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新たな仲間
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まずは今回の報酬と貯めていた貯金を使って指の治療を行う。10年かかって貯めたお金と今回のお金でギリギリなんとかなりそうだ。
教会に行ってから指の治療を行ってもらうとうまく再生することができた。今回はすぐに治療したのでリハビリにはそれほど時間はかからないだろう。指の第2関節までで済んでいたからなんとかお金も足りてよかったよ。
今後のことについて考えてみる。
狩ってきた魔物の査定は誰が狩ってきたのかわからないように査定する人と顔を合わせないようになっている。魔物も収納バッグに入れているからどんなものを狩ってきているのかは周りにはわからないはずだ。
そして報奨金についても自動で支払われているからどのくらいの報奨金を得ていてどのくらいの実績ポイントがたまっているかはわからない。
そして俺は負傷したと言うことになっているし、俺が治療した情報は教会から普通は出ることはないはずだ。守秘義務があるからよほど調べない限りはな。ということは、実績ポイントがあまり入らなくてもそこまで疑われることはないだろう。
実際最低限の実績ポイントを入れて賃金だけもらっている奴らも結構いるからな。この賃金の支払いも自動で行われているので変な誤解は受けないはずだ。
こう考えると、実績ポイントを最低限入れておけば負傷してもなんとか冒険者を続けていると認識されていてもおかしくないだろう。
問題はどこまで報奨金の支払いを把握されているかという点だ。この冒険者役場の登録人数を考えると、かなりの数がいるからもし俺が20倍の報酬を受け取ったとしても・・・誤差レベルか?まあ場合によっては他の町で換金するのもありだな。特に人数が大きなところに行けばさらにわかりにくくなるだろう。
他の町に行った場合はカバーされたところのボタンを押すことができるかと言うことだな。魔法を使えばできるかもしれないが、俺は使えないからな。まあこれは追々考えればいいだろう。
今後のことを考えてパーティーメンバーを探すことにした。やはり安全を考えるとソロというのは危険度が高いし、狩れる魔物も限定されてしまう。効率を考えていくとやはり一緒に戦ってくれる人が欲しいものだ。
ただ冒険者は上の階位を目指して当たり前というのがこの世界の常識だ。ただ俺はそれをしないつもりなのでメンバーを選ぶときに上昇志向の少ない奴らを選ばないといけない。
体を怪我した人間は上昇志向が薄くなると言うことを聞いたことがあるし、俺も同じだったので身体的な障害がある人の方がいいのか?
俺の状態についても知っている奴らもいると思うので素直に条件を書いて募集することにした。上の階位を目指すのは難しいこと、身体的な障害があってもよいことなどを書いておく。怪我をした冒険者が諦めきれないことと、他に道がなく日銭を稼ぐために魔物退治を続けるというのはたまにある話だ。
さすがに募集をしてもなかなか人はやってこないが、これは予想していたとおりだ。俺が怪我をしているのはもう知れ渡っているので、よほどで無い限りはパーティーを組もうとは思わないだろう。
あせっても仕方が無いので一人でも安全に狩れる魔物を退治しながら気長に待つことにした。一人で安全に狩れる魔物と言っても報酬が20倍なので一日の稼ぎは1~2万ドールくらいと今までに比べて段違いの報酬となる。
せっかくなので宿は今までの100~200ドールの相部屋の宿ではなく、400ドールの個室の宿に移ることにした。おかげで共同とはいえ、シャワーを使うことができるのはありがたかった。今までは体を拭くくらいしかできなかったからな。食事も今までよりもワンランク上のものを食べるようにしてかなり贅沢な感じだ。
ただなんでそんな生活ができるのか探られても困るので、狩りの時以外は商人のような格好をして変装しておいた。
しばらくしたころに募集を見たという20歳くらいの女性がやってきた。
「ミランダという。パーティー募集の案内を見てやってきたんだけど、こんな状態だがパーティーに入れてくれるのかしら?」
ブロンドの長い髪を後ろで縛っているかわいい感じの女性だった。俺と同じくらいの身長で、ローブをまとっているので魔法使いか?ただ右足の膝から下がなくなっており、松葉杖をついて移動していた。
「すまないが、職業などを教えてくれないか?」
「良階位の支援魔法使いよ。簡単な回復魔法も使うことができるけど、足がこんな状態なので戦闘では役に立たないと思ってもらっていいわ。」
支援魔法使いだったら俺に魔法をかけてもらって後方で待機してもらうだけでもかなり助かるな。移動については治癒できるまで義足をつけてもらえば問題ないだろう。今あるお金で義足くらいはなんとかなりそうなので先に買ってやるのもありか?
