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93.夢の中の出来事ですよね?

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魔女のサーシャの心配もなくなって、ラムルも小さくすることができて、私は安心してアーサーの腕の中で眠りについたはずよね。死んではいないわよね?夢の中だとは思うけど、目の前に前世のおじいちゃんと、おばあちゃんがいるんですもの。
「おじいちゃん、おばあちゃんお久しぶりです。」
「ええ、真理ちゃんよく頑張ったわね。いまはマリーちゃんね。」

おじいちゃんの後ろに隠れるように、もう一人、とてもきらきらと輝いているのに、しょぼんと叱られた子のようになっている方がいるけど誰かしら?
「そちらの方は誰ですか?」
「ああ、マリーちゃん、すべてを司る神様よ。」
「えっ、それは失礼いたしました。」

「マリーちゃん、ごめんなさいね。ちょっとした手違いで、あなたを約束した初代乙女ゲームの世界ではなくて、期間限定のスペシャルバージョンに転生させてしまったの。」
「何がちょっとした手違いですか。私の孫がどれだけつらい思いをしたと思っているんですか。」
「ごめんなさい。さっちゃん、そんなに怒らないで…。」
おばあちゃんが、以前より強くなっている気がするわ。ここは神様のフォローをしないと。
「おばあちゃん、たしかに知らないことばかりで驚きましたけど、私はいま幸せですよ。」

「マリーちゃんは本当に優しいのね。でもね、神としては、約束違反などあってはならないことだから初代乙女ゲームと違う所を少し伝えるわ。マリーちゃんは初代の乙女ゲームを知っているから分かると思うけど、予言の女神とラムルと魔女のサーシャが出てくるところがまず大きく違う所よね。」
私は大きく頷いた。
「ラムルはすでに小さくされているから、問題はサーシャのことよね。」
「えっ?サーシャも、もう魔力をあまり使えませんよ。」

「それが、そんなことないのよ。とりあえず、ここからはブローサさんに話してもらいましょう。ブローサさんは天国に上がってくる前にいままでのご褒美として、ルアードと空中散歩を楽しんできたから一番新しい情報を色々と知っているわよ。」
すべてを司る神様の隣がきらきらと輝き、ブローサ様が現れた。
「ブローサ様お久しぶりです。」
「ええ、また会えて嬉しいわ。マリーちゃんにばかり、負担をかけてごめんなさいね。サーシャはアーサー君に魔力の道を狭くされた後に、魔族の長老に人間になると嘘をついて、マリーちゃんも飲んだ虹色の薬をもらって飲んでしまったの。だから魔法の道は残念だけど元通りよ。」

「それは大変じゃないですか。」
「そうね、でも、すぐには魔力は貯まらないからとりあえずは安心して話を聞いてちょうだい。」
「分かりました。」

「サーシャの目的はね、魔女が世界で一番強いと知らしめることなの。それはサーシャの両親の願いでもあったの。千年以上前、サーシャの両親はね、人間が戦争をしている隙に私の魔力を奪おうとしたの。でもそれに気付いたルーサの両親に止められて激しい魔力闘争の末、魔力爆発がおきてたぶん四人とも亡くなってしまったの魔力が感じられなくなってしまったから。だからサーシャは自分と両親の願いを叶えるためにも、サーシャ自身が世界で一番強い魔女になろうとしているの。その為に莫大な魔力を必要としているってわけ。千年前もラムルの魔力を奪おうとして逆に私に魔力をほとんど取られてしまったの。サーシャの魔力も使って千年ラムルを閉じ込めておくことができたのだから私は感謝しているけど、サーシャは相当私のことを恨んでいたでしょうね。それでも懲りずに千年後もラムルの魔力を狙ってくるんですもの、すごい執着心だわ。それにしてもこの千年であそこまで魔力を回復したなんてどうやったのかしらね。」

「魔の森の瘴気でしょうか?」
「うーん、それだけであそこまでいくのかしら?それから、サーシャには妹がいてマリーちゃんも良く知っているルナちゃんよ。」
「ルナですか?よく知っています。とてもいい子です。」
「そうね。とてもいい子ね。彼女は両親がやったことも、サーシャの生き方も嫌で、数年前に長老から虹色の薬をもらって、それを飲んで人間の道を歩み始めているわ。虹色の薬はね、そもそも魔力の道を本人の希望通りにする薬なの。ただ魔力の器が小さい人が魔力の道を広くはできなかったのだけどね。簡単に言うと人から魔族にはなれなかったの。話をルナちゃんに戻すわね。始めは平民として生きていくつもりだったのだけど、あの可愛らしい性格と、人としては多い魔力量が、子供のいない男爵家の耳に入り、数年前から男爵家で幸せに暮らしているの。それなのに、サーシャに男爵家の両親を殺すと脅されて、ルナは泣く泣く、魔力を貯めることができる魔道具を作っているわ。」

「たしかにルナは、魔道具に興味があるとは言っていましたけど、そんなこともできるんですね。」
お兄様のことも知っていたものね。意外とお兄様と気が合うかもしれないわね。
「マリーちゃん、ルナちゃんはそのことでとても心を痛めているわ。あなたが力になってあげて。」
「もちろんです。」
「私の知っていることはここまでだから、あとは、すべてを司る神様に変わるわね。」

「ブローサ様ありがとうございました。」
「ルーサにも私は幸せになったって、伝えてちょうだいね。」
「分かりました。必ず伝えます。」
ブローサ様は、素敵な微笑みを浮かべながらきらきらと輝きながら消えてしまった。

「マリーちゃん、この後のことだけど、ブローサさんも言っていたように魔力はそう簡単には貯められないわ。ゲームの内容とはかなり変わってしまっているから正直私もはっきりとしたことは言えないけど、ゲームではサーシャは卒業パーティーの時に現れるの。そして、学園生を人質にして、ブロッサちゃんの魔力を奪うのよ。」
「なんで私の魔力ではないんですか?」
「それはね、今からマリーちゃんはアーサー君の魔力に導かれて目を覚ますのだけど、ちょっと強引に起こされるから、しばらくは赤ちゃんのようにしか動けないの。でも頑張れば半年後には今まで通りに動けるようになるわ。マリーちゃんに分かりやすい言葉で言うとリハビリかしら?魔力の道も同じなの、こちらはもっと時間がかかるわ。一年以上はちょろちょろしかまた出せないと思うわ。でも安心して、こちらも頑張れば、少しずつ魔力の道は広がっていくからね。魔力の道が狭いマリーちゃんから魔力を奪う事は流石のサーシャにもできないわ。」
「そうなんですね。」

「だからブロッサちゃんには気を付けるように伝えてね。神である私ですら、この先のあなたたちの人生はゲームとは違うとしか言えないんだけど、サーシャのこと以外はもうゲームの強制力はないから安心してね。さぁ、もうすぐ、あなたが目を覚ます時間よ。マリーちゃんはアーサー君の指示に従ってアーサー君の魔力に導かれていけば目を覚ますことができるわ。マリーちゃん、期間限定スペシャルバージョンは初代乙女ゲームより超ラブラブモードだから今までの分も幸せになってね。」

「マリーちゃん私たちはいつまでも応援しているわ。そうでしょ、あさひ君。」
「もちろんだよ。こんなに可愛い孫はいないからね。」
「おじいちゃん、おばあちゃんありがとう。」
挨拶もそこそこに三人は消えてしまった。代わりに大好きなアーサーの声が暗闇の中から聞こえてきたの。私はどうして夢から目覚めるのに魔力の放出が必要なのかと不思議に思いながらも、時々聞こえるサリーの怒った声が怖くて素直に従ったわ。ああ眩しい…いよいよ目が覚めるのね。さぁ、色々と伝えないといけない事ができたわ。超ラブラブモード?のためにも頑張るわ。

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