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第四章 祈りを繋ぐ道
第四十四話 翡翠の狂愛
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「レアル姉、大丈夫かな?」
昏睡状態のレアルを見て、心配そうにプリンが呟く。
場所はレアルの家のレアルの自室。部屋の中は重苦しい空気に包まれていた。
レアルは一向に目を覚まさない。『七人の小人』が必ずユナを取り戻してくれるのを信じて待てと言ったジークフリートですら、不安を隠せなくなってきている。
このまま時間が経ってユナが戻ってこなければ、レアルは間違いなく死んでしまう。
誰もが最悪の想定をして、何も言えなくなっている中で
「きっと大丈夫よ。ブレイブ達ならきっとユナを連れて帰って来てくれる」
ステラは拳を強く握って、笑顔でプリンにそう言った。
本当は震える程にレアルの死を恐れているのを、拳を固く握りしめて必死に隠して、ステラはまたしても泣きそうになっているプリンを安心させようと努める。
どんな事を言っても、どんな事をしても、プリンを安心させる事はできない。レアルが目を覚まさない限りプリンの不安が消える事はない。それが分かっていても、ステラは月並みな言葉を吐かずにはいられなかった。
無力感に苛まれて、ステラが唇を噛み締めた時、部屋の扉が開いた。
「ーー待たせちゃったわね」
待ちわびていた少女の声がした。
部屋の扉に全員の視線が集中する。そこにいたのは赤いリボンが特徴的な、小人に見える少女。レアルを救える唯一の存在。
「皆重傷ね。応急処置はアクルがやってくれたのかしら? ありがとうね。あとは私が治すわ」
『魔神の庭』の『親指姫』ユナ=マリスタが帰ってきた。
眠るレアルにユナが近付こうとした時
「レアル姉を助けてユナ姉‼」
「緊急治療求む‼」
「早急な治療を求む‼」
「すまねぇ‼ お前を傷付けたのは俺なんだ‼」
「帰ってきてくれてありがとうユナ‼ レアルが死にそうなの‼ お願い‼ 助けて‼」
プリン、テマリ、サヤカ、リオ、ステラが一斉にユナに話しかけた。
五人同時に至近距離で大声で話しかけられ、ユナは耳を押さえて
「うるっさーい‼︎ 分かってるから‼︎ ちゃんと、全員、順番に治すから、静かに待ってなさい‼︎」
五人の声に勝る声量で叫んで待つように言い聞かせると、早速レアルに近づき手をかざして緑色の光を当てる。
『残英の対舞曲』の癒しの光に当てられて傷が回復していき、レアルの顔色が少しずつ良くなっていく。
ユナが光を収めると、ほぼ同時にレアルは目を覚ました。
「よかった。これで安心ね」
「・・・ユナ、無事だったんだね。心配、したよ」
「心配したのはこっちよ。あなたは目を離すとすぐに傷だらけになるから」
「そう、だね。なら、ううん、何でもない・・・」
それなら目を離さないで、ずっと一緒にいて欲しいなと言いそうになったが、その言葉をレアルは何とか飲み込む。
不自然なレアルの反応をユナは訝しむが、重傷者が他にもいる以上それを気にしている余裕は無い。早速次の重傷者、ジークフリートの治療をユナは開始する。
「よかった。間に合ったみたいだね」
ユナがジークフリートを治療し始めた時、新たな声が扉から聞こえてきた。
扉の近くには三人の小人がいた。小人達の姿をアクルは目に映すと、小人達に近付いて
「ヨネ、イステキ、ナンバ、ユナを連れてきてくれてありがとうございます。お陰で最悪の事態を免れる事ができました」
頭を下げて、ヨネ、イステキ、ナンバ、ユナを取り戻す為に奮闘した功労者に礼を言う。
礼を言われたヨネ達は照れ臭さそうに笑う。
「当然の事をしただけだよ。でも、どういたしまして」
「まぁな。仲間の危機を救うのは当たり前だって」
「二人に同じ」
「それでも本当に助かりました。ところで、フスティーシアとカステリコスはどうなりましたか?」
フスティーシアとカステリコス。
裏切った二人がどうなったのかを聞かれて、ヨネ達は苦い顔をする。その反応が答えだった。
「カステリコス君は、どこかに行っちゃった。自分は『夜天の箱舟』側だ。次は殺す。いずれ大図書館でって、そう言い残して・・・」
「それと気になる事を言ってた。今回の目的は『残英の対舞曲』じゃない。本当の目的はもう果たしたって」
ヨネとイステキからカステリコスの動向を聞いて、アクルは沈痛な面持ちを浮かべる。
「そう、ですか。カステリコスは『夜天の箱舟』側に行ってしまいましたか。それにしても、『夜天の箱舟』の本当の目的はユナの『残英の対舞曲』じゃない? なら、一体『夜天の箱舟』の目的は何だ? 奴らにとって『残英の対舞曲』と同等の価値がある物・・・まさか」
目を見開いて、焦りの色を顔に出すアクルにナンバは頷く。
「そのまさかだろう。ヘルハウンドを従えられる者達だ。あれを使役する事、あるいはあれの中にあるものを自在に行使する事は不可能ではなかろう。だが、あれの封印は強固な物だ。今すぐに利用される事はあるまい」
「そうですね。奪われてしまったものについて考えても仕方がない。不確定要素に意識を割くのは得策とはいえません。まずは目の前の問題にどう対処するかを考えましょう」
『夜天の箱舟』の本当の目的が何なのか分かったアクルとナンバは二人だけで話を完結させて、今起こっている問題の対処方法についての話し合いを始めようとする。
『夜天の箱舟』の、あの悪辣極まる集団の真の目的が何なのかステラは気になってしょうがないが、今すぐに何か起きる訳ではないと二人が判断し、優先すべき事が他にもいくつもある以上、それについて話し合う方が賢明だ。
これからの方針が決まりさえすれば、ユナによって傷も魔力も回復した今ならすぐに動く事ができる。ようやく悪夢の怪物を仲間達と共に討つ事がーー・・・
「あれ? ブレイブとフスティーシアは? 二人はどこにいるの?」
これまで名前が挙がっていない『七人の小人』の所在が気になり、ステラがそう問いかけると
「ここにいたのか」
またしても扉の方から声が聞こえてきた。
傷だらけの小人が、同じく傷だらけで意識の無い小人を背負って立っていた。その小人達こそ今話題に挙がった二人だった。
「ブレイブ‼︎」
意識の無いブレイブを見て、ステラは咄嗟にフスティーシアに飛びかかろうとするが、ベットから飛び起きたレアルに止められる。
「待って」
「レアル?」
「フスティーシア。一体、何をしに来たの?」
冷たい声で問いかけられ、フスティーシアは俯いて一歩下がる。
「ぼ、僕は、もう一度、もう、一度・・・」
途切れ途切れの、小さな声で、フスティーシアはレアルの質問に答えようとする。
何をしに来たのか。どうして戻ってきたのか。その答えは最初から決まっているが、罪悪感とレアルの迫力に圧倒されて、フスティーシアの喉から言葉が出てこなくなる。
どんな答えを返しても、レアルは自分の事を許してくれないかもしれない。一生嫌いになるかもしれない。それでも、たとえ何を言われる事になっても、自分の意志を言葉にして伝える事はフスティーシアの義務だ。
フスティーシアは顔を上げて、覚悟を決める。
「もう一度、『白雪の森』の『七人の小人』として、あなたと、仲間の為に戦う為に戻ってきた」
「私と、仲間の為に?」
「そうだよ。僕はあなたに幸せになってほしくて、非道に手を染めてまで『幻夢楽曲』を集めようとしていた。でも、それは間違いだって気付いた」
一人に幸せになってもらう為に、大勢を傷付ける事は正義ではない。正義を言い訳にした悪だ。
たとえ犯した罪が全て無くなる事になるとしても、それを良しとしない仲間がいる事にもフスティーシアは気付いた。
「ブレイブは、自分を傷付けた僕を仲間だって、お前の帰る場所は『白雪の森』だって言ってくれた。それがとても嬉しかった」
だから
「僕はブレイブに報いたい。もう一度『白雪の森』に戻って、あなたと皆の為に戦いたい。許してもらえなくてもいい。嫌われたっていい。お願いだ。もう一度『白雪の森』の為に戦わせてほしい」
ありのままの気持ちをフスティーシアは包み隠さず伝えた。するとレアルはゆっくりとフスティーシアに近付いて
「嫌いになんてならないよ」
穏やかな声音ではっきりとそう言うと、しゃがんで頬に優しく触れる。
「ブレイブがあなたの事を許しているなら、あなたが帰ってくる事を望んでいるなら、私はそれでいい。あなたはずっと私の事を気にかけて、私の為に頑張ってくれた。『七人の小人』の皆で戦う時は、ブレイブと一緒に前に出て、皆を守ろうとしてくれていた。自分の芯があって、優しいあなたの事が、私は好き」
「あ、ぅ・・・」
「もうしないでね。それだけ約束してくれたらいいよ」
「うん‼︎ うん‼︎」
涙を流しながら強く頷くフスティーシアに、レアルは笑いかけて
「おかえり、フスティーシア」
フスティーシアをフスティーシアが背負うブレイブごと優しく抱きしめた。
「やっと戻ってきたな。馬鹿野郎」
レアルの腕の中で泣くフスティーシアの頬を、いつの間にか目を覚ましていたブレイブがつねる。
フスティーシアが後ろを見ると、ブレイブは笑っていた。
「さっきの、あれ、悪ぃ、全部聞いてた。お前、あんな風に思ってたんだな」
「聞かれてしまっていたんだね。少し恥ずかしいな」
「まぁ、なんだ。頼りにしてるぞ」
「うん。頼りにしててよ」
「あー、ごほん」
ブレイブとフスティーシアの会話を聞いて、ユナがわざとらしい咳の真似をする。
レアルとブレイブ、そしてフスティーシアの視線が自分に向いたところで
「良い雰囲気の所申し訳ないんだけど、ブレイブとフスティーシアの治療をしてもいいかしら?」
手に緑色の光を宿して、早く治療させてほしいと言った。
レアルは咄嗟にフスティーシアとブレイブから離れ、ユナは光でフスティーシアとブレイブを覆って、二人一片に治療を行う。
やがて二人の傷が完治すると、ユナは光を消して息を吐いて額を腕で拭う。
「これでよしっと」
『魔神の庭』の者も『白雪の森』の者も、全員治療し終えたユナに、リオはなぁと声をかける。
「傷は、大丈夫なのか?」
「傷? あぁ、大丈夫よ。ヨネ達に運ばれてる途中で目が覚めて、その時自分で治したわ」
「目が覚めてすぐに私達の傷も治してくれたんだよね」
「びっくりしたわよ。起きたら怪我人が三人もいるんだもの」
「・・・ユナ、お前を傷付けたのは俺なんだ」
「え?」
思いがけないリオの告白にユナは目を丸くする。
リオは強い罪悪感を感じながらも、ユナから目を逸らさず、自分がした事を打ち明ける。
「蛙の魔獣に襲われて、斬ったら中にお前がいた。お前を傷付けたのは俺なんだ。本当にすまねぇ」
「そうゆう事だったのね。別にいいわよ。気にしなくても」
「だが」
「いいのよ、事故みたいなものでしょ。それに私は生きてる。あなたはわざと、傷付けたくて私を傷付けた訳じゃない。そうでしょう?」
「あぁ・・・」
「ならいいわ。あまり気に病むんじゃないわよ。私は気にしてないから。また一緒に戦って頂戴」
そう言って肩に手を置いたユナにリオは頷く。
リオの顔から曇りが晴れたのを見てユナは笑って
「さて、あとはローザね。ローザはどこにいるの?」
ローザはどこにいるのか問いかける。
「そうだった。あの場にはローザもいたんだ」
『デール』の前でローザと相対し、殺意をぶつけられた事をステラは思い出す。
気弱で、優しく穏やかなローザからは考えられない表情と発言が今でも頭から離れない。
「ローザ兄なら隣の隣のアクルの部屋でかちんこちんに凍ってるよ」
そう言って扉から出たプリンの後に、テマリとサヤカ、ステラ、ユナ、レアルが続いて、廊下を歩いて氷漬けのローザがいるアクルの部屋に向かう。
「凍った状態で来るとは思わなかったからびっくりしたよ。早く溶かしてあげないと、ローザ兄風邪引いちゃうーーよ?」
扉を開けて、プリン、テマリ、サヤカは固まる。
一体どうしたのかと思ってプリン達の後ろから部屋を覗き込んだステラ、ユナ、レアルも同じく固まった。
「ローザが、いない・・・」
氷漬けのローザがどこにもいなかった。
影も形も見当たらない。確かにいた筈のローザがいなくなってしまった事で、プリンは激しく動揺する。
「ローザ兄‼︎ どこ‼︎ ローザ兄‼︎ ローザ兄‼︎ ローザ兄ぃっ‼︎」
部屋の中に飛び入り、プリンはローザの名前を何度も叫ぶ。
窓の外を見てみるが、どこにもローザはいない。足跡すらない。
少なくとも自分の足で脱出した訳ではない事が明らかになるが、最悪の現状は何も変わっていない。
ローザがいなくなってしまった。
「そんな、どうして⁉︎ 何で⁉︎ ローザ兄ぃ、どこっ⁉︎ 返事、してくれよぉ・・・」
嗚咽を漏らすプリンにテマリとサヤカは駆け寄り、状況を皆に伝える為にレアルは自室へと戻る。
自分も何かしなければ、そう思ったステラはローザを探しに行く事をユナに伝えようとして横を見て
「え?」
ユナがいなくなっている事に気付いた。
「どうゆう事?」
冷たい風に吹かれながら、ユナは困惑する。
自分はつい先程までレアルの家にいた筈だ。それなのに何故か外にいて、雪が舞う中一人でいる。
「民家がなくて、木々が多い。ここは『サルジュの森』の外れね」
自分がいる場所がどこなのかを確認して、ユナは一体何が起きているのかを冷静に分析する。
外にいるのは十中八九誰かに転移させられたから。『サルジュの森』に転移の魔法を扱える者はいない。
つまりこれは
ーー敵の攻撃‼︎
突然起きた現象の原因が、敵によるものだと理解した瞬間、ユナの顔目掛けて短剣が飛んでくる。
ユナは短剣を身体を大きく動かして躱し、短剣は頬に掠るだけに留まり、ユナの後方にある純白のモミの木に突き刺さる。
短剣が飛んできた方をユナが見ると、そこに黒いローブを纏った人物が立っていた。
フードを被っている上に、顔に包帯を巻いているため顔は見えない。
何者かは分からないが、短剣なんて物騒な物を投げて来た事からも敵である事は明らかだ。
「誰だか知らないけど、私にはまだやる事があるの。早く倒して、帰させてもらうわよ」
スカートのポケットに両手を入れて、左手の指の隙間に稲妻水晶、右手の指の隙間に風の力を閉じ込めた緑色の烈風水晶挟み、ユナは臨戦態勢を取る。
棒立ちのローブの人物に、ユナは肩を大きく振って全ての稲妻水晶と烈風水晶を投げつける。
計八個の魔水晶はローブの人物に当たる寸前で輝きを発し、閉じ込められた力を放出した。
結果、雷の竜巻が生じて、ローブの人物を飲み込む。
雷の力を宿した雷の牢獄。二つの災害の力の中にいれば、まず無事では済まないーー筈だが、相手の力量が分からない以上、油断は禁も
「あ、れ?」
急に視界が霞み、意識が遠くなっていく感覚にユナは襲われる。
意識を手放さまいとユナは必死に抗おうとするが、抵抗虚しくユナはそのまま意識を失って雪の上に倒れる。
ユナが倒れると、ローブの人物は雷の竜巻を指一本動かさずに消した飛ばした。
ユナに近付き、ユナが意識を失った事を確認すると、ローブの人物はフードを脱ぎ、顔に巻いた包帯を解く。
「片手間で作った睡眠薬がここまで効果があるとは嬉しい誤算だねぇ。今はまだあんたは必要無いんだが、追い込みが足りないからねぇ。作戦をスムーズに進める為にまた眠ってもらうよぉ」
ローブの人物の正体は、『夜天の箱舟』の『魔女』ペトロニーラ=ディ=ミーズだった。
ペトロニーラは木に突き刺さった短剣に掌を向けて引き寄せると、短剣をローブのポケットの中にしまい、懐から赤い宝石による装飾が施された、指で掴める程度の大きさの白い箱を取り出した。
「さぁ、出てきなぁ」
そう言ってペトロニーラが蓋を開けると、中から氷に閉じ込められたローザが飛び出した。
「試作品魔道具『亜空の小箱』。我ながら使い勝手がいぃ。こりゃ珍しく成功だねぇ」
自分で作った魔道具の出来を自画自賛して、ペトロニーラはさてぇとローザを閉じ込める氷に触れて
「『翡翠の守り人』ローザ=アプリコット。あんたの『親指姫』への呪いのような愛を利用させてもらうよぉ。あんたはあたしが解放してやるぅ。『親指姫』とも一緒にしてやるぅ。だから精々、愛のままにその力を振るいなぁ」
妖しく笑って、指を鳴らした。
眠りから目を覚ました時、ローザはテーブルに座っていた。
氷の中から解放され、傷も治り、魔力も回復している。
一体誰が、何の目的で、自分を解放し、回復させたのかローザの頭に疑問符が浮かぶが、そんな疑問は目の前に座っていたある人物を見て吹き飛ぶ。
「ユナ・・・」
向かいの席にユナが座っていた。
目を閉じ、穏やかな顔で眠っているユナにローザは手を伸ばし、起こさないように優しく掴んで抱き寄せる。
「ユナ、ユナ、ユナ、よかった、無事で、傷も治ってる。よかった、本当によかった・・・」
心の底から安堵したようにそう言って、ユナを抱きしめる力を少しだけ強めて周囲を見てローザは気付く。
自分が今いるのはユナの家の中のユナの部屋だと。幼い頃何度も遊びに来て、はっきりと覚えているから間違いない。
「誰だか知らないけど、気の利いた事をするじゃないか」
歪んだ笑みを浮かべてそう呟くと、ローザは眠るユナの顔を自分の顔に近付けて、今度は一転して人の良い青年の笑顔を作る。
「もうどこにも行かせない。もう僕以外の誰かを見させない。これからは僕だけの傍にいてね。これからは永遠に二人で生きていこう? それが嫌なら一緒に死んで、天国でずっと一緒にいよう? ね?」
笑いながら、光を宿さぬ目でユナを見つめて、ローザは愛の言葉を囁く。
その愛は狂気を孕み、一方的で、呪いに近い極めて歪んだものだが、ローザはその事に気付かない。
自分の愛は美しいものだと信じて、翡翠の妖精は狂った愛を『親指姫』に捧げる。
昏睡状態のレアルを見て、心配そうにプリンが呟く。
場所はレアルの家のレアルの自室。部屋の中は重苦しい空気に包まれていた。
レアルは一向に目を覚まさない。『七人の小人』が必ずユナを取り戻してくれるのを信じて待てと言ったジークフリートですら、不安を隠せなくなってきている。
このまま時間が経ってユナが戻ってこなければ、レアルは間違いなく死んでしまう。
誰もが最悪の想定をして、何も言えなくなっている中で
「きっと大丈夫よ。ブレイブ達ならきっとユナを連れて帰って来てくれる」
ステラは拳を強く握って、笑顔でプリンにそう言った。
本当は震える程にレアルの死を恐れているのを、拳を固く握りしめて必死に隠して、ステラはまたしても泣きそうになっているプリンを安心させようと努める。
どんな事を言っても、どんな事をしても、プリンを安心させる事はできない。レアルが目を覚まさない限りプリンの不安が消える事はない。それが分かっていても、ステラは月並みな言葉を吐かずにはいられなかった。
無力感に苛まれて、ステラが唇を噛み締めた時、部屋の扉が開いた。
「ーー待たせちゃったわね」
待ちわびていた少女の声がした。
部屋の扉に全員の視線が集中する。そこにいたのは赤いリボンが特徴的な、小人に見える少女。レアルを救える唯一の存在。
「皆重傷ね。応急処置はアクルがやってくれたのかしら? ありがとうね。あとは私が治すわ」
『魔神の庭』の『親指姫』ユナ=マリスタが帰ってきた。
眠るレアルにユナが近付こうとした時
「レアル姉を助けてユナ姉‼」
「緊急治療求む‼」
「早急な治療を求む‼」
「すまねぇ‼ お前を傷付けたのは俺なんだ‼」
「帰ってきてくれてありがとうユナ‼ レアルが死にそうなの‼ お願い‼ 助けて‼」
プリン、テマリ、サヤカ、リオ、ステラが一斉にユナに話しかけた。
五人同時に至近距離で大声で話しかけられ、ユナは耳を押さえて
「うるっさーい‼︎ 分かってるから‼︎ ちゃんと、全員、順番に治すから、静かに待ってなさい‼︎」
五人の声に勝る声量で叫んで待つように言い聞かせると、早速レアルに近づき手をかざして緑色の光を当てる。
『残英の対舞曲』の癒しの光に当てられて傷が回復していき、レアルの顔色が少しずつ良くなっていく。
ユナが光を収めると、ほぼ同時にレアルは目を覚ました。
「よかった。これで安心ね」
「・・・ユナ、無事だったんだね。心配、したよ」
「心配したのはこっちよ。あなたは目を離すとすぐに傷だらけになるから」
「そう、だね。なら、ううん、何でもない・・・」
それなら目を離さないで、ずっと一緒にいて欲しいなと言いそうになったが、その言葉をレアルは何とか飲み込む。
不自然なレアルの反応をユナは訝しむが、重傷者が他にもいる以上それを気にしている余裕は無い。早速次の重傷者、ジークフリートの治療をユナは開始する。
「よかった。間に合ったみたいだね」
ユナがジークフリートを治療し始めた時、新たな声が扉から聞こえてきた。
扉の近くには三人の小人がいた。小人達の姿をアクルは目に映すと、小人達に近付いて
「ヨネ、イステキ、ナンバ、ユナを連れてきてくれてありがとうございます。お陰で最悪の事態を免れる事ができました」
頭を下げて、ヨネ、イステキ、ナンバ、ユナを取り戻す為に奮闘した功労者に礼を言う。
礼を言われたヨネ達は照れ臭さそうに笑う。
「当然の事をしただけだよ。でも、どういたしまして」
「まぁな。仲間の危機を救うのは当たり前だって」
「二人に同じ」
「それでも本当に助かりました。ところで、フスティーシアとカステリコスはどうなりましたか?」
フスティーシアとカステリコス。
裏切った二人がどうなったのかを聞かれて、ヨネ達は苦い顔をする。その反応が答えだった。
「カステリコス君は、どこかに行っちゃった。自分は『夜天の箱舟』側だ。次は殺す。いずれ大図書館でって、そう言い残して・・・」
「それと気になる事を言ってた。今回の目的は『残英の対舞曲』じゃない。本当の目的はもう果たしたって」
ヨネとイステキからカステリコスの動向を聞いて、アクルは沈痛な面持ちを浮かべる。
「そう、ですか。カステリコスは『夜天の箱舟』側に行ってしまいましたか。それにしても、『夜天の箱舟』の本当の目的はユナの『残英の対舞曲』じゃない? なら、一体『夜天の箱舟』の目的は何だ? 奴らにとって『残英の対舞曲』と同等の価値がある物・・・まさか」
目を見開いて、焦りの色を顔に出すアクルにナンバは頷く。
「そのまさかだろう。ヘルハウンドを従えられる者達だ。あれを使役する事、あるいはあれの中にあるものを自在に行使する事は不可能ではなかろう。だが、あれの封印は強固な物だ。今すぐに利用される事はあるまい」
「そうですね。奪われてしまったものについて考えても仕方がない。不確定要素に意識を割くのは得策とはいえません。まずは目の前の問題にどう対処するかを考えましょう」
『夜天の箱舟』の本当の目的が何なのか分かったアクルとナンバは二人だけで話を完結させて、今起こっている問題の対処方法についての話し合いを始めようとする。
『夜天の箱舟』の、あの悪辣極まる集団の真の目的が何なのかステラは気になってしょうがないが、今すぐに何か起きる訳ではないと二人が判断し、優先すべき事が他にもいくつもある以上、それについて話し合う方が賢明だ。
これからの方針が決まりさえすれば、ユナによって傷も魔力も回復した今ならすぐに動く事ができる。ようやく悪夢の怪物を仲間達と共に討つ事がーー・・・
「あれ? ブレイブとフスティーシアは? 二人はどこにいるの?」
これまで名前が挙がっていない『七人の小人』の所在が気になり、ステラがそう問いかけると
「ここにいたのか」
またしても扉の方から声が聞こえてきた。
傷だらけの小人が、同じく傷だらけで意識の無い小人を背負って立っていた。その小人達こそ今話題に挙がった二人だった。
「ブレイブ‼︎」
意識の無いブレイブを見て、ステラは咄嗟にフスティーシアに飛びかかろうとするが、ベットから飛び起きたレアルに止められる。
「待って」
「レアル?」
「フスティーシア。一体、何をしに来たの?」
冷たい声で問いかけられ、フスティーシアは俯いて一歩下がる。
「ぼ、僕は、もう一度、もう、一度・・・」
途切れ途切れの、小さな声で、フスティーシアはレアルの質問に答えようとする。
何をしに来たのか。どうして戻ってきたのか。その答えは最初から決まっているが、罪悪感とレアルの迫力に圧倒されて、フスティーシアの喉から言葉が出てこなくなる。
どんな答えを返しても、レアルは自分の事を許してくれないかもしれない。一生嫌いになるかもしれない。それでも、たとえ何を言われる事になっても、自分の意志を言葉にして伝える事はフスティーシアの義務だ。
フスティーシアは顔を上げて、覚悟を決める。
「もう一度、『白雪の森』の『七人の小人』として、あなたと、仲間の為に戦う為に戻ってきた」
「私と、仲間の為に?」
「そうだよ。僕はあなたに幸せになってほしくて、非道に手を染めてまで『幻夢楽曲』を集めようとしていた。でも、それは間違いだって気付いた」
一人に幸せになってもらう為に、大勢を傷付ける事は正義ではない。正義を言い訳にした悪だ。
たとえ犯した罪が全て無くなる事になるとしても、それを良しとしない仲間がいる事にもフスティーシアは気付いた。
「ブレイブは、自分を傷付けた僕を仲間だって、お前の帰る場所は『白雪の森』だって言ってくれた。それがとても嬉しかった」
だから
「僕はブレイブに報いたい。もう一度『白雪の森』に戻って、あなたと皆の為に戦いたい。許してもらえなくてもいい。嫌われたっていい。お願いだ。もう一度『白雪の森』の為に戦わせてほしい」
ありのままの気持ちをフスティーシアは包み隠さず伝えた。するとレアルはゆっくりとフスティーシアに近付いて
「嫌いになんてならないよ」
穏やかな声音ではっきりとそう言うと、しゃがんで頬に優しく触れる。
「ブレイブがあなたの事を許しているなら、あなたが帰ってくる事を望んでいるなら、私はそれでいい。あなたはずっと私の事を気にかけて、私の為に頑張ってくれた。『七人の小人』の皆で戦う時は、ブレイブと一緒に前に出て、皆を守ろうとしてくれていた。自分の芯があって、優しいあなたの事が、私は好き」
「あ、ぅ・・・」
「もうしないでね。それだけ約束してくれたらいいよ」
「うん‼︎ うん‼︎」
涙を流しながら強く頷くフスティーシアに、レアルは笑いかけて
「おかえり、フスティーシア」
フスティーシアをフスティーシアが背負うブレイブごと優しく抱きしめた。
「やっと戻ってきたな。馬鹿野郎」
レアルの腕の中で泣くフスティーシアの頬を、いつの間にか目を覚ましていたブレイブがつねる。
フスティーシアが後ろを見ると、ブレイブは笑っていた。
「さっきの、あれ、悪ぃ、全部聞いてた。お前、あんな風に思ってたんだな」
「聞かれてしまっていたんだね。少し恥ずかしいな」
「まぁ、なんだ。頼りにしてるぞ」
「うん。頼りにしててよ」
「あー、ごほん」
ブレイブとフスティーシアの会話を聞いて、ユナがわざとらしい咳の真似をする。
レアルとブレイブ、そしてフスティーシアの視線が自分に向いたところで
「良い雰囲気の所申し訳ないんだけど、ブレイブとフスティーシアの治療をしてもいいかしら?」
手に緑色の光を宿して、早く治療させてほしいと言った。
レアルは咄嗟にフスティーシアとブレイブから離れ、ユナは光でフスティーシアとブレイブを覆って、二人一片に治療を行う。
やがて二人の傷が完治すると、ユナは光を消して息を吐いて額を腕で拭う。
「これでよしっと」
『魔神の庭』の者も『白雪の森』の者も、全員治療し終えたユナに、リオはなぁと声をかける。
「傷は、大丈夫なのか?」
「傷? あぁ、大丈夫よ。ヨネ達に運ばれてる途中で目が覚めて、その時自分で治したわ」
「目が覚めてすぐに私達の傷も治してくれたんだよね」
「びっくりしたわよ。起きたら怪我人が三人もいるんだもの」
「・・・ユナ、お前を傷付けたのは俺なんだ」
「え?」
思いがけないリオの告白にユナは目を丸くする。
リオは強い罪悪感を感じながらも、ユナから目を逸らさず、自分がした事を打ち明ける。
「蛙の魔獣に襲われて、斬ったら中にお前がいた。お前を傷付けたのは俺なんだ。本当にすまねぇ」
「そうゆう事だったのね。別にいいわよ。気にしなくても」
「だが」
「いいのよ、事故みたいなものでしょ。それに私は生きてる。あなたはわざと、傷付けたくて私を傷付けた訳じゃない。そうでしょう?」
「あぁ・・・」
「ならいいわ。あまり気に病むんじゃないわよ。私は気にしてないから。また一緒に戦って頂戴」
そう言って肩に手を置いたユナにリオは頷く。
リオの顔から曇りが晴れたのを見てユナは笑って
「さて、あとはローザね。ローザはどこにいるの?」
ローザはどこにいるのか問いかける。
「そうだった。あの場にはローザもいたんだ」
『デール』の前でローザと相対し、殺意をぶつけられた事をステラは思い出す。
気弱で、優しく穏やかなローザからは考えられない表情と発言が今でも頭から離れない。
「ローザ兄なら隣の隣のアクルの部屋でかちんこちんに凍ってるよ」
そう言って扉から出たプリンの後に、テマリとサヤカ、ステラ、ユナ、レアルが続いて、廊下を歩いて氷漬けのローザがいるアクルの部屋に向かう。
「凍った状態で来るとは思わなかったからびっくりしたよ。早く溶かしてあげないと、ローザ兄風邪引いちゃうーーよ?」
扉を開けて、プリン、テマリ、サヤカは固まる。
一体どうしたのかと思ってプリン達の後ろから部屋を覗き込んだステラ、ユナ、レアルも同じく固まった。
「ローザが、いない・・・」
氷漬けのローザがどこにもいなかった。
影も形も見当たらない。確かにいた筈のローザがいなくなってしまった事で、プリンは激しく動揺する。
「ローザ兄‼︎ どこ‼︎ ローザ兄‼︎ ローザ兄‼︎ ローザ兄ぃっ‼︎」
部屋の中に飛び入り、プリンはローザの名前を何度も叫ぶ。
窓の外を見てみるが、どこにもローザはいない。足跡すらない。
少なくとも自分の足で脱出した訳ではない事が明らかになるが、最悪の現状は何も変わっていない。
ローザがいなくなってしまった。
「そんな、どうして⁉︎ 何で⁉︎ ローザ兄ぃ、どこっ⁉︎ 返事、してくれよぉ・・・」
嗚咽を漏らすプリンにテマリとサヤカは駆け寄り、状況を皆に伝える為にレアルは自室へと戻る。
自分も何かしなければ、そう思ったステラはローザを探しに行く事をユナに伝えようとして横を見て
「え?」
ユナがいなくなっている事に気付いた。
「どうゆう事?」
冷たい風に吹かれながら、ユナは困惑する。
自分はつい先程までレアルの家にいた筈だ。それなのに何故か外にいて、雪が舞う中一人でいる。
「民家がなくて、木々が多い。ここは『サルジュの森』の外れね」
自分がいる場所がどこなのかを確認して、ユナは一体何が起きているのかを冷静に分析する。
外にいるのは十中八九誰かに転移させられたから。『サルジュの森』に転移の魔法を扱える者はいない。
つまりこれは
ーー敵の攻撃‼︎
突然起きた現象の原因が、敵によるものだと理解した瞬間、ユナの顔目掛けて短剣が飛んでくる。
ユナは短剣を身体を大きく動かして躱し、短剣は頬に掠るだけに留まり、ユナの後方にある純白のモミの木に突き刺さる。
短剣が飛んできた方をユナが見ると、そこに黒いローブを纏った人物が立っていた。
フードを被っている上に、顔に包帯を巻いているため顔は見えない。
何者かは分からないが、短剣なんて物騒な物を投げて来た事からも敵である事は明らかだ。
「誰だか知らないけど、私にはまだやる事があるの。早く倒して、帰させてもらうわよ」
スカートのポケットに両手を入れて、左手の指の隙間に稲妻水晶、右手の指の隙間に風の力を閉じ込めた緑色の烈風水晶挟み、ユナは臨戦態勢を取る。
棒立ちのローブの人物に、ユナは肩を大きく振って全ての稲妻水晶と烈風水晶を投げつける。
計八個の魔水晶はローブの人物に当たる寸前で輝きを発し、閉じ込められた力を放出した。
結果、雷の竜巻が生じて、ローブの人物を飲み込む。
雷の力を宿した雷の牢獄。二つの災害の力の中にいれば、まず無事では済まないーー筈だが、相手の力量が分からない以上、油断は禁も
「あ、れ?」
急に視界が霞み、意識が遠くなっていく感覚にユナは襲われる。
意識を手放さまいとユナは必死に抗おうとするが、抵抗虚しくユナはそのまま意識を失って雪の上に倒れる。
ユナが倒れると、ローブの人物は雷の竜巻を指一本動かさずに消した飛ばした。
ユナに近付き、ユナが意識を失った事を確認すると、ローブの人物はフードを脱ぎ、顔に巻いた包帯を解く。
「片手間で作った睡眠薬がここまで効果があるとは嬉しい誤算だねぇ。今はまだあんたは必要無いんだが、追い込みが足りないからねぇ。作戦をスムーズに進める為にまた眠ってもらうよぉ」
ローブの人物の正体は、『夜天の箱舟』の『魔女』ペトロニーラ=ディ=ミーズだった。
ペトロニーラは木に突き刺さった短剣に掌を向けて引き寄せると、短剣をローブのポケットの中にしまい、懐から赤い宝石による装飾が施された、指で掴める程度の大きさの白い箱を取り出した。
「さぁ、出てきなぁ」
そう言ってペトロニーラが蓋を開けると、中から氷に閉じ込められたローザが飛び出した。
「試作品魔道具『亜空の小箱』。我ながら使い勝手がいぃ。こりゃ珍しく成功だねぇ」
自分で作った魔道具の出来を自画自賛して、ペトロニーラはさてぇとローザを閉じ込める氷に触れて
「『翡翠の守り人』ローザ=アプリコット。あんたの『親指姫』への呪いのような愛を利用させてもらうよぉ。あんたはあたしが解放してやるぅ。『親指姫』とも一緒にしてやるぅ。だから精々、愛のままにその力を振るいなぁ」
妖しく笑って、指を鳴らした。
眠りから目を覚ました時、ローザはテーブルに座っていた。
氷の中から解放され、傷も治り、魔力も回復している。
一体誰が、何の目的で、自分を解放し、回復させたのかローザの頭に疑問符が浮かぶが、そんな疑問は目の前に座っていたある人物を見て吹き飛ぶ。
「ユナ・・・」
向かいの席にユナが座っていた。
目を閉じ、穏やかな顔で眠っているユナにローザは手を伸ばし、起こさないように優しく掴んで抱き寄せる。
「ユナ、ユナ、ユナ、よかった、無事で、傷も治ってる。よかった、本当によかった・・・」
心の底から安堵したようにそう言って、ユナを抱きしめる力を少しだけ強めて周囲を見てローザは気付く。
自分が今いるのはユナの家の中のユナの部屋だと。幼い頃何度も遊びに来て、はっきりと覚えているから間違いない。
「誰だか知らないけど、気の利いた事をするじゃないか」
歪んだ笑みを浮かべてそう呟くと、ローザは眠るユナの顔を自分の顔に近付けて、今度は一転して人の良い青年の笑顔を作る。
「もうどこにも行かせない。もう僕以外の誰かを見させない。これからは僕だけの傍にいてね。これからは永遠に二人で生きていこう? それが嫌なら一緒に死んで、天国でずっと一緒にいよう? ね?」
笑いながら、光を宿さぬ目でユナを見つめて、ローザは愛の言葉を囁く。
その愛は狂気を孕み、一方的で、呪いに近い極めて歪んだものだが、ローザはその事に気付かない。
自分の愛は美しいものだと信じて、翡翠の妖精は狂った愛を『親指姫』に捧げる。
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