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元メンバー・クルーダSide

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 今日はつらい決断をしなければならなかった。3年ほど一緒に活動してきたパーティーの一人に抜けてもらわなければならなくなったのだ。できればこのパーティーでずっと活動していきたかったが、さすがに片手が使えなければ戦力ダウンは否めない。クルトもそのあたりは納得してくれてパーティーを抜けていった。

 残ったのは俺と剣士のトレド、補助魔法士のマルサ、治癒士のデミルトアだ。さっそく追加メンバーを探すが、簡単には見つからない。一応残った4人でも戦うことはできるんだが、やはり攻撃力には劣ってしまう。魔法使いに入ってもらう手もあるんだが、今までの戦い方が変わるというのも難しいため、やはり物理攻撃のできるやつに入ってもらうのがいいだろう。

 しばらく4人で少し格下の魔獣と戦いながらパーティーを募集する。何人か入りたいという奴らもいたんだが、テストをしてみると明らかに技量が劣ってしまうのだ。せめてもう少し上のレベルがないと単なる足手まといになってしまう。


 パーティー募集の掲示板に追加情報を書こうと思ったところでクルトがパーティーを募集していることに気がついた。中身を読んでみたところ、同じように体に障害がある人間を集めているようだ。やはり冒険者はやめられずにしがみついているのか。
 まあそれは仕方が無いかもしれないな。今までの生き方を簡単に変えることも難しいだろうし、新しい仕事を探すのも大変だ。
 パーティーは集まるのかと思っていたんだが、気がつくと募集の張り紙はなくなっていた。そのあと松葉杖をついている女性と仮面を被った女性を連れたクルトを見かけた。まだ冒険者の格好をしているところを見るとあのメンバーでなんとかやっているのだろう。


 こっちのパーティーもやっと追加でサランダという剣士が入って前と同じレベルの魔獣を狩ることができるようになった。いや、今までより少し格上の魔獣も狩ることができるようになったのである。
 結構遠い町で活動していたんだが、色々あってこっちの町に移ってきたらしい。他のパーティーで方針が合わなくてパーティーを抜けたと聞いていたが、礼儀も正しくていいやつだった。もともといたパーティーに問題があったのではないかと思っている。

 それから半年ほどして俺たちは優階位に上がることができた。やっとここまで来たんだなあと感激したものだ。とりあえずここまで来ればもし何かあったとしても一生の生活は保障されるのだ。



 しばらくしてから俺たちは辺境の村からの討伐依頼を受けることにした。優階位の魔獣が出てきていると言うことでその討伐依頼だ。今までも何度か討伐は行っている魔物で、俺たちでも十分に対応できる内容だった。

 討伐の為に村を出てから森に入って野営をしていたんだが、ここで別の問題が起きてしまったのだ。野営でサランダとマルサが担当していたはずなんだが、夜中にもかかわらず大声で罵り合う声が聞こえてきた。近くに魔獣の気配を感じて驚いて起きたが、3人は気がつくのが遅れて魔獣にやられてしまった。俺とトレドはなんとかその隙を突いて魔獣を倒すことができたんだが、トレドはきき腕を無くしてしまった。

 サランダとマルサは亡くなったが、デミルトアは瀕死の状態だった。デミルトアとマルサは結婚していたんだが、なんとサランダのやつがマルサと関係を持っていたようなのである。デミルトアが二人が見張りをやっている最中に抱き合っていたのを見かけて大げんかになってしまったようだ。
 魔獣のいる森で大声で怒鳴り合うなんてとんでもないことだが、感情を抑えられなかったらしい。二人のことを恨みながら亡くなってしまった。
 ただ今回のことでこのパーティーは解散することとなった。5人のうち、3人がなくなり、1人は片腕を無くして引退だ。あとでサランダが前のパーティーをやめた原因がパーティー内での女の取り合いが原因だったことがわかった。もっと早く確認していればこんなことにはならなかったかもしれない。



 あれから5年の月日が流れた。俺はなんとかいまも冒険者を続けているが、優階位からはなかなか上がれない。新しいパーティーに入ってもあまりうまく連携がとれず、長続きがしないのである。このため短期間の臨時パーティーやソロでの討伐を行っている。
 そこそこの稼ぎにはなっているが、薬や装備の手入れでお金は貯まっていかない。そろそろ引退を考えた方がいいのかもしれない。


 風の噂でクルトは冒険者を続けているが、商人として成功を収めたと聞いた。結婚して子供もいるようだ。冒険者を諦めても幸せになれるやつもいるんだな。特階位になっていたら俺も幸せになれていたのだろうか?
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