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第1章 Reborn
第38話 thank you!
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渡辺は自室の奥の部屋にさっきの女性といた。
真由美と何回も寝た部屋だ。
ソファーに座り女と話をしながら別の事を考えていた。
あの実験体は惜しいことをした。あの女、しくじりやがって。
補助脳に記憶を流し込むには時間がかかる。
時間もコストもかかる。
通常では脳はデータに対し何度も拒絶反応を起こし、脳自体が発狂してしまう。
山本美鈴の脳は二年かけて記憶を移し替えた。
それを可能にしたのが西門だった。
あのAIサポートシステムは脳の自我をコントロールし拒絶反応をさせない。
渡辺は暫く黙って考える。
煙草を咥えると女が火をつける。
大きく吸い込み深く吐いた。
実験体は失ってしまったがまた構築すればいい。データはあるんだ。問題ない。
警察には復活には時間がかかると言えばいいだろう。
どうせ理解できない頭だ。
「ねぇ何考えてるの? お酒飲む?」
ふと我に返る。
仮眠室となっているがシャワールーム、ベッドや酒。ドラッグもある。
「そうだな」
ガウンに着替え、女が酒をグラスに継ごうとした時、渡辺は違和感を感じた。
――なんだ? ちょっと待て。
自分の机の上にコーヒーカップが置いてある。いつもの光景だ。
よく見るとカップの取っ手に付箋が張ってある。
どこかで見たことが……
渡辺が思い出そうとする。
ソファを立ち上がり付箋を見た。
『thank you!』と書いてある。
――!!
記憶がよみがえる。
西門の研究所では、俺はいつもコーヒーを入れていた。
飲み終わったカップには、いつも付箋が張られ『thank you!』と書いてあったのを渡辺は思い出した!
まさか。ここに来たのか西門!
仮眠室を出て自分のオフィスに飛び込む。
違和感はこれだ!
無い! サンプルのスーツが無い!
じゃあ、さっきのスーツは偽物か。
まさかオリジナルを取り返しに来たのか?
あれから三年だぞ!?
渡辺の部屋を、誰かが激しくノックする。
「室長! 大変です。今直ぐ、ネットを抜いて切ってください!」
自分のノートPCを見せてきた。
凄まじい勢いでデータが改変されていく。
慌てて自分のPCもつける。
『コンプリート』と文字が浮かんでいて何も動かない。
「ここだけじゃないんです! サーバーも皆のPC全てがハッキングされています!」
一斉に内線が鳴り響く!
『別のウイルスらしいです。ここを経由して本社のサーバーからネット上にデータが流出しています!
本社のシステムがダウンしています! もしもし! だめだ! ネット自体も切れました!』
渡辺は慌てて、別のPCからAIサポートプログラムの保管を確認する。
あった!
中開くとプログラムソースはすべて書き換えられている。
渡辺は顔を真っ赤に染め上げ
「警備に連絡して直ぐにこの男、西門護をすぐに捕らえろ!」
「内線がつながりません! この施設が! いや篠原重工の全てが書き換えられています!」
「僕の実験データがああああぁぁぁああ!」
研究室は阿鼻叫喚となっている。
渡辺はヨロヨロと仮眠室に戻る。
女は服を着て、さっさと出て行った。
渡辺はソファーに座り煙草を咥え、茫然と天井を眺めていた。
勿論スーツに仕掛けをしたのと、AIプログラムを消去したのは西門だが、実はもう一人いる。
後にこの大規模障害は、篠原グループ会社全体に影響を与え、全グループの株価を大きく落とし
『シノハラショック』と不名誉な名前を付けられる事となった。
真由美と何回も寝た部屋だ。
ソファーに座り女と話をしながら別の事を考えていた。
あの実験体は惜しいことをした。あの女、しくじりやがって。
補助脳に記憶を流し込むには時間がかかる。
時間もコストもかかる。
通常では脳はデータに対し何度も拒絶反応を起こし、脳自体が発狂してしまう。
山本美鈴の脳は二年かけて記憶を移し替えた。
それを可能にしたのが西門だった。
あのAIサポートシステムは脳の自我をコントロールし拒絶反応をさせない。
渡辺は暫く黙って考える。
煙草を咥えると女が火をつける。
大きく吸い込み深く吐いた。
実験体は失ってしまったがまた構築すればいい。データはあるんだ。問題ない。
警察には復活には時間がかかると言えばいいだろう。
どうせ理解できない頭だ。
「ねぇ何考えてるの? お酒飲む?」
ふと我に返る。
仮眠室となっているがシャワールーム、ベッドや酒。ドラッグもある。
「そうだな」
ガウンに着替え、女が酒をグラスに継ごうとした時、渡辺は違和感を感じた。
――なんだ? ちょっと待て。
自分の机の上にコーヒーカップが置いてある。いつもの光景だ。
よく見るとカップの取っ手に付箋が張ってある。
どこかで見たことが……
渡辺が思い出そうとする。
ソファを立ち上がり付箋を見た。
『thank you!』と書いてある。
――!!
記憶がよみがえる。
西門の研究所では、俺はいつもコーヒーを入れていた。
飲み終わったカップには、いつも付箋が張られ『thank you!』と書いてあったのを渡辺は思い出した!
まさか。ここに来たのか西門!
仮眠室を出て自分のオフィスに飛び込む。
違和感はこれだ!
無い! サンプルのスーツが無い!
じゃあ、さっきのスーツは偽物か。
まさかオリジナルを取り返しに来たのか?
あれから三年だぞ!?
渡辺の部屋を、誰かが激しくノックする。
「室長! 大変です。今直ぐ、ネットを抜いて切ってください!」
自分のノートPCを見せてきた。
凄まじい勢いでデータが改変されていく。
慌てて自分のPCもつける。
『コンプリート』と文字が浮かんでいて何も動かない。
「ここだけじゃないんです! サーバーも皆のPC全てがハッキングされています!」
一斉に内線が鳴り響く!
『別のウイルスらしいです。ここを経由して本社のサーバーからネット上にデータが流出しています!
本社のシステムがダウンしています! もしもし! だめだ! ネット自体も切れました!』
渡辺は慌てて、別のPCからAIサポートプログラムの保管を確認する。
あった!
中開くとプログラムソースはすべて書き換えられている。
渡辺は顔を真っ赤に染め上げ
「警備に連絡して直ぐにこの男、西門護をすぐに捕らえろ!」
「内線がつながりません! この施設が! いや篠原重工の全てが書き換えられています!」
「僕の実験データがああああぁぁぁああ!」
研究室は阿鼻叫喚となっている。
渡辺はヨロヨロと仮眠室に戻る。
女は服を着て、さっさと出て行った。
渡辺はソファーに座り煙草を咥え、茫然と天井を眺めていた。
勿論スーツに仕掛けをしたのと、AIプログラムを消去したのは西門だが、実はもう一人いる。
後にこの大規模障害は、篠原グループ会社全体に影響を与え、全グループの株価を大きく落とし
『シノハラショック』と不名誉な名前を付けられる事となった。
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