122 / 123
122.悲しみと怒りの結末は
しおりを挟む
アーサーがネクスさんに付けられていた首輪を外してあげて、いつの間にか現れたお兄様がその首輪になにか魔道具を付けているわ。それをアーサーが隣で気絶しているサーシャの首につけたわ。相変わらず見事なコンビプレーね。ブロッサがネクスさんのところに駆け寄って光魔法をかけてくれているから、私もルーサ様に光魔法を、そう思って立ち上がろうとしたのだけれど、やりすぎちゃったかな…。私はふらついて、アーサーが支えてくれたの。
「アーサー、ありがとう。」
「愛しているよ。僕の女神。」
「うっ!」
アーサーが、みんなの前で私にキスをして、魔力を流してくれたわ。私は恥ずかしくって離れたかったけど体に力が入らなかったからしばらく動けなくて、たぶんゆでダコみたいに真っ赤になっていたと思うわ。だってルドが、
「まじか、みんなの前ですげーよな。」
ってぼそっと言ったのも聞こえちゃったし、ブロッサの
「羨ましいわ。」
っていう声も全部聞こえていたから…。
お兄様が咳払いして、
「そろそろ僕たちも卒業パーティーに参加しよう。」
って言ってくれたおかげでアーサーは離してくれたけど、心臓が破裂しそうだわ。みんなの顔が見れないじゃない。でもアーサーの魔力のおかげか?幸せマジックか?あんなに減っていた魔力がいっきに元通りになっていて、ルーサ様をすぐに回復させることができたの。それから他の場所で待機してもらっていたルナとシルバーも一緒に、みんなで学園祭を楽しんだの。もちろん、サーシャはルーサ様とネクスさんに任せてね。今回活躍したラムルには、うーんと白パンをあげたわ。いまは、すやすや眠っていてとても可愛いわね。あとで色々とラムルに聞きたいこともあるけどなんとなく聞いても答えてくれない気がするわね。
卒業パーティーが終わって、王宮の王の間に呼び出されたわ。サーシャの話だろうけど、みなさんせいぞろいね。ルドにブロッサにお兄様、それからアーサーに私。そして先に来ていたルーサ様とネクスさん。もちろんルーサ様のご両親に、お父様と宰相様と国王陛下もいるわ。国王陛下が、
「みな、ご苦労であった。感謝している。」
そう仰って、私たちに頭を下げてみえるわ。どうしたらいいのかしら。国王陛下が頭を下げるなんて…。困っているとブロッサが、
「国王陛下が頭を下げたら私たちが困ってしまうわ。でも、そんな国王陛下も嫌いではないけどね。」
流石ブロッサだわ、やっぱりブロッサはカッコいいわ。国王陛下も嬉しそうだもの。
「ははははは!そうか、そうか、嫌いではないか。ありがとう、ブロッサ嬢。」
次にルーサ様のお父様が、
「私は魔族の王だ。この度はサーシャが永きに渡り迷惑をかけ、すまなかった。許して欲しい。そして感謝している。」
ルーサ様のお父様…穏やかな表情で涙を流してみえるわ。でもここでもブロッサが、
「もう、泣かないの!魔族の王様がこんなに優しい人で大丈夫かしら?」
「私が優しい?ふふふふふ。現世の予言の女神はユーモアがあるんだね。」
ブロッサは場の雰囲気を明るくする天才なんだわ!
「先程、サーシャと両親の刑が決まった。三人とも首輪を付け1000年魔族の民のために働いてもらう事になった。私はこれからマルクくんの力を借りながら魔力暴走しても安心して暮らせる魔族のための霧の谷を必ず作り上げる。マルクくんよろしく頼む。」
「ええ、こちらこそよろしくお願いいたします。それからマリーとアーサーも一年間手伝ってくれることになりました。」
「えっ?結婚式は?」
そう言えば、ブロッサたちには言っていなかったわね。アーサーが小さな声で僕が言うねって言ってくれたわ。こういう時は本当に頼りになるわ。
「ブロッサ嬢、当初の予定では明日にでも結婚式をあげようと思っていたのですが、マリーは家族愛の強い子なんです。いまの状態ではマルクのことが心配で式の準備どころではないんです。」
「分かる気がするわ。アーサー様も大変ね。」
「そこで国王陛下にお願いがあります。父上にはすでに許可を取ってありますが、この場で結婚届の提出をさせてください。」
「えっ、この場で?あとで魔法省に行けばいいんじゃないの?」
「マリー、我が国では結婚届けだけでは伯爵家以上は正式に結婚したとは認められないんだよ。だけど国王陛下に承認されれば結婚式を挙げなくても完全な夫婦とみなされるんだよ。」
「・・・そうなんですね。」
嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいわ。早く夫婦になりたいってアーサーが思ってくれてるってことよね。
「もちろん、承認しよう!」
今朝アーサーと魔法で書いた婚約届が国王陛下の下に飛んで行き、綺麗な虹色にきらきらと輝いて消えていったわ。
すると私とアーサーの左の薬指に金色の輪がきらきらと一瞬現れて消えたの。
「これで二人は夫婦だ!」
国王陛下の言葉に思わず涙が出てしまったわ。私とアーサーが夫婦…。私が感動していると、
「マリーおめでとう。私も早く結婚したくなっちゃったわ。」
「ブロッサありがとう。ブロッサは王太子殿下の婚約者だから、えっ?決まったの?」
「サーシャを捕まえる前にプロポーズされたの。ルルもララも自分たちはお店を開きたいから王太子妃は嫌だって言うし、私がなってあげないと可愛そうでしょ。返事はまだしてないけどね!」
「ブロッサ、いまのが返事でいいのか?」
「ええ、こんなひねくれた女の子でも良ければ、ルドがもらってくれる?」
「もちろんだ…。」
わぁー、俺様のルドが泣いちゃったわ。きゃー、抱きしめてキ、キスしちゃた…。いままで悲しいことや、つらいことが、沢山あったけど、これからはみんな、幸せになれますように。
私もついにアーサーのお嫁さんになれたのよね。夢みたいだわ。
「アーサー、ありがとう。」
「愛しているよ。僕の女神。」
「うっ!」
アーサーが、みんなの前で私にキスをして、魔力を流してくれたわ。私は恥ずかしくって離れたかったけど体に力が入らなかったからしばらく動けなくて、たぶんゆでダコみたいに真っ赤になっていたと思うわ。だってルドが、
「まじか、みんなの前ですげーよな。」
ってぼそっと言ったのも聞こえちゃったし、ブロッサの
「羨ましいわ。」
っていう声も全部聞こえていたから…。
お兄様が咳払いして、
「そろそろ僕たちも卒業パーティーに参加しよう。」
って言ってくれたおかげでアーサーは離してくれたけど、心臓が破裂しそうだわ。みんなの顔が見れないじゃない。でもアーサーの魔力のおかげか?幸せマジックか?あんなに減っていた魔力がいっきに元通りになっていて、ルーサ様をすぐに回復させることができたの。それから他の場所で待機してもらっていたルナとシルバーも一緒に、みんなで学園祭を楽しんだの。もちろん、サーシャはルーサ様とネクスさんに任せてね。今回活躍したラムルには、うーんと白パンをあげたわ。いまは、すやすや眠っていてとても可愛いわね。あとで色々とラムルに聞きたいこともあるけどなんとなく聞いても答えてくれない気がするわね。
卒業パーティーが終わって、王宮の王の間に呼び出されたわ。サーシャの話だろうけど、みなさんせいぞろいね。ルドにブロッサにお兄様、それからアーサーに私。そして先に来ていたルーサ様とネクスさん。もちろんルーサ様のご両親に、お父様と宰相様と国王陛下もいるわ。国王陛下が、
「みな、ご苦労であった。感謝している。」
そう仰って、私たちに頭を下げてみえるわ。どうしたらいいのかしら。国王陛下が頭を下げるなんて…。困っているとブロッサが、
「国王陛下が頭を下げたら私たちが困ってしまうわ。でも、そんな国王陛下も嫌いではないけどね。」
流石ブロッサだわ、やっぱりブロッサはカッコいいわ。国王陛下も嬉しそうだもの。
「ははははは!そうか、そうか、嫌いではないか。ありがとう、ブロッサ嬢。」
次にルーサ様のお父様が、
「私は魔族の王だ。この度はサーシャが永きに渡り迷惑をかけ、すまなかった。許して欲しい。そして感謝している。」
ルーサ様のお父様…穏やかな表情で涙を流してみえるわ。でもここでもブロッサが、
「もう、泣かないの!魔族の王様がこんなに優しい人で大丈夫かしら?」
「私が優しい?ふふふふふ。現世の予言の女神はユーモアがあるんだね。」
ブロッサは場の雰囲気を明るくする天才なんだわ!
「先程、サーシャと両親の刑が決まった。三人とも首輪を付け1000年魔族の民のために働いてもらう事になった。私はこれからマルクくんの力を借りながら魔力暴走しても安心して暮らせる魔族のための霧の谷を必ず作り上げる。マルクくんよろしく頼む。」
「ええ、こちらこそよろしくお願いいたします。それからマリーとアーサーも一年間手伝ってくれることになりました。」
「えっ?結婚式は?」
そう言えば、ブロッサたちには言っていなかったわね。アーサーが小さな声で僕が言うねって言ってくれたわ。こういう時は本当に頼りになるわ。
「ブロッサ嬢、当初の予定では明日にでも結婚式をあげようと思っていたのですが、マリーは家族愛の強い子なんです。いまの状態ではマルクのことが心配で式の準備どころではないんです。」
「分かる気がするわ。アーサー様も大変ね。」
「そこで国王陛下にお願いがあります。父上にはすでに許可を取ってありますが、この場で結婚届の提出をさせてください。」
「えっ、この場で?あとで魔法省に行けばいいんじゃないの?」
「マリー、我が国では結婚届けだけでは伯爵家以上は正式に結婚したとは認められないんだよ。だけど国王陛下に承認されれば結婚式を挙げなくても完全な夫婦とみなされるんだよ。」
「・・・そうなんですね。」
嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいわ。早く夫婦になりたいってアーサーが思ってくれてるってことよね。
「もちろん、承認しよう!」
今朝アーサーと魔法で書いた婚約届が国王陛下の下に飛んで行き、綺麗な虹色にきらきらと輝いて消えていったわ。
すると私とアーサーの左の薬指に金色の輪がきらきらと一瞬現れて消えたの。
「これで二人は夫婦だ!」
国王陛下の言葉に思わず涙が出てしまったわ。私とアーサーが夫婦…。私が感動していると、
「マリーおめでとう。私も早く結婚したくなっちゃったわ。」
「ブロッサありがとう。ブロッサは王太子殿下の婚約者だから、えっ?決まったの?」
「サーシャを捕まえる前にプロポーズされたの。ルルもララも自分たちはお店を開きたいから王太子妃は嫌だって言うし、私がなってあげないと可愛そうでしょ。返事はまだしてないけどね!」
「ブロッサ、いまのが返事でいいのか?」
「ええ、こんなひねくれた女の子でも良ければ、ルドがもらってくれる?」
「もちろんだ…。」
わぁー、俺様のルドが泣いちゃったわ。きゃー、抱きしめてキ、キスしちゃた…。いままで悲しいことや、つらいことが、沢山あったけど、これからはみんな、幸せになれますように。
私もついにアーサーのお嫁さんになれたのよね。夢みたいだわ。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる