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ケンプトンの騎士団長
27.最悪な再会
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「見えたぞ。あれが今回の客……。
クローブ王国騎士団団長、アスロット・キッドマンだ」
「とうとう来たな、騎士団長め……」
◇
俺は騎士団長との距離が近づくと共に、不思議な気分になっていた。
まず大前提として、俺が王都で受けたクエストの発注者はアイツだった。
そこからナツキさんの小屋に行き、ナツキさんと出会って、今ここにいる。
果たしてこれは、感謝すべきなのだろうか?
正直言って、数日前までは内容の分からないクエストに巻き込まれたという怒りも少しあった。
だけどナツキさんに出会えたという事を考慮すれば、プラマイゼロどころか少しプラスのような気もしている。
「……とりあえずアイツの第一声次第だな」
俺はそう呟いて、いよいよアスロットに相対していた。
ちなみにコイツとは、俺が断罪されたでお馴染みの”悪鬼討伐戦”で共に戦っている。
もちろん戦闘実力はSランク冒険者と遜色はなく、頼り甲斐のある戦士だ。
体は俺より2回り大きく、ナツキさんより1回り大きい。
全身をシルバーの重厚なヨロイで覆った、まさに”重兵”と呼ぶべき存在感なのだ。
だが性格が、なんというかその……面倒くさいんだよなぁ……。
さて、第一声は何と言ってくるのか。
「ファーハッハ!!元気そうじゃないか2人とも!ベネットは相変わらず………小さいな!」
「よし、殺そう」
気付けば俺は刀を抜いて、アスロットに切り掛かっていた。
ケンプトン村で身長を馬鹿にされた時は怒らなかった俺だが、なんかコイツに言われると……ムカつく!!
「ファッハッハ!相変わらず早いなベネット!!本当に殺そうとしただろう!!」
「まさか~。偉大なクローブ騎士団団長様を殺そうなんて、思うわけないじゃないっすかぁ~!」
俺はそう言いながらも、刀に注ぐ魔力を止める事はなかった。
するとさすがに呆れたナツキさんが仲裁に入る。
「会って早々、君たちは何をしているんだ……。ベネット、一応彼は客だぞ」
「あっ……す、すいません。よかったなぁアスロット、ナツキさんがいなかったら今日が命日になってたぞ」
「フンッ、相変わらず生意気だな!だが元気があるのは子供らしくていい事だぞっ!!」
お互いに止まらない口撃は、俺たちの間にバチバチと火花の様なモノを散らしている。
するとここで再びナツキさんが口を開いた。
「はぁ……挨拶は済んだか?今日は刀を渡しに来ただけなんだ。キッドマンも煽る様な事はするな」
「ファッハッハ、ナツキも久しぶりだなあ!少し顔色が良くなったんじゃないか?」
それを聞いた俺は即座に反応する。
「おいゴリラ、ナツキさんの顔をジロジロ見てんじゃねぇぞ」
「んん?なにか声が聞こえた様な気がしたが、小さすぎて見えんなぁー!!」
【ガキィィイン!!】
こうして俺たちは再び刃を向け合っていた。
このクソゴリラ、焼いて食ってやる……!
————なんて考えた直後だった。
「おいお前達……2度は言わせるなよ……」
ナツキさんから溢れ出した真っ黒な殺気によって、俺たちはスグに刀を収めるのだった。
◇
「久しぶりの再会でワシもテンションが上がってしまったみたいだ!ファッハッハ!
改めて……ナツキもベネット元気そうで何よりだ!」
「君もな、キッドマン。元気すぎて迷惑なぐらいだよ。……それで早速だが、これが出来上がった刀だ」
一旦落ち着いた俺たちは、再会の挨拶も程々にして仕事の話に移っていた。
ナツキさんは背負っていた白い布を砂漠の上に下ろし、そして丁寧に布を広げている。
にしても、ナツキさんの顧客の1人が本当にアスロットだったとはね。
確かにアスロットが悪鬼討伐戦の時に使っていた刀は気になっていたが、まさがソレを作っていた人に弟子入りするなんて予想もしてなかった。
まぁ今はそんな事はどうでもいい。
いよいよナツキさんの新しい”失敗作”のお披露目なのだから。
「さぁ、コレが嵐天龍の素材から作り出した刀・天捲黒風だ。
コイツが巻き上げる風は辺り一帯を全て切り裂く、嵐の刃となる。使い方を間違えれば、自身を傷つけてしまう様な危険な刀だ。鍛錬に励めよキッドマン」
「……素晴らしいなんて言葉では言い表せない程の逸品だな。
間違いなく刀剣の最高ランク【天上大利刀】に匹敵するだろう」
そう言いながらアスロットは黒い刃をジィ……と見つめ、そのままピクリとも動かなくなっていた。
おそらくこの天捲黒風に込められた底知れない魔力に気付いたのだろう。
ちなみに魔眼スキル”魔力感知・解”を持つ俺から言わせてもらえば、正直触れたくないほどの濃い魔力が刀の周りで渦巻いている。
30分以上見つめれば、気が狂ってしまいそうだ。
だが2人はさらに会話を続ける。
「さぁキッドマン、最後の仕上げを頼むぞ」
「あぁ、任せろ」
するとアスロットは新しい刀を持ち上げて、そのまま立ち上がって目を閉じていた。
そして刀に大量の魔力を流し始めたかと思えば……。
「なにをボケッとしているベネット!?早くそこから離れろ!!」
突然俺の後ろにいたナツキさんが叫んでいたのだ!
なんと彼女は既に俺たちから数十メートルも離れており、俺は置いてけぼりをくらっていた。
「え?え?どういう状況!?」
何が何だか理解できない俺だったが、とりあえずナツキさんの指示通りにアスロットから距離を取る。
————だが次の瞬間だった。
クローブ王国騎士団団長、アスロット・キッドマンだ」
「とうとう来たな、騎士団長め……」
◇
俺は騎士団長との距離が近づくと共に、不思議な気分になっていた。
まず大前提として、俺が王都で受けたクエストの発注者はアイツだった。
そこからナツキさんの小屋に行き、ナツキさんと出会って、今ここにいる。
果たしてこれは、感謝すべきなのだろうか?
正直言って、数日前までは内容の分からないクエストに巻き込まれたという怒りも少しあった。
だけどナツキさんに出会えたという事を考慮すれば、プラマイゼロどころか少しプラスのような気もしている。
「……とりあえずアイツの第一声次第だな」
俺はそう呟いて、いよいよアスロットに相対していた。
ちなみにコイツとは、俺が断罪されたでお馴染みの”悪鬼討伐戦”で共に戦っている。
もちろん戦闘実力はSランク冒険者と遜色はなく、頼り甲斐のある戦士だ。
体は俺より2回り大きく、ナツキさんより1回り大きい。
全身をシルバーの重厚なヨロイで覆った、まさに”重兵”と呼ぶべき存在感なのだ。
だが性格が、なんというかその……面倒くさいんだよなぁ……。
さて、第一声は何と言ってくるのか。
「ファーハッハ!!元気そうじゃないか2人とも!ベネットは相変わらず………小さいな!」
「よし、殺そう」
気付けば俺は刀を抜いて、アスロットに切り掛かっていた。
ケンプトン村で身長を馬鹿にされた時は怒らなかった俺だが、なんかコイツに言われると……ムカつく!!
「ファッハッハ!相変わらず早いなベネット!!本当に殺そうとしただろう!!」
「まさか~。偉大なクローブ騎士団団長様を殺そうなんて、思うわけないじゃないっすかぁ~!」
俺はそう言いながらも、刀に注ぐ魔力を止める事はなかった。
するとさすがに呆れたナツキさんが仲裁に入る。
「会って早々、君たちは何をしているんだ……。ベネット、一応彼は客だぞ」
「あっ……す、すいません。よかったなぁアスロット、ナツキさんがいなかったら今日が命日になってたぞ」
「フンッ、相変わらず生意気だな!だが元気があるのは子供らしくていい事だぞっ!!」
お互いに止まらない口撃は、俺たちの間にバチバチと火花の様なモノを散らしている。
するとここで再びナツキさんが口を開いた。
「はぁ……挨拶は済んだか?今日は刀を渡しに来ただけなんだ。キッドマンも煽る様な事はするな」
「ファッハッハ、ナツキも久しぶりだなあ!少し顔色が良くなったんじゃないか?」
それを聞いた俺は即座に反応する。
「おいゴリラ、ナツキさんの顔をジロジロ見てんじゃねぇぞ」
「んん?なにか声が聞こえた様な気がしたが、小さすぎて見えんなぁー!!」
【ガキィィイン!!】
こうして俺たちは再び刃を向け合っていた。
このクソゴリラ、焼いて食ってやる……!
————なんて考えた直後だった。
「おいお前達……2度は言わせるなよ……」
ナツキさんから溢れ出した真っ黒な殺気によって、俺たちはスグに刀を収めるのだった。
◇
「久しぶりの再会でワシもテンションが上がってしまったみたいだ!ファッハッハ!
改めて……ナツキもベネット元気そうで何よりだ!」
「君もな、キッドマン。元気すぎて迷惑なぐらいだよ。……それで早速だが、これが出来上がった刀だ」
一旦落ち着いた俺たちは、再会の挨拶も程々にして仕事の話に移っていた。
ナツキさんは背負っていた白い布を砂漠の上に下ろし、そして丁寧に布を広げている。
にしても、ナツキさんの顧客の1人が本当にアスロットだったとはね。
確かにアスロットが悪鬼討伐戦の時に使っていた刀は気になっていたが、まさがソレを作っていた人に弟子入りするなんて予想もしてなかった。
まぁ今はそんな事はどうでもいい。
いよいよナツキさんの新しい”失敗作”のお披露目なのだから。
「さぁ、コレが嵐天龍の素材から作り出した刀・天捲黒風だ。
コイツが巻き上げる風は辺り一帯を全て切り裂く、嵐の刃となる。使い方を間違えれば、自身を傷つけてしまう様な危険な刀だ。鍛錬に励めよキッドマン」
「……素晴らしいなんて言葉では言い表せない程の逸品だな。
間違いなく刀剣の最高ランク【天上大利刀】に匹敵するだろう」
そう言いながらアスロットは黒い刃をジィ……と見つめ、そのままピクリとも動かなくなっていた。
おそらくこの天捲黒風に込められた底知れない魔力に気付いたのだろう。
ちなみに魔眼スキル”魔力感知・解”を持つ俺から言わせてもらえば、正直触れたくないほどの濃い魔力が刀の周りで渦巻いている。
30分以上見つめれば、気が狂ってしまいそうだ。
だが2人はさらに会話を続ける。
「さぁキッドマン、最後の仕上げを頼むぞ」
「あぁ、任せろ」
するとアスロットは新しい刀を持ち上げて、そのまま立ち上がって目を閉じていた。
そして刀に大量の魔力を流し始めたかと思えば……。
「なにをボケッとしているベネット!?早くそこから離れろ!!」
突然俺の後ろにいたナツキさんが叫んでいたのだ!
なんと彼女は既に俺たちから数十メートルも離れており、俺は置いてけぼりをくらっていた。
「え?え?どういう状況!?」
何が何だか理解できない俺だったが、とりあえずナツキさんの指示通りにアスロットから距離を取る。
————だが次の瞬間だった。
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