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15.カルロス様はやっぱり素敵です

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船はボロボロになりながらも本当に近くまで来ていたわ。

「ロザリー嬢なんで出てきた!出てきてはだめだ。中に入れ。」
カルロス様が怖い、本気で怒っているわ。でも後悔したくないんですもの。
「カルロス様が大好きだからですわ。カルロス様、これを船に向かって投げて下さい。皆さんはこれを沢山作ってください。」
カルロス様は一瞬目を見開き、薄っすらと目に涙を浮かべて老夫婦から火のついた棒をもらうと思いっきり船に向かって投げてくださったわ。
「よし当たったぞ。誰か他にも投げれる者はいないのか?」
偉そうに言ってるこの人は誰?そう思ったけどいまは時間がないので無視をして…だってどう考えてもカルロス様以外無理でしょう。あの筋肉だから成せる技だわ。
「そこへお父様が戻って見えて、第一騎士団長、さっさと槍を作れ、投げるのはカルロス君にしかできないだろう。カルロス君、頼んだぞ。」

カルロス様は頷いて、すべての槍を見事に船まで投げ入れてくださったわ。船が燃え始めて、流石に敵も焦って海に逃げ込む者が沢山見えるわ。でもこの距離だと泳いでこちらに来てしまうんじゃないかしら?そう思っているとカルロス様が、
「やっと俺たちの得意な戦いに持ち込めるぞ。さぁ弓が得意な者は前にこい。剣が得意な者は弓を掻い潜って来たものを斬り殺せ。一人としてこの砦を通すな。」
「「「「おー!!!」」」」
それから私は突然カルロス様にお姫様抱っこされてまた城の中へ…。
「大勢の前で告白してくれてありがとう。愛しているロザリー。」
「えっ!」
私は自分がやったことを今頃理解して真っ赤になってしまったわ。でもそれよりもカルロス様が私のことをロザリーって呼んでくださったことが嬉しくて…。
「カルロス様、これからもロザリーとお呼びくださいね。」
「分かった。二人の時はそう呼ぼう。私のこともカールと読んでくれ。」
「はい、カール様…。」
こんな時に不謹慎なのは分かっていたけどカルロス様をカールと呼べたご褒美と言わんばかりに、優しく微笑んで唇に優しくキスをしてくれたわ。前世も含めて私にとってはファーストキス…。私は腰が抜けてしまい、それからは戦いのお邪魔にならないようにちゃんと城の中で待っていたわ。

しばらくすると皆さんの歓喜の声が聞こえてきたの。勝ったのね本当に良かったわ。そんなことを思っているとお父様が入って来て、
「ロザリーおいで、みんなが待っているよ。」
と言われたの。意味がわからなかったけどお父様と城の外に出ると、
「麗しの女神ロザリー嬢、バンザイ!」って誰かが言って、みんなに繰り返し言われたわ。私は恥ずかしくてお父様の後ろに隠れてしまったの。そうしたら皆さんに笑われてしまったわ。でも恥ずかしいんですもの。前世も含めて人前に立ったことなんてないもの。お父様にぼそっと助けてくださいって伝えたわ。お父様は嬉しそうに頷いて、
「みんなよくやってくれた。私のロザリーは普段人前に出ない。とても恥ずかしがり屋なんだ。だからもう勘弁してやってくれ。」
「「「ロザリー嬢ありがとうございます。」」」
皆さんが口々にお礼を言ってくださって、私は嬉しくて泣いてしまったわ。それでも頑張って
「こちらこそ、この国を、守ってくださりありがとうございました。」
と言って、城の中にお父様と入っていったの。カルロス様はとても忙しそうに指示を出して見えて素敵だったわ。

私はまたお料理を手伝おうと思ったのだけど、やったこともない馬での移動など動き詰めで疲れたのか急にめまいがしてきて、
「お父様、どうしましょう。くらくらしてきましたわ。」
「疲れたんだね。ゆっくり休みなさい。」
お父様に抱っこされて、私はベッドに運ばれたの。
「ロザリー、大変だ、熱があるじゃないか!」
「えっ、気が付きませんでした。」
「そんなところまでマリアに似てしまって。」
「お父様が横にいてあげるから安心して寝なさい。」
「はい、お父様。絶対にそばにいてくださいね。一人は嫌です。」
「分かっているよ。ロザリーが寂しがり屋なのはお父様が一番分かっているから安心しなさい。」
「お父様大好きです。おやすみなさい。」
私はお母様が亡くなってから誰かがそばにいないと怖くて寝れなくなってしまったの。寝ているうちに誘拐されてしまう気がして、いつもはエマが寝るまで手を握っていてくれるのだけどお父様にそこまでは言えないから我慢して寝たわ。

でも起きたら、ベッドの横に居たのはお父様ではなくて、カール様でびっくりしたわ。私はあのまま次の日の昼過ぎまで眠ってしまい、熱はすっかり下がったのだけど、お父様は国王陛下にすぐに報告しないといけないし、王都を何日も空けられないから仕方なくあとはカルロス様に任すと言って帰られたのだとか。寝顔を見られちゃったはよね。どうしましょう、とても恥ずかしいわ。




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