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86.明日に備えて魔の森でお泊りします
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結局、魔の森の入り口に全員が集合するのに時間がかかったくらいで、魔の森に入ってからは、半日どころか、三時間くらいで結界の準備は完了したわ。お父様が、森の中は日が暮れるのが早いからと、五十人くらいは入れる結界を張ってくれたので、今は安心してネクスさんがとても早い夕食の準備をしてくれているの。お父様の張ってくださった結界の周りにはご丁寧に綺麗な小石(黒曜石?)がきらきらと輝きながら並んでいて、マリーが間違って結界から出るといけないからねって言われたわ。でも結界ってこんなに分かりやすくていいのかしら?それにちょっと、大きすぎるんじゃないかしら?お父様は余裕そうだからいいみたいだけど。
ネクスさんの料理は最高で、ここが、魔の森の中だってことを一瞬忘れそうになったわ。とても、千年に一度のラムルが生まれる前夜とは思えない程のリラックスぶりよね。いつの間にこんな食材を用意したのか、ネクスさんは前菜からデザートまでのフルコースを作ってくれて、騎士団のみなさんなんて感動してたわね。ネクスさんも魔族の方だから何か不思議な魔法が使えるのかもしれないわね。でも、やっぱり、ダリのお肉が一番人気だったわね。お兄様はダリのお肉を初めて食べたそうで、美味しいって感動していたわ。私はこんな時に不謹慎かなって思いながらも、アーサーとのデートを思い出していたの。アーサーも思い出しているかなって思って、ちらっとアーサーの方を見たら目が合って、
「また行こうね。」
って小さな声で言ってくれたわ。アーサーも同じ気持ちだったんだって思ったら、心の中がぽかぽかしてきて、恥ずかしくて私は真っ赤になって小さく頷いたのだけど、誰にもばれていないわよね。ちょっと心配になって周りを見渡してみたけれど、シルバーはお兄様と一生懸命魔装具のお話し中だし、レッドは騎士団の皆さんの人気者になって皆さんとのお話で忙しそうだから大丈夫そうね。そんなことを考えていると、アーサーが、
「マリー、お揃いのネックレスを交換しよう」
って言ってきたの。なんだか、恋人っぽくて照れちゃうわ。私は更に真っ赤になってしまったけど、無事に交換できたの。なんだかアーサーがいままでつけていたネックレスだと思うと、恥ずかしかったわ。
私は恥ずかしさがもう限界で、このままだと私の心臓が爆発する気がして、この甘い雰囲気から脱出することにしたわ。要するに話題を変えたのだけど、アーサーがどうして魔の森の木についてあんなにも詳しかったのか聞いておく必要もあったから、
「ねぇ、アーサー、どうしてあんなに魔の森の木について詳しかったの?」
「ああ、それはね。」
アーサーが呆れた顔でお兄様を見ているわ。やっぱり、お兄様が犯人だったのね。何をやらかしたんですか!外では冷静なアーサーが、こんな顔になるだけのことはやらかしましたね、お兄様。
「マルクが色々と実験したからね…。」
「実験?魔の森で?」
「そんな感じかな。」
お兄様はお馬鹿ですか!ただでさえ危険な魔の森で…。私たちの会話がお兄様にも聞こえたようで、
「えっ、僕が悪いの?あれは偶然でしょ?僕が荷馬車の扉を閉め忘れて、どくろがごろんごろんって大きいのが三つくらい魔の森の中に転がって行っちゃったの。そうしたら木がぴょんって飛んで後ろに下がったんだよ。びっくりしちゃったよ。」
いえいえ、お兄様、その前に色々と残念です。あそこまでの機能をつけておきながら、荷馬車の扉は手動だったんですね。たしかトイレの蓋はセンサー付きの魔道具でしたよね…。そこは手動で良かったのでは?
「それでね、マリーの魔力が怖くてぴょんって飛んだのか、どくろが怖くて飛んだのか気になるでしょ。それでブレスレットの魔道具を木に向かって風魔法を使ってものすごい速さで投げてみたんだけど、どうやっても当たらなかったんだ。マリーあのね。魔の森の木はね、ものすごい速さで動けるんだよ。もしかしたら、目では見えない速さで動けるのかもしれないんだよ。」
「そうですか…。それはびっくりですね。」
アーサーが心配いらないって言うはずだわ。百聞は一見に如かずだっけ、この目で見ていたのね。見たかったわけではないでしょうけど。
「だけど、それから、アーサーが怒っちゃって、大変だったんだ。」
「アーサーはどうしてお兄様に怒ったんですか?」
「マリーが一生懸命貯めてくれた魔力の魔道具を、一つ残らず全部拾って来いって。初めて怒られたよ。」
「でも、アーサーは優しいから、ついて来てくれたんだけどね。」
「アーサー、お兄様がごめんなさいね。でも、嬉しかったわ。ありがとう。」
「うん。」
アーサーが真っ赤になってしまったわね。
「さてと、夕方になったから、そろそろ家でも建てようか。」
「はい?」
お兄様がさらっと、変なことを言い出すから変な声が出ちゃったじゃない。お兄様はどこからか大きな大きなぺちゃんこクッションみたいなものを取り出して、私とアーサーとシルバーに風魔法を入れるように頼んだの。
信じられない光景だわ。風魔法を入れると、あっという間に学生寮のような建物が一瞬で出来上がり、中にはいくつもの小部屋が合ったわ。お兄様にかかればなんでもありね…。お父様の作った結界が、やたらと大きかったのも納得だわ。
いよいよ明日ね。この森のどこかにサーシャがいると思うとやっぱり怖いわね。
ネクスさんの料理は最高で、ここが、魔の森の中だってことを一瞬忘れそうになったわ。とても、千年に一度のラムルが生まれる前夜とは思えない程のリラックスぶりよね。いつの間にこんな食材を用意したのか、ネクスさんは前菜からデザートまでのフルコースを作ってくれて、騎士団のみなさんなんて感動してたわね。ネクスさんも魔族の方だから何か不思議な魔法が使えるのかもしれないわね。でも、やっぱり、ダリのお肉が一番人気だったわね。お兄様はダリのお肉を初めて食べたそうで、美味しいって感動していたわ。私はこんな時に不謹慎かなって思いながらも、アーサーとのデートを思い出していたの。アーサーも思い出しているかなって思って、ちらっとアーサーの方を見たら目が合って、
「また行こうね。」
って小さな声で言ってくれたわ。アーサーも同じ気持ちだったんだって思ったら、心の中がぽかぽかしてきて、恥ずかしくて私は真っ赤になって小さく頷いたのだけど、誰にもばれていないわよね。ちょっと心配になって周りを見渡してみたけれど、シルバーはお兄様と一生懸命魔装具のお話し中だし、レッドは騎士団の皆さんの人気者になって皆さんとのお話で忙しそうだから大丈夫そうね。そんなことを考えていると、アーサーが、
「マリー、お揃いのネックレスを交換しよう」
って言ってきたの。なんだか、恋人っぽくて照れちゃうわ。私は更に真っ赤になってしまったけど、無事に交換できたの。なんだかアーサーがいままでつけていたネックレスだと思うと、恥ずかしかったわ。
私は恥ずかしさがもう限界で、このままだと私の心臓が爆発する気がして、この甘い雰囲気から脱出することにしたわ。要するに話題を変えたのだけど、アーサーがどうして魔の森の木についてあんなにも詳しかったのか聞いておく必要もあったから、
「ねぇ、アーサー、どうしてあんなに魔の森の木について詳しかったの?」
「ああ、それはね。」
アーサーが呆れた顔でお兄様を見ているわ。やっぱり、お兄様が犯人だったのね。何をやらかしたんですか!外では冷静なアーサーが、こんな顔になるだけのことはやらかしましたね、お兄様。
「マルクが色々と実験したからね…。」
「実験?魔の森で?」
「そんな感じかな。」
お兄様はお馬鹿ですか!ただでさえ危険な魔の森で…。私たちの会話がお兄様にも聞こえたようで、
「えっ、僕が悪いの?あれは偶然でしょ?僕が荷馬車の扉を閉め忘れて、どくろがごろんごろんって大きいのが三つくらい魔の森の中に転がって行っちゃったの。そうしたら木がぴょんって飛んで後ろに下がったんだよ。びっくりしちゃったよ。」
いえいえ、お兄様、その前に色々と残念です。あそこまでの機能をつけておきながら、荷馬車の扉は手動だったんですね。たしかトイレの蓋はセンサー付きの魔道具でしたよね…。そこは手動で良かったのでは?
「それでね、マリーの魔力が怖くてぴょんって飛んだのか、どくろが怖くて飛んだのか気になるでしょ。それでブレスレットの魔道具を木に向かって風魔法を使ってものすごい速さで投げてみたんだけど、どうやっても当たらなかったんだ。マリーあのね。魔の森の木はね、ものすごい速さで動けるんだよ。もしかしたら、目では見えない速さで動けるのかもしれないんだよ。」
「そうですか…。それはびっくりですね。」
アーサーが心配いらないって言うはずだわ。百聞は一見に如かずだっけ、この目で見ていたのね。見たかったわけではないでしょうけど。
「だけど、それから、アーサーが怒っちゃって、大変だったんだ。」
「アーサーはどうしてお兄様に怒ったんですか?」
「マリーが一生懸命貯めてくれた魔力の魔道具を、一つ残らず全部拾って来いって。初めて怒られたよ。」
「でも、アーサーは優しいから、ついて来てくれたんだけどね。」
「アーサー、お兄様がごめんなさいね。でも、嬉しかったわ。ありがとう。」
「うん。」
アーサーが真っ赤になってしまったわね。
「さてと、夕方になったから、そろそろ家でも建てようか。」
「はい?」
お兄様がさらっと、変なことを言い出すから変な声が出ちゃったじゃない。お兄様はどこからか大きな大きなぺちゃんこクッションみたいなものを取り出して、私とアーサーとシルバーに風魔法を入れるように頼んだの。
信じられない光景だわ。風魔法を入れると、あっという間に学生寮のような建物が一瞬で出来上がり、中にはいくつもの小部屋が合ったわ。お兄様にかかればなんでもありね…。お父様の作った結界が、やたらと大きかったのも納得だわ。
いよいよ明日ね。この森のどこかにサーシャがいると思うとやっぱり怖いわね。
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