31 / 70
王宮図書館にて part2
しおりを挟む
カウンターの向こうにいた人物に声をかけられて、妾は飛び上がるほど驚いた。
誰もいないと思っていたし、人の気配も感じなかったからじゃ。
暗いとはいえ赤外線視も使っている。
相手の体温で姿が見えるはずじゃが、棚に隠れて気がつかなかったのかの?
「・・・・・・フレア姉じゃ。そ、其方こそなぜいるのじゃ? 今は芋掘りのはずーーー」
「ええ。そうなのよ、バーミリオン。でもね、わたし泥に塗れるのは好きじゃないの。それにあなたも知っていると思うけれど、わたしは利のないことをしたくないの。時間の無駄でしょう」
つまり、芋掘り大会に参加するのは無意味なことだということかの。
ちょっとショックなんじゃが・・・・・・。
「そんな顔をしないでちょうだい。バーミリオンや他の弟妹が楽しんでいる行事に水を差すつもりはないのよ。楽しい人たちは楽しめばいいの。それにわたしの宮も参加しているでしょう。もちろん勝てばわたしも嬉しいわ」
自分が芋掘りをする気はないが、参加はしているし、いいでしょうというスタンスらしい。
確かにフレアらしい考え方だった。
妾が知る限り、一番上の姉フレアは合理主義なだけで排他主義ではない。
少し、いやかなり拝金主義でもあり、皇族でありながら妾たち兄姉の中で唯一商売もしている。
王宮のお膝元、貴族街に立派な病院を持つ経営者なのじゃ。
本人も国立魔導学園で医師の資格を取っていた。
その姉が、妾をじっと見つめて首を傾げた。
「それで、バーミリオンはなぜここにいるの? いつもなら優勝のために畑で芋を掘っているはずでしょう」
それはそう。
妾は目を泳がせた。
だって、どう誤魔化したらいいのじゃ?
何も思いつかぬ。
あまりに突然出会ったので困惑しかない。
フレアはカウンターの向こうで本を読んでいたらしく、パタンと閉じると立ち上がった。
「あなたが読書家なのは知っているけれど、今ここにいるのは変よね?」
「むぐぐ」
「大事な芋掘り大会を抜け出してまで図書館に来る理由・・・・・・。何かしら?」
「むぐぐのぐ」
フレアがゆっくりと近づいてきて、言葉の出ない妾の前に来ると、唐突に指先で唇を摘んできた。
「にゃにをにゅるのにゃ」
「誤魔化そうとしてもダメよ。さあ、この頼れるお姉さんに話しなさい」
「むにゅにゅ」
口を摘まれたら話せないのじゃ。
目で訴えると、フレアはようやく指を離してくれた。
「誰にも言わないって約束してくれるかの?」
ヒリヒリする唇をそっと撫でながら訊ねる。
「いいわ。誰にも話さないと約束してあげる」
言質を取ったので、妾は観念して答えた。
「呪いの本を探しておったのじゃ」
「呪い? バーミリオンは誰かを呪いたいの?」
「違うのじゃ。妾の・・・・・・呪いを解くための、本を・・・・・・」
「ああ」
合点がいったとフレアが頷く。
「でもその呪いは解く方法が見つかっていなかったはずよ?」
「な、何か本を読めばわかるかもしれぬし」
「・・・・・・」
なぜかフレアは硬い表情で妾を見下ろしていた。
にこやかなタイプではないが、いつもより視線が冷たく感じる。
怒っているのとも違う。
空気がピリッとしておるような・・・・・・。
「そう。呪いを解くためにーーー」
一人で考え込んでいたフレアは、妾に背を向けると歩き出した。
「こっちよ、バーミリオン」
「え? は、はい」
思わず畏まってついて行く。
カウンターの裏にある鍵置き場から一本の鍵を取ると、フレアは妾を連れて図書館のメインホールの端にある螺旋階段を上り、三階のデッキを進み、ある本棚の前に立った。
「呪いの本ならここに幾つかあるわ。どうせ魔術の棚は見たのでしょう」
「うむ」
「呪いに関しての本は分類がバラバラなのよ。ここは歴史の本がある場所だけど、呪いは帝国の、ひいては大陸の歴史と深く関わりがあるの。あなたの呪いは皇帝にかけられた者でもあるから、歴史を遡ればわかることもあるでしょう」
「そ、そうかもしれぬな」
「でもあまり期待しない方がいいわ。今まであなたの呪いを解くためにたくさんの学者が調べたはずだから。新しいことが見つかるかどうかーーー」
妾はわかっていたので、それでも良いと答えた。
「そう。歴史の棚以外なら民俗学の棚も見てみることをお勧めするわ」
「ありがとうなのじゃ」
フレアはどうせ叱られるでしょうけど、と前置きしながらも、自分の宮の畑に戻る途中、侍女頭のセレスティに会って妾のことを話しておくと言って先に図書館を去って行った。
うまく説明して宥めておいてくれるらしい。
フレア姉じゃ、さっきは怖いと思って悪かったのじゃ。
教えてもらった棚の前に座り込み、次々と本を見ていく。
そして、小一時間経ち。
妾は疲れて冷たい床に寝転がってしまった。
「ない・・・・・・。ないのじゃ」
ろくな本がなかった。
確かに帝国の歴史には幾つか大きな呪いによる事件が起きていて、それについて細かく記述しているものもあったが、妾にかけられた呪いについては二、三行あるかないか。
さらに憂鬱なことに、今までの皇帝の九番目の子はみな総じて早死にしておった。
まあ、二人しかおらんかったけど・・・・・・。
「うわあ~ん! イヤなのじゃ~~! 早死になんて~!」
床にゴロゴロ転がって喚くしかない。
「しかも一人は処刑されておるぞ~!」
最&悪なのじゃ。
心が荒ぶのぅ。
やさぐれながらも出した本を一冊ずつ棚に戻していく。
本は大事に! なのじゃ。
がっくりしながら片付けて戻ろうと立ち上がる。
ずっと赤外線視を使っていたので眼が痛い。
螺旋階段を下りて一階のカウンターに鍵を戻すと、メインホールから廊下に出る。
窓からは夕暮れ時のオレンジの日差しが入り、床に妾の長い影が伸びていた。
ふと、何か物音が聞こえた。
小さな音で気のせいかとも思ったが、廊下の先に動くものがあった。
長い影がゆらゆらと不気味に動いている。
「フ、フレア姉じゃか?」
戻ってきたのかもしれないと声をかけたが、影は急にピタリと動きを止めた。
「・・・・・・」
セレスティかヤンヤンかミンミンが迎えに来てくれたのなら近づいてくるはずじゃ。
しかし影は去るでも近づくでもなく止まっている。
「だ、誰なのじゃ? わ、妾はバーミリオンじゃ。返事をせい!」
「・・・・・・バーミリオン?」
ようやく答えた声は男のものだった。
「そうじゃ。おぬしは誰じゃ!?」
「ぼくだよ。ひめ様」
ずっと先の廊下の曲がり角から姿を現したのは、フレアよりさらにいるはずのない人物だった。
誰もいないと思っていたし、人の気配も感じなかったからじゃ。
暗いとはいえ赤外線視も使っている。
相手の体温で姿が見えるはずじゃが、棚に隠れて気がつかなかったのかの?
「・・・・・・フレア姉じゃ。そ、其方こそなぜいるのじゃ? 今は芋掘りのはずーーー」
「ええ。そうなのよ、バーミリオン。でもね、わたし泥に塗れるのは好きじゃないの。それにあなたも知っていると思うけれど、わたしは利のないことをしたくないの。時間の無駄でしょう」
つまり、芋掘り大会に参加するのは無意味なことだということかの。
ちょっとショックなんじゃが・・・・・・。
「そんな顔をしないでちょうだい。バーミリオンや他の弟妹が楽しんでいる行事に水を差すつもりはないのよ。楽しい人たちは楽しめばいいの。それにわたしの宮も参加しているでしょう。もちろん勝てばわたしも嬉しいわ」
自分が芋掘りをする気はないが、参加はしているし、いいでしょうというスタンスらしい。
確かにフレアらしい考え方だった。
妾が知る限り、一番上の姉フレアは合理主義なだけで排他主義ではない。
少し、いやかなり拝金主義でもあり、皇族でありながら妾たち兄姉の中で唯一商売もしている。
王宮のお膝元、貴族街に立派な病院を持つ経営者なのじゃ。
本人も国立魔導学園で医師の資格を取っていた。
その姉が、妾をじっと見つめて首を傾げた。
「それで、バーミリオンはなぜここにいるの? いつもなら優勝のために畑で芋を掘っているはずでしょう」
それはそう。
妾は目を泳がせた。
だって、どう誤魔化したらいいのじゃ?
