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33.魔法使いのビルさんを助けます
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「はぁ~、ロザリー…。どうしてもやるのだな。」
「はい、私のせいで苦しんでおられるのですもの。お力になりたいですわ。」
「分かった、必ず私が守ると約束する。」
「カー、カルロス様、ありがとうございます。」
「魔法使いの方々、私はロザリーの護衛に集中しても構いませんか?」
「もちろんです。あとは僕たちで十分です。血祭りにしてやります。」
「血祭り…。」
「失礼しました。ご令嬢の前で…血は出しません。」
「お気遣いありがとうございます。私は少しの血を見ても倒れる自信がありますので、できるだけ私の見えないところでお願いいたしますわ。吹っ飛んでいくのは平気ですので、お好きにどうぞ。」
私は筋肉が好きなくせに前世でも流血シーンは苦手だったのよね…。
「ふふふ、宰相殿、宰相殿の娘殿は頼もしいご令嬢ですな。」
「亡き妻に似てしまいまして、非常に正義感と行動力がありまして若干困っております。」
「お約束します。ご令嬢には指一本触らせません。」
「分かりました。娘のことはよろしくお願いします。陛下に報告してきますので、少々お待ちください。」
そう言って、お父様はお部屋を出て行かれたわ。
「そうだわ。とても美味しいアップルパイがあるんです。私たちはもう食べたのですが皆さんも食べませんか?カルロス様のお隣りの方もいかがですか?」
「ありがとうございます。ロザリー嬢お初にお目にかかります。近衛騎士団の副団長をしております。ロンと申します。」
「ご丁寧にありがとうございます。カルロス様の婚約者になりましたロザリーでございます。匂いの先生でございましたか…。」
「カルロス、お前!」
「・・・さぁ、みんなでいただこうか。」
あら?なにか失言でもしてしまったのかしら?それから魔法使いの方も一緒に皆さんが美味しそうに食べてくださったから嬉しかったわ。その時ガゼルが、
「先程魔法使い様がここから二キロ先と言われましたが方角はどちらの方でしょうか?北であれば林の中ですが、それ以外は公爵家のタウンハウスの可能性が高いのではないですか?」
「こちらの方向ですね。」
指差した方向を窓から見ると、
「クレアのタウンハウスの方じゃない…。クレアの家なら今日はお茶会をしている筈だもの。私も誘われていたけど急遽ここに連れて来られて行けなくなったから…。」
お父様が帰ってみえてそのことを伝えたわ。お父様は
「国王陛下の許可は出たが林の中だとばかり思っていた。さてどうしてものか。ロザリーを誘拐したいのだからたぶんクレア嬢のお茶会を狙ったので間違いないだろう。」
結局話し合いで、大勢ではどちらにしても目立つため、お父様は渋っていたけどカール様と魔法使いのお二人とロン様と私のたった五人で出発したの。
「ロンお前は必要ないだろうが、何故ついてきた。」
「宰相殿のご指示だ。文句あるか?」
「ない、ないが、断ることも出来たろう。」
「まぁな、でもお前はビンツに顔がばれているだろう?だから、俺が役に立つことがあるんじゃないかと思ってな。」
「そういうことか、流石宰相殿だな。」
「いや、そこは俺を褒めるところだろうが…。」
「カルロス様とロン様は本当に仲良しなのですね。羨ましいですわ。」
「そうですね。カルロスとは同期なのです。仲良くやらしてもらってます。こいつは見た目と違ってほんとに優しい奴ですからね。」
「私もそう思いますわ。こんなに優しい殿方は知りませんもの。」
カール様が真っ赤になっているわ。ちょっと可愛らしいかも。
「では作戦通りお願いします。まずは、私と、デルでロザリー嬢を連れて中に入ります。交換すると条件を出してビルを連れて来たところで魔法の笛を吹きますのでお二人にだけ聞こえますので中に入って来てください。私どもはとりあえず魔法で彼らの動きを止めておきますので。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
私と魔法使いのお二人は中に入っていったわ。そこらじゅうに護衛騎士様が倒れていてちょっと怖かったけど、大切な親友を助けなくっちゃ。
「どうやら彼らは二階にいるようですね。さぁ扉を開けますよ。ロザリー嬢覚悟はいいですか?」
私は大きく頷いたわ。
「これはこれは魔法使いの方からやってくるとはお前らも俺に使われたいのか?」
「何を言っている?ロザリー嬢を連れてきたからビルを返せ。」
「なんだって?本当だ、おい、誰かビルを連れてこい。ロザリーさえ手に入ればビルなどくれてやるわ。」
「そこのご令嬢たち四人も放すんだ!」
「俺に命令するな。」
「そうか、ではロザリー嬢は殺してやる。」
「待て待て、分かった令嬢も解放するから殺すな。魔法使いが冷酷という噂は本当なんだな…」
「ビルを連れてきましたよ。」
「早く、ロザリーをこちらに渡せ。」
その瞬間、破落戸たちが魔法で動けなくなったようで騒ぎ出したわ。
「ちきしょー、体が動かねー。」
それなのにビンツだけは普通に動けて、
「汚い真似をするとビルを殺すぞ。」
ビルさんの首にナイフを突きつけたの。ただでさえビルさんはぐったりしているのに、
「止めて、私が今からそちらに行くわ。破落戸はなにをするか分からないから魔法で動けなくなっているけど許してあげて。」
「最初からそうすればいいんだよ。ほら、ビルをやるよ。」
「さぁ、ロザリーこの間の続きをしようぜ。この間は猛獣に邪魔されたからな。」
「ひっ!」
その時、後ろからビンツの頭めがけてガツン、ガツンと二回何かが振り降ろされてビンツは見事に倒れてしまったわ。私が振り向くとクレアたちご令嬢が倒れていた護衛騎士様の警棒を二人がかりで振り回して倒してくれたみたい。まぁ、なんて勇敢なのかしら…。私が感動していると、
アルさんが、
「気絶しているだけです。すぐに目を覚ましますよ。早く逃げてください。」
と叫んだわ。たしかにもう意識が戻りそう。そうだわ。今が飛び降りる時よ。私は窓を開けて下にいるカール様に叫んだわ。
「カール様、ビンツには魔法が効かなかったのです。今から私は飛び降ります。受け止めてくださいますか?」
「もちろんだ、私を信じて飛び降りるんだ。」
「ご令嬢の皆様、私が今から見本を見せますので逃げますよ。」
ご令嬢の方々はもの凄く呆けた顔をして見えたけど私は気にせず飛び降りたわ。
「はい、私のせいで苦しんでおられるのですもの。お力になりたいですわ。」
「分かった、必ず私が守ると約束する。」
「カー、カルロス様、ありがとうございます。」
「魔法使いの方々、私はロザリーの護衛に集中しても構いませんか?」
「もちろんです。あとは僕たちで十分です。血祭りにしてやります。」
「血祭り…。」
「失礼しました。ご令嬢の前で…血は出しません。」
「お気遣いありがとうございます。私は少しの血を見ても倒れる自信がありますので、できるだけ私の見えないところでお願いいたしますわ。吹っ飛んでいくのは平気ですので、お好きにどうぞ。」
私は筋肉が好きなくせに前世でも流血シーンは苦手だったのよね…。
「ふふふ、宰相殿、宰相殿の娘殿は頼もしいご令嬢ですな。」
「亡き妻に似てしまいまして、非常に正義感と行動力がありまして若干困っております。」
「お約束します。ご令嬢には指一本触らせません。」
「分かりました。娘のことはよろしくお願いします。陛下に報告してきますので、少々お待ちください。」
そう言って、お父様はお部屋を出て行かれたわ。
「そうだわ。とても美味しいアップルパイがあるんです。私たちはもう食べたのですが皆さんも食べませんか?カルロス様のお隣りの方もいかがですか?」
「ありがとうございます。ロザリー嬢お初にお目にかかります。近衛騎士団の副団長をしております。ロンと申します。」
「ご丁寧にありがとうございます。カルロス様の婚約者になりましたロザリーでございます。匂いの先生でございましたか…。」
「カルロス、お前!」
「・・・さぁ、みんなでいただこうか。」
あら?なにか失言でもしてしまったのかしら?それから魔法使いの方も一緒に皆さんが美味しそうに食べてくださったから嬉しかったわ。その時ガゼルが、
「先程魔法使い様がここから二キロ先と言われましたが方角はどちらの方でしょうか?北であれば林の中ですが、それ以外は公爵家のタウンハウスの可能性が高いのではないですか?」
「こちらの方向ですね。」
指差した方向を窓から見ると、
「クレアのタウンハウスの方じゃない…。クレアの家なら今日はお茶会をしている筈だもの。私も誘われていたけど急遽ここに連れて来られて行けなくなったから…。」
お父様が帰ってみえてそのことを伝えたわ。お父様は
「国王陛下の許可は出たが林の中だとばかり思っていた。さてどうしてものか。ロザリーを誘拐したいのだからたぶんクレア嬢のお茶会を狙ったので間違いないだろう。」
結局話し合いで、大勢ではどちらにしても目立つため、お父様は渋っていたけどカール様と魔法使いのお二人とロン様と私のたった五人で出発したの。
「ロンお前は必要ないだろうが、何故ついてきた。」
「宰相殿のご指示だ。文句あるか?」
「ない、ないが、断ることも出来たろう。」
「まぁな、でもお前はビンツに顔がばれているだろう?だから、俺が役に立つことがあるんじゃないかと思ってな。」
「そういうことか、流石宰相殿だな。」
「いや、そこは俺を褒めるところだろうが…。」
「カルロス様とロン様は本当に仲良しなのですね。羨ましいですわ。」
「そうですね。カルロスとは同期なのです。仲良くやらしてもらってます。こいつは見た目と違ってほんとに優しい奴ですからね。」
「私もそう思いますわ。こんなに優しい殿方は知りませんもの。」
カール様が真っ赤になっているわ。ちょっと可愛らしいかも。
「では作戦通りお願いします。まずは、私と、デルでロザリー嬢を連れて中に入ります。交換すると条件を出してビルを連れて来たところで魔法の笛を吹きますのでお二人にだけ聞こえますので中に入って来てください。私どもはとりあえず魔法で彼らの動きを止めておきますので。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
私と魔法使いのお二人は中に入っていったわ。そこらじゅうに護衛騎士様が倒れていてちょっと怖かったけど、大切な親友を助けなくっちゃ。
「どうやら彼らは二階にいるようですね。さぁ扉を開けますよ。ロザリー嬢覚悟はいいですか?」
私は大きく頷いたわ。
「これはこれは魔法使いの方からやってくるとはお前らも俺に使われたいのか?」
「何を言っている?ロザリー嬢を連れてきたからビルを返せ。」
「なんだって?本当だ、おい、誰かビルを連れてこい。ロザリーさえ手に入ればビルなどくれてやるわ。」
「そこのご令嬢たち四人も放すんだ!」
「俺に命令するな。」
「そうか、ではロザリー嬢は殺してやる。」
「待て待て、分かった令嬢も解放するから殺すな。魔法使いが冷酷という噂は本当なんだな…」
「ビルを連れてきましたよ。」
「早く、ロザリーをこちらに渡せ。」
その瞬間、破落戸たちが魔法で動けなくなったようで騒ぎ出したわ。
「ちきしょー、体が動かねー。」
それなのにビンツだけは普通に動けて、
「汚い真似をするとビルを殺すぞ。」
ビルさんの首にナイフを突きつけたの。ただでさえビルさんはぐったりしているのに、
「止めて、私が今からそちらに行くわ。破落戸はなにをするか分からないから魔法で動けなくなっているけど許してあげて。」
「最初からそうすればいいんだよ。ほら、ビルをやるよ。」
「さぁ、ロザリーこの間の続きをしようぜ。この間は猛獣に邪魔されたからな。」
「ひっ!」
その時、後ろからビンツの頭めがけてガツン、ガツンと二回何かが振り降ろされてビンツは見事に倒れてしまったわ。私が振り向くとクレアたちご令嬢が倒れていた護衛騎士様の警棒を二人がかりで振り回して倒してくれたみたい。まぁ、なんて勇敢なのかしら…。私が感動していると、
アルさんが、
「気絶しているだけです。すぐに目を覚ましますよ。早く逃げてください。」
と叫んだわ。たしかにもう意識が戻りそう。そうだわ。今が飛び降りる時よ。私は窓を開けて下にいるカール様に叫んだわ。
「カール様、ビンツには魔法が効かなかったのです。今から私は飛び降ります。受け止めてくださいますか?」
「もちろんだ、私を信じて飛び降りるんだ。」
「ご令嬢の皆様、私が今から見本を見せますので逃げますよ。」
ご令嬢の方々はもの凄く呆けた顔をして見えたけど私は気にせず飛び降りたわ。
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