルの部屋として案内されたのは1番手前の部屋だった。

「あんたもシャワーを浴びておきなさいよ」とマルコに言われたのでシャワーを浴びることにしたのだが、どこがシャワー室か分からない。

「ここか?」

 扉を開ける。そこにはマルコの書斎があった。

「ここは?」

 扉を開ける。マルコのクローゼットだ。

「ここはどうだ?」

 マルコの(女としての)趣味が全開のピンクなお部屋だ。.......記憶から削除しておこう。

「これかな?」

 少し楽しくなってきたソウルは次の扉を開ける。

 するとそこは古ぼけたホコリっぽい部屋だった。

 暗くてよく見えないが、多くの魔道具や武器の類が所狭しと並べられていた。

「.......なんの部屋なんだろう?」

 マルコの過去に関わるものだろうか?深く詮索することはやめておいた方がいいだろうと思い、そっと扉を閉める。

「じゃあ、ここだ!」

 そしてソウルは勢いよく次の扉を開けた。


 そこには銀色の長髪にクールな深紅の瞳。


 白い肌が魔石の光に反射し輝いている。その肢体は細くシュッとしながらも程よい大きさの胸と可愛らしい尻が女性らしさを主張している。


 一糸纏わぬシーナが立っていた。


「.......っ」


 あまりの綺麗さにソウルは言葉を失った。女神のようだと思った。


 ……が、それも一瞬。どんどん顔から血の気が失せていく。やってしまった、と全神経が緊急事態を知らせている。


「.......っ!!??」

 シーナは顔を茹でダコのように真っ赤にするとタオルでその身を隠す。

「すすすすまん!わざとじゃないんだ!?」

 ソウルは慌てて弁明し、退散しようと後ずさる。


「.......っ、死ねえぇぇえええええ!!!!!」


 だが抵抗虚しく、シーナの強烈な回し蹴りがソウルの左頬に突き刺さった。

「ぷぎゃああああああああ!?!?」

 豚のような悲鳴を上げながら壁に叩きつけられたソウルの意識は闇の中へと墜ちていった。
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