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14.スタミナをつけて戦っていただきます
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皆様が頑張って作ってくださっている間に、私はお料理のお手伝いをしていたわ。前世では自炊はそれなりにしていたから、野菜を切ることくらいはできるもの。もちろん、エマに少しだけならお菓子作りも習ったのよ。ただそちらは苦手というかセンスがないの。ということで豚汁を作ってみることにしたわ。ありがたいことに、この国にもミソスープなるものはあるの。それは薄い本当にスープなので、そこに具材を沢山入れておかずにしてみたわ。皆さんが気にいってくださるといいのだけど…。腹が減っては戦は出来ぬだったかしら?スタミナは大事よね。
「お父様、ちょっと味見をしていただけますか?」
「これは、ロザリーが作ったのかい?」
「作ったと言っても、具材を沢山入れただけですよ。あとはスープを濃くしてもらいました。」
「これは美味しい。お世辞じゃないよ。」
「そうですか。それは良かったです。では、沢山作ったので皆さんをお呼びください。」
お父様は騎士様たちを呼んで皆さんに食べさせてくださったわ。こうして遠目に見ていても皆さんはそれなりに力は強そうなのにどうして筋肉があまりないのかしら?やはりあんなに素敵な体躯の持ち主はカルロス様だけね。私がうっとりと自分の世界に入っているといつの間にか私のそばにはカルロス様がみえて、
「ロザリー嬢、このスープはとても美味しいね。それにロザリー嬢がこんなにも博識とは知らなかったよ。私のような剣術馬鹿では釣り合わないのではと心配になってきたくらいだ。」
「なにをおしゃられているんですか?私はカルロス様のお力になりたくて知恵を絞り出したんです。私は小さい頃からお父様の書斎で待つことが多かったので色々な書物に目を通す機会があっただけですわ。普段はこんなに私の頭は働いてくれませんわ。それに結局カルロス様しかあの大きな石は飛ばせないではないですか。こんなにカッコいい方はカルロス様だけですわ。皆さん力はあるのにひょろりとされて残念ですね。今度お時間があれば私はお菓子作りが苦手なのでカルロス様にコツを教えていただけたら嬉しいですわ。」
「そ、そうか。もちろん喜んで教えるよ。そのためにもまずはパシュー国の船を沈めないといけないな。」
「そうですわね。」
そんなことを話していたら見張りの方から
「すでに敵国の船が見えます。」
と、報告がきたわ。早くても日が沈んでから来るか数日準備をしてから来るものと思っていたけどあちらは余程、こちらは何も出来ないと高をくくっているようですわね。これはチャンスだわ。カルロス様が
「この川の幅は一番広いところでニ百メートルある。だから川の半分までは必ず待つんだ。丁度あの岩の辺りが目安だぞ。あそこに到達したら一気に撃つからみんな準備してくれ。」
「ロザリー嬢はみんなを信じて城の中で待っていて欲しい。」
「分かりましたわ。必ずご無事でお戻りくださいね。」
「ああ、約束する。」
どうしましょう、涙が出てしまいそうだわ…。
「許してくれ…。」
「えっ。」
カルロス様に抱きしめられて、カルロス様の唇が私のおでこに…。
「無事に帰ってきたらご褒美をおくれ。」
そう微笑んで、カルロス様は城の外に行ってしまったわ。私はしばらく放心状態で動けなかったの。お父様も外で指揮を取っていらっしゃるし、私のそばには先程一緒にお料理をした老夫婦の方のみでとても心細いわ。老夫婦の方もこんな戦争は始めてだと言ってみえたし、そもそも三百年戦争はなかったのだから誰も知らなくて当たり前よね…。外から大きな音が聞こえてきたわ。ついに砲撃が始まったみたい。幾つも幾つも石が遠くでなにかに当たる音が聞こえるわ。たぶん作戦は成功しているはず、問題は船がちゃんと沈んでくれるかよね。結構頑丈な船だったらどうしましょう。なかなか沈んでくれないみたいね…。もうすぐ五十メートル圏内に入ってしまわないかしら?砲弾が飛んできたら大変だわ。心配しているとそこへお父様が見えて、
「ロザリー地下に逃げるんだ。」
「計画は失敗したのですか?」
「失敗はしていない。いまはゴムの方でかなり当たっているし船はボロボロだ。それでもまだ沈まないんだ。もうすぐ五十メートル圏内に入ってしまうんだ。」
「お父様、槍の先端に布を巻き付けて、灯油を染み込ませ、火をつけて投げてはどうでしょうか?」
「それはいい考えだ。」
「料理を一緒にしてくださったお二方申し訳ないんですが、急いで布と灯油を用意できますか?」
「お嬢様の話を聞いてすぐに主人が走って行ったからたぶんすぐに持ってくるよ。ほら来た。」「ありがとうございます。」
「槍はないから木の棒だ。」
「十分です。カルロス様ならきっと軽々と投げてくださいますわ。お父様行きますよ。」
「ロザリー勝手に出てはだめだ。」
「お母様なら絶対に行くはずですわ。」
私はトドメの言葉をお父様に言って老夫婦と一緒に外に出たの。
「お父様、ちょっと味見をしていただけますか?」
「これは、ロザリーが作ったのかい?」
「作ったと言っても、具材を沢山入れただけですよ。あとはスープを濃くしてもらいました。」
「これは美味しい。お世辞じゃないよ。」
「そうですか。それは良かったです。では、沢山作ったので皆さんをお呼びください。」
お父様は騎士様たちを呼んで皆さんに食べさせてくださったわ。こうして遠目に見ていても皆さんはそれなりに力は強そうなのにどうして筋肉があまりないのかしら?やはりあんなに素敵な体躯の持ち主はカルロス様だけね。私がうっとりと自分の世界に入っているといつの間にか私のそばにはカルロス様がみえて、
「ロザリー嬢、このスープはとても美味しいね。それにロザリー嬢がこんなにも博識とは知らなかったよ。私のような剣術馬鹿では釣り合わないのではと心配になってきたくらいだ。」
「なにをおしゃられているんですか?私はカルロス様のお力になりたくて知恵を絞り出したんです。私は小さい頃からお父様の書斎で待つことが多かったので色々な書物に目を通す機会があっただけですわ。普段はこんなに私の頭は働いてくれませんわ。それに結局カルロス様しかあの大きな石は飛ばせないではないですか。こんなにカッコいい方はカルロス様だけですわ。皆さん力はあるのにひょろりとされて残念ですね。今度お時間があれば私はお菓子作りが苦手なのでカルロス様にコツを教えていただけたら嬉しいですわ。」
「そ、そうか。もちろん喜んで教えるよ。そのためにもまずはパシュー国の船を沈めないといけないな。」
「そうですわね。」
そんなことを話していたら見張りの方から
「すでに敵国の船が見えます。」
と、報告がきたわ。早くても日が沈んでから来るか数日準備をしてから来るものと思っていたけどあちらは余程、こちらは何も出来ないと高をくくっているようですわね。これはチャンスだわ。カルロス様が
「この川の幅は一番広いところでニ百メートルある。だから川の半分までは必ず待つんだ。丁度あの岩の辺りが目安だぞ。あそこに到達したら一気に撃つからみんな準備してくれ。」
「ロザリー嬢はみんなを信じて城の中で待っていて欲しい。」
「分かりましたわ。必ずご無事でお戻りくださいね。」
「ああ、約束する。」
どうしましょう、涙が出てしまいそうだわ…。
「許してくれ…。」
「えっ。」
カルロス様に抱きしめられて、カルロス様の唇が私のおでこに…。
「無事に帰ってきたらご褒美をおくれ。」
そう微笑んで、カルロス様は城の外に行ってしまったわ。私はしばらく放心状態で動けなかったの。お父様も外で指揮を取っていらっしゃるし、私のそばには先程一緒にお料理をした老夫婦の方のみでとても心細いわ。老夫婦の方もこんな戦争は始めてだと言ってみえたし、そもそも三百年戦争はなかったのだから誰も知らなくて当たり前よね…。外から大きな音が聞こえてきたわ。ついに砲撃が始まったみたい。幾つも幾つも石が遠くでなにかに当たる音が聞こえるわ。たぶん作戦は成功しているはず、問題は船がちゃんと沈んでくれるかよね。結構頑丈な船だったらどうしましょう。なかなか沈んでくれないみたいね…。もうすぐ五十メートル圏内に入ってしまわないかしら?砲弾が飛んできたら大変だわ。心配しているとそこへお父様が見えて、
「ロザリー地下に逃げるんだ。」
「計画は失敗したのですか?」
「失敗はしていない。いまはゴムの方でかなり当たっているし船はボロボロだ。それでもまだ沈まないんだ。もうすぐ五十メートル圏内に入ってしまうんだ。」
「お父様、槍の先端に布を巻き付けて、灯油を染み込ませ、火をつけて投げてはどうでしょうか?」
「それはいい考えだ。」
「料理を一緒にしてくださったお二方申し訳ないんですが、急いで布と灯油を用意できますか?」
「お嬢様の話を聞いてすぐに主人が走って行ったからたぶんすぐに持ってくるよ。ほら来た。」「ありがとうございます。」
「槍はないから木の棒だ。」
「十分です。カルロス様ならきっと軽々と投げてくださいますわ。お父様行きますよ。」
「ロザリー勝手に出てはだめだ。」
「お母様なら絶対に行くはずですわ。」
私はトドメの言葉をお父様に言って老夫婦と一緒に外に出たの。
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