お伽の夢想曲

月島鏡

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第四章 祈りを繋ぐ道

第六十三話 思い出したから、もう一度

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「来るのが遅くなってごめんね。助けに来たよ」

 腕の中に抱く傷だらけのステラの目を見て、アルジェントは優しく微笑む。
 その微笑みと、温かな眼差しに射抜かれたステラは、安堵で思わず頬を緩める。

「ううん、助かったわ。本当に、ありがとう。そういえば皆はどこ」

 と、ステラが他の面々の居場所を問おうとした時だった。
 怪物が、拳を再び振り下ろした。

「一人増えた所で変わらねぇよ。増えた奴もまとめて順に叩き潰していくだけだ」

 山のような大きさの拳が、迅雷の如き速さでステラとアルジェントを叩き潰そうとする。
 またしても頭上すれすれに迫ってくる氷拳を見てステラが焦り、アルジェントが急いでその場から退避しようとすると

風精の霊弾シルフバレット‼︎」

岩砕きの乙女の激流フロイラインストリーム‼︎」

爆裂弾雨バール・ボンブ

黒嵐の鉤爪グリフオラージュ‼︎」

「ぐおっ‼︎」

 不可視の風の魔法弾と、鋼板をも貫く滝のような水流、爆裂する無数の弾丸、飛ぶ五本の黒い風の刃が怪物の鳩尾に直撃し、怪物は背中から倒れた。
 ぎりぎりで助けられたステラとアルジェントが魔法が飛んできた方向に目を向けると、青髪の少女、同じく青髪の男装の麗人、亜麻色の髪の青年、そして、桃色の髪の少女に見える少年が立っているのが見えた。
 全員、アルジェントと同じく『プリエール』から駆けつけてきた者達で、ステラはその内の半分との再会を待ちわびていた。

「マリ‼ リリィ‼」

 青髪の少女――マリと、桃色の髪の少年――リリィの名をステラが弾んだ声で叫ぶと、二人はステラに駆け寄ってきた。

「ステラちゃん、大丈夫⁉︎」

「何とか、ね。ところでマリ、あの二人は一体誰なの?」

「えっと、二人は」

「まずは初めましてだね。星の名を持つ金色の姫よ。私はニンフ。こちらはテオだ。マリの仲間を、この地を守る為に馳せ参じた。共に戦い、『魔王』を打ち倒そう」

 見覚えのない二人の素性をステラがマリに問うと、マリに代わり男装の麗人ーーニンフが答えた。
 ニンフとテオ、その名を聞いたステラは目を見開く。

「え? ニンフって、あの水の大精霊ニンフ? それにテオって、もしかして」

「もしかしなくてもそうだ。テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム。それが俺の名だ。通り名のパラケルススの方が分かりやすいか?」

「やっぱり・・・何で? 何で、パラケルススがここに? 『プリエール』を閉ざしていた元凶が、どうして、マリ達と一緒にいて、ヘルハウンドと戦おうとしているの?」

「・・・色々と、心境の変化があったんだよ。どこかの誰かのお陰でな」

 そう言ってテオがマリの方を見ると、マリは困ったようにはにかんだ。
 何があったかは分からないが、伝説の魔導師と言われた人物が味方となってくれるのならば心強い。そう思っているステラとレアルに向けてテオはいいか? と前置きして

「よく聞け。ここにいない連中、ヘルハウンドと戦ってた奴らは負傷してて、そいつらはノームとサラマンダー、アクルって小人が遠くに逃した。ライゼ、エードラム、グローム、シルフはぶっ壊れた『白雪姫』の家の近くで戦ってる。そいつらはほぼ間違いなく援軍には来れねぇ。あの化け物は、俺達だけでどうにかするしかねぇ」
 
 ヘルハウンドと戦っていた者達と、他の『プリエール』にいた者達がどこにいて、何をしているのかを、その者達の力は借りられない事を告げた。
 後者の者達が、ライゼ達が誰と戦っているのか、ステラもレアルも分かっていた。
 ライゼ達が戦っているのは

「『夜天の箱舟』・・・‼︎」

 レアルから『雪月の輪舞曲ニクス・ルナ・ワルツ』を奪い、ヘルハウンドを『サルジュの森』に送り込んだ悪逆の徒。
 必ず滅さなければならない者達だ。

「相手はマスターのオルダルシアともう一人、素顔を隠した強力な魔導師だ。奴ら、いきなり襲いかかってきやがった」

「『夜天の箱舟』、本当に余計な事ばかりしてくれるわね」

「全くだ・・・」

 倒れているユナとローザの姿を見て、テオは溜息混じりの声で呟く。

 ーージークフリート共を治そうとした矢先に『アゾット剣』をぶっ壊してくれやがったしてくれやがったしな、あのクソ共。あれがありゃ、『赤ずきん』も『白雪姫』も『親指姫』も『翡翠の守り人』も楽に治せたってのに。ガーネットに魔力を消費させる事になるが、仕方ねぇか・・・

「ガーネット。『赤ずきん』と『白雪姫』と『親指姫』と『翡翠の守り人』を治せるか?」

「やって、みる・・・」

「頼むぞ。獣人と竜人はガーネットと四人を守ってろ。俺とニンフで回復するまでの時間を」

「いや、その必要はない。回復は俺達がやる」

 立ち上がりかけている怪物を見ながら指示を下すテオ。
 その指示を誰かが低い声で遮った。
 声が聞こえてきた方に、全員の視線が一斉に向けられる。
 そこにいたのは予想外の者達で、ステラとレアルの衝撃は一際大きかった。そこにいたのは

「コナー、さん?」

 剣を持つ黒髪の妖精の青年ーーコナーと、その他剣や槍を持つ十九人の妖精の男女及び十五人の小人の男女だった。
 ステラはプリンを探している途中に立ち入った老人会の会場で、全員と一度出会っている。
 その時はたった一人、ベリンダという紫髪の妖精の女を除けば、全員が敵意を剥けていた筈なのに

「俺達にできる方法で力を貸す。俺達も、戦わせてくれ、ステラ=アルフィリア」

 今は皆がステラ達に協力するつもりでいる。それ自体は嬉しいが

「どう、して・・・本当に、いいんですか? 戦って、くれるんですか?」

 嬉しさよりも、激しい心変わりに対する困惑の方が勝り、ステラは思わず問いかけてしまう。
 その言葉に、嘘偽りはないのかと。
 問いかけに対し、コナーは目を閉じて

「あぁ、本当だ。故郷の危機だ。俺達だけ何もしないというのは筋が通らない」

 頷いてからそう答えた。
 本心だった。コナー達は心から共にステラ達と戦いたいと思ってくれている。
 そして、その心変わりの理由は

「テマリとサヤカ、それからプリンに説得されたんだ。ステラ姉は、『魔神の庭』は、他の余所者とは違う。だから、力を貸してあげてとな」

「プリン達が・・・?」

「あぁ」






 ジークフリート達とヘルハウンドが激突し、ステラが老人会の会場を去った後の事だった。
 レアルの家から老人会に逃れてきたテマリとサヤカは

「お願い‼︎ リオとジークフリート達に力を貸してあげて‼︎ 皆ヘルハウンドと戦ってるの‼︎」

「お願い‼︎ リオとジークフリート達を助けてあげて‼︎ 皆ヘルハウンドと戦ってるの‼︎」

 コナーと他の妖精達に、ヘルハウンドと戦ってるリオとジークフリートにも力を貸してほしいと頼み込んだ。
 必死の幼子達の頼みに、コナーは

「駄目だ」

 否と返した。
 コナーも、他の者も、ステラ達には一切助力をするつもりはなかった。

「お願いだよ‼︎ 皆死んじゃうよ‼︎」

「お願いだよ‼︎ 皆殺されちゃうよ‼︎」

 それでも諦めずに頼み込めば、きっとコナー達はステラ達に力を貸してくれる。 
 コナーは無愛想で口数は少ないが、本当は優しい妖精だ。小さな子どもにはとても甘い。
 ベリンダも、他の妖精達も、普段は優しくて頼りになる。
 もしもコナー達も一緒に戦ってくれればヘルハウンドを倒せるかもしれない。テマリとサヤカはそう思っていたが

「余所者は皆敵だ。敵に助力はしない」

 コナー達の意志は固い。
 余所者には協力しない。それが全員のスタンスであり、そのスタンスが揺らぐ事はない。
 余所者は皆敵。この考えをコナー達が抱くようになったきっかけは、十七年前、ユナと多くの住人が殺され、森を破壊された事だ。

「余所者は、いつだって俺達を傷付ける。俺達から大切なものを奪う。あの日だってそうだった。ユナ様は、デルニエールさんと、フェイさんは、それ以外にも大勢の住人が、余所者の身勝手な悪意に殺された」

 十七年前にレアルとユナの『幻夢楽曲』を目的に『サルジュの森』にやってきた、アノニムを筆頭とした暗殺組織『無色の牙』と、アノニムが生み出した大百足に多くの命を奪われた。
 それ以前にも余所者に住人が傷付けられたり、殺されそうになる事は何度もあった。
 その所為で『サルジュの森』全体での余所者に対する印象は元々良くなかった。それでも、住人達は皆、余所者を完全に見限る事はせず、信じようと努力してきた。


 森を本気で救おうとしていた者達、デルニエールやフェイのような善人も存在する事も知っていたからだ。
 だから、どれだけ傷付けられても、奪われようとも、それでも信じようとしていたのに、余所者達はとうとう森を救おうとしていた善人まで手にかけ、レアルや住人達の心に消えない傷を刻んだ。
 余所者達は傷付け、奪い、善意すらも踏み躙る。十七年前のあの日、住人達はそれを思い知らされた。
 故に、余所者を信じる事をやめた。二度と信じないと決めた。

「余所者は皆同じだ。『魔神の庭』の連中だってそうに決まってる。自分達の命が危なくなれば逃げ出すに決まっているし、ヘルハウンドと戦っているのにも、何かしらの企みがあるからに」

「ステラも、リオも、ジークフリートもはそんな人達じゃないよ‼︎」

「ステラも、リオも、ジークフリートも本当に優しい人達なんだよ‼︎」

 コナーの言葉を、テマリとサヤカは目に涙を浮かべながら、大きな声で叫んで否定する。
 コナー達はステラ達の事を何も分かってない。根本から誤解している。

「ステラはレアルが意識を失って、死ぬかもしれないってなった時に不安になって泣いてたプリンを優しく慰めてた」

「ローザとユナが攫われて、二人を探す為にたった一人でプリンが飛び出していった時も、ステラは真っ先にプリンを心配してその後を追っていった」

「リオだって、ヘルハウンドにこの森の住人は誰も食べさせないって言ってた」

「ジークフリートだって、『サルジュの森』の妖精や小人はもう誰も傷付けさせないって言ってたし、私達をその場から逃してくれた」

「皆、皆、優しくて良い人達だよ」

「本当だよ?」

 テマリとサヤカはコナー達にステラ達がコナー達が言うような余所者とは違うという事を理解してもらうために、交互に三人の人柄が分かる出来事を説明する。
 その説明をテマリとサヤカの顔を見ながら聞いていたコナーは、老人会の会場を去る前にステラが口にしていた言葉を思い出す。


『『魔神の庭』と『白雪の森』で必ず『サルジュの森』を救ってみせます。もう少しだけ待っていてください』


 ステラも、リオやジークフリートと似たような事を言っていた。

「口だけなら何とでも言える」

「それなら、実際に見せるよ‼︎ 口だけじゃないって事を‼︎」

「ちゃんと行動する人達だって事を‼︎ あれ、貸して‼︎ 監視水晶‼︎」

「なっ、まさか、お前達、あいつらの近くに行く気か⁉︎ 絶対に駄目だ‼︎」

 テマリとサヤカの提案に、コナーはそれだけはならぬと声を張り上げる。
 監視水晶とは二つで一つの魔水晶であり、片方の水晶に映しているものを、もう片方の水晶に映す監視に用いられる魔道具だ。

 森の警備強化の為に二十年前に外から持ち込まれたのだが、相次いで破壊された事と、動物や他者と視界を共有できるヨネの『大きな夢ヴァーシアイン』の力で同じ事ができるという理由から段々と使われなくなり、老人会の会場にずっとしまわれていた。

 それを使ってリオやジークフリートが本気でヘルハウンドと戦っている所をコナー達に見せる事ができれば、『魔神の庭』が口だけの者達ではない事、他の余所者とは違う事を証明できる。しかし、それをやるには、テマリとサヤカが激戦区に接近する必要がある。
 まだ幼い小人二人が自ら危険に飛び込んでいくのを承認する訳にはいかない。だから

「私が代わりに行くよ。それなら問題ないでしょ?」

 テマリとサヤカの代わりに己が戦場に向かうと、ベリンダが自ら手を挙げた。

「ベリンダ⁉︎ お前」

「大丈夫よ。私の能力ならきっとヘルハウンドに気付かれにくいし、気付かれても逃げられるから」

「何故・・・」

「私、別に外の人達の事そこまで嫌いじゃないから。それに向こうは忘れてるかもだけど、とある狼さんに魔獣から助けてもらった事があってね、だから、本当は『魔神の庭』の人達の為に何かしたかったの。悪く思わないでね。それじゃあ」

「待って‼︎」

 二つある監視水晶の内一つを手に持ち、ベリンダが扉から外に出ようとした時だった。
 薄紫色のお団子髪の少女が待ったをかけた。

「お姉ちゃんが行くなら、私も行く。お姉ちゃんの自分と自分の近くの人の気配を薄くする力と、自分以外の人の力を高める私の力が合わされば、もっと気付かれにくくなる? でしょ?」

「ベラ・・・いいの?」

「うん。私は、お姉ちゃんと違って、外の人達はあまり好きじゃないけど、お姉ちゃんは好きだから」

「そっか。ありがとうね。それじゃあ、行こうか」

 そうしてベリンダとベラはリオやジークフリート達とヘルハウンドが戦っている戦場に向かい、監視水晶に戦いの様子を映した。
 結果は惨敗。
 レアルとアクルを除いたほとんどの者が瀕死に追い込まれた。
 やはり口だけ。逃げなかった点は評価するが、それ以外の部分はまるで駄目だとコナーが思い、一人残されたアクルが他の面々の応急処置を行おうとした時だった。
 氷柱に全身を貫かれたリオが、自力で動いて氷柱を抜いた。

「ってぇな、あの野郎・・・かはっ‼︎」

「リオさん‼︎ 無理に動がないでください‼︎」

 氷柱に貫かれた箇所から血を流し、吐血するリオにアクルは駆け寄る。
 普通なら死んでいてもおかしくない程の負傷をリオは負っている。
 動かないようアクルはリオを制止するが

「動かずにいられるかよ・・・レアルと、あの黒犬は一対一で戦いに、行ったんだろ? レアルの事を、信じてねぇ訳じゃねぇが・・・あいつを、一人だけで戦わせるなんてこたぁ、できねぇ」

 制止を振り切って、リオはレアルとヘルハウンドの元に向かおうとする。
 痛みを殺し、一歩ずつ、一歩ずつ、リオは前に進む。
 そうまでしてリオがレアルの加勢に向かおうとするのは、レアルの過去を、レアルがどんな妖精なのかを知っているからだ。

「あいつは、レアルは、優しくて、良い奴だ。十分すぎる位、重いもんを、背負ってる。だから、俺も、少しでも、重荷を減ら、し・・・」
 
 十歩進んだ所で、リオは限界を迎え、意識を失って倒れた。
 それからアクルは自分達のマスターの為に命を賭して戦おうとしてくれたリオに感謝し、リオと他の者達の応急処置を開始した。

 その後、アクルが可能な範囲での処置を施したと同時に、森に蓄積された『白雪姫』の魔力が暴発し、森全体が氷に覆われた。
 恐れていた事態が、氷結の終焉が訪れ、アクルも、ベリンダもベラも、監視水晶越しにその場の様子を見ていたコナー達も、誰もがもう終わりだと思った、その時だった。

 『繋界鏡』から放たれた青い光が森全土を包み込み、森を覆っていた氷を溶かし、『白雪姫』の魔力を消失させた。
 これには誰もが驚き、言葉を失った。
 助かったという喜びと、信じられないという気持ちで、住人達の胸はいっぱいになった。

 氷が溶かされ、『白雪姫』の魔力が消えた。
 その現象が意味するのは、森に住まう全ての者達の長年の悲願の成就。
 三百年間、誰も成し遂げる事ができなかった『プリエール』の解放が、成し遂げられたという事だ。それを果たしたのは『繋界鏡』から遅れて出てきた者達。
 マリ、アルジェント、リリィ、ライゼら『魔神の庭』の魔導師達と、彼ら彼女らに協力したニンフとシルフだ。


『言葉じゃなくて結果で私達の事を信じてもらえるようにします。必ずヘルハウンドを倒して、『プリエール』を解放して、『サルジュの森』を救います』

『できるものか。三百年間誰も解放する事ができなかったんだぞ』

『できます。マリ達は、私の仲間は必ず『プリエール』を解放します』


 コナーは、再びステラが言っていた事を思い出した。
 できる筈がないと思っていた。どうせ失敗すると、逃げ帰ってくるのが落ちだと予想していた。
 しかし、マリ達はその予想を良い意味で裏切った。
 『プリエール』を、解放してみせた。
 あり得ない。信じられない。そんな筈がないとコナーは何度も心の中で呟き、監視水晶に映る映像を食い入るように見るが、見えるものは変わらない。
 

 目を血走らせてコナーが引き続き監視水晶に映る映像を見つめていると、『繋界鏡』から出てきた一団の内の一人、亜麻色の青年が懐から短剣を取り出した。
 何をするつもりなのかとコナーが思った直後、どこからともなく飛んできた紫色の光矢が鋼の刃に突き刺さり、短剣が紫色に染まり、朽ち果てた。


 亜麻色の青年達の視線が矢が飛んできた方向に向けられる。
 矢が飛んできた方向にいたのは、白いコートに身を包み、首に紅い宝石が埋め込まれたペンダントをぶら下げる黒髪の青年と、黒いローブで身体を覆い、素顔を包帯で隠す何者かだった。
 二人とも監視水晶越しでも分かる程に濃い瘴気を纏っている。
 コナーはローブの者には見覚えはないが、青年の顔は前に見た事があった。青年の名は

「オルダルシア・・・‼︎」

 オルダルシア=カルバレアス。
 たった一人で『白雪の森』を圧倒した『夜天の箱舟』のマスターだ。
 オルダルシアと実際に相対しているライゼがその名を口にすると、オルダルシアは昏い笑みを浮かべた。

「よぉ、ライゼ、アルジェント。『プリエール』をたった四人で解放するなんて、やるじゃねぇか。流石はお前らのギルドだ・・・とでも言っておこうかな」

「ニンフちゃんとシルフちゃんも協力してくれたから、正確には六人で、だけどね」

「そうか。何にせよすげぇよ。やっぱり『魔神の庭』はすげぇ・・・すげぇから、とっても邪魔だーーだから、今、ここで、他の倒れてる連中諸共死んでくれ」

 最後の部分で声を一段階低くし、オルダルシアは笑みを消して殺気を膨れ上がらせる。
 暗く凍てつく殺気に呑まれ、マリは戦慄し、それ以外の者達も緊張に頬を硬くする。
 油断すれば、その瞬間に死ぬ。離れた位置から見ているベリンダとベラも含め、誰もがそれを確信していた。
 ライゼ達も、オルダルシアらも誰一人として動かない。
 膠着状態の中、ライゼはゆっくりと口を開き

「・・・アル君、テオ君、君達にお願いだ。マリちゃん、ニンフちゃん、リリィちゃんを守りつつ、ヘルハウンドの元に向かって、レアルちゃんの加勢をしてくれ。ステラちゃん達もそう遠くない内に同じ場所に辿り着く筈だ」

 アルジェント達にヘルハウンドの元に向かうように命じ、手の内に身の丈の三倍以上の大きさの棍棒を錬成。
 オルダルシアと黒衣の者に一瞬で距離を詰め、棍棒を全力で振るって二人を遥か彼方に吹き飛ばした

「ぐっ‼︎」

 直後、オルダルシアのダメージ無効と反射の能力の効果で、胸に衝撃が加わり、ライゼは大きく吹き飛ぶ。

「マスター‼︎」

「平気だよ・・・やっぱり厄介だな。彼の能力は・・・」

 心配するアルジェントに胸を押さえ、口の端から血を垂らしながらそう答えると、ライゼは後ろを振り返って指示を出す。

「エードラム‼︎ グローム君‼︎ シルフちゃんは僕と一緒に‼︎ サラマンダー君とノームさんとアクル君は倒れてる皆を連れ、『繋界鏡』を持って安全な場所に退避‼︎ それとさっきから見てる二人は早く逃げた方がいい。戦いの余波がここまで来ないとは限らない」

「さっきから見てる二人?」

 ライゼが最後に誰に支持を出したのか分からずマリが首を傾げると、ベリンダとベラはその場から全速力で飛び去り、老人会の会場へと戻っていった。
 このまま同じ場所に留まっていれば、怪物達の戦いに巻き込まれて死ぬかもしれない。それにこれまでの出来事で、『魔神の庭』が他の余所者とは違う、信じるに値する者達である事は十分証明できた筈だ。そう考えていた二人だったが

「・・・やはり、連中には手を貸さん」

 コナーは頑なだった。
 依然として余所者である『魔神の庭』とその関係者である者に協力するつもりはない。その決断にテマリとサヤカは納得できなかった。

「どうして⁉︎ リオもジークフリートも本気で戦ってたよ⁉︎」

「どうして⁉︎ マリも、アルジェントも、リリィも、ライゼも、『プリエール』を解放して、森を救ってくれたよ⁉︎」

「アルジェントとマリとリリィはレアルを助けに行ってくれたよ⁉︎」

 涙声の訴えには、怒りすら滲んでいた。
 テマリとサヤカにはコナーの考えが理解できなかった。
 リオとジークフリートが命懸けで戦う所を見せた。
 死にかけの状態でもレアルを助けに行こうとするリオの姿も見せた。
 マリ達は『プリエール』を解放し、いずれ来る筈だった滅びの未来を打ち壊した。
 ライゼがレアル達を傷付けた者達と戦い、アルジェントとマリとリリィがレアル達の元に向かう瞬間だって見せた。
 それなのに、何故、どうして

「どうして、皆の事を信じようとしないの⁉︎」

 テマリとサヤカ、二人の叫びが重なった時だった。
 老人会の扉が音を立てて、勢いよく開いた。
 扉の向こうにいたのは、ベリンダとベラ

「コナー兄‼︎ お願い、ステラ姉を助けて‼︎」

 黄色のメッシュが入った茶髪の妖精の少女ーープリンだった。
 目の端に涙を浮かべ、息を切らすプリンをコナーが招き入れると、プリンは

「実はーー・・・」

 少し前に敵に攫われたローザとユナを探して飛び回り、二人を見つけた時にローザに腹を刺され、あと少しで殺されるというタイミングでステラに助けられた事を告白すると共に、その後紆余曲折ありステラ、ローザ、ユナの三人でレアルの元に向かった事を告げた。

 あまりにも衝撃的な内容の告白を、コナーも、コナー以外の妖精達も、最初は信じる事はできなかった。
 コナー達の知るローザは気弱で臆病だが、誰かの為に戦う時は強くなる、正にヒーローのような人柄の青年だ。
 そのローザが殺人未遂を犯し、しかもその相手がローザを尊敬し、ローザ自身も妹のように扱っていたプリンというのは、いくら何でも嘘なのではないかと、最初は全員が思っていたが

「本当なんだ。信じてくれ・・・」

 プリンの顔は至って真剣だ。
 プリンは嘘を吐いたりするような少女ではない事も、全員分かっていた。
 故に、ローザがプリンを殺しかけた事が事実で、プリンをステラが救った事も真実である事も。
 
「本当は、私が一緒に戦いたいけど、私じゃ、もう役には立てない。でも、コナー兄達は私なんかより強いから、きっと、ステラ姉達の力になれる」

「ぬぅ・・・」

「お願いだ。ステラ姉達は、あのヘルハウンドと戦うつもりなんだ。ステラ姉達は、他の外の連中とは違うんだ。ステラ姉は、知り合って一日も経ってない私を助ける為に、傷だらけになって、命懸けで、戦ってくれた」

 だから、お願いだよ。

「ステラ姉に、力を貸して。ステラ姉に、死んでほしくないんだ・・・」

「だが、奴らは・・・いや」

 コナーは目を閉じて考える。
 『魔神の庭』は余所者だ。
 余所者だが、テマリとサヤカ、プリンの言うように、他の余所者とは違うのかもしれない。いや、本当は分かっている。
 かもしれないではない、違うのだ。
 それを分かっている上で、子ども二人を泣かせ、真摯な願いを踏み躙ってまで意地を貫く事は、果たして正しい事か?

 ーー正しい筈が、ないよな。

 コナーはゆっくりと目を開けると、プリンの頭に手を置き、後ろに控える妖精達に振り向いて

「ーー今から、レアル様と、レアル様の元に向かったステラ=アルフィリアを始めとする『魔神の庭』の援護に向かう。皆、着いてきてくれるか?」

 自分と共に『魔神の庭』のサポートに向かってくれるかを問いかけた。
 問いかけに対し、妖精達は同時に頷いた。
 その光景を見たプリンとテマリとサヤカは喜びに顔を輝かせる。

「コナー兄‼︎ 良いの⁉︎」

「あぁ、根負けだ。認める。『魔神の庭』は他の余所者とは違う。『魔神の庭』の為ならば戦おう」

「ありがとう‼︎」

「あぁ。では、急ぎレアル様と『魔神の庭』の元に」

「待って」

 レアルとステラ達の元に向かおうとしたコナー達を、高い女の声が呼び止めた。
 声の主は地下に繋がる入口の近くに立つ小人の女で、女の周囲には二十九人の小人の男女が立っていた。

「話は聞いた。私達も一緒に行くわ」

「エリン・・・良いのか? お前達も、余所者は嫌いなんじゃ」

「嫌いだったけど、さっきの話を聞いて、こっそりと映像を見てる内に考えが変わったの。直接戦闘は無理でも、サポートや治癒で役に立てると思うから、連れていってくれる?」

「・・・助かる。では、半分は俺達と一緒に、もう半分はアクルさん達が連れて行った『魔神の庭』の関係者と『白雪の森』の方々の治療に向かってくれ」

「分かったわ」

「さて、今度こそ行くぞ。俺達もこの森を守るんだ」

 そして、コナー達はステラ達の元へと駆けつけていった。







「そうゆう事だったんですね・・・」

「あぁ・・・悪かったな」
.
「え?」

「お前を、お前達を疑ってた。外から来たというだけで、悪者だと決めつけていた。この森の為に、レアル様の為に、命懸けで、必死になって戦ってくれていたというのに」

「コナーさん・・・」

「今度は俺達も戦う。共に『魔王』を倒すぞ」

「私達は回復とサポートをさせてもらうわ」

 そう言ってコナーとコナーと共にやってきた妖精達が武器を構え、エリン達がばらけてステラ、レアル、ユナ、ローザに近付いたと同時に、氷の怪物は立ち上がった。

「また増えたか・・・厄介な奴もちらほらいるなぁ。だが、関係ねぇ。全員殺してやる」

 ヘルハウンドはそう言うと怪物の翼を大きく広げて、一気に空へと浮かび上がった。
 空から自分達を見下ろし、四つの掌の上に白銀の魔法陣を作り出す怪物をテオは見上げ

「おい、小人。倒れてる連中を回復するのに、どれくらいの時間が掛かる? その間、俺が時間を稼いでやる」

 エリンにステラ、レアル、ローザ、ユナの回復に必要な時間を問いかける。

「・・・最速で、五分」

 問いかけに対し、エリンは数秒の間考え込んでから、想定される最速の時間を答えた。
 エリン達の力ではユナのように体力も魔力も全快の状態にする事はできない。一命を取り留め、かろうじて動けるようにするのが限界だ。
 だが、それで十分だ。ユナが桁外れなだけで、瀕死の者の命を五分で助けられるなら、普通の治癒魔導師としては優秀だ。

「上等だ。頼んだぞ」

 エリンの答えを聞いたテオは口角を僅かに上げてそう言うと、身体に白光を纏い、一気に跳躍して怪物に接近する。
 怪物に特攻するテオにニンフとマリも続こうとするが

「来るな‼︎」

 それを察したテオが二人を止める。

「てめぇらも倒れた連中を守ってろ‼︎ 奴の狙いは」

 と、テオがヘルハウンドの狙いを口にしようとすると、怪物は四つの魔法陣から数百の氷塊を連続で発射した。
 そのほとんどはテオではなく、ユナ目掛けて飛んでいく。
 テオはユナを葬ろうとする氷塊の群れに自ら突っ込むと、掌を前に突き出し

浄化の光閃パージング・リヒト‼︎」

 白光の波動を放ち、ほぼ全ての氷塊を消し飛ばした。
 消しきれなかったいくつかの氷塊が地面に降り注いだが、それらは幸いにも誰にも当たる事はなかった。

「やっぱりな。ニンフ‼︎ ヘルハウンドの狙いは『親指姫』だ‼︎ 防御を張って『親指姫』を、それ以外の連中も守れ‼︎ ガーネットは『親指姫』を治すのを手伝え‼︎」

「ーー了解した。蒼波の円蓋オーラ・エミスフェリオ‼︎」

「分かった‼︎」

 テオの指示通り全員を守るべく、ニンフは巨大な水の半球を作り出し、ユナも、それ以外の者達も全員覆い、マリはユナへと駆け寄った。
 その光景を見て表情を曇らせるヘルハウンドを見て、テオは口角を歪める。
 
「『親指姫』を殺しておけば、残ってる奴らの体力と魔力がすぐに全快する事はなくなる。そうなりゃ全員を殺すのは簡単だ・・・なんて考えたんだろうが、残念だったな。お前の思い通りにはさせねぇ」

「アホが。お前一人で俺をどうにかできると思ってんのか?」

「可能性はある。お前、もう限界が近いんだろ? そんな大層な氷像の中に埋まってんのが良い証拠だ。違うかよ?」

 挑発するようにテオが投げかけてくる問いに、ヘルハウンドは答えない。
 テオの推測は正しい。
 ステラとジークフリートから何度も穿剣を喰らった事で、ヘルハウンドの肉体は限界を迎え、指一本動かす事ができなくなっている。
 今のヘルハウンドは無尽蔵の食欲と破壊衝動を支えに何とか意識を保っている状態だ。あと何発か

「あと何発か強力な一撃を食らわせる事ができれば、今度こそお前を倒せる。そうしたら次は『夜天の箱舟』のクソ共をぶっ倒す」

 そう言うとテオは手の内に六色の輝きを宿す煌剣ーー六霊の輝聖剣イスピリト・シュトラールを作り出し、その切っ先をヘルハウンドに向けて

「駆除してやる」

 再び跳躍し、ヘルハウンドへと立ち向かっていった。






『ーー『今』のあなたは、間違ってると思う』

 自分よりも遥かにチビの、赤子も同然の娘に説教された。

『このままじゃ、あなたの所為でたくさんの命が失われる事になる。そんなの、駄目だよ』

 これまでの間違いを咎められた、だけでなく

『だって、そんなの、あなただって報われないから』

 敵に向けるようなものじゃない生温い言葉をかけられて

『あなたが本当にしたかった事、あなたが本当に叶えたかった願いは、誰かの命を救う事なんでしょ?』

 本当にやりたかった事、本当に叶えたかった願いを思い出させられた。
 ガーネットの言う通りだ。
 誰かの命を救いたい。それが本当の願い。一度は捨ててしまった夢だった。
 それを思い出したから。だから、俺は、もう一度、今度こそーー・・・







「駆除してやる」

「殺してやるよ、『万象の精霊術師』。凍らせろーーグラセオグル」

 下から近付いてくるテオを凍らせるべく、ヘルハウンドは大きく開けた怪物ーーグラセオグルの口の中から白銀の波動を放つ。
 触れたあらゆるものを飲み込み、凍らせる絶対零度の波動が迫ってくるのを目にしても、テオは進路を変更しようとしない所か、更に加速して波動に突き進んでいく。
 波動との距離がゼロになった瞬間に、テオは煌剣を握る手の力を強めて

「おるぁっ‼︎」

 横薙ぎの斬撃を振るって、波動を霧散させた。

「何・・・⁉︎」

 凍てつかせるつもりで、殺すつもりで放った一撃を掻き消されて驚愕するヘルハウンドに、テオは獣ような凶暴な笑みを向け

「化け物みてぇに強ぇ六人の親の力が込められた精霊剣の斬撃だ。斬れねぇもんは、消せねぇもんは何一つねぇ」

 誇らしげにそう言うと、今度は煌剣を斜めに振り下ろし

煌牙の魔閃グロウ・ラーミナ

 斬撃の延長線上に、赤、青、黄、緑、橙、白ーー鮮やかな六色が混ざり合う、極光の波動を飛ばした。
 闇を払う六霊の力が凝縮された迸る波動。テオの最大の切り札にして最強の精霊魔法は、グラセオグルもろともヘルハウンドを飲み込み、滅ぼそうとする。

 凄まじい熱と魔力が込められた波動を防ぐ事は不可能と判断したヘルハウンドは、グラセオグルを大きく横に移動させて波動を回避。
 グラセオグルの翼を大きくはためかせてより高くに飛び、テオから大きく離れる。
 またしてもヘルハウンドに距離を離され、見下ろされる形となったテオは白光だけでなく、金雷もその身に纏い

「逃がさねぇぞ」

 低い声で呟いた後、足裏から膨大な量の紅焔を激しい勢いで噴き出し、速度のギアを数段階上げて、ヘルハウンドに距離を詰めていく。
 矢のように向かってくるテオの姿を目にしたヘルハウンドは即座にグラセオグルの前方に千の氷柱を作り出し、全ての氷柱を一斉に射出する。
 氷柱が地上に降り注げば、ニンフが張った防御壁を貫通し、最悪の場合全員死んでしまうだろう。
 それだけは、そんな結末だけは

「認められねぇな。やってやるよ‼︎」

 緊張で頬に一筋の汗が流れる。
 それでも強がって、見栄を張って、テオは崩れそうになる笑みを保ったまま、動き出す。
 縦横無尽に、不規則に、光速を超えた速さーー神速で、飛び回り、赤、白、黄、三色で構成された幾何学模様を空に描きながら、テオは雨のように降り注ぐ氷柱を煌剣で次々に切り裂き、消滅させていく。


 下にいる者達には、何があっても、絶対に、死んでも手は出させない。
 間違い続けてきた。
 傷付け続けてきた。
 本当の願いを、叶えたかった夢の形を忘れて、いつしかなりたかった自分とは真逆の自分になってしまっていた。
 だけど、ようやく願いを、夢を、なりたかった自分がどんな自分だったかを、テオは思い出す事ができたから、だから

 ーーもう一度、始める。願いと夢の続きを。なりたかった自分になる為の歩みを。ここにいる奴らも、トカ達も、全員、必ず、死んでも‼︎

「守り切ってやるぁ‼︎」

 テオは裂帛の叫びと共に最後の氷柱を切り裂き、蒸発させた。
 氷柱の雨は止んだ。後は

「お前を斬るだけだ」

 頭上にいるヘルハウンドに視線を向け、テオは再びヘルハウンドに突進していく。
 光の矢と化して飛んでくるテオを迎撃すべく、ヘルハウンドは次なる魔法を発動しようとするが、それより早く、色とりどりの光球がグラセオグルを取り囲む。
 光球の数は百数十。まるで星のように輝くそれらは、生まれ出た直後に眩い閃光を放ち、激しい爆裂を起こした。

「ごあっ‼︎ がぁああっ‼︎ がっ‼︎」

 見るも美しい六色の爆炎にその身を焼かれ、ヘルハウンドは苦鳴の声を上げる。
 血に染まる肌に、爆炎の熱が沁みる。
 呼吸をするのも困難で、何とか息を吸えば肺が焼け焦げる。

 身体を内外から焼かれる上に、視界も不明瞭という最悪な状況。
 爆炎を晴らすか、その場から移動するか。何かしらの行動を起こさなければならないが、ヘルハウンドは痛みでグラセオグルを動かす事ができない。
 焼き殺される苦痛に牙を噛んで耐えるヘルハウンド。その眼前に

「よぉ」

 テオが現れる。
 炎の向こうから現れたテオは、煌剣による刺突を放ち、ヘルハウンドの脳天を貫こうとしていた。

「これで終わりだ」

 煌剣の先がヘルハウンドの額に突き刺さる。
 『万象の精霊術師』の覚悟が、誓いが、今、『魔王』を穿つ。

 
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