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117.学園祭です(猫の尻尾は危険)
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やっと、お兄様とアーサーが帰って来たのね。廊下の私の椅子の前に二人が立っていてくれたわ。
「マリーお帰り、次は僕とデートして。」
「アーサーただいま。もちろんよ。お兄様少しお待ちくださいね。」
「ああ、待っているから、行っておいで。」
すると、ルナが、
「師匠、待っている間、魔道具についてお話したいので私とデートしてくださいませんか?」
すごい誘い方ね。周りのみんなが笑っているわ。
「ずるいよ、ルナ、僕だってマルク殿と魔道具の話をしたいよ。」
「シルバーは男の子でしょ。あとで話の内容を教えてあげるから。」
「絶対だからね。」
全くロマンチックじゃないけど、三人らしいわね…。
「じゃあ、ルナに教えて欲しいこともあったから行こうか。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「ルナ嬢、僕とデートしてください。」
「はい、喜んで。」
先に二人が行ってしまったわね。
アーサーが膝をついて私を誘ってくれたわ。
「マリー嬢、僕とデートしてください。」
「ええ、喜んで。」
ここは何かしら?ああ、猫カフェね。
「マリー可愛いよ。猫耳最高。尻尾も最高だよ。」
「アーサーも猫族って感じね。尻尾も耳も本物みたい、ちゃんと自分の意思で動くのね。」
「本当だね。耳は直接頭から出ているし尻尾もお尻にくっついてるね。上半身裸だし、短いズボンだから、マリー僕寒いよ、温めて。」
たしかにアーサーは露出が多すぎるわね。私の方は可愛らしいもふもふの長めのセーターだし、下も分厚いタイツでこちらも、もふもふだから温かいけど、アーサーは寒そうね。でも筋肉質の肌がカッコ良くて緊張しちゃうわ。
「アーサー温めてあげるから目をつぶっていて。」
「嫌だよ。可愛いマリーが見られないじゃないか。」
「アーサー泣かないの。もう、本当に早く泣き止んでちょうだい。」
私は恥ずかしいのも忘れてアーサーを抱きしめて、背中を撫でてあげた。アーサーも段々落ち着いてきたのか、私の猫耳を触り出して、
「くすぐったいわ、アーサー。」
「僕の耳も触ってみて。」
「ほら、くすぐったいでしょ?」
「本当だね。本当に耳を触られているみたいだ。この感度はすごいね。」
「でしょ。分かったら触らないでね。きゃっ!どうして舐めるのよ。」
「だって美味しそうだったから。」
「お馬鹿、耳が美味しいわけないでしょ。きゃっ。どうして噛むのよ。」
「美味しかったから…。」
「美味しくてもだめ!可愛い顔してもだめなものはだめ。」
「分かったよ。耳には触れないから温めて。」
「もう、アーサーのせいでドキドキが止まらないから無理。」
「そんなこと言わないで。じゃあ、僕がむぎゅってしてあげる。」
「えっ?待って…。」
アーサーに後ろから抱きしめられて、尻尾をアーサーの顔ですりすりされたら、体の力が抜けてしまったわ。猫ちゃんの尻尾恐るべし…。力が抜けて動けなくなった私を見てアーサーがプチパニックになってしまって号泣し出したわ。
「マリー大丈夫?まさか、お人形さんになるとかじゃないよね。僕が無理させ過ぎたから…。どうしよう、マリーごめんね。」
アーサーをなんとか冷静にさせなきゃ。ただ単にこれは腰が抜けたようなものだと思うから、
「アーサーの尻尾貸して。」
「えっ?尻尾?はいどうぞ。」
私は体が動かないから、仕方なく、はしたないけど尻尾にカプリと噛みついたわ。
「ひゃっ。」
アーサーも脱力して私の横にぺたりと座り込んでしまったわ。
「分かった?」
「分かった…。」
「だから心配しないで…。ふ、ふふふ。私たち何しているのかしらね。」
「本当だね。猫の尻尾は恐ろしいね。ははは。力が抜けちゃったよ。」
それから、腰が抜けちゃった私たちは色々な話をしたの。例えば、アーサーは、卒業したら魔術師騎士団じゃなくて魔法省に入ろうと思っているんですって。魔の森に結界を張ることができたから、魔獣は出てこれないので魔術師騎士団はそんなに人数がいらなくなったんだよと教えてもらったわ。それに、マルクの手伝いをしようと思うと魔法省にいた方がいいからと言ってくれたわ。たぶんこちらが大きな理由ね。騎士団も魔獣がいなくなって、いまは、治安の悪いところに活躍の場を変えたり、森から出てくる凶暴なくまや、おおかみを捕まえに行ってもらっているらしいわ。いま迄は謎のヒーローこと、ネクスさんに任せっきりだったけど、これからはそうはいかないものね。ネクスさんは霧の谷とこちらで忙しいもの。凶暴な動物も結局魔力の核はあるから、捕獲方法は同じなんですって。森のそばの村人からはものすごく喜ばれているみたいだわ。私はその後のお肉の行方が気になっちゃったんだけど、流石アーサーすぐに教えてくれたわ。騎士団の皆さんと村人の皆さんでいただくんですって。なぜかその時は必ず、ネクスさんが調理をしに来てくれるらしいわ。なんて優しいのかしら。村人の栄養状態も段々良くなってきているようだし、ブロッサもルドと時々お手伝いに行っているんですって、やっぱりヒロインね。
私とアーサーはやっと体に力が入るようになってきて、花火を一緒に見る約束をしたところでちょうど時間になって元の廊下に戻て来たわ。花火の時間が待ち遠しいわ。
「マリーお帰り、次は僕とデートして。」
「アーサーただいま。もちろんよ。お兄様少しお待ちくださいね。」
「ああ、待っているから、行っておいで。」
すると、ルナが、
「師匠、待っている間、魔道具についてお話したいので私とデートしてくださいませんか?」
すごい誘い方ね。周りのみんなが笑っているわ。
「ずるいよ、ルナ、僕だってマルク殿と魔道具の話をしたいよ。」
「シルバーは男の子でしょ。あとで話の内容を教えてあげるから。」
「絶対だからね。」
全くロマンチックじゃないけど、三人らしいわね…。
「じゃあ、ルナに教えて欲しいこともあったから行こうか。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「ルナ嬢、僕とデートしてください。」
「はい、喜んで。」
先に二人が行ってしまったわね。
アーサーが膝をついて私を誘ってくれたわ。
「マリー嬢、僕とデートしてください。」
「ええ、喜んで。」
ここは何かしら?ああ、猫カフェね。
「マリー可愛いよ。猫耳最高。尻尾も最高だよ。」
「アーサーも猫族って感じね。尻尾も耳も本物みたい、ちゃんと自分の意思で動くのね。」
「本当だね。耳は直接頭から出ているし尻尾もお尻にくっついてるね。上半身裸だし、短いズボンだから、マリー僕寒いよ、温めて。」
たしかにアーサーは露出が多すぎるわね。私の方は可愛らしいもふもふの長めのセーターだし、下も分厚いタイツでこちらも、もふもふだから温かいけど、アーサーは寒そうね。でも筋肉質の肌がカッコ良くて緊張しちゃうわ。
「アーサー温めてあげるから目をつぶっていて。」
「嫌だよ。可愛いマリーが見られないじゃないか。」
「アーサー泣かないの。もう、本当に早く泣き止んでちょうだい。」
私は恥ずかしいのも忘れてアーサーを抱きしめて、背中を撫でてあげた。アーサーも段々落ち着いてきたのか、私の猫耳を触り出して、
「くすぐったいわ、アーサー。」
「僕の耳も触ってみて。」
「ほら、くすぐったいでしょ?」
「本当だね。本当に耳を触られているみたいだ。この感度はすごいね。」
「でしょ。分かったら触らないでね。きゃっ!どうして舐めるのよ。」
「だって美味しそうだったから。」
「お馬鹿、耳が美味しいわけないでしょ。きゃっ。どうして噛むのよ。」
「美味しかったから…。」
「美味しくてもだめ!可愛い顔してもだめなものはだめ。」
「分かったよ。耳には触れないから温めて。」
「もう、アーサーのせいでドキドキが止まらないから無理。」
「そんなこと言わないで。じゃあ、僕がむぎゅってしてあげる。」
「えっ?待って…。」
アーサーに後ろから抱きしめられて、尻尾をアーサーの顔ですりすりされたら、体の力が抜けてしまったわ。猫ちゃんの尻尾恐るべし…。力が抜けて動けなくなった私を見てアーサーがプチパニックになってしまって号泣し出したわ。
「マリー大丈夫?まさか、お人形さんになるとかじゃないよね。僕が無理させ過ぎたから…。どうしよう、マリーごめんね。」
アーサーをなんとか冷静にさせなきゃ。ただ単にこれは腰が抜けたようなものだと思うから、
「アーサーの尻尾貸して。」
「えっ?尻尾?はいどうぞ。」
私は体が動かないから、仕方なく、はしたないけど尻尾にカプリと噛みついたわ。
「ひゃっ。」
アーサーも脱力して私の横にぺたりと座り込んでしまったわ。
「分かった?」
「分かった…。」
「だから心配しないで…。ふ、ふふふ。私たち何しているのかしらね。」
「本当だね。猫の尻尾は恐ろしいね。ははは。力が抜けちゃったよ。」
それから、腰が抜けちゃった私たちは色々な話をしたの。例えば、アーサーは、卒業したら魔術師騎士団じゃなくて魔法省に入ろうと思っているんですって。魔の森に結界を張ることができたから、魔獣は出てこれないので魔術師騎士団はそんなに人数がいらなくなったんだよと教えてもらったわ。それに、マルクの手伝いをしようと思うと魔法省にいた方がいいからと言ってくれたわ。たぶんこちらが大きな理由ね。騎士団も魔獣がいなくなって、いまは、治安の悪いところに活躍の場を変えたり、森から出てくる凶暴なくまや、おおかみを捕まえに行ってもらっているらしいわ。いま迄は謎のヒーローこと、ネクスさんに任せっきりだったけど、これからはそうはいかないものね。ネクスさんは霧の谷とこちらで忙しいもの。凶暴な動物も結局魔力の核はあるから、捕獲方法は同じなんですって。森のそばの村人からはものすごく喜ばれているみたいだわ。私はその後のお肉の行方が気になっちゃったんだけど、流石アーサーすぐに教えてくれたわ。騎士団の皆さんと村人の皆さんでいただくんですって。なぜかその時は必ず、ネクスさんが調理をしに来てくれるらしいわ。なんて優しいのかしら。村人の栄養状態も段々良くなってきているようだし、ブロッサもルドと時々お手伝いに行っているんですって、やっぱりヒロインね。
私とアーサーはやっと体に力が入るようになってきて、花火を一緒に見る約束をしたところでちょうど時間になって元の廊下に戻て来たわ。花火の時間が待ち遠しいわ。
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