上 下
18 / 123

18.初めての王妃教育!それから…幸せ…

しおりを挟む
初めての王妃教育が終わったのだけど…。お兄様とアーサーが優秀すぎて怖い。って言うか、知らないうちに王妃教育やらされてたってどうなのよ!


マナーの時間。これは小さい頃のリアルおままごとでやったことだったわ。道理で設定が細かいはずだわ。お兄様が王妃役になりきっていたあれよね。アーサーは隣国の王子役だったわね。他の設定もあったわね。

ダンスの時間。こんなの五歳の時にはもう踊っていたわよ。まさか正式な隣国のダンスだったなんて。私とアーサーが踊るんだけど、お兄様が先生役だったから、てっきり、お兄様の作ったダンスかと思っていたわ。

貴族と国の歴史。これは最近お兄様が挨拶代わりに私に出してきたクイズよね…。当たるとクッキーくれるから頑張ったわよ。


どうするのよ…。ものすごく褒められて、完全に目立っちゃたじゃない。仕方なく早めの休憩というか、今日はもう終了になって…。
目の前に、めちゃくちゃ美形で微笑んでいる王太子殿下がいる。
はぁー、早く帰りたいんですけど、あなたとは昨日も会いましたよね。
もしかしてこれも王妃教育の一環ですか?それなら仕方ないけど。

「ねぇマリー嬢何を考えているの?」
「えっ」
言えるわけないじゃない、早く帰りたいと思っていましたなんて。
「これは、王妃教育の一環ですか?」

「違うよ、僕が個人的にマリー嬢と話がしたかったんだ。あと、とても王妃教育を頑張っていると聞いたからね。そのご褒美だよ。」
ご褒美なんていらないわ。そう思うなら、早く帰してよ。
「ご褒美なんて気にしていただかなくて大丈夫です。それではこれで失礼します。」
「分かったよ。次からは用意はしないから、今回はもうシェフにイチゴムースを用意させてしまったから、是非食べて行ってくれないかい。」

えっ、もう用意しちゃったの?イチゴムース、それは食べないと失礼よね。
「わかりましたわ。では、今回だけ、食べたら帰ります。」
「そう言えば、昨日さかな取りの前にカエって聞こえた気がしたんだけど、本当はなんて言おうとしたの?」
まぁー王太子殿下は細かいことが気になるタイプだったのね。

「ああ、それは、カエルです。でもとっさにご令嬢が怖がると思って、さかなに変えたんです。でもさかなも捕まえるのは得意なので嘘ではないですよ。」
「ふっ、ふふ、くくく、もう無理だ……ははははは。」
一人で色々なバリエーションで笑い出したけど大丈夫かしら?

「あーおかしい。久しぶりに心の底から笑ったよ。綺麗な顔してカエルとか、お前みたいな令嬢初めてだよ。」
「えっ?」
どうしましょう。王太子殿下が壊れた?!
「おまえのことが気に入った。これが俺の素さ。シルバーとレッドは知ってるぞ。ほら、もう一個イチゴムース食べろよ。好きなんだろ。食べさせてやるからさ。」

「い、いりません。それと、気に入っていただかなくて結構です。」
「はっ?!俺が気に入ったって言ってるんだぞ。」
「そんなの知りませんよ。」
「…嬉しくないのか……。」
「なんで嬉しいと思うんですか?意味が分かりません。失礼します!!!」

私はぷりぷりと怒って、王太子が呆けている間に王宮を後にした。あれ?私かなりまずいわよね。王太子殿下に逆らっちゃったけど、悪役令嬢ぽいのかな。公爵家大丈夫よね…。もう訳が分からなくなってきたわ。早くアーサーに会いたい…。

やっと、ブラックリリー公爵家に帰ってきた私は、アーサーにむぎゅっとしがみついた。やっと少し安心できた。そして、王宮であったことをものすごいスピードで話した。
王妃教育が幼児レベルに感じたこと。皇太子殿下が急に壊れてしまったこと。私が不敬なことを王太子殿下に言ってしまったこと等々。

「マリーは王太子殿下のこと、カッコいいって思わないの?」
「一般的には整ってる顔だと思うわよ。イケメンよね。それは私にも分かるわよ。」
「そうじゃなくて、カッコよくてどきどきするとか。」
「そういうのは全くないの。どちらかというと、自信過剰で嫌だわって思ったくらいよ。」
「アーサーは綺麗な令嬢見たらどきどきするの?」
どうしよう…涙が出そうになってきちゃった。

「僕は昔からマリーだけだよ。本当は他の令嬢とは挨拶もしたくないんだ。他の令嬢なんて、誰とも関わりたくないんだ。」
「それはちょっと困るけど…。」
困るって言いながら、嬉しいって思っちゃった…。私の顔真っ赤よね。
アーサーもきっと恥ずかしいのに頑張って、勇気を出して自分の気持ちを伝えてくれたんだよね…。私も勇気を出して、自分の気持ちを大好きな人に伝えたい。勇気をだすのよ。マリー!

「アーサーあのね。アーサーのこと兄弟とか護衛騎士とか友達とかそういう大切じゃないの。」
「えっ?!」
「私もアーサーが一番なの、前世のゲームの中のアーサー様よりも大好きよ。私のこと好きになってくれてありがとう。」
い、言えた。
「マリーほんと……。嬉しいよ。嬉しすぎてどうにかなりそうだよ。どうしよう魔力暴走起こしそう……。」
「それは絶対に嫌。」
アーサーのおかげで冷静になれたわ。私は、二歳のアーサーの魔力暴走を知っているのよ…今のレベルでやったらみんな死ぬでしょ。
「……いや…。マリーに嫌われる…。魔力暴走一気に静まったよ。嬉しすぎてマリーの悩みに答えるの忘れるところだったね、ごめんね、マリーの嫌がることは絶対にしない自信があるから安心してね。それと、王太子殿下に対しては不敬にならないよ。マリーはちゃんと王妃教育をしたし、個人的なお茶会だからね。安心して。」

「よかった。公爵家潰れるかと思った。」
「マリー…、僕たち恋人になれたんだよね。まだ信じられないよ……マリーが僕の恋人……」
アーサーの笑顔がやばい。心臓が、早すぎて痛いわ。
「でも内緒にしないといけないんだよね。」
「えっ?内緒?」
「だってマリーは一応王太子殿下の婚約者候補でしょ。」
「そうだったわね。」

「それにマルクに言うとすぐに広まっちゃうよ。マルクは隠し事できないじゃないか。」
「そうでした…。それこそ、公爵家が潰れるじゃない。アーサーどうしよう。」
「だから内緒の恋人でしょ?」
その微笑みもやばいんだって。
「世間では僕のことを、マリーの兄みたいなものだと思っているだろうから、よっぽど大丈夫だと思うよ。マルクは勝手に友達って誤解してくれているからそのままにしておこう。」
「そうね、わかったわ。公爵家の為だもんね。」

私はこうしてアーサーと内緒の恋人?!になれました。
王宮から帰ってきた時は明日からの学園生活が不安でしかなかったけど、今は明日からの学園生活も楽しみに思えるわ。すべてアーサーのおかげね。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

悪役令嬢と攻略対象(推し)の娘に転生しました。~前世の記憶で夫婦円満に導きたいと思います~

木山楽斗
恋愛
頭を打った私は、自分がかつてプレイした乙女ゲームの悪役令嬢であるアルティリアと攻略対象の一人で私の推しだったファルクスの子供に転生したことを理解した。 少し驚いたが、私は自分の境遇を受け入れた。例え前世の記憶が蘇っても、お父様とお母様のことが大好きだったからだ。 二人は、娘である私のことを愛してくれている。それを改めて理解しながらも、私はとある問題を考えることになった。 お父様とお母様の関係は、良好とは言い難い。政略結婚だった二人は、どこかぎこちない関係を築いていたのである。 仕方ない部分もあるとは思ったが、それでも私は二人に笑い合って欲しいと思った。 それは私のわがままだ。でも、私になら許されると思っている。だって、私は二人の娘なのだから。 こうして、私は二人になんとか仲良くなってもらうことを決意した。 幸いにも私には前世の記憶がある。乙女ゲームで描かれた二人の知識はきっと私を助けてくれるはずだ。 ※2022/10/18 改題しました。(旧題:乙女ゲームの推しと悪役令嬢の娘に転生しました。) ※2022/10/20 改題しました。(旧題:悪役令嬢と推しの娘に転生しました。)

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m

悪役令嬢っぽい子に転生しました。潔く死のうとしたらなんかみんな優しくなりました。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したので自殺したら未遂になって、みんながごめんなさいしてきたお話。 ご都合主義のハッピーエンドのSS。 …ハッピーエンド??? 小説家になろう様でも投稿しています。 救われてるのか地獄に突き進んでるのかわからない方向に行くので、読後感は保証できません。

婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される

安眠にどね
恋愛
 社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。  婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!? 【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】  

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。 真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。 そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが… 7万文字くらいのお話です。 よろしくお願いいたしますm(__)m

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

処理中です...