「俺は剣士なので支援魔法はありがたい。ただ俺のパーティーでは階位をあげることは目指さないから今の階位以上には上がれないと考えてもらわなければならないぞ。それでもいいのか?」
「この状態だから冒険者をやめたとしたらやれることは限定されてしまう。体を売るか、奴隷となるしかないからね。こんな私でもパーティーに入れてくれるならそれだけで十分だわ。」
足の再生には一般の年収数年分が必要となるので普通に考えると治癒するのは無理だからな。しかも怪我をしてからの日数が長ければ長いほど治癒した後のリハビリに時間がかかってしまう。1年以上経過してしまうとたとえ再生しても日常生活がなんとかできるくらいしか回復しない。普通に考えると諦めるのも仕方が無いだろう。
「わかった。すまないが、いくつか契約してもらわなければならないことがあるのでそれを聞いてから入るかどうか決めてくれ。」
「契約というのは魔法契約のこと?」
「そうだ、ただそんなに難しい内容じゃない。パーティーの報奨金の管理を一任してもらうことと、パーティーのことについて他に話すことを禁止するということだ。
報奨金の管理はこちらで行うが、宿泊、食事、装備の手入れなどの代金はこちらで払うし、小遣い程度は渡せる。どのくらいの報奨金を受け取っているかはおおよそ把握できるだろ?」
「まあ、それくらいはできるわ。しかし魔法契約をするってことはよほど秘密にしなければならないことがあるって言うことなの?」
「ああ、そう思ってもらってかまわない。正直今話した内容でも不審に思われることだが、最低限のことは話さないとあんたも入ろうとは思わないだろう?」
ミランダはしばらく考え込んだ後、返事をしてきた。
「わかったわ。こんな状態でもパーティーメンバーに入れてくれるのなら文句は言わない。私だけだと狩りは絶対にできないから。」
「よし、それじゃあ、さっそく魔法契約に行こう。」
「わかったわ。あなたの評判は話に聞いているので信用することにするわ。」
10年間コツコツと真面目にやってきたのでそれなりには信用があるので助かった。まあ信用されていなければこんなパーティーの募集には誰も応募してこないだろうからな。
魔法の契約は正式な契約の時に行われるものだ。主に契約内容を口外できなくするのが目的のことが多く、口外しようとしても規制がかかってしゃべられないというものだ。
契約をするには専用の場所を借りて専用の用紙を使うことで行うことになる。もちろんそれなりにお金もかかるが、今回はやっておかないとまずいことになるからな。
契約を終了したところで、早速買い物へ向かう。
「最初に右足の義足を準備させてもらう。」
「義足?義足だけでも10万ドールはするものよ。それを準備してもらえるの?」
「そのつもりだ。ただしばらくはまわりには義足はないと言うことで振る舞ってほしい。いきなり義足を買っていると不審に思われるだろう?お金に関しては後々返してもらえれば十分だ。」
「わかったわ。でも義足代を返すにはかなり時間がかかってしまうと思うけどいいの?」
「大丈夫だ、いずれ詳細は話をするが、そこまで時間はかからないと思っている。」
「よくわからないけど、お礼は言っておくわ。ありがとう。これだけでもパーティーをくんだ価値があるってものよ。」
ミランダは町の中では松葉杖をついて歩き、人がいなくなったところで松葉杖は収納して歩くことになった。義足なので普通よりは歩く速度は遅いが、戦闘の際にはほとんど違和感ないくらいになるので問題は無い。
戦闘は支援魔法のおかげでかなり楽になった。今までよりも高位の魔物を狩ることができるので、一匹あたりの収入は倍近くなった。人数割りにすると一匹あたりの収入は変わらないんだが、やはり支援魔法があるだけで効率が変わってくる。しかも少しの怪我であれば回復魔法で回復してくれるので薬の使用もしなくていいので出費が抑えられるのがありがたい。
おかげで一日あたりの収入は4~5万ドールとなり、宿代や食費とか装備の整備代を除いてもかなりのペースでお金を貯めていくことができた。
周りからは俺たちは怪我した冒険者がなんとか魔物を狩って生活しているように見えているみたいだ。このため冒険者役場ではかなり哀れみの目を向けられている。まあその方がこっちとしてはありがたいんだがな。
泊まるところは俺が泊まっていた宿に移ったのでミランダはかなり驚いていた。最初は何かされるんじゃないかと少し警戒したようだが、シングルを二部屋とったので逆に恐縮していた。食事も普通にとり、小遣いと言って一日100ドール渡している。
お金のことについて契約もあったんだが、不思議そうにしつつも特に何も言ってこなかった。二人で狩りをして1ヶ月たったので今後のことについて話をする。
「パーティーを組んでから1ヶ月たったが、どうするか考えてくれたか?」
「こんな生活をしていてほんとにいいのかというのが正直なところね。ざっくりとした計算だけど、この一ヶ月で得られた報酬は実績ポイントなしでたぶん8万ドールくらい?ただ生活費でかかっているお金はおそらく6~8万ドールくらいになるからほとんどプラスマイナスゼロ。
とりあえず十分贅沢な生活だけど、全く貯金もできない状態なので装備の更新などを考えると結構ギリギリの生活なのでは?実績ポイントが入らないのはしょうがないけど、もう少し生活を切り詰めた方がいいんじゃないの?」
「まあ、普通だったらその金額だな。」
「最初の話だと治癒費用も捻出するという話だったけど、どう考えてもこのペースだと無理じゃない?いくらお金がかかるかわかっているわよね?」
「ああ、もちろん知っているさ。ただ、おそらくこのペースで狩りをすればあと1ヶ月あればミランダの足の治癒ができる計算だ。」
「・・・・なんですって?」
「あと1ヶ月もすれば治癒ができると言ったんだ。」
「どういうことなの?治癒費用は安くても100万ドール以上なのに、なぜそんな計算になるの!」
俺はこれまでの話をかいつまんで説明した。その話を聞いたミランダはかなり驚いていたが、実際に精算機で実演してみせると驚いていた。
「これって大丈夫なの?」
「正直いうと、大丈夫だと言い切れないところはある。ただ冒険者の数を考えると、チェックもされていないみたいだから大丈夫じゃないかと思っている。特に生活が派手になったりして疑われなければ調べようとはされないと思っているんだ。
どっちにしろ、冒険者を続けていつ死ぬかわからないような生活をするよりは楽しく暮らしていった方がいいと思っている。
ただこれは俺の考えであってミランダはどう考えるかはわからない。なので足の治癒が終わったらパーティーを抜けてもらってもかまわない。ただこの話についての記憶は先に話したとおり忘れてもらうことになる。
というのも全員が同じことをやり始めたらさすがにばれてしまうと思っているんだ。もしかしたら他にもやっている人がいるかもしれないが、少人数だからこそなんとかごまかせていると思う。」
しばらく考えた後、覚悟を決めたような顔で話してきた。
「わかったわ。私も覚悟を決める。このままあなたと一緒にパーティーを続けるわ。他のパーティーに行ったとしてもまた怪我をしてしまう可能性もあるし、せっかくの人生だから楽しんでいきたいわ。」
「ありがとう。よかった。これで今日からほんとのパーティーメンバーだな。」
とりあえず本当の仲間ができたというのがうれしかった。秘密を共有できるというのも心のつっかえがとれて助かった。
教会に行ってから指の治療を行ってもらうとうまく再生することができた。今回はすぐに治療したのでリハビリにはそれほど時間はかからないだろう。指の第2関節までで済んでいたからなんとかお金も足りてよかったよ。
今後のことについて考えてみる。
狩ってきた魔物の査定は誰が狩ってきたのかわからないように査定する人と顔を合わせないようになっている。魔物も収納バッグに入れているからどんなものを狩ってきているのかは周りにはわからないはずだ。
そして報奨金についても自動で支払われているからどのくらいの報奨金を得ていてどのくらいの実績ポイントがたまっているかはわからない。
そして俺は負傷したと言うことになっているし、俺が治療した情報は教会から普通は出ることはないはずだ。守秘義務があるからよほど調べない限りはな。ということは、実績ポイントがあまり入らなくてもそこまで疑われることはないだろう。
実際最低限の実績ポイントを入れて賃金だけもらっている奴らも結構いるからな。この賃金の支払いも自動で行われているので変な誤解は受けないはずだ。
こう考えると、実績ポイントを最低限入れておけば負傷してもなんとか冒険者を続けていると認識されていてもおかしくないだろう。
問題はどこまで報奨金の支払いを把握されているかという点だ。この冒険者役場の登録人数を考えると、かなりの数がいるからもし俺が20倍の報酬を受け取ったとしても・・・誤差レベルか?まあ場合によっては他の町で換金するのもありだな。特に人数が大きなところに行けばさらにわかりにくくなるだろう。
他の町に行った場合はカバーされたところのボタンを押すことができるかと言うことだな。魔法を使えばできるかもしれないが、俺は使えないからな。まあこれは追々考えればいいだろう。
今後のことを考えてパーティーメンバーを探すことにした。やはり安全を考えるとソロというのは危険度が高いし、狩れる魔物も限定されてしまう。効率を考えていくとやはり一緒に戦ってくれる人が欲しいものだ。
ただ冒険者は上の階位を目指して当たり前というのがこの世界の常識だ。ただ俺はそれをしないつもりなのでメンバーを選ぶときに上昇志向の少ない奴らを選ばないといけない。
体を怪我した人間は上昇志向が薄くなると言うことを聞いたことがあるし、俺も同じだったので身体的な障害がある人の方がいいのか?
俺の状態についても知っている奴らもいると思うので素直に条件を書いて募集することにした。上の階位を目指すのは難しいこと、身体的な障害があってもよいことなどを書いておく。怪我をした冒険者が諦めきれないことと、他に道がなく日銭を稼ぐために魔物退治を続けるというのはたまにある話だ。
さすがに募集をしてもなかなか人はやってこないが、これは予想していたとおりだ。俺が怪我をしているのはもう知れ渡っているので、よほどで無い限りはパーティーを組もうとは思わないだろう。
あせっても仕方が無いので一人でも安全に狩れる魔物を退治しながら気長に待つことにした。一人で安全に狩れる魔物と言っても報酬が20倍なので一日の稼ぎは1~2万ドールくらいと今までに比べて段違いの報酬となる。
せっかくなので宿は今までの100~200ドールの相部屋の宿ではなく、400ドールの個室の宿に移ることにした。おかげで共同とはいえ、シャワーを使うことができるのはありがたかった。今までは体を拭くくらいしかできなかったからな。食事も今までよりもワンランク上のものを食べるようにしてかなり贅沢な感じだ。
ただなんでそんな生活ができるのか探られても困るので、狩りの時以外は商人のような格好をして変装しておいた。
しばらくしたころに募集を見たという20歳くらいの女性がやってきた。
「ミランダという。パーティー募集の案内を見てやってきたんだけど、こんな状態だがパーティーに入れてくれるのかしら?」
ブロンドの長い髪を後ろで縛っているかわいい感じの女性だった。俺と同じくらいの身長で、ローブをまとっているので魔法使いか?ただ右足の膝から下がなくなっており、松葉杖をついて移動していた。
「すまないが、職業などを教えてくれないか?」
「良階位の支援魔法使いよ。簡単な回復魔法も使うことができるけど、足がこんな状態なので戦闘では役に立たないと思ってもらっていいわ。」
支援魔法使いだったら俺に魔法をかけてもらって後方で待機してもらうだけでもかなり助かるな。移動については治癒できるまで義足をつけてもらえば問題ないだろう。今あるお金で義足くらいはなんとかなりそうなので先に買ってやるのもありか?
「俺は剣士なので支援魔法はありがたい。ただ俺のパーティーでは階位をあげることは目指さないから今の階位以上には上がれないと考えてもらわなければならないぞ。それでもいいのか?」
「この状態だから冒険者をやめたとしたらやれることは限定されてしまう。体を売るか、奴隷となるしかないからね。こんな私でもパーティーに入れてくれるならそれだけで十分だわ。」
足の再生には一般の年収数年分が必要となるので普通に考えると治癒するのは無理だからな。しかも怪我をしてからの日数が長ければ長いほど治癒した後のリハビリに時間がかかってしまう。1年以上経過してしまうとたとえ再生しても日常生活がなんとかできるくらいしか回復しない。普通に考えると諦めるのも仕方が無いだろう。
「わかった。すまないが、いくつか契約してもらわなければならないことがあるのでそれを聞いてから入るかどうか決めてくれ。」
「契約というのは魔法契約のこと?」
「そうだ、ただそんなに難しい内容じゃない。パーティーの報奨金の管理を一任してもらうことと、パーティーのことについて他に話すことを禁止するということだ。
報奨金の管理はこちらで行うが、宿泊、食事、装備の手入れなどの代金はこちらで払うし、小遣い程度は渡せる。どのくらいの報奨金を受け取っているかはおおよそ把握できるだろ?」
「まあ、それくらいはできるわ。しかし魔法契約をするってことはよほど秘密にしなければならないことがあるって言うことなの?」
「ああ、そう思ってもらってかまわない。正直今話した内容でも不審に思われることだが、最低限のことは話さないとあんたも入ろうとは思わないだろう?」
ミランダはしばらく考え込んだ後、返事をしてきた。
「わかったわ。こんな状態でもパーティーメンバーに入れてくれるのなら文句は言わない。私だけだと狩りは絶対にできないから。」
「よし、それじゃあ、さっそく魔法契約に行こう。」
「わかったわ。あなたの評判は話に聞いているので信用することにするわ。」
10年間コツコツと真面目にやってきたのでそれなりには信用があるので助かった。まあ信用されていなければこんなパーティーの募集には誰も応募してこないだろうからな。
魔法の契約は正式な契約の時に行われるものだ。主に契約内容を口外できなくするのが目的のことが多く、口外しようとしても規制がかかってしゃべられないというものだ。
契約をするには専用の場所を借りて専用の用紙を使うことで行うことになる。もちろんそれなりにお金もかかるが、今回はやっておかないとまずいことになるからな。
契約を終了したところで、早速買い物へ向かう。
「最初に右足の義足を準備させてもらう。」
「義足?義足だけでも10万ドールはするものよ。それを準備してもらえるの?」
「そのつもりだ。ただしばらくはまわりには義足はないと言うことで振る舞ってほしい。いきなり義足を買っていると不審に思われるだろう?お金に関しては後々返してもらえれば十分だ。」
「わかったわ。でも義足代を返すにはかなり時間がかかってしまうと思うけどいいの?」
「大丈夫だ、いずれ詳細は話をするが、そこまで時間はかからないと思っている。」
「よくわからないけど、お礼は言っておくわ。ありがとう。これだけでもパーティーをくんだ価値があるってものよ。」
ミランダは町の中では松葉杖をついて歩き、人がいなくなったところで松葉杖は収納して歩くことになった。義足なので普通よりは歩く速度は遅いが、戦闘の際にはほとんど違和感ないくらいになるので問題は無い。
戦闘は支援魔法のおかげでかなり楽になった。今までよりも高位の魔物を狩ることができるので、一匹あたりの収入は倍近くなった。人数割りにすると一匹あたりの収入は変わらないんだが、やはり支援魔法があるだけで効率が変わってくる。しかも少しの怪我であれば回復魔法で回復してくれるので薬の使用もしなくていいので出費が抑えられるのがありがたい。
おかげで一日あたりの収入は4~5万ドールとなり、宿代や食費とか装備の整備代を除いてもかなりのペースでお金を貯めていくことができた。
周りからは俺たちは怪我した冒険者がなんとか魔物を狩って生活しているように見えているみたいだ。このため冒険者役場ではかなり哀れみの目を向けられている。まあその方がこっちとしてはありがたいんだがな。
泊まるところは俺が泊まっていた宿に移ったのでミランダはかなり驚いていた。最初は何かされるんじゃないかと少し警戒したようだが、シングルを二部屋とったので逆に恐縮していた。食事も普通にとり、小遣いと言って一日100ドール渡している。
お金のことについて契約もあったんだが、不思議そうにしつつも特に何も言ってこなかった。二人で狩りをして1ヶ月たったので今後のことについて話をする。
「パーティーを組んでから1ヶ月たったが、どうするか考えてくれたか?」
「こんな生活をしていてほんとにいいのかというのが正直なところね。ざっくりとした計算だけど、この一ヶ月で得られた報酬は実績ポイントなしでたぶん8万ドールくらい?ただ生活費でかかっているお金はおそらく6~8万ドールくらいになるからほとんどプラスマイナスゼロ。
とりあえず十分贅沢な生活だけど、全く貯金もできない状態なので装備の更新などを考えると結構ギリギリの生活なのでは?実績ポイントが入らないのはしょうがないけど、もう少し生活を切り詰めた方がいいんじゃないの?」
「まあ、普通だったらその金額だな。」
「最初の話だと治癒費用も捻出するという話だったけど、どう考えてもこのペースだと無理じゃない?いくらお金がかかるかわかっているわよね?」
「ああ、もちろん知っているさ。ただ、おそらくこのペースで狩りをすればあと1ヶ月あればミランダの足の治癒ができる計算だ。」
「・・・・なんですって?」
「あと1ヶ月もすれば治癒ができると言ったんだ。」
「どういうことなの?治癒費用は安くても100万ドール以上なのに、なぜそんな計算になるの!」
俺はこれまでの話をかいつまんで説明した。その話を聞いたミランダはかなり驚いていたが、実際に精算機で実演してみせると驚いていた。
「これって大丈夫なの?」
「正直いうと、大丈夫だと言い切れないところはある。ただ冒険者の数を考えると、チェックもされていないみたいだから大丈夫じゃないかと思っている。特に生活が派手になったりして疑われなければ調べようとはされないと思っているんだ。
どっちにしろ、冒険者を続けていつ死ぬかわからないような生活をするよりは楽しく暮らしていった方がいいと思っている。
ただこれは俺の考えであってミランダはどう考えるかはわからない。なので足の治癒が終わったらパーティーを抜けてもらってもかまわない。ただこの話についての記憶は先に話したとおり忘れてもらうことになる。
というのも全員が同じことをやり始めたらさすがにばれてしまうと思っているんだ。もしかしたら他にもやっている人がいるかもしれないが、少人数だからこそなんとかごまかせていると思う。」
しばらく考えた後、覚悟を決めたような顔で話してきた。
「わかったわ。私も覚悟を決める。このままあなたと一緒にパーティーを続けるわ。他のパーティーに行ったとしてもまた怪我をしてしまう可能性もあるし、せっかくの人生だから楽しんでいきたいわ。」
「ありがとう。よかった。これで今日からほんとのパーティーメンバーだな。」
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