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53.王宮でしばらくお世話になります

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目を覚ましたら、ベッドの横にルドとシルバーとレッドが座っていた。えっ、寝顔を見られたってことよね。私一応十五歳の公爵令嬢ですけど、プライバシーとかもろもろどうなっているの。めちゃくちゃ恥ずかしいじゃない。よだれ出ていないわよね。友達枠だから令嬢扱いはされないのかしら?そういえばみんなの前で寝落ちしたんだからいま更ね。頭の中でぐるぐると色々なことを考えていると、ルドと目が合って、
「マリー目が覚めたか?」

「ええ、でもここは何処?学園じゃないわよね?」
「ああ、ここは王宮だ。」
そんな気はしたのよね。だってすごくゴージャスだもの。
「なんで王宮なの?」

「はぁ、それはお前がみんなの前で光魔法を使ったから。次に回復薬を大量に飲んだから王宮薬師に診せる必要があった。最後に、なぜか分からないが俺がマリーの腕を掴んで話しかけた瞬間、手首にブレスレットが現れ、マリーの瞳も金色に変わった、そして今も金色だな。」
「えー、金色!カッコいいじゃない。鏡、ルド鏡は何処?」

「お前な、ちょっと待ってくれ。とにかく、しばらくは王宮で過ごしてもらう。これ以上マリーに何かあったら、俺たちがクライム殿に何をされるか分からないからな。」
「あっ!たしかにお父様に報告したらプチパニックになりそうね…。申し訳ないけど、よろしくお願いします。」
「ルド、一つだけお願いがあるんだけど、サリーだけ王宮に連れてきてもいい?」
「大丈夫だ。もう呼んである。」

「流石、ルドだね。」
「サリーに見張っててもらわないとこっちが心配なんだよ。」
なんだか、失礼なことを言い出したわね。まぁいいわ。サリーがいれば心配いらないもの。

それから私はアン先生がブロッサ嬢を呼びに行くと、ブロッサ嬢は大けがをして倒れている生徒の治療中で、仕方なく、ルドだけが駆けつけてくれたこと。マリーの光魔法は今回のようにマリー自身の命にかかわるので王国としてマリーは光魔法の使い手として認めないことを学園に報告したこと。瞳の色が金色に変化したことはここの三人しかばれていないと教えてもらった。

「了解、それじゃそろそろ、鏡を貸してもらえるかしら。」
「お前な!」
「だって、見たくてしょうがないんだもの。」
「仕方ないな。ほら。」
「わぁ綺麗。本当に金色じゃない。ルドと一緒だね。」

「しっかり、目が見えているみたいで安心したよ。」
「そうよね…。シルバー心配してくれてありがとう。」
「うん、でもちゃんとあとで魔力も見てもらおうね。」
「ええ、シルバーのいう通りにする。」
なんか、シルバーがお兄様みたいでちょっぴり嬉しいな。

「なんだよ、シルバーと仲いいじゃないか。」
「ルドもありがとう。いつも頼りにしているわ。」
「なんか、素直過ぎて調子狂うな。」
「だって、死にかけたのよ。思っていることはちゃんと言わないと後悔するって思ったの。」

そういえばあれは、夢だったのかしら、でも、手首にブレスレットがあるから違うわよね。
「シルバー夢の話、みんなにもしないといけないわよね。」
「そうだね、あとでしようね。」
「ええ。なんだか、廊下がうるさくなってきたけど何かあったのかしら?」
「マリー、大丈夫かい、お父様だよ。」

「えっ、お父様!大変、みんな離れて。」
「「「えっ。」」」
間一髪ね。本当に危なかったわ。みんなが反射神経のいい友達で良かったわ。

扉が開くと同時にビュンーって私はお父様のもとへ飛んで行った。ブラックリリー公爵家では恒例行事のようなものだけど、普通はありえないわよね。私がちょっと怪我した時でも今回のようにお父様が慌てて帰って来た時は必ず扉が開くと同時に私が風魔法でお父様のところまで運ばれていくの。それもかなりのスピードで。普通の子ならたぶん、泣いていますよ。

「マリー大丈夫かい?」
「お父様、力が強いです。むぎゅーって、苦しい。」
「ああ、ごめんよマリー。心配で心配で。」
「分かりましたから、まだ強いです。もう少し力を抜いてください。」
お父様聞いています?

「瞳の色が、金色…。陛下、うちの娘に何が起きたのかしっかり説明してもらおうか!」
「えっ、お父様?陛下はどちらにお見えなんですか?」
「マリー嬢、クライムの後ろにいるよ。少々クライムが早すぎてね。」
お父様は公爵家を潰したいのかしら。

「お父様、私、ベッドに横になりたいです。」
「分かったよ。」私にはこんなにも優しくて素敵なお父様なのに。
それからシルバーが学園であったことを説明してくれて、一瞬冷気がレッドの方に走り、レッドが真っ青になっていた。真っ赤な髪が少し凍っていたからお父様が何かやったわね。そのあと、私が不思議な夢のような体験をした話をして(ゲームの所だけはもちろん内緒だけど)ブレスレットを見せたらみんな固まっちゃった。このブレスレットきつくはないけど、外れないのよね。お父様が転移陣に似た魔力を感じるって言ってるけど、詳細は不明。

それからも色々な報告が続いて、魔の森の状況とかも聞いたわ。なぜか最近魔の森の入り口付近で、瘴気が強くなっているらしい。瘴気は魔獣の力を強めたり、興奮状態にする作用があるから問題なんだけど、そもそも瘴気はどんな生き物にもあって、痛いとか苦しいとか、人間だと恨みとか妬み何かでも発生するらしいから、たぶん、この間のはやり病が瘴気が増えた原因だろうけど、問題はその瘴気をわざわざ魔道具に貯めた者がいること。

でも誰が、そんな誰の得にもならないようなことをしたのか?以前なら敵国を魔獣に襲わせるために用いられたこともあるらしいけど、今は和平協定もしっかり結ばれているとお兄様も言っていたし、本当に謎よね。そんなことを考えていたら、ものすごく眠くなってきちゃった。どうしよう。こんな大事な話の時にうとうとしてはいけないのに…。

「マリー嬢、君には本当に感謝している。少し休みなさい。」
「陛下すみません。」
ばればれだったのね。
「気にしなくてもいいから、隣の部屋で我々は話をしているから、何かあればクライムが気付くから安心して寝なさい。」
「はい、それではお言葉に甘えさせていただきます。」
みんなが部屋から出て行くのを見ながら眠りについた。

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