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1、『ブックカフェ ラーシャ』
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「やっと開店できる!」
ここまでくるのが長かった。国王の第5子として生まれ、サラーシャと名付けられた後、自分の生まれ育った国を飛び出した。そして単身隣国のナランジェへやってきていた。
なぜ王女が……と疑問に思う人も居るかもしれないから、説明しようと思う。
私の母は、街の娘だった。御忍びできた現国王と出会い、恋に落ちて生まれたのが私。運良く側室になれたものの、ただの街娘が王室の仲間入りをしてもすぐについていけるわけがない。今の王妃様に嫌がらせを受け、精神が不安定になってしまったらしい。
そんな中で生まれた私も、もちろん厄介者扱い。
メイドたちに最低限のお世話はされたものの、部屋に閉じ込められるようにして過ごしてきた。言えば本はくれるから、退屈はしなかったけど。
そして6歳の頃かな? 部屋で本を読んでいたら2番目のお姉様がやってきて。
「あんたが父上にもらった物を寄越せ!!」
なんて言ってきた。王様はこの王宮で唯一と言っていい私に優しくしてくれる人だ。誕生日プレゼントも毎年くれる。でも、自分で母を側室にするって決めたんだから責任もって王妃様を抑えてほしいけどね。
私が嫌がっていると、そのプレゼントされた髪飾りを持ってお姉様が逃げてしまった。綺麗だから気に入っているのに、と追いかけると運動音痴な私は階段で足がもつれて落ちてしまったらしい。
その時、3日間くらい目が覚めなかったのだとか。王妃様には
「そのまま起きなければ良かったのに」
なんて言われ、私が黙っているとショックを受けたと思ったのか、フンッと鼻で笑い去って行った。でも私が固まっていたのはそんなことが理由ではない。
(私って一度死んでたの!?)
前世でもビルの階段から落ちて、打ちどころが悪かったのかそこからの記憶がない。
(どれだけ階段に嫌われているのよ)
そう、なんと前世のことを思い出してしまったのだ。だが、そうとなったら話は早い! 早くこの生活を抜け出すため、色々と計画を立てた。幸い、15歳で成人とみなされるのでそこからは1人で生活しても怪しまれない。
心を弱くしてしまった母は、体も弱り私が10歳になる前に亡くなってしまった。
なので、この国にはもう心残りもなく、15歳の誕生日パーティー(他の人たちよりかなり小規模な)が終わった日、私はお城を抜け出した。
沢山の本と、生活費にと自分のドレス、少しばかりの宝石などなど。私のところなんて騎士の見回りすらこないから、スルッと抜け出せた。
ここまでくるのが長かった。国王の第5子として生まれ、サラーシャと名付けられた後、自分の生まれ育った国を飛び出した。そして単身隣国のナランジェへやってきていた。
なぜ王女が……と疑問に思う人も居るかもしれないから、説明しようと思う。
私の母は、街の娘だった。御忍びできた現国王と出会い、恋に落ちて生まれたのが私。運良く側室になれたものの、ただの街娘が王室の仲間入りをしてもすぐについていけるわけがない。今の王妃様に嫌がらせを受け、精神が不安定になってしまったらしい。
そんな中で生まれた私も、もちろん厄介者扱い。
メイドたちに最低限のお世話はされたものの、部屋に閉じ込められるようにして過ごしてきた。言えば本はくれるから、退屈はしなかったけど。
そして6歳の頃かな? 部屋で本を読んでいたら2番目のお姉様がやってきて。
「あんたが父上にもらった物を寄越せ!!」
なんて言ってきた。王様はこの王宮で唯一と言っていい私に優しくしてくれる人だ。誕生日プレゼントも毎年くれる。でも、自分で母を側室にするって決めたんだから責任もって王妃様を抑えてほしいけどね。
私が嫌がっていると、そのプレゼントされた髪飾りを持ってお姉様が逃げてしまった。綺麗だから気に入っているのに、と追いかけると運動音痴な私は階段で足がもつれて落ちてしまったらしい。
その時、3日間くらい目が覚めなかったのだとか。王妃様には
「そのまま起きなければ良かったのに」
なんて言われ、私が黙っているとショックを受けたと思ったのか、フンッと鼻で笑い去って行った。でも私が固まっていたのはそんなことが理由ではない。
(私って一度死んでたの!?)
前世でもビルの階段から落ちて、打ちどころが悪かったのかそこからの記憶がない。
(どれだけ階段に嫌われているのよ)
そう、なんと前世のことを思い出してしまったのだ。だが、そうとなったら話は早い! 早くこの生活を抜け出すため、色々と計画を立てた。幸い、15歳で成人とみなされるのでそこからは1人で生活しても怪しまれない。
心を弱くしてしまった母は、体も弱り私が10歳になる前に亡くなってしまった。
なので、この国にはもう心残りもなく、15歳の誕生日パーティー(他の人たちよりかなり小規模な)が終わった日、私はお城を抜け出した。
沢山の本と、生活費にと自分のドレス、少しばかりの宝石などなど。私のところなんて騎士の見回りすらこないから、スルッと抜け出せた。
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