69 / 123
69.三日間も眠っていたようです①
しおりを挟む
「マリー、マリー分かるかい?お父様だよ。」
「あら、お父様、私どうしたんでしょうか?」
「マリーは疲れて、少し王宮で眠っていただけだよ。」
「サリーも来たし、魔女のルーサ殿もみえたからそろそろ起きて挨拶しなさい。」
「えっ、このような格好で申し訳ありません。ブラックリリー公爵家のマリーと申します。」
「ああ、いいよ。こちらこそ、眠っている令嬢の部屋に入って来てすまなかったね。私は魔女のルーサだよ。ルーサと呼んでおくれ。」
「ありがとうごさいます。ルーサ様。サリーも来てくれてありがとう。私の瞳、金色になったのよ。素敵でしょ。」
「ええ、お嬢様とても心配しましたよ。でも瞳が金色とは何のことですか?」
「あれ?もう治ちゃったのかしら?」
「マリーは金色が良かったのかい?今は私の魔法で元の色に変えているだけで、まだ金色だよ。」
「そうだったんですね…。」
「見たいのかい?」
「はい、サリーにも見せてあげたいです。」
「侍女さん腰を抜かさないでおくれよ。」
「え?」
「ほれ。」
「え?お嬢様の瞳が金色、金色は…王家の色…。」
「ね、カッコいいでしょ。」
「カッコいいでしょ、ではありません。」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで、すぐに、戻すからね。」
それからルーサ様は、私の瞳が本当の色に戻るのはブレスレットが外れる時だと教えてくれた。ブレスレットはラムルが小さくなったタイミングで外れるらしい。そしてブレスレットの中にはなんと、初代予言の女神様が眠っているんだとか。私が眠っている間に、ルーサ様は千年ぶりに初代予言の女神様と少しだけお話したらしい。初代予言の女神様のお名前はブローサ様。いまは魔力が少ないから実体化は無理だったようだけど、少しでもお話できてよかったわね。ルーサ様もずっと寂しかったでしょうね。千年とか想像できないもの。
ブローサ様は当時、この国の国王陛下のことが好きで、国王陛下と結婚して赤ちゃんまでいたのに、国民を守る為に、自分の生命力でラムルを封印して、ご自分も千年の眠りについてしまわれたのだとか。その時に瞳がピンクから金色に変わったとルーサ様は教えてくれたわ。ということは…夢の中のふわふわピンクの髪に、金色の瞳の女の人はゲームの中のブロッサ嬢じゃなくて、ブローサ様だったのね。あれ?ブローサ様なんてゲームに出てこないわよね?いまはゲームのことを考えるのはやめましょう。それにしても、好きな人と離れ離れになるなんてどんだけ辛かっただろう。私だったら絶対に耐えられない。その国王陛下はルドに瓜二つらしいけど、口は悪くなかったらしい。
それから信じられないけど、ブロッサ嬢もかなり口が悪いらしい。それはかなりショックだわ。他にも沢山教えてもらった。私が寝ている間に色んな事があったのね。知らないうちに色々なことが終わっているって淋しいものね。例えば、ラムルを小さくする練習は上手くいっていて、ブロッサ嬢とルドが力を合わせて頑張っているとか、すごく見たかったわ。絶対にブロッサ嬢はカッコいいんだろうな。ピゴくんが黄金の蛇様に戻るところもちょっとだけ見てみたかったわ。
そう言えば、ピゴくんについても、ルーサ様から色々教えてもらえたわ。救護院の方が話していた内容と同じこともあったけど、ピゴくんはやっぱり、元々は小りすの姿で、ブローサ様がラムルと一緒に眠りについてから、千年後の予言の女神に会うために、予言の女神は光魔法を使えるので、病人が来る救護院のそばの礼拝堂に千年もいたのだとか。始めは小りすの姿だったけど、威厳がないとかで、救護院の目印である蛇の形になったんですって。たしかに蛇の方が近寄りがたいものね。
でも、予言の女神のことは秘密だから表向きは魅了の術者が現れた時に対処するためとしたんですって。ちなみに魅了も予言の女神にしか本当は使えないんだけど、隣国で魅了を使える振りをする者が現れて丁度良かったからピゴくんが魅了に反応できるように魔法をかけたんですって…。だからあの時、急に動かなくなったり、ブロッサ嬢の所に行ったりしたのね。そもそも魅了という魔法は、アーサーが言っていたような魔法だったわ。要は惚れ薬ね。だけど、ピゴくんの場合は、なんと魅了の魔力の味が好きで、ブローサ様が味付けに使っていたとか。魅了の味ってどんな味なのかしら?この辺のことは国王陛下でもはっきりしたことは知らないかもしれないんですって!
だけどブロッサ嬢は、アーサーが言っていた通り、無意識に魅了の魔法を使ってしまっていたらしいの。でもピゴくんが魅了は全部食べてくれるから心配ないんですって。ルーサ様ってすごいわ。知らないことなんてないんじゃないかしら?
それから、隣国の王からの贈り物というのは真っ赤な嘘で、ルーサ様がピゴくんを丁重に扱ってもらう為についた嘘でした。だけど、あとから、両国の500年前くらいの国王?に了承は得たって言っていたからいいのよね?流石ルーサ様だわ。色々聞いておいて、今更だけど、この話聞いても良かったのかしら?
でもルーサ様との後半の話はほとんどがお肉の話だったわ。以前私が屋台で食べたお肉の話。ルーサ様もお肉が大好物なんだとか、でも、ダリの肉はまだ食べたことがないそうで、明日、私とルーサ様となぜかシルバーで前に屋台のおじさんに聞いた、橋の横の小さな赤い屋根の店に行くことになったの。うふふ、とても楽しみだわ。私が嬉しくてにやにやしていると、
「マリーお父様のことを忘れていないかい?」
と、お父様に言われてしまったわ。まずいわ、完全に忘れていたわ。でもこの状態は何?いつの間にお父様の膝の上に乗せられたのかしら?
「お父様、私はいつから、お父様のお膝の上にいるのでしょうか?」
「肉の話の辺りからだよ。あまりにもベッドから身を乗り出すものだから危なくてね、ベッドから私の膝にそのままスライドさせたんだよ。」
「そうでしたか、それは失礼しました。ところでお父様、ルーサ様のお話からすると、私はまた何日か寝てしまったのでしょうか?」
「ああ、三日だけだよ。」
「三日も!」
あまりにもショックで、もう一度布団に潜り込みたくなったわ。
「あら、お父様、私どうしたんでしょうか?」
「マリーは疲れて、少し王宮で眠っていただけだよ。」
「サリーも来たし、魔女のルーサ殿もみえたからそろそろ起きて挨拶しなさい。」
「えっ、このような格好で申し訳ありません。ブラックリリー公爵家のマリーと申します。」
「ああ、いいよ。こちらこそ、眠っている令嬢の部屋に入って来てすまなかったね。私は魔女のルーサだよ。ルーサと呼んでおくれ。」
「ありがとうごさいます。ルーサ様。サリーも来てくれてありがとう。私の瞳、金色になったのよ。素敵でしょ。」
「ええ、お嬢様とても心配しましたよ。でも瞳が金色とは何のことですか?」
「あれ?もう治ちゃったのかしら?」
「マリーは金色が良かったのかい?今は私の魔法で元の色に変えているだけで、まだ金色だよ。」
「そうだったんですね…。」
「見たいのかい?」
「はい、サリーにも見せてあげたいです。」
「侍女さん腰を抜かさないでおくれよ。」
「え?」
「ほれ。」
「え?お嬢様の瞳が金色、金色は…王家の色…。」
「ね、カッコいいでしょ。」
「カッコいいでしょ、ではありません。」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで、すぐに、戻すからね。」
それからルーサ様は、私の瞳が本当の色に戻るのはブレスレットが外れる時だと教えてくれた。ブレスレットはラムルが小さくなったタイミングで外れるらしい。そしてブレスレットの中にはなんと、初代予言の女神様が眠っているんだとか。私が眠っている間に、ルーサ様は千年ぶりに初代予言の女神様と少しだけお話したらしい。初代予言の女神様のお名前はブローサ様。いまは魔力が少ないから実体化は無理だったようだけど、少しでもお話できてよかったわね。ルーサ様もずっと寂しかったでしょうね。千年とか想像できないもの。
ブローサ様は当時、この国の国王陛下のことが好きで、国王陛下と結婚して赤ちゃんまでいたのに、国民を守る為に、自分の生命力でラムルを封印して、ご自分も千年の眠りについてしまわれたのだとか。その時に瞳がピンクから金色に変わったとルーサ様は教えてくれたわ。ということは…夢の中のふわふわピンクの髪に、金色の瞳の女の人はゲームの中のブロッサ嬢じゃなくて、ブローサ様だったのね。あれ?ブローサ様なんてゲームに出てこないわよね?いまはゲームのことを考えるのはやめましょう。それにしても、好きな人と離れ離れになるなんてどんだけ辛かっただろう。私だったら絶対に耐えられない。その国王陛下はルドに瓜二つらしいけど、口は悪くなかったらしい。
それから信じられないけど、ブロッサ嬢もかなり口が悪いらしい。それはかなりショックだわ。他にも沢山教えてもらった。私が寝ている間に色んな事があったのね。知らないうちに色々なことが終わっているって淋しいものね。例えば、ラムルを小さくする練習は上手くいっていて、ブロッサ嬢とルドが力を合わせて頑張っているとか、すごく見たかったわ。絶対にブロッサ嬢はカッコいいんだろうな。ピゴくんが黄金の蛇様に戻るところもちょっとだけ見てみたかったわ。
そう言えば、ピゴくんについても、ルーサ様から色々教えてもらえたわ。救護院の方が話していた内容と同じこともあったけど、ピゴくんはやっぱり、元々は小りすの姿で、ブローサ様がラムルと一緒に眠りについてから、千年後の予言の女神に会うために、予言の女神は光魔法を使えるので、病人が来る救護院のそばの礼拝堂に千年もいたのだとか。始めは小りすの姿だったけど、威厳がないとかで、救護院の目印である蛇の形になったんですって。たしかに蛇の方が近寄りがたいものね。
でも、予言の女神のことは秘密だから表向きは魅了の術者が現れた時に対処するためとしたんですって。ちなみに魅了も予言の女神にしか本当は使えないんだけど、隣国で魅了を使える振りをする者が現れて丁度良かったからピゴくんが魅了に反応できるように魔法をかけたんですって…。だからあの時、急に動かなくなったり、ブロッサ嬢の所に行ったりしたのね。そもそも魅了という魔法は、アーサーが言っていたような魔法だったわ。要は惚れ薬ね。だけど、ピゴくんの場合は、なんと魅了の魔力の味が好きで、ブローサ様が味付けに使っていたとか。魅了の味ってどんな味なのかしら?この辺のことは国王陛下でもはっきりしたことは知らないかもしれないんですって!
だけどブロッサ嬢は、アーサーが言っていた通り、無意識に魅了の魔法を使ってしまっていたらしいの。でもピゴくんが魅了は全部食べてくれるから心配ないんですって。ルーサ様ってすごいわ。知らないことなんてないんじゃないかしら?
それから、隣国の王からの贈り物というのは真っ赤な嘘で、ルーサ様がピゴくんを丁重に扱ってもらう為についた嘘でした。だけど、あとから、両国の500年前くらいの国王?に了承は得たって言っていたからいいのよね?流石ルーサ様だわ。色々聞いておいて、今更だけど、この話聞いても良かったのかしら?
でもルーサ様との後半の話はほとんどがお肉の話だったわ。以前私が屋台で食べたお肉の話。ルーサ様もお肉が大好物なんだとか、でも、ダリの肉はまだ食べたことがないそうで、明日、私とルーサ様となぜかシルバーで前に屋台のおじさんに聞いた、橋の横の小さな赤い屋根の店に行くことになったの。うふふ、とても楽しみだわ。私が嬉しくてにやにやしていると、
「マリーお父様のことを忘れていないかい?」
と、お父様に言われてしまったわ。まずいわ、完全に忘れていたわ。でもこの状態は何?いつの間にお父様の膝の上に乗せられたのかしら?
「お父様、私はいつから、お父様のお膝の上にいるのでしょうか?」
「肉の話の辺りからだよ。あまりにもベッドから身を乗り出すものだから危なくてね、ベッドから私の膝にそのままスライドさせたんだよ。」
「そうでしたか、それは失礼しました。ところでお父様、ルーサ様のお話からすると、私はまた何日か寝てしまったのでしょうか?」
「ああ、三日だけだよ。」
「三日も!」
あまりにもショックで、もう一度布団に潜り込みたくなったわ。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる