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湖でワカサギ釣り part1
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プリプリ怒っておったが、ジョーが部屋にやって来たときには皆、落ち着いていた。
いつまでもショックを受けておられぬからの。
まあ、ヤンヤンはしばらくダメかもしれぬが。
「そうそう、露天風呂は混浴なのよ」
大混乱を招いた事故を、ジョーは「言ってなかったかしら?」と軽くあしらった。
今さら咎める気にもなれぬ。
こういうヤツなのじゃ。
ジョーは、それよりもと支度をするよう促してきた。
「もうお昼よ。早く湖に行きましょう。釣り道具は使用人たちが準備してくれたわ」
凍った湖で釣りをするという一風変わった遊びに誘われていたことを思い出す。
ワカサギという魚が釣れるらしい。
「もう玄関ホールにシェン君も来てるから急いで!」
ジョーに背中を押されて部屋を出る。
ヤンヤンとミンミンに厚手のコートを着せられて、帽子に手袋、マフラーも完備。
玄関ホールに繋がる階段に着くと、下に何人かが待っていた。
この別荘の使用人たちが、たくさんの荷物を外に運び出している。
そこに混ざって、妾の護衛の騎士二人と、シェン君とサイファもいた。
「ううう・・・・・・」
妾の背後から不気味な呻き声が聞こえてくる。
ヤンヤンじゃ。
「観念しなさいな。ずっと会わないわけにいかないでしょ!」
ミンミンに叱られて、ヤンヤンはトマトのように真っ赤な顔を手で覆っている。
ずっとヤンヤンと一緒に過ごしてきたが、こんなに動揺しているのは初めて見る。
しかし、妾も階下にいるシェン君が気になって、それどころではない。
四人で階段を降りて行くと、ジョーがきびきびと使用人たちに荷運びを命じ、妾たちを先導して外に出る。
またしてもこちらを見ないシェン君は、ジョーに付いてさっさと行ってしまった。
「うむむむむ」
隣からミンミンが「ひめ様まで唸らないでください」と言うが、また妾のプンプン丸が首をもたげてきたのじゃ。
ぞろぞろと別荘の坂道を下り、小さな村の小道を湖へと歩いて行く。
夏場は湖で泳ぐこともできると、昨夜ジョーが話してくれたのを思い出す。
確かにとても風光明媚なところなのじゃ。
レイキャン湖は山裾の針葉樹の森に囲まれており、全体がなんとか見渡せる大きさをしている。
村側に船着場というか、簡素な桟橋があるが、よく見ると向こう岸にも同じ木製の桟橋が備え付けられていた。
今は水面が完全に凍っているので舟は必要ないが、夏はボート遊びもできそうじゃ。
湖の縁まで行くと、ジョーが振り返って、妾たちにも聞こえるように大きな声で言った。
「氷は厚いから大丈夫だけど、滑らないように気をつけてね」
「わかったのじゃ!」
すでに別荘の使用人たちが湖の中ほどに椅子やらテーブルやらを設置して、道具を広げている。
ジョーに続いてシェン君、サイファが恐る恐る湖の上を歩き出すのが見えた。
ふいに、妾の前を行っていた二人の騎士が戻ってきた。
「バーミリオン殿下。一応、安全確認をして参りますので、それまではここでお待ちください」
副長のシュミットが真面目な顔で言うが、妾はシェン君たちを指差した。
「大丈夫そうじゃ。おぬしらも少しは気を緩めてもいいぞ。氷も厚いらしいし、こんなだだっ広いところで襲われることもなかろう」
しかし、シュミットの隣のクラウゼンが首を横に振る。
「ここは帝国領ではありません。何があるかわかりません。油断は禁物です」
二人ともやる気に満ち満ちておるようじゃ。
妾は軽く頷いた。
好きにさせる方がよいかも。
クラウゼンが率先して湖に様子を見に行き、シュミットは妾たちとしばし待つことになった。
「そういえば殿下。昨夜は申し訳ありませんでした」
「何がじゃ?」
「露天風呂でのことです」
ひぃ~~~!
その話はやめてぇぇぇ。
妾はちらりとヤンヤンを窺う。
案の定、またしても真っ赤になっておる。
シュミットは気づかず話を続ける。
「建物の探索はしていたのですが、外風呂が繋がっていることに気づきませんでした。すみません」
「う、うむ・・・・・・」
「アラガンの王子と従者がいたようですが、どのような状況だったのかお話くださいませんか?」
「えっ? いや、それは・・・・・・」
「悲鳴が聞こえましたが、さすがに女湯に飛び込むわけにはいかず、その後、ミンミンから話を聞きましたが大したことはないの一点張りで」
「う、うむ。そうじゃ、大したことなかったので気にしなくてもいい」
「本当ですか?」
妾、この話はもうやめたいのじゃ。
なんで忘れさせてくれないのじゃ。
うがぁ~~~!
心の中の荒ぶる獣をどうどうと宥めつつ、なんとか笑顔を作る。
「本当に大丈夫じゃ。それよりほら、クラウゼンが戻ってきたぞ」
湖の上を飛んだり走ったりしていたクラウゼンが駆け寄ってきたので、妾は話を挿げ替えた。
騎士二人が湖の安全対策について話し始める。
安全だとわかったので、妾たちはようやく湖の中央まで進んで行った。
驚いたことに湖の表面は歩いていると、地面とまったく変わらなかった。
「カチコチじゃの」
「ええ、本当ですね」
ミンミンと靴先で氷を叩いてみたりしたが、割れるどころか揺れもしない。
湖に張った氷が厚いので、下の水の層や魚は見えなかった。
「これなら大男がジャンプしてもへっちゃらじゃのぉ」
「さすがにそれは無理じゃないですか?」
ミンミンが言うと、後ろから付いてきていたクラウゼンが「さっきジャンプしましたが平気でしたよ」とにっこり返した。
それを見たミンミンの目がキラーンと輝く。
イヤな予感じゃ。
妾の耳にミンミンが口を寄せてきた。
「歯が綺麗。ちょっとタイプかもです」
いや、おぬし、昨日も別の男を褒めとったよな。
呆れた妾はそそくさとその場を離れてジョーとシェン君が話しているところに近づいた。
二人は釣り道具が並べられた場所で、それぞれ手に取って吟味していた。
どれを使うか選んでいるらしい。
釣竿を見ていたジョーが妾に気づいて一本差し出してくる。
「バーミリオン、これにしたら? 初心者向けの釣竿よ」
「うむ。・・・・・・シェン君は、」
ついでのように、それとなくシェン君とも話そうとした、そのときだった。
「おれ、これでいいや」
シェン君が釣竿を持ってその場から離れて行く。
しかも早足じゃ。
あまりにわざとらしく無視されて、妾は我慢できなかった。
「なんで逃げるんじゃ!」
持っていた釣竿をシェン君の背中に投げつける。
髪の毛がチリチリする。
頭の中もチリチリする。
手首に嵌めたブレスレットが少し狭まってくる。
それでも妾はシェン君に振り返ってもらいたくて走り出した。
背中に釣竿をぶつけられて、シェン君が驚いた顔で振り向く。
「ミ、ミリィ・・・・・・」
一瞬にしてシェン君の表情が驚愕から恐怖に変わり、また妾に背を向けると、今度は走り出す。
「むっ!? だから、なんで逃げるんじゃ~~!」
走るシェン君を追いかけて、妾もさらにスピードを上げる。
「追いかけて来るな!」
「逃げるからじゃろ~!」
妾は両手を振り上げ、シェン君を追い回した。
呪いが発動してブレスレットが縮んで痛い思いをするかと思ったが、なぜかそうはならなかった。
湖の上をシェン君を追いかけて走っている間に、段々と怒りが萎んでいったからかもしれぬ。
さらに追いかけていると、数メートル前でシェン君がつるりと滑って、盛大に転んだ。
「痛たたた」
しかも、追いかけていた妾も靴の裏が滑って止まれず、転んだシェン君の上に倒れ込む。
「うわぁッ!」
「お、おいっ!!」
重なり合って氷の上に転がる。
なんとか先に起き上がると、妾の下に潰されたシェン君が何とも言えない顔でこっちを見ていた。
しかも持っていた釣竿がポッキリ折れている。
「ふはっ・・・・・・。ふひゃはははははは!」
笑い出した妾に、シェン君は「何がおかしいんだよ」と言った後、手にした釣竿が無惨な有様なのを見て「ハッ」と声を出すと、同じように大きな声で笑い出した。
「何すんだよ、ミリィ。おれの釣竿が・・・・・・」
そう言いつつもハハハハと笑っている。
「とんでもねぇな」
ひとしきり笑うと、シェン君は苦笑しながら「悪かった」と呟いた。
理由を問い詰めるつもりだったが、もうどうでもよくなってしもうた。
追いかけっこしたら、ちょっとスッキリしたのじゃ。
妾は笑顔で立ち上がると、シェン君に手を差し伸べた。
いつまでもショックを受けておられぬからの。
まあ、ヤンヤンはしばらくダメかもしれぬが。
「そうそう、露天風呂は混浴なのよ」
大混乱を招いた事故を、ジョーは「言ってなかったかしら?」と軽くあしらった。
今さら咎める気にもなれぬ。
こういうヤツなのじゃ。
ジョーは、それよりもと支度をするよう促してきた。
「もうお昼よ。早く湖に行きましょう。釣り道具は使用人たちが準備してくれたわ」
凍った湖で釣りをするという一風変わった遊びに誘われていたことを思い出す。
ワカサギという魚が釣れるらしい。
「もう玄関ホールにシェン君も来てるから急いで!」
ジョーに背中を押されて部屋を出る。
ヤンヤンとミンミンに厚手のコートを着せられて、帽子に手袋、マフラーも完備。
玄関ホールに繋がる階段に着くと、下に何人かが待っていた。
この別荘の使用人たちが、たくさんの荷物を外に運び出している。
そこに混ざって、妾の護衛の騎士二人と、シェン君とサイファもいた。
「ううう・・・・・・」
妾の背後から不気味な呻き声が聞こえてくる。
ヤンヤンじゃ。
「観念しなさいな。ずっと会わないわけにいかないでしょ!」
ミンミンに叱られて、ヤンヤンはトマトのように真っ赤な顔を手で覆っている。
ずっとヤンヤンと一緒に過ごしてきたが、こんなに動揺しているのは初めて見る。
しかし、妾も階下にいるシェン君が気になって、それどころではない。
四人で階段を降りて行くと、ジョーがきびきびと使用人たちに荷運びを命じ、妾たちを先導して外に出る。
またしてもこちらを見ないシェン君は、ジョーに付いてさっさと行ってしまった。
「うむむむむ」
隣からミンミンが「ひめ様まで唸らないでください」と言うが、また妾のプンプン丸が首をもたげてきたのじゃ。
ぞろぞろと別荘の坂道を下り、小さな村の小道を湖へと歩いて行く。
夏場は湖で泳ぐこともできると、昨夜ジョーが話してくれたのを思い出す。
確かにとても風光明媚なところなのじゃ。
レイキャン湖は山裾の針葉樹の森に囲まれており、全体がなんとか見渡せる大きさをしている。
村側に船着場というか、簡素な桟橋があるが、よく見ると向こう岸にも同じ木製の桟橋が備え付けられていた。
今は水面が完全に凍っているので舟は必要ないが、夏はボート遊びもできそうじゃ。
湖の縁まで行くと、ジョーが振り返って、妾たちにも聞こえるように大きな声で言った。
「氷は厚いから大丈夫だけど、滑らないように気をつけてね」
「わかったのじゃ!」
すでに別荘の使用人たちが湖の中ほどに椅子やらテーブルやらを設置して、道具を広げている。
ジョーに続いてシェン君、サイファが恐る恐る湖の上を歩き出すのが見えた。
ふいに、妾の前を行っていた二人の騎士が戻ってきた。
「バーミリオン殿下。一応、安全確認をして参りますので、それまではここでお待ちください」
副長のシュミットが真面目な顔で言うが、妾はシェン君たちを指差した。
「大丈夫そうじゃ。おぬしらも少しは気を緩めてもいいぞ。氷も厚いらしいし、こんなだだっ広いところで襲われることもなかろう」
しかし、シュミットの隣のクラウゼンが首を横に振る。
「ここは帝国領ではありません。何があるかわかりません。油断は禁物です」
二人ともやる気に満ち満ちておるようじゃ。
妾は軽く頷いた。
好きにさせる方がよいかも。
クラウゼンが率先して湖に様子を見に行き、シュミットは妾たちとしばし待つことになった。
「そういえば殿下。昨夜は申し訳ありませんでした」
「何がじゃ?」
「露天風呂でのことです」
ひぃ~~~!
その話はやめてぇぇぇ。
妾はちらりとヤンヤンを窺う。
案の定、またしても真っ赤になっておる。
シュミットは気づかず話を続ける。
「建物の探索はしていたのですが、外風呂が繋がっていることに気づきませんでした。すみません」
「う、うむ・・・・・・」
「アラガンの王子と従者がいたようですが、どのような状況だったのかお話くださいませんか?」
「えっ? いや、それは・・・・・・」
「悲鳴が聞こえましたが、さすがに女湯に飛び込むわけにはいかず、その後、ミンミンから話を聞きましたが大したことはないの一点張りで」
「う、うむ。そうじゃ、大したことなかったので気にしなくてもいい」
「本当ですか?」
妾、この話はもうやめたいのじゃ。
なんで忘れさせてくれないのじゃ。
うがぁ~~~!
心の中の荒ぶる獣をどうどうと宥めつつ、なんとか笑顔を作る。
「本当に大丈夫じゃ。それよりほら、クラウゼンが戻ってきたぞ」
湖の上を飛んだり走ったりしていたクラウゼンが駆け寄ってきたので、妾は話を挿げ替えた。
騎士二人が湖の安全対策について話し始める。
安全だとわかったので、妾たちはようやく湖の中央まで進んで行った。
驚いたことに湖の表面は歩いていると、地面とまったく変わらなかった。
「カチコチじゃの」
「ええ、本当ですね」
ミンミンと靴先で氷を叩いてみたりしたが、割れるどころか揺れもしない。
湖に張った氷が厚いので、下の水の層や魚は見えなかった。
「これなら大男がジャンプしてもへっちゃらじゃのぉ」
「さすがにそれは無理じゃないですか?」
ミンミンが言うと、後ろから付いてきていたクラウゼンが「さっきジャンプしましたが平気でしたよ」とにっこり返した。
それを見たミンミンの目がキラーンと輝く。
イヤな予感じゃ。
妾の耳にミンミンが口を寄せてきた。
「歯が綺麗。ちょっとタイプかもです」
いや、おぬし、昨日も別の男を褒めとったよな。
呆れた妾はそそくさとその場を離れてジョーとシェン君が話しているところに近づいた。
二人は釣り道具が並べられた場所で、それぞれ手に取って吟味していた。
どれを使うか選んでいるらしい。
釣竿を見ていたジョーが妾に気づいて一本差し出してくる。
「バーミリオン、これにしたら? 初心者向けの釣竿よ」
「うむ。・・・・・・シェン君は、」
ついでのように、それとなくシェン君とも話そうとした、そのときだった。
「おれ、これでいいや」
シェン君が釣竿を持ってその場から離れて行く。
しかも早足じゃ。
あまりにわざとらしく無視されて、妾は我慢できなかった。
「なんで逃げるんじゃ!」
持っていた釣竿をシェン君の背中に投げつける。
髪の毛がチリチリする。
頭の中もチリチリする。
手首に嵌めたブレスレットが少し狭まってくる。
それでも妾はシェン君に振り返ってもらいたくて走り出した。
背中に釣竿をぶつけられて、シェン君が驚いた顔で振り向く。
「ミ、ミリィ・・・・・・」
一瞬にしてシェン君の表情が驚愕から恐怖に変わり、また妾に背を向けると、今度は走り出す。
「むっ!? だから、なんで逃げるんじゃ~~!」
走るシェン君を追いかけて、妾もさらにスピードを上げる。
「追いかけて来るな!」
「逃げるからじゃろ~!」
妾は両手を振り上げ、シェン君を追い回した。
呪いが発動してブレスレットが縮んで痛い思いをするかと思ったが、なぜかそうはならなかった。
湖の上をシェン君を追いかけて走っている間に、段々と怒りが萎んでいったからかもしれぬ。
さらに追いかけていると、数メートル前でシェン君がつるりと滑って、盛大に転んだ。
「痛たたた」
しかも、追いかけていた妾も靴の裏が滑って止まれず、転んだシェン君の上に倒れ込む。
「うわぁッ!」
「お、おいっ!!」
重なり合って氷の上に転がる。
なんとか先に起き上がると、妾の下に潰されたシェン君が何とも言えない顔でこっちを見ていた。
しかも持っていた釣竿がポッキリ折れている。
「ふはっ・・・・・・。ふひゃはははははは!」
笑い出した妾に、シェン君は「何がおかしいんだよ」と言った後、手にした釣竿が無惨な有様なのを見て「ハッ」と声を出すと、同じように大きな声で笑い出した。
「何すんだよ、ミリィ。おれの釣竿が・・・・・・」
そう言いつつもハハハハと笑っている。
「とんでもねぇな」
ひとしきり笑うと、シェン君は苦笑しながら「悪かった」と呟いた。
理由を問い詰めるつもりだったが、もうどうでもよくなってしもうた。
追いかけっこしたら、ちょっとスッキリしたのじゃ。
妾は笑顔で立ち上がると、シェン君に手を差し伸べた。
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