何も思いつかぬ。
あまりに突然出会ったので困惑しかない。
フレアはカウンターの向こうで本を読んでいたらしく、パタンと閉じると立ち上がった。
「あなたが読書家なのは知っているけれど、今ここにいるのは変よね?」
「むぐぐ」
「大事な芋掘り大会を抜け出してまで図書館に来る理由・・・・・・。何かしら?」
「むぐぐのぐ」
フレアがゆっくりと近づいてきて、言葉の出ない妾の前に来ると、唐突に指先で唇を摘んできた。
「にゃにをにゅるのにゃ」
「誤魔化そうとしてもダメよ。さあ、この頼れるお姉さんに話しなさい」
「むにゅにゅ」
口を摘まれたら話せないのじゃ。
目で訴えると、フレアはようやく指を離してくれた。
「誰にも言わないって約束してくれるかの?」
ヒリヒリする唇をそっと撫でながら訊ねる。
「いいわ。誰にも話さないと約束してあげる」
言質を取ったので、妾は観念して答えた。
「呪いの本を探しておったのじゃ」
「呪い? バーミリオンは誰かを呪いたいの?」
「違うのじゃ。妾の・・・・・・呪いを解くための、本を・・・・・・」
「ああ」
合点がいったとフレアが頷く。
「でもその呪いは解く方法が見つかっていなかったはずよ?」
「な、何か本を読めばわかるかもしれぬし」
「・・・・・・」
なぜかフレアは硬い表情で妾を見下ろしていた。
にこやかなタイプではないが、いつもより視線が冷たく感じる。
怒っているのとも違う。
空気がピリッとしておるような・・・・・・。
「そう。呪いを解くためにーーー」
一人で考え込んでいたフレアは、妾に背を向けると歩き出した。
「こっちよ、バーミリオン」
「え? は、はい」
思わず畏まってついて行く。
カウンターの裏にある鍵置き場から一本の鍵を取ると、フレアは妾を連れて図書館のメインホールの端にある螺旋階段を上り、三階のデッキを進み、ある本棚の前に立った。
「呪いの本ならここに幾つかあるわ。どうせ魔術の棚は見たのでしょう」
「うむ」
「呪いに関しての本は分類がバラバラなのよ。ここは歴史の本がある場所だけど、呪いは帝国の、ひいては大陸の歴史と深く関わりがあるの。あなたの呪いは皇帝にかけられた者でもあるから、歴史を遡ればわかることもあるでしょう」
「そ、そうかもしれぬな」
「でもあまり期待しない方がいいわ。今まであなたの呪いを解くためにたくさんの学者が調べたはずだから。新しいことが見つかるかどうかーーー」
妾はわかっていたので、それでも良いと答えた。
「そう。歴史の棚以外なら民俗学の棚も見てみることをお勧めするわ」
「ありがとうなのじゃ」
フレアはどうせ叱られるでしょうけど、と前置きしながらも、自分の宮の畑に戻る途中、侍女頭のセレスティに会って妾のことを話しておくと言って先に図書館を去って行った。
うまく説明して宥めておいてくれるらしい。
フレア姉じゃ、さっきは怖いと思って悪かったのじゃ。
教えてもらった棚の前に座り込み、次々と本を見ていく。
そして、小一時間経ち。
妾は疲れて冷たい床に寝転がってしまった。
「ない・・・・・・。ないのじゃ」
ろくな本がなかった。
確かに帝国の歴史には幾つか大きな呪いによる事件が起きていて、それについて細かく記述しているものもあったが、妾にかけられた呪いについては二、三行あるかないか。
さらに憂鬱なことに、今までの皇帝の九番目の子はみな総じて早死にしておった。
まあ、二人しかおらんかったけど・・・・・・。
「うわあ~ん! イヤなのじゃ~~! 早死になんて~!」
床にゴロゴロ転がって喚くしかない。
「しかも一人は処刑されておるぞ~!」
最&悪なのじゃ。
心が荒ぶのぅ。
やさぐれながらも出した本を一冊ずつ棚に戻していく。
本は大事に! なのじゃ。
がっくりしながら片付けて戻ろうと立ち上がる。
ずっと赤外線視を使っていたので眼が痛い。
螺旋階段を下りて一階のカウンターに鍵を戻すと、メインホールから廊下に出る。
窓からは夕暮れ時のオレンジの日差しが入り、床に妾の長い影が伸びていた。
ふと、何か物音が聞こえた。
小さな音で気のせいかとも思ったが、廊下の先に動くものがあった。
長い影がゆらゆらと不気味に動いている。
「フ、フレア姉じゃか?」
戻ってきたのかもしれないと声をかけたが、影は急にピタリと動きを止めた。
「・・・・・・」
セレスティかヤンヤンかミンミンが迎えに来てくれたのなら近づいてくるはずじゃ。
しかし影は去るでも近づくでもなく止まっている。
「だ、誰なのじゃ? わ、妾はバーミリオンじゃ。返事をせい!」
「・・・・・・バーミリオン?」
ようやく答えた声は男のものだった。
「そうじゃ。おぬしは誰じゃ!?」
「ぼくだよ。ひめ様」
ずっと先の廊下の曲がり角から姿を現したのは、フレアよりさらにいるはずのない人物だった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる