25 / 41
25.クッキーのいい匂いで目を覚ましました
しおりを挟む
「美味しそうな匂いだわ…。」
私は美味しそうな匂いで目を覚ましたの。
「いま起こそうと思っていたんだが、目が覚めたようだね。クッキーを焼いてみたんだ。一つ食べるかい?」
「カール様のクッキー、食べたいですわ。」
「アーモンドの粉末をたっぷり入れたクッキーだよ。」
「美味しい…。」
「ロザリーどうしたんだい?どこか痛いのか?」
「幸せ過ぎて、勝手に涙が出てきてしまいましたわ。どうしましょう。止まりません。」
「ここには誰もいないから安心して泣くといい。きっと気が張り詰めていたんだろう。最近色々とあり過ぎたからね。」
カール様は優しく私を抱きしめてくださったの。カール様の匂いだわ。ホットする…大好き。
「ロザリー、愛している。こんな体躯の私を好ましいと言ってくれた。私の好きな食べ物も喜んでくれた。趣味の菓子作りもこんなに喜んでくれて、こんなに嬉しい日々がくるなんて…。もちろん麗しい容姿も素敵だが、なによりあなたの心が美しい。」
「カール様、も、もう十分です。カール様も同じですわ。見た目はもちろん素敵ですが、普段から私の歩幅に合わせて歩いてくださる優しさや小さなものや弱いものを大切にする優しさを知って、ますます大好きになりました。」
「ロザリー、ありがとう。私の内面も見てくれるのはロザリーだけだよ。私はどこかでこの体躯のせいで本当に自分が好きなものや、やりたいことを諦めていたんだ。自分には似合わないと思ってね。ロザリーのおかげでありのままで良いのだと思えるようになったよ。ロザリーありがとう。」
カール様に強めに抱きしめられて、
「カール様、ちょっと力が強いですわ、息が…。」
「すまない、つい力が入りすぎてしまった。」
「だ、大丈夫ですわ。それより皆様のところに戻りましょう。」
「いや、私はもう少しこうしていたいんだが、誰か来たようだね。」
カール様は耳もいいのね。少ししてドアをノックする音がして、カール様のおばあ様が紅茶を入れてきてくださったわ。
「クッキーに合う紅茶を入れてきたから飲まない?」
「ありがとうございます。ダージリンティー…美味しい。」
「落ち着く紅茶と悩んだのよ、気に入ってもらえたようで良かったわ。」
「とてもすっきりしているので、クッキーが進みますね。」
「あとでロザリーちゃん、少しだけ私の部屋に来てくれないかしら?実は私もロザリーちゃんと同じような趣味をもっているの…。」
「ああ、刺繍ですか?」
「えっ?そちらも好きだけど、それではなくて…。来てくれたら分かるわ。」
「分かりました。このクッキーと紅茶をいただいたら伺いますね。」
「ありがとう。待っているわ。」
カール様のおばあ様は嬉しそうに出て行かれたけど、
「はぁ~、困ったな。」
「どうされたのですか?」
「いや、祖母の趣味はたしかに、ロザリーと同じだとは思うのだが、少し行き過ぎているというか、びっくりしないでもらえるとありがたい。」
「分かりましたわ。人の趣味は様々ですものね。ところでどんなご趣味をお持ちなのですか?」
「それがだな、趣味というのかは分からないが、祖母も私のような体躯の男が好きなのだ。祖父の容姿は私にそっくりなんだよ。」
「まぁ、それは素敵なご趣味ですわ。」
「でも、祖父のことが好きすぎてだな、いまだに近衛騎士団の服やら、礼装やら、飾ってあるのだ。それも祖父そっくりの人形が着ている…。」
「ひっ!」
「だから、私も祖母の部屋は少し苦手なんだよ。いまでは私が沢山いるようでね。」
「たしかに、それは怖いかも知れませんね。」
「きっとおばあ様は本当に寂しかったのでしょうね。」
「ロザリーは優しいね。そう言ってもらえるとありがたいよ。家族の者もそう思っているから強く言えないんだよ。それに、ロザリーのことを話した時には本当に嬉しそうに話がしたいと言っていたからね。あんなに生き生きした祖母は初めて見たよ。」
「そうだったのですね。それはなんとなく分かる気がします。残念ですが、どの方にお話ししても筋肉に関してはいい反応は返ってきませんから。」
「そうだろうね。まぁそういうことだから、驚かないでもらえるとありがたい。もともと祖母は国王陛下の叔母にあたるんだ。ただ、若い頃は病弱でほとんど社交の場に出なかったらしい。そこで前国王の護衛をしていた祖父を見初めたと聞いている。」
「まぁ、なんて素敵なお話でしょう。いまは丈夫になられたのですね。」
「祖父と過ごすうちに自然と体力もついてきたと言っていたよ。」
「愛の力ですね。」
「そうかもしれないね。少しづつ、外に出られるようになり、初デートでは先程のシロツメクサの生えていた草原に行ったそうだよ。そのシロツメクサを一株取ってきて増やしたのがあの温室なんだよ。」
「まぁ、なんてロマンチックなお話でしょう。」
「だろう?でも周囲からは私と同じであの猛獣がと笑われていたらしい…。」
「許せませんわ。そのギャップがいいのではないですか。どうして分からないのかしら?」
「ギャップ?それでも祖父は恥ずかしがらずに堂々と、クッキーを作ったり、花を生けたりしていたらしい。それも王宮でね。私よりよっぽど男らしいよ。」
「カール様の器用なところはおじい様譲りなのですね。」
「そのようだ。そろそろ、祖母の部屋に行こうか?きっと、今か今かと待っているよ。」
「そうでした、あまりお待たせしてはいけませんね。すぐに伺います。私も楽しみになってきましたわ。」
私とカール様は急いでおばあ様の部屋に向かったの。
私は美味しそうな匂いで目を覚ましたの。
「いま起こそうと思っていたんだが、目が覚めたようだね。クッキーを焼いてみたんだ。一つ食べるかい?」
「カール様のクッキー、食べたいですわ。」
「アーモンドの粉末をたっぷり入れたクッキーだよ。」
「美味しい…。」
「ロザリーどうしたんだい?どこか痛いのか?」
「幸せ過ぎて、勝手に涙が出てきてしまいましたわ。どうしましょう。止まりません。」
「ここには誰もいないから安心して泣くといい。きっと気が張り詰めていたんだろう。最近色々とあり過ぎたからね。」
カール様は優しく私を抱きしめてくださったの。カール様の匂いだわ。ホットする…大好き。
「ロザリー、愛している。こんな体躯の私を好ましいと言ってくれた。私の好きな食べ物も喜んでくれた。趣味の菓子作りもこんなに喜んでくれて、こんなに嬉しい日々がくるなんて…。もちろん麗しい容姿も素敵だが、なによりあなたの心が美しい。」
「カール様、も、もう十分です。カール様も同じですわ。見た目はもちろん素敵ですが、普段から私の歩幅に合わせて歩いてくださる優しさや小さなものや弱いものを大切にする優しさを知って、ますます大好きになりました。」
「ロザリー、ありがとう。私の内面も見てくれるのはロザリーだけだよ。私はどこかでこの体躯のせいで本当に自分が好きなものや、やりたいことを諦めていたんだ。自分には似合わないと思ってね。ロザリーのおかげでありのままで良いのだと思えるようになったよ。ロザリーありがとう。」
カール様に強めに抱きしめられて、
「カール様、ちょっと力が強いですわ、息が…。」
「すまない、つい力が入りすぎてしまった。」
「だ、大丈夫ですわ。それより皆様のところに戻りましょう。」
「いや、私はもう少しこうしていたいんだが、誰か来たようだね。」
カール様は耳もいいのね。少ししてドアをノックする音がして、カール様のおばあ様が紅茶を入れてきてくださったわ。
「クッキーに合う紅茶を入れてきたから飲まない?」
「ありがとうございます。ダージリンティー…美味しい。」
「落ち着く紅茶と悩んだのよ、気に入ってもらえたようで良かったわ。」
「とてもすっきりしているので、クッキーが進みますね。」
「あとでロザリーちゃん、少しだけ私の部屋に来てくれないかしら?実は私もロザリーちゃんと同じような趣味をもっているの…。」
「ああ、刺繍ですか?」
「えっ?そちらも好きだけど、それではなくて…。来てくれたら分かるわ。」
「分かりました。このクッキーと紅茶をいただいたら伺いますね。」
「ありがとう。待っているわ。」
カール様のおばあ様は嬉しそうに出て行かれたけど、
「はぁ~、困ったな。」
「どうされたのですか?」
「いや、祖母の趣味はたしかに、ロザリーと同じだとは思うのだが、少し行き過ぎているというか、びっくりしないでもらえるとありがたい。」
「分かりましたわ。人の趣味は様々ですものね。ところでどんなご趣味をお持ちなのですか?」
「それがだな、趣味というのかは分からないが、祖母も私のような体躯の男が好きなのだ。祖父の容姿は私にそっくりなんだよ。」
「まぁ、それは素敵なご趣味ですわ。」
「でも、祖父のことが好きすぎてだな、いまだに近衛騎士団の服やら、礼装やら、飾ってあるのだ。それも祖父そっくりの人形が着ている…。」
「ひっ!」
「だから、私も祖母の部屋は少し苦手なんだよ。いまでは私が沢山いるようでね。」
「たしかに、それは怖いかも知れませんね。」
「きっとおばあ様は本当に寂しかったのでしょうね。」
「ロザリーは優しいね。そう言ってもらえるとありがたいよ。家族の者もそう思っているから強く言えないんだよ。それに、ロザリーのことを話した時には本当に嬉しそうに話がしたいと言っていたからね。あんなに生き生きした祖母は初めて見たよ。」
「そうだったのですね。それはなんとなく分かる気がします。残念ですが、どの方にお話ししても筋肉に関してはいい反応は返ってきませんから。」
「そうだろうね。まぁそういうことだから、驚かないでもらえるとありがたい。もともと祖母は国王陛下の叔母にあたるんだ。ただ、若い頃は病弱でほとんど社交の場に出なかったらしい。そこで前国王の護衛をしていた祖父を見初めたと聞いている。」
「まぁ、なんて素敵なお話でしょう。いまは丈夫になられたのですね。」
「祖父と過ごすうちに自然と体力もついてきたと言っていたよ。」
「愛の力ですね。」
「そうかもしれないね。少しづつ、外に出られるようになり、初デートでは先程のシロツメクサの生えていた草原に行ったそうだよ。そのシロツメクサを一株取ってきて増やしたのがあの温室なんだよ。」
「まぁ、なんてロマンチックなお話でしょう。」
「だろう?でも周囲からは私と同じであの猛獣がと笑われていたらしい…。」
「許せませんわ。そのギャップがいいのではないですか。どうして分からないのかしら?」
「ギャップ?それでも祖父は恥ずかしがらずに堂々と、クッキーを作ったり、花を生けたりしていたらしい。それも王宮でね。私よりよっぽど男らしいよ。」
「カール様の器用なところはおじい様譲りなのですね。」
「そのようだ。そろそろ、祖母の部屋に行こうか?きっと、今か今かと待っているよ。」
「そうでした、あまりお待たせしてはいけませんね。すぐに伺います。私も楽しみになってきましたわ。」
私とカール様は急いでおばあ様の部屋に向かったの。
0
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?
処刑された人質王女は、自分を殺した国に転生して家族に溺愛される
葵 すみれ
恋愛
人質として嫁がされ、故国が裏切ったことによって処刑された王女ニーナ。
彼女は転生して、今は国王となった、かつての婚約者コーネリアスの娘ロゼッタとなる。
ところが、ロゼッタは側妃の娘で、母は父に相手にされていない。
父の気を引くこともできない役立たずと、ロゼッタは実の母に虐待されている。
あるとき、母から解放されるものの、前世で冷たかったコーネリアスが父なのだ。
この先もずっと自分は愛されないのだと絶望するロゼッタだったが、何故か父も腹違いの兄も溺愛してくる。
さらには正妃からも可愛がられ、やがて前世の真実を知ることになる。
そしてロゼッタは、自分が家族の架け橋となることを決意して──。
愛を求めた少女が愛を得て、やがて愛することを知る物語。
※小説家になろうにも掲載しています
